盤端の手はそれ自体では地を作れませんが、相手の地を破ったり、攻め合い、死活では重要な働きをします。 攻め、守りの両方に強いのですが、油断するとたちまち裏切られます。 <右上> この形の死活では、盤端の好手が重要な働きをします。 白1のハネには黒2の盤端の好手で生きます。 <右下> 白5が白側の盤端の好手で、黒6の押さえでは、黒のダメヅマリで生きる筋はありません。 <左下> この場合は黒12が盤端の黒の好手で、白13には黒14、16で生きます。 <左上> 黒18に対しては、黒19の盤端の好手があり、双方の盤端の好手により、コウという結論になります。 「一線に妙手あり」は正しい。それは、自分の方の妙手だけでなく、相手側の妙手もあるということも示しています。 | |
プロの実戦でのワタリを阻む筋を見落としした例です。 説明の都合上左右同型にしてあります。 右辺は白の勝って読み。左辺は盤端の手筋でワタリを防ぐ筋があることを示しています。 このワタリを防ぐ筋はプロなら当然読める手ですが、思い込みで、白の妙手を読まない場合もあるということです。プロも油断すると盤端に裏切られるのです。 <右辺> 白の読み 白1、黒2の交換をした後、白3から11まででワタリがある。 <左辺> 正しい読み 白13に対しては黒14という盤端の妙手が存在し、黒24で白のワタリは無い。 |
隅は盤端が二重になっている箇所です。従って、一層不可思議な手段が生まれます。 詰碁の神様、故前田陳爾九段は、それを「隅の魔性」と名付けました。 妙手を打たれた人は「悪魔に出会った」と感じ、発見した人は「地獄で仏」と感じるでしょう。 <右上> 白1とノビたところ、この攻め合いの結果はどうなるでしょう。 <右下> 「眼あり眼なし」にするということで、黒2と打つ場合が多いでしょう。白3なら黒4、白5で、結局3手ヨセコウです。 「三手ヨセコウはコウにあらず」という格言がある様に、白がコウに勝つ可能性は極めて低いのです。 <左下> ところが、白29で2の1にトビツケると本コウになります。 はたして、コウが最善でしょうか。 <左上> 黒32で2の1に打てば、やはり、三手ヨセコウになります。 実戦では三手ヨセコウにしても仕方がないので、黒34の段階で白は手抜きをするくらいのものです。 手抜きをされた黒もそう簡単には手入れをする必要はありません。 |
一歩一歩の発展は効率が悪い打ち方です。 ベストの打ち方は 1.まず 広げる=天王山を占拠する 2.それから 引き締める=周辺を平定する <右辺> 黒1と双方の中間の5間にヒラキます。後からの白は狭く白2としかヒラけません。黒3、黒5と中央に飛べば白より広い模様が作れます。白が打ち込んでくれば、攻めて、得を図ります。 <左辺> 打ち込まれない様に黒7と堅実にヒラクと、白8と広くヒラキます。黒が打ち込んでくれば、攻めて、得を図ります。 | |
白の対策 <右辺> 先着された白としては、白1の様子見が対策の一つです。 辺が広いので、黒2と辺を重視した手を打てば、白3、5と打ちます。 右上は後に、白11からの生きを図ります。但し、黒の外側が厚くなると、黒12はR18のハサミツケなど、簡単に生かさない手段を取ります。 右上の形については死活参照。 <左辺> 黒としては、黒8で外側が厚くなったので、白9に対しては、黒10に打ち、白の石を厚くなった方向へ向かわせるのが良い手です。 |
まず広げる、つまり、自分の勢力圏を広げる場合にはっきりした目的を持って広げることが大切です。それは、 「相手が自由に動き回れる空間を少なくする。」 ということです。 プロの実戦例で説明します。 白1とツケ、白3で大模様を張りました。 対局者はこの白1、3を反省したそうです。黒4までの反省点は 1.右辺の白は弱いので黒は中央で自由に動ける。 2.黒の実利は大きく、中央の白模様は出口がたくさん開いている。 この白1、3の修正は変化図1を参照。 また、黒14と打たれた為に、黒が動けれる空間が広く、自由に動けることになりましたが、白13の手を変化図2の様にすれば、左右のバランスが良く、黒がどちらから消しに行っても窮屈で、白打ちやすい局面になります。 | |
変化図1 |
実戦の変化 白1とトビ、白2の打ち込みを狙う、もし、黒がその打ち込みを嫌って、黒2と守ったら、その時点で、白3とシマる。 仮に、黒4なら白5で止まりますし、白7と中央を広げることも出来ます。 |
変化図2 | 白1により、黒M8の石が動き出せば、上辺がまとまりそうだし、白O4、O3と打って黒模様を制限できることになる可能性も高くなります。 |
厚みと勢力の共通点 相手に地を与え外側に石が行っている 厚みと勢力の相違点 厚み 攻められる心配の無い石 勢力 将来攻められる可能性のある石 但し、勢力も適切なフォローが あれば厚みとして機能する <右辺> 厚みの 黒1と打てば右上の黒3子と黒1の石が協力し、勢力が厚みとして機能します。 <左辺> 黒が手抜きをして、白2、白4と打たれると黒の根拠が無くなり、黒3子は薄い石になって、攻められることになります。 勢力にしても、厚みにしても、部分的には模様を作ることで力を発揮出来ます。模様という大きな規模で考えるのは「厚みに近寄る」ことによる効率ダウンを回避したいからです。 | |
黒1と打った目的は 1.全局的に働く厚みにする為 ここに石が無いと、白F6などの利きにより 厚みでなくなる可能性が高い 2.上辺、下辺への着手を見合いにし、厚みを活用する 具体的には、白2と下辺を打てば、黒3と打ち、厚みを戦いに活用する。 | |
黒1で厚みが完成しました。白2の大場を打たせ、黒3と薄い白にクサビを打ち、黒5以下黒模様を拡大し、模様の大きさで勝負しようという作戦です。 黒5で中央の白数子をとりに行く作戦は、厚みを地にするなの格言に反した価値の低い手です。 黒17までは、右辺の大模様が盛り上がり、中央の数子も飲み込める可能性が高く十分な形です。尚、右上と右下の三々については、見合いなのでいずれかを守る事も出来ます。 本譜の作戦は、将来の戦いに備えて厚みを作るのではなく、大きな地になる可能性の高い「地模様」を作る作戦で、「厚みの平和的利用作戦」です。平和的と言っても、白が右辺に突入してくれば、皆殺しにするつもりで打つ必要があります。 また、この作戦は、自然と相手にも地を与えるので、気が付いた時は、相手の地の方が大きいという可能性も高く、正しい形勢判断を必要とするので、私は難しい作戦だと思っています。 この項のまとめ 部分的利用 勢力、厚みは模様を作る事で力を発揮 全局的利用 1.全局的な攻めに活用 2.模様拡大という平和的利用 平和的利用の方が難しい |
囲い合って勝てる場合は、厚みは地を作るための道具になっても構いませんが、それが分かっていれば相手はより強引に突入してくる筈です。従って、その場合は、厳しく攻めるし、場合によっては本気で取り掛けに行くことになります。 右辺に強大な白の厚みがあります。 黒1 模様の削減を図ります。 白4 新たな模様を作ります。 黒5 白が白9と押さえれば黒8と利かせ、 下辺の攻防を少しでも楽にしようとしました。 白6 黒5にに反発して、黒を攻めました。 黒7 黒5に対する手抜きに反発 黒11 下辺で生きを図る。 白18 模様の拡大 黒19 隅に手をつける。 生きなくても、荒らしの手掛かりにしたい。 黒29 押さえれば、黒30でコウ。 白30 コウを回避し、追い上げの攻めを図る。 以下、黒37以下黒が生きれば、黒勝ち、死ねば白勝ちの戦いに突入。白の厚みが働くか予断を許さない戦いです。 |
碁の常識で 1.シマリは地が大きくて厚い 2.大場からのヒラキは模様の基本 等がありますが、これは仮の姿であって、最終的には最初の状態とは想像もつかない形になることが多い、それが碁の一番の魅力です。 最初の形に固執するのが初中級者の常、碁を流動的なものと捕らえるのが、上級の入り口になるとも言えます。 部分的に仮の姿が変わることを示します。 <右上> コゲイマジマリですが、コウやシチョウアタリなどの要因で2手続けて打たれると、見るも無残な形になります。 <右下> 白5に対して、黒6と辺を重視した手を打った場合には、最低限の生きを確保出来ることもあります。 また、黒厚くなった後に白7で生きに来れば、黒は黒8で黒9と打って、全体の黒を取りに行くことも出来ます。 <左下> 白13に対して、黒14と隅を守れば白19までと軽く消す形になることもあります。 <左上> 黒22のヒキに対しては白29までも考えられます。 | |
全局的に仮の姿が大きく変わった棋譜を見てもらいます。 江戸時代の碁です。 この段階で最終図を想像すると、 黒 右下中心の黒地 白 左上中心の白地 ということになると思います。 実戦は、黒15手目に黒1とカタを突いて、囲い合いではなく、消し合いを選択した結果、下図の最終譜の様に、黒1で白の投了となりました。 | |
黒1により、 黒地は左上から右下にかけて一石の地になりました。(左上の白は3目中手で死んでいます。) 白地は白2でM4と打つと、右上と左下の地です。 布石での両ジマリの形からは想像も出来ない形ですね。 相手の意図に反発し、振り替わりを目指して打った結果です。 相手の意図に従っていたのでは、不利になる。自石は取られても、相手の石を取って互角以上の分れを目指す。そういう打ち方から、こんな碁が生まれるのです。 これが、「碁の魅力」です。 |
相手の意図に反発する気持ちを「気合」と言います。 結論の出る部分戦では、読みの裏づけを得ながら、反発します。 結論の出にくい全局判断においては、読みのウェイトが低いので、「気合」がより大切になります。 まず、部分戦の気合例です。 <右上> 白が白3のトビ等を打たなかった時に、黒1のツケは良く打たれます。 黒7までの分れは、空き三角が出来ているのは、白も出来ているのだから辛抱するとして、白P14のノゾキに黒接いだ形が気に入りません。 <右下> そこで、白10の時に黒11のアテコミを利かせて、黒好形になります。白O5の急所には、黒M5等の対策があります。 <左下> 黒19に対して、白の気合による反発は白20です。黒が白の気合に押されて黒21と打つと黒だけが空き三角が出来て、右上より、黒数段不利な分れになります。 <左上> 白26の気合に対しては、黒も気合で応じたのが、黒27、29です。この形でも黒が全局的に悪くない場合に黒25が成立します。 振り替わりは「読み」と「振り替わり後の判断」を必要としますので、難しい点はありますが、上達の大きなきっかけになります。是非積極的にやってみましょう。 | |
全局的な戦いにおける「気合」例。 白1に対して、黒2は気合による黒の反発です。 黒8に対する白9も気合、 白15のノゾキに対する黒16も気合、 白19に対する黒20も気合、それに対する白21も気合で 黒30までとなりました。 結果、黒は右辺を大きく地にし、白は右上のコゲイマジマリを破って厚みを作りました。手番は白。この分れは互角です。 注.黒30ではR17を利かしてから、この30を打つという発想も考えられますが、何故打たなかったのかというと、一つにはコウダテが損という要素もありますが、黒R17には、白が気合で白S9と反発する可能性が高いからです。 アテや、ノゾキに反発をして、大きな振り替わりになるのは常識でさえあります。 |
布石では盤端を味方にしようとして、隅が重要視されます。 盤端を利用しての根拠が作りやすいためです。 カカリは相手が隅に先着し、シマリにより地と根拠を得ることを防止しようとするものです。 ただし、カカりにより、接近戦、接触戦が起こります。 定石は、出現する回数の多い戦いを部分的に研究整理したものです。 <右上> 白1から黒8まで、この形は白が有利で、定石ではありません。 <右下> 白9に対して、黒は手抜きが可能ですが、白11以下の手があります。。 <左下> 黒20に対しては、白21、23が一つの定石です。 <左上> 隅の地を確保したい場合はツケオサエ定石を用います。 地は取れますが、陣笠の悪形なのでsmile_aceはこの定石は嫌いです。 | |
定石の形だけを知っていても、その形だけを盤上に実現すれば良いというものでもありません。 定石の正しい利用方法は 1.局面にあった定石の選択 2.定石外れを相手が打ってきた場合の咎め方のヒントを定石から得るという2点があります。 局面にあった定石の選択 <右上> 白3は右上に地を作るという目的ですが、黒10までの黒の厚みが全局的に効率良く働く場合は適当な定石選択ではない可能性もあり、定石選択上配慮が必要です。 白1に対して、黒Q14やR14のヒラキが妥当の場合もあります。 <左下> 黒14の時白は白15と両ガカリを選択することも出来ます。 この場合黒は 1.黒16に強い方の白にツケる 2.黒E5にコスム 2種類の選択がありますが、いずれの場合も、白13と白15を裂いていく感覚が大切です。 | |
定石外れを相手が打ってきた場合の咎め方 定石外れの咎め方のヒントとしては、相手が定石通り打ってこなかったと分かれば、本来、定石として、打つべき地点に注目します。相手が手を抜いたのだから、そこは相手が打たれたら困る手があるのではないかと考えるのです。 <右上> 黒1は本来黒R14またはQ15と打つのが定石です。 その定石を打たずに黒1と白をハサんで来ました。 この黒の形は、白2のツケが急所です。従って、白2と打たれると右辺は白の勢力圏になり、部分的には白有利な形になります。 但し、左辺との関係では黒1が良い着点である場合には、黒1も一理ある打ち方である可能性もあります。 つまり、右辺の不十分さを考慮しても、黒1と左上の形が良いバランスであれば、黒1も十分選択する価値はあるということです。 <左下> 白10は本来白J3と打つのが定石となっています。 ところが、白はそれを無視して、白10と打って来ました。黒としては、白がJ3と下辺を打たなかったのだから黒11とハサんで攻めるということを考えます。黒11、13、15と打たれ、白は根拠を奪われ、苦しい戦いになります。 右上は周囲の状況で必ずしも、黒1が悪手になるとは限らないけれど、左下で黒11とハサまれるのは、殆どの場合白不利になります。 |
定石は既存の石の配置を考えないで手順を決めてあります。
従って、実戦では定石の通りに打っても良い場合と、変化する必要がある場合とがあります。定石通りに打っても全局的に悪くなる可能性も多々あります。 白1に対して黒2のハサミはこの場合適切です。 黒2で黒6と受けると、白はL3の二間ビラキを打ち、左下の黒の厚みが働かない局勢になります。 | |
ハサまれた時に白1と三々に入ることも考えられます。 白9までが定石ですが、黒は10、12と押しを打って、白を右辺に押し込め、下辺に黒の大模様を作って、黒の優勢を築きます。 白1の三々入りは、定石ではあるけれど、不適切な選択の例です。 | |
白の対策として、白1とツケた後、白3と両ガカリをする工夫もあります。 黒4、6に対しては白7とツケ、黒8に白9と打つのが白の工夫です。 尚、黒8でP3と打つことも考えられますが、白8とアテを利かされるのを嫌っての黒8です。白O3の石を取ったり、助けたりするのはヨセの段階に打つことになります。 |
隅の第一手には小目、高目、目外し、星、三々があります。 <右上> 小目の発展方向は上辺です。白はコゲイマガカリ、一間高ガカリで黒の発展を妨害します。また、黒から打つ場合、コゲイマジマリ、一間ジマリを省略して上辺L16、L17へ打つのもあります(中国流)。 <右下> 高目は中央あるいは下辺が発展方向です。 白からR4とカカラれた場合、特に下辺に発展しやすくなります。 白からR3とカカラれた場合は、黒R5と打つことによって発展方向は右辺に変更になることもあります。 <左下> 目外しはカカリによって実利を取るか、勢力をとるか、変化します。白E4に対しては黒実利、白D3に対しては黒勢力を取ることになります。 <左上> 星は白から打てば白が発展方向を選択出来ますが、コゲイマガカリでは黒のハサミにより、黒が発展方向を変えることが出来ます。 また、黒から打つ場合は黒が発展したい方向に打つことにより、黒が発展方向を決めることになります。 三々も方向性を決める要素は星とほぼ同じです。 | |
白が中国流に対抗する方法として、左下のコモクの位置をこの様に打つことが考えられます。 黒がこのコモクの方向を意識せずに黒1と打つと白2のシマリが、「相手の模様の拡大を制限しながら、自分の発展したい方向へ好形のシマリで対抗した」ということになって、白の理想形になります。 smile_aceの独り言 白の理想形と書きましたが、私くらいのレベルでは、それが勝敗に影響するとまでは感じられません。プロ、あるいはそれに近い高いレベルでの話だと認識しています。 |
隅の着点に対する意識で自分が意識していることを参考図書記載の項目以外も含めて説明してみます。 <上辺> 星と小目の関係 この形から黒1に掛かるのは好きなカカリ方です。 プロの中に、黒1を小目に打ったら、白2はその発展方向の空き隅に星打ちすれば、白勝ちという人もいるそうです。 これは極端だと思いますが、星という勢力のある石から黒1とカカルのは「小目の白を圧迫している感じ」が好きな理由です。 <下辺> 下辺の黒の小目、白の小目はお互いに発展方向が同じ下辺に向かっています。この場合白2の様に先着すると黒3のカカリに対して、白4等ヒラキヅメが可能になり先着の効果がはっきりしています。この配置の白黒の小目をケンカコモクと呼んでいます。 後からカカった側は一方的に攻められないような工夫が必要となります。 | |
道策流(ミニ中国流) この形になりますと、黒3に白がカカル手は攻めの標的になるので、黒の勝率が良いそうです。最近ではミニ中国流と呼ばれていますが、道策が打っていたのですね。 |
布石の主役は第3線=実利線と第4線=勢力線です。
三線と四線の対抗状況における考え方を示します。 <上辺> 3線同士の対抗 黒から打つ場合は次の様な手があります。 1.黒J15の一間トビ……左上方面の勢力拡大 2.黒K15のケイマ………白1の攻め 3.黒L16のツケ…………黒石の強化 4.黒N17の一間バサミ…白1の攻め <右辺> 3線の石に4線から迫る場合。 白3のカタツキが一般的です。黒から打つ場合は 1.Q11の押し 2.R10の這い もし、黒が手抜きすると、白からは 1.R10の押さえ 2.Q11の押さえ となり、攻守ところを変えてしまうほどの勢力の差が出るので、黒手抜きは出来る限り回避すべきです。 <下辺> 4線の石に3線からのぞむ場合は白5のケイマが普通。 白からは 1.白L2の足元をすくう手 2.白K5のカケ 3.白N4のハサミ 黒からは 1.J5のボウシ 2.J4のツケ 3.K2のケイマ 4.G3ノハサミ があります。 <左辺> 4線同士の場合 1.白C9のツケ 2.白C7、白D7のハサミ | |
複数の石での対抗形の評価 <右上> 白1に対して黒2、4と打ち、黒は右辺に模様を作り、白は上辺に地を作ります。この定石は第3、4線の典型的な対抗形です。 <右下> 白7から11等と白が這うのは白不利です。1手で2目しか増えない白地に対して、黒の勢力はもっと大きな価値があります。 <左下> 右下の3線と異なり、黒は4線を這うのは黒有利な形です。但し、4線でも必要以上に這うのは黒が段々不利になってくるので、黒20の様にケイマに打って押し合いを中止します。 <左上> 白25では、2目の頭をハネることが出来、白がE15にノビるのは厳しさ不足です。 |
江戸時代の碁は序盤では実利と根拠を大事にし、中盤戦以降で中央への戦いに進んでいくパターンでした。しかし現代では、第3線の石は当然のこととして、第4線の石でさえ、上から圧迫されることが多くなって来ました。 囲碁史の上では昭和8年の木谷実九段、呉清源九段による有名な新布石や武宮正樹九段の宇宙流などが大きな影響を与え、勢力重視の考えが取り入れられています。一方、趙治勲25世本因坊などの実利重視主義も対極の作戦として生き残っており、多様化の時代を感じさせます。 この碁は江戸末期の名人の碁です。 右辺の模様削減で白1のカタツキ、白5でコゲイマジマリの急所をボウシで衝き白13まで形に付きました。 | |
現代の碁 白1と4線の石にボウシをし、黒2の実利専門の手に白3とケイマし、白5と大きく模様を作りました。 昔の格言に「四隅取られて碁を打つな」というのがありましたが、現代では、「四隅取る碁は打つな」くらいの感覚もありそうな状況です。 |
石の死活に関する第一の問題点はフトコロの広さです。しかし、広さが十分であってもダメヅマリの石は危険。 ダメヅマリの恐さを確認してください。 <右上> 黒がO18にハネツイダ場合。白先黒死。 <左上> 黒がE18に単に下がった場合。白先黒生き。 <右下> Q6のダメが空いているので、白先生き。もし、黒が周りの白を攻めようと、Q6に出切った場合は、部分的には黒死となるので、攻め合いの具合など考えて出切りを敢行する必要がある。 関連格言 関連死活 (右上の形と右下の形を比較する) |
はっきりダメヅマリになれば、なにか手がありそうと気付く可能性が高い。しかし、ダメヅマリの前段階では気付かず、ダメヅマリとなって痛撃をくってから、あっというケースは少なくありません。 また、相手をダメヅマリに追い込むテクニックもあり、習熟すれば大きな利益につながります。 右上、左下は同じ問題です。黒1に対する白の受けが白無条件死を回避することが出来ます。 <右上> 黒1が白をダメヅマリに追い込む好手です。 白2を誤ったので白死となりました。 <左下> 白12が正しい受けで、コウです。 |
「先手」とは何か。先手という言葉は良いイメージしかないと感じる人もいるでしょうが、先手必勝という言葉はある一面しか現わしていなくて、先手を取るということが、悪い場合もあります。その例の一つは「味消し」です。 又、先手とは相手が受けてくれるから先手となるので、本来先手でない場合でも、打たれた側が先手だと思って受ければ先手になるし、他により大きい手があれば手抜きされて、先手にならないこともあります。 <右上> 白1、3を打つ場合他に大きい手があれば、黒4で手抜きし、他を打つでしょう。白1、3はヨセの手で、黒4は後手6-7目の大きさだから、黒は白を攻める手など、7目以上の手があればそちらを打つのが正しいのです。 中盤の段階にヨセを打たれ、丁寧に受けて、その後相手に中盤の手(中盤の手>ヨセの手)を打たれるということの無いようにするべきです。 <右下> 白9と切るのが6目強の手。黒10と打って、白11の時、黒が黒S1と打つかどうかも、他の手との比較になります。 白13、或は黒S1は白地が28目増えるか、黒地が3目ないし4目(3.5目とします)になるかですから31.5目の手になります。極端な話、他に32目以上の手があれば、黒は手抜きすべきです。 <左下> 黒が生きる場合はこの形になりますので、黒地は3目〜4目となります。 <左上> 左下は白21の時黒が手抜きする確率は大変少ないのですが、この形は、黒が生きていますので、殆どの場合黒は白29に手抜きをします。ただし、黒26での手抜きは、10目以上の手が他にある場合に限ることになります。 | |
味消しの問題があります。先手で得をしようと、時期を選ばず先手のヨセを打つという場合には、味消しとなります。また、味消しの一種ではありますが、コウダテを無くします。 <右上、左上> 白1と黒6はそれぞれ先手ヨセです。右上と左上では2目の差が出来ています。このため、白1を急ぐケースがある場合の問題点は何か? 右上と、左上では黒の眼形に差があります。つまり、白1、3と打てば黒が厚くなるということです。 この厚みと2目の地の価値の比較は一概には言えません。 また、白の形の比較に於いて、左上の方が白は味がよく、右上は黒からのコウダテが2回利きますが、左上はコウダテはありません。 何れも地を得した側が相手に厚みを与え、コウダテを減らしているということになります。 <右下> 白13とボウシを打ち、黒14とケイマに守った段階で、白15のハネツギを打つのは一理ある打ち方です。 <左下> 白19に対して、黒20から先手で黒24を利かして、黒26と守るというのも、白の19の意図に反発した立派な手と言えます。 |
ヨセを打つ順番は、ヨセの大きさだけで決められれば、コンビューターのヨセが一番強いかもしれません。でも、そうでなく、石の強弱、死活の要素をにらみながらヨセを打つのが正しいヨセです。従って、コンピュータのヨセは訓練された人間には到底敵いません。 白1と打って、左下の黒の眼形を脅かしました。黒はやむなく、黒2、4を打ち、白5の守りを強いて、黒6、8と眼形を作りました。 黒としては、左下の白を攻めながら、ヨセを打つ場合には、黒5のノゾキなどから打つのですが、白A9の利きなどもあり、白5の地点は譲らざるをえないことになりました。これは、白1の攻めによる効果です。 白が右上白9のハネツギを後手で打った後、黒は、黒12と白の眼形を奪いながらのヨセを先手で打ち、黒24と後手で守りました。 白は、先手を得て、一子を先手で取り、白33で、中央の黒と右辺、下辺の黒の連絡を脅かしながら、少しでも得なヨセを目指します。 ヨセといえども、こういう複雑な変化、或は変化後の局面の評価は、まだまだコンピュータに教え込む技術を持たないということであり、機械的に計算させることによっての評価には、碁の変化の数が多すぎて、スピードが追いつかないということです。 | |
一般的には、隅や辺のヨセが大きいのですが、時として、中央のヨセが大きいことがあります。これは、序盤から激しく戦う碁の場合に、戦いが一段落した時点で、中央に大きなヨセがあるというケースです。 黒1が白模様を削減する大きな手で、白2と逆ヨセ4目(通常は大きい手です)を打つと、黒3、5と打たれ黒優勢となります。 | |
黒1と先手ヨセと思って打つと、白2、黒3となり、以下中央をまとめて、白有利となります。 |