近くに援軍がいる場合に、その援軍を働かせないと、その援軍自体の働きが無くなって、不利な局勢になります。 <右上> 白石の近くに黒石があります。これを援軍として黒1まで進めないと不利な分れになります。 <右下> 援軍が無い時に黒7等と打つと、黒良い分れは期待出来ません。 <左下> 援軍があるので、黒11とツケたのですが、白はそれを無視し、白12と打ちました。結果は左下に小さな地を確保しただけで、外勢は黒が確保しました。黒大優勢です。 <左上> 援軍があるのにそれを働かせなかった場合は、黒の形が今ひとつ不十分な形になります。 | |
<右上> 白1は上辺に進出しようという手です。黒も上辺が重要と判断し、黒2とハサミました。これに対して、白3と打つと、黒は黒4で右辺を広げながら、白を攻めることが出来ます。この図は黒満足です。 <右下> 右上は白が不十分で、黒が手抜きをした、右下を白5と打つのが良い手です。以下、白は立派な治まり形になりました。 <左下> 黒10とハネダスのも定石になっています。 左辺は黒、下辺は白という分れになります。 注.黒12と黒14は手順が大切です。逆にすると、白から変化される可能性があります。 |
白1が成立するかどうかが、白F17の存在にかかっている局面です。つまり、左上の白石があれば白1と打てるけど、ないとこの白1は悪手になります。 それは、以下のシチョウが成立するかどうかにかかっています。 白19までのシチョウが白F17で成立しています。確認してみてください。 | |
黒も白1に対しては上図を回避しなければなりません。 黒2以下10まで、上図のシチョウとは関係のない変化に持ち込みました。 以降白は下辺の黒4子をハサんで攻める展開になります。 |
「攻め」は「取り掛け」とは違います。
攻めは相手の石の動きを強制しながら、得を図る手法です。
どの様な得を目指すかにより、攻めの方向が決まってきます。方向を間違えた攻めでは効果的な得は得られません。
<右上> 黒1、3が「追い上げの攻め」です。白を中央に追い上げながら、右辺や上辺左に地模様を作ろうとしています。 <左上> 黒5が「封じ込めの攻め」です。 黒C11の石が弱い時、上辺に地模様を作りたい時に選択します。 白6と黒の注文を外そうとしましたが、黒9と抑えて、黒の上辺から中央に勢力を張ることが出来ました。 <右下> 黒13が「追い上げの攻め」です。 相手の根拠を奪いながら、隅の地を守る黒13で白を攻めています。 <左下> 黒17が「封じ込めの攻め」です。 左辺にC11等のヒラキがあるこの局面では有効です。 | |
プロ棋士の実戦で2種類の攻めを見てみます。 黒1 封じ込めの攻め 明確ではありませんが 黒3 追い上げの攻め これも、白L17のハザマがありますが 黒5 黒石の補強 次の攻めの準備です。 尚、黒3でH16の封じ込めの攻めは 1.白E11の出 2.白L9のトビ 等があって中央はまとまりにくいので、地が足りなくなります。 |
相手の石が孤立している時に封じ込めか、追い上げかを考えます。 <右上> 白1のカカリから白5まで、星の代表的な定石です。 <左下〜下辺> 黒8に白が手抜きをした局面でどうするか。 黒10とコスミツケて、黒12と追い上げの攻めで、白の根拠を奪います。 この場合、白は中央、右辺と両方に逃げ道がありますので、封じ込みの攻めは出来ません。 白は13と中央に逃げながら、黒8の石に圧力を掛けます。黒は14と左辺の地模様を広げます。黒14は地を得している手なので、白はその損を白15のハサミにより取り返そうとします。 黒は16により、白J3のツケによるサバキを拒否しながら、中央にコスミで強化します。このコスミは急所(K3、L4、M5、J6)に白石が無いのでヘボコスミではなく、立派な厚い手です。白が21と2線のワタリを打ってきたら、黒22と中央に打ちます。 注1.白21は完全なワタリではなく、周囲に黒石が来るとワタリが無くなる可能性のある薄いワタリです。 注2.黒22を省略すると、白K7等の手で攻められて得策ではありません。 <左上> 星からのコスミツケについて 白23にいきなり24とコスミツケるのは悪手です。理由は 1.白27となった状態は白が二立三析の理想形。 2.黒は24のコスミの急所であるD14に白石がある悪形。 3.白が三々に入ると生きがある形。(白29以降参照) です。星の石からコスミツケが良い手になるのは、少なくとも二立三析の理想形が出来ない場合に限ります。 コスミツケが三々を守っていると考えるのは錯誤で、コスミツケの真の目的は次項の「攻めの応接の手を消す」ということです。 |
石を攻められた時の応接は下記の3種類 1.中央へ逃げる 2.生きる 3.サバク(捌く) 「サバキ」は お互いに損をしたり、得をしたりしての 振り替わりを含んでの相手の打ち方に対する変化 <右上> 白1が逃げ。白O15の一間飛びだと黒O13で止められます。 <右下> 白3、5は生きの例 <左下> 白7、9はサバキの例(下図参照) <左上> 白11のサバキの例 | |
上図の左下のツケサバキの変化 <右上> 黒4がおとなしい手で、白の意図通りとなっていることが、若干の不満ですが、部分的には定石です。 <右下> 黒8と切って1子を取る変化は白13でP4にアテテいくシチョウが成立しないことが、黒からの条件です。 但し、現在成立しなくても、白13などのサバキの状況により、成立する可能性もあり、白はサバキを得やすい形ということもあります。 <左下> 黒14からアテて、16とツグ形もあります。 <左上> 黒22とツキダス手もあります。白23以下の4子は弱い石ですが、逃げ出せば黒30以下の石も弱くなる可能性があります。 |
ワタリの手筋で、実戦に出そうな形を紹介します。
<右上> 黒1に対して、白2と打って来た場合黒3とツケが手筋です。 結論はコウで、左上が正しい変化図です。 まず、白が4とハネ出すのは、黒無条件でワタリ成立。 <右下> 白20が手筋です。黒21と切るのは見るからに筋が悪そうな手で、黒攻め合い負けです。 <左下> 黒35が手筋で、白36に対しては、黒37、39でワタリます。 <左上> 双方の最善の応手は白40に対して黒41、以下白52の段階で、黒53のホウリコミが手筋で、黒の取り番のコウになります。 |
厚いと薄い、重いと軽いは碁独特の考え方です。 厚い石は強く、重い石は弱い。 軽い石は弱くなく、薄い石は強くない。 重い、軽いは攻められる時の石の集まりの評価。 厚い、薄いは攻める時の石の集まりの評価にも使うし、攻められた時の石の集まりの評価にも使います。 注.ここは、参考本の説明に納得出来ないので少し修正を加えました。参考本は「厚い、薄いは攻める時の見方」となっていますが、攻められる石にも使います。 例.薄いから攻められる等 <右上> 黒1のコスミツケは白2と打たして、白を重くする目的で打ちます。決して、隅を守る目的で打つのではありません。 <右下> コスミツケを打たないと、眼形が作りやすい。 <左下> 三々に変化出来る。 <左上> サバキやすい。 <右上> コスミツケ後三々に入るのは三々の石は生きても、白2と打ってあるので、損害が大きくなります。 | |
重くなった石は、取られると大きいので、安易にサバキや、振り替わりが出来ません。つまり、攻められた時の3つの応接の内の一つ(サバキ)が出来ない(或はサバキにくい)のです。 逃げる時は、まともに逃げないといけないので、攻める側も目標がはっきりして、攻めやすいということもあります。 但し、注意しないといけないことは、重い石は、石数が多くなるので、厚い石に変化する可能性があるということです。相手の石を重くしようとして、強くした場合に、自分の石より強くなっては、逆効果です。 <右上> 黒1と打って、白2、4となった状態では、黒3の石との比較において、左上の状態では、黒3の方が弱くなることが考えられます。しかも、白Q17の急所も残っており、黒1は悪手になりました。 <右下> こういうところは、黒5と打ちます。白6にヒラかれても、この白への攻めはR12でまだ残っています。 <左下> 黒7とハサんだ時に、白8とトベば黒9、白10の交換は白を重くすることになり、良い手になります。 <左上> 白14の正しい手順は、白14とノゾキ、左上の眼形(不完全ではあるが)を確保した後白20を利かして、白22と逃げ出すことです。 注.白20のブツカリは本来打ちたくない手ですが、この場合、打たないで一間にトブと、黒C14とコスミツケられて、切断される味(黒C15が利いています)がある為です。 |
重い石にならない様にするテクニックです。 <右上> 白1は黒2と打たれ、白重い形で工夫のない手です。 <右下> 白は、白7、9と工夫しました。黒10、12と打てば、白の子は軽く見て打ちます。 この結果は黒8以下の2子が廃石となり、黒の増えた地は生きている石の周りに10目程度ですから、小さく、白大成功です。 <左下> 黒のノゾキが利いた後で、白15と打っても、黒16、18と打って以前白の重い形です。、 <左上> 白19も白の工夫です。黒20と白の形の急所をついても白21を利かせ、23にケイマします。 黒20でC15のコスミツケなら、やはり21を利かせ、B14に下がります。 | |
プロの実戦例です。黒を重くしようとした白の意図を粉砕した黒の工夫を示します。 <右辺> 白1のコスミツケから、白3は黒4と打てば、白5と封じ込めの攻めを意図しています。 白3は、普通の手は一路上の一間なのですが、白5となれば、黒が封鎖された為に生きる為の手を打ち、白が厚くなって、白3の薄みが自動的にカバー出来ると考えたのです。 <左辺> ところが、白は黒6とハザマを開けてトビました。(チキリトビ) 白7とハザマを衝けば、黒8以下黒の2子を捨てて、白の4子を捨てる構想なのです。 (黒E8が利いているので、黒5子は厚い形です。) |
1つの石を取るのは4つの石が必要で、2つの石を取るのは6つの石が必要です。つまり、取られる側の石数より取る側の石数の方が多く必要です。そうすると石はなかなか取れないことになります。でも、実際は取ったり取られたりしています。 これは、取られる側の石は1グループではないからです。2グループ以上の石を同時に狙えば、取ることが実現するのです。接触戦でも接近戦でも同様の原理が働きます。 <右上> キリチガイの形。どちらかの白石を取る為には、一方の石を強くして、取られない様にします。黒1と打つことにより、白のどちらかの石が取れる様になります。 <右下> 黒3、黒4とアタリをすると、白石が強くなった一方、黒石は4つに分かれ、どれかが取られることになります。 <左下> 白から打つ場合も、一方を強くすると、どちらかの石が取れます。 | |
上図は切り違えと言い 切り違い一方を伸びよの格言があります。
黒1、白8が一方をノビたところで、切り違いは接触戦の基本です。 <右上> 目外しの黒に対して、白1と三々に入った場合に、黒2、白3、黒4、白5が切り違えです。格言の「切り違い一方を伸びよ」の通り、一方の石を安全にすることが、多くの場合、相手の石を取って事態収拾を実現します。 シチョウが良い場合という前提で、応用された手を示します。 <右下> 黒6に対して、白7と補強した場合、黒8と1子が取れます。 <左下> 白がシチョウに取られない様にと白9とアテ、白11と押さえて来た場合、黒12に白13とノビると、黒14のキリから黒16と打って、黒J3と黒19を見合いにして、白石を取ります。 <左上> 今度は、白25と外側から押さえた場合、黒26のアテを利かし、黒32で2子取りと3子取りを見合いにして石を取ります。 |
石を取る為には、相手の連絡を絶つことが必要条件です。
石が離れている時でも、それは同じです。
<右辺> 白1は乱暴な手です。 これに対して、まず、白1を攻め、次に黒14と白2子を攻めると、うまく行きません。 <左辺> 白17に対しては、真ん中の石を強化し、黒20と黒F13を見合いにし、どちらかが打てるようにします。封鎖された石は生きがなかなか実現しません。 | |
<右辺> 白1に対して、黒2と受けると、白3と構え、白が楽です。 <左辺> 相手の石を取らないまでも、相手の連絡を断ち切っておくことが大切です。 白5に対しては、黒6と白のつながりを絶ち、黒8、10、12と強化し、左右の石を睨みます。 |