損コウたてるべからず

損コウとは、コウダテの時に損なコウダテを打つこと。
損なコウダテとは、コウダテと受ける手の交換がコウダテ側にマイナスとなる場合(例えば、打った石が持ち込みになって相手の地が増える)のコウダテをいう。
コウに勝っても、損コウで損をすると、コウに勝った意義が少なくなるので、コウダテには損コウは打たないということ。15目のコウに勝っても、5目の損コウを2回もやれば(手番はコウに負けた側なので)、コウに勝った価値は全くない。
例外的に、負けたら敗戦間違いないという大きなコウでは、損コウが有効の場合もある。

両コウ3年の患い

両コウとは、右上の様に同じ戦いでコウが2ケ所出来た場合のことを
いいます。
今、白がJ9に取ったところです。黒はJ7にツゲませんので、H9に打ちた
ければコウダテを打つ必要があります。黒1とコウダテを打ち白受けを 待って黒3とコウを取ります。白は白4と打ちます。以下白12まで変化しま
したが、ここで、白はコウダテを全然打ってません。
この様に両コウは一方がコウダテが必要ないので、そのコウの勝敗はす
でについています。下図のコウでは白が無条件に勝ちです。
但し、このコウとは別のコウが発生すると黒は右上で無限にコウダテが
あることになります。
「両コウ3年の患い」とは、黒側から見て、なかなかコウが解決しない
ことを言っているのだと思われますが、もう一つ、別のコウが出来ると
白側も長年の患いになることも指しているのでしょうか。

三手ヨセコウはコウにあらず

図は黒が3手右下の白のダメを3手(H4、J3、J1)つめてやっと本コウになります。これを3手ヨセコウといいます。

仮に、このヨセコウが19路で出来たとしても、黒が白のコウダテを3手も受けずにダメを詰め続ければ、コウダテ3手による利益の方が大きくて、全局的な勝利はおぼつかないだろうというところからの格言です。

まずコウダテを数えよ

コウを仕掛ける側の基本心得です。コウダテが相手より少ないと、コウを仕掛けても、かえって損になることもあります。 但し、コウダテを正確に数えるのは非常に難しいので、概算で良いのです。
また、コウダテが少ない場合に、コウダテを作ってから、コウを開始するという手段もあります。



コウダテは小さいものから使え

コウダテは使っていくと、段々少なくなってきます。コウを解消した時に残ったコウダテは大きいものが残っている方が望ましいし、相手にしてみれば、残っているコウダテが大きいものであれば脅威です。 しかし、小さいコウダテを使って、相手にコウを解消され、使わないままに、その碁に負けてしまったのではいけません。解消されても、その碁が優勢であるようにコウダテを選択しなければなりません。
なお、コウダテにはコウの大きさによって、ヨセを2ケ所打つということも考えられます。



トリ番に回れ

コウの形が出来る段階で、どちらが最初にコウダテをするか、つまり、どちらがコウの取り番になるかは、コウダテ1つ違います。このことが勝敗にかかわるケースもあり、コウの取り番になるように打つことが大切です。

右上は黒1で、以下黒5と、黒がコウの取り番になりました。
左下は黒7と余計なアテを打った為に白12と白の取り番になりました。
同趣旨の問題

右上は黒の取り番のコウ、左下は白の取り番のコウです。
同じく、右上は黒の取り番のコウ、左下は白の取り番のコウです。

共通する手筋としては、先に捨石をするという点があります。

利かしと悪手は紙一重

利かしとは、先手で、現在、或は将来の利を得る手段。しかし、一方から打てば、他方の利かしがなくなります。利かしが局面の状況によっては悪手になる恐れがあります。
同時に、先手で打てる手を今打ってしまうということは、将来のコウダテを失うことになります。利かしを理由もなしに、先手だからという理由で軽々しく打つのはよくありません。
特に、初中級者でアタリをどんどん打つのを見かけますが、それが重要な石であればあるほど、ツギが必然になります。アタリを回避するのは殆どの場合後手になりますので、その回避する手が早い時期に打たれることは少ないはずです。従って、アタリ、ツギ等の利かしの手は一番良い時期に打つのがベストです。
例外的にアタリに対するツギの手が空き三角のような悪形になる場合はアタリを打つのが良い場合が多いです。

二段コウ

黒先コウ(白の有利な二段コウ)の詰碁です。

黒1に対して、白2とへこんで、黒5でコウになります。白の取り番のコウですが、 黒がコウを解消する場合、この形から、黒J1にツグことが出来ずに、G2と取って、それから、解消する必要があります。コウを二段に取って解決する必要があることから二段コウと呼ばれます。こういう形は比較的頻繁に発生します。
尚、白は、J1に取った段階で、解消出来ます。このことが、「白の有利な」という意味です。

万年コウ

万年コウの基本的な形です。

黒が完全な生きにしようとすると、黒1、黒3(白のトリ番のコウになるのでなかなか打てないはず)、黒5と打つ必要がありますが、その間に白も3手(コウだてが入ると尚複雑になる)打てるので、黒はなかなか、そう打てません。
一方白はこの黒を取ろうとすると、白F7又はF8に打つ必要があります。しかしながら、その手自体自己をダメヅマリにするので、打ちにくい手です。 だから、お互いに手が出しにくいのです。万年経っても手が出しにくいという意味からのネーミングだと思われます。

尚、左下の様に白6と打てばセキになります。コウダテによりますが、このように白からセキにするケースが多いと思われます。