モデリングの悩み 基礎と実践の隔たり
「線」で囲われた所に「面」が出来て、「面」で囲われた所に「立体」が出来る。 これが三次元CADの基本なのだが、
後の過程で立体に要素を生成(通常はワン・コマンドで、内部的な処理として自動的に行われる)する際、「面」に
平面要素を生成し、その平面要素を「型紙」にして、立体要素を生成する。
つまり、物体形状の構築とは、これすなわち、すべての要素における配置を定義する「型紙」を作る事に他ならない。
例えるなら、四角い豆腐を持って来て、それを幾つかの塊に切り刻んで、各塊の境界に紙でも挿むような事を考える。
紙を挿むために包丁を入れる事を「パーティションの設定」と言うが、不完全なパーティションを設けても要素配列
(メッシュ・パターンと呼ぶ)はパーティション面に習わない。言ってみれば、沢庵を切った時に、ちゃんと切れてないと、
ドレミファソラシドに繋がった「連凧」になるようなものだ。 というか、実際の要素生成では不完全なパーティションは
無視されるので、要素配列に「包丁の跡」が入らない。そうなると「紙」が挿めなくなる。
下図に示すサイコロが 「風洞内における空気のモデル」 だとすると、赤面が 「風洞に据えられた物体」に相当する。
左下のサイコロに要素を生成する場合を考えると、サイコロを仕切る赤面に沿って要素を生成させるには、
立体を貫通させるか、もしくは閉空間で仕切る、完全なパーティションが必要になる。
しかし、どうだろう? F1の形状とは如何に複雑なことか。「ガラスのケースを豆腐と思って、F1形に切り刻め」と言われても
「F1の形状」とは下図のような物で、羽根、アームが悩みの種である。
突き詰めると下図のようになるが、突起の先端を、一体どのようにしたものか・・・う〜ん・・・。
対策は下図の如く、青面を便宜的に追加して、これを要素配置のガイドとする。そして赤面のみを実体として定義する。
これに習って、デフューザーやリア・タイヤは、下図のようにした。
いくらか簡略化するにせよ、ラジエーターのダクトなども作り込まないと、バージー・ボード近傍の気流が、
実際と異なる事が予想される。よって手は抜けないが、一方でカウルに囲まれたリア・サスペンションは、
「車体の外回りの気流には、さほど影響しない」と予想した上で、思い切って省略した。
(Fulcrum 著)