エルメート・パスコアルの世界 | リーダーアルバム 18作+1 |
Pascoal リーダーアルバム、グループ名義のアルバム |
ここではエルメート・パスコアル(パスコアール)のリーダーアルバム、グループ名義のアルバムを紹介しています。 残念ながら現在では廃盤になっていたり入手困難なものが多いですが、ここ数年の彼への注目の集まり方から考えて、再発される可能性は十分あると考えます。どんどん盛り上げていきましょう。 各アルバムについて簡単な所感を書き添えていますが、筆者のブラジル音楽やリズム、ポルトガル語等に関する知識が浅いために、理解が足りなかったり、勘違いしている部分があると思います。 明らかな誤謬があれば、ご指摘戴ければ幸いです。 原盤では、曲のタイトルがポルトガル語で表記されているので、右に英訳を載せました。 彼の音楽を理解する助けになれば幸いです。 尚、英訳にあたって AltaVista - World - Translate を利用させていただきました。 |
Musician: H.Pascoal Airto Moreira Ron Carter Strings |
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パスコアルのファーストアルバム。アイアート・モレイラとフローラ・プリムのプロデュースでアメリカで発表された。ホーンやストリングスの入った大編成のバンドによる演奏で、当時のビッグバンドジャズや映画音楽などを髣髴とさせるところもあるが、パスコアル特有の斬新なメロディーや和声はこの時代からすでに確立されており、非常に先鋭的かつ耽美的なサウンドになっているのには驚かされる。ちなみに発表された当時のアルバムタイトルは "Hermeto"。 CD化される際にボーナストラックとして Dom Salvador の演奏がカップリングされたようだ(こちらのバンドもなかなか良い)。 |
Musician: H.Pascoal, Mazinho,Boja, Hamleto,Alberto, Nene,Anunciacao, |
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パスコアルのブラジルデビュー作。良くぞ再発してくれましたというよりむしろ、どうして今まで再発しなかったんだバカヤロウ!と叫びたくなるような素晴らしい名盤だ。ホーンやストリングスを加えた豪華な編成で、録音や編集にも工夫が凝らされている。"Brazilian Adventure(Hermeto)" の時よりもブラジル色が濃くなり、現在に続くパスコアルサウンドはこの時点でほぼ完成されたようだ。大名曲"BEBÊ"は、数多のカバーヴァージョンを蹴散らすような、魔法がかかっているかのような素晴らしい演奏。これより1年前に発表されたデオダートのヴァージョン(これも素晴らしい演奏)と聞き比べると、テンション度の高い特異な音の積み方をする、パスコアルのオーケストレーションがよく分かって面白い。SEREIAREIでバンドがヒートアップするにつれフリーの世界に突入して行き、更に動物の鳴き声が入り乱れる阿鼻叫喚振りも凄まじい。更にこのアルバムで既にボトルを吹いて多重録音する曲が入っていたり(これがまた美しい)、実に盛りだくさん。パスコアルファンならずとも、一人でも多くの人に聴いてもらいたい名盤だ。あとこのアルバムでは名前を"Paschoal"と通常とは異なる綴り方をしているので、検索などする際は注意が必要。 |
Musician: H.Pascoal, F.Purim H.Fattoruso, R.De Souza D.Amaro, L.De Olivera A.Moreira, R.Carter A.Johnson, C.Thompson |
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ジャズ・フュージョン畑の豪華なミュージシャンが参加しているが、サウンドはあくまでもパスコアルならではのオリジナルな世界が展開されている。 豚を生け贄に捧げる宗教儀式に迷い込んでしまったような "Slaves Mass" や、フルートソロに邪悪な妖精が悪事を相談しているかのような声が被さり、更に不吉な心臓の音が纏わりつく "Cannon"(キャノンボール・アダレイに捧げられている) など、彼の悪魔的な部分が前面に出た曲が強く印象に残る・・・というか、ちょっと気味が悪かったりする(笑)。"Cannon" は、裏ジャケに渦巻状に記された譜面が載っており、ジャケットをクルクル回しながら譜面を追っていると目が回ってしまうというオマケ付きだ。 また、"Just Listen" での、奔放なピアノと叫び声とのユニゾンは、まさにパスコアルの真骨頂といったところ。 そういったキワモノ的な表現の中に、ゾクッとするような独特の美しさが潜んでいる所が素晴らしい。 |
Musician: H.Pascoal, F.Purim H.Fattoruso, R.De Souza D.Amaro, L.De Olivera A.Moreira, R.Carter A.Johnson, C.Thompson |
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おそらくこのサイトを見に来るような人なら、既に"Slaves Mass"は持っておられるだろうけど、ボーナストラックが3曲追加されたこのUK盤もお勧め。3曲とはいえ30分以上あるので、お得感もある。まず8曲目"Open Field (Campo Aberto)"は、素直なメロディーのハッピーな曲で、これが没なのはつくづく不思議だ。続く"Pica Pau"は、チェスター・トンプソンとアルフォンソ・ジョンソンのリズム隊が大暴れのアグレッシブな曲。14分を越える熱演。ウェザーリポートのライブみたいだ。パスコアルのオルガンも、専門のオルガン奏者とは全く違うユニークな演奏で面白い。ラストの"Star Trap"は、フリー寄りの演奏で、どこまで決め事があったのか判然としないが、万華鏡のようにくるくると音の景色が変わっていく様が圧巻。これまた15分を越える熱演だ。収録時間の都合でもれたんだろうが、こんな感じのお蔵入りになった音源って相当あるんじゃないだろうか、などと考え始めたら恐ろしくなってくる。 |
Musician: H.Pascoal, Nene Itibere, Zabele Cacau, Jovino Pernambuco |
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アルバム冒頭からいきなりプルルルル…とクチビルを震わせる音で思わず笑わされてしまうが、肝心のサウンドは、かなりクセがあるものの、極めて知的なつくりになっている。 まったくこの人は、どこまで天然で、どこまで計算しているのか良く分からないところがあるなぁ…。 "Slaves Mass" と比べると陽気で開放的。 パーカスが前面に出たオリジナルなサウンドは彼ならではだが、前作やフローラ・プリムのアルバムでフュージョン畑のミュージシャンとの共演が続いたせいか、70年代のフュージョン的な雰囲気も感じられる。 ちなみに M-1 の SÃO JORGE は、彼が父親に捧げた曲。M-5 の "SANTO ANTONIO" は母親に捧げられた曲で、彼の故郷で6月に行われる聖アントニオ祭の賑わいを音楽的に描写したものだそうだ。 |
Musician: Hermeto Pascoal, Itibere Luiz Zwarg Cacau Santos Neto Zabele Pernambuco Nivaldo Ornelas |
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へっ!? こんなスゴイ CD が出ちゃって良いの? という衝撃(笑撃?)のライブ盤だ。 1979年のモントルージャズフェスでの録音だが、こういう音源を大手レコード会社が再発してくれるとは全く有難い。 肝心の内容については、ライブだけあってパスコアルの奔放な演奏が炸裂しまくっていて実に素晴らしい。 スタジオアルバムで聴ける「あのサウンド」が、ライブでも見事に再現されている(しかもライブだけに、もっと躍動的!)のは驚くばかりだ。 パスコアルは様々な楽器を弾いていて、早口のボイスパフォーマンスや、クラビとスキャットのユニゾンなど聴きどころは満載。 個人的に興味深かったのはピアニカの演奏。 ぼくもライブでピアニカを使用することがあるが、こんな吹き方ぼくにはできん…(笑)。 ところで "MATURI" って「祭り」のことなんだろうか? |
Musician: H.Pascoal J.Santos I.Zwarg A.Gomes |
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パーカッションが前面に出た民族色の濃厚な曲が多く、アレンジ的にもかなりラフなアルバムだ。 陽気で愉快な感じに仕上がっているが、独自の世界観は相変わらず。 一見ラフな印象の曲でも、フルートやサックスを多重録音してハーモニーを作っているような曲では、膨大な手間と時間がかかっている筈で、この様な煩瑣な手法を使っても、しっかりと音楽に命が漲っているのはスゴイ。 それにしても彼は、手間を掛けてでも一人でオーケストラを作ってしまうようなやり方が気に入っているらしい。 殆どの楽器を自分で演奏しているので、バンド色は薄いが、それでもこれだけバラエティに富んでいるのは流石パスコアルだ。 あと、多重録音を駆使したり、電気ピアノやシンセサイザーを多用するなど、テクノロジーに対するアレルギーは全く無さそうなのに、シーケンサーの類を一切使っていないらしいのは、何かこだわりが有るのかな? シーケンサーどころかクリックも使っていないようだが(テンポが変わるので)、クリック無しで多重録音はシンドイだろうに、まったく呆れた人だ。 |
Musician: H.Pascoal H.Domonte C.Malta J.Santos I.Zwarg M.Bahia Pernambuco |
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アルバム冒頭のギターが美しく、瞬く間にパスコアルの音楽世界に連れ去られてしまう。 この曲もそうだけど、パスコアルの曲はどんなに洗練されたメロディーと和声を持つ曲でも、アカデミックになってしまわず、土の香りのようなものが失われていないところが素晴らしいと思う。 全体的にフュージョン的な要素が強く、聴きやすいアルバムだ(まあ、フュージョンにしては癖が強すぎるけど…)。 パスコアルのフルートソロとしては、クールに始まりだんだんヒートアップして行く DE BANDEJA E TUDO のソロは、もっとも素晴らしいもののひとつだろう。 他にもアイデアがいっぱい詰まった TACA など、聴き所の多い非常に密度が高いアルバムに仕上がっている。 しかし、パスコアルは自分もリード奏者の癖に、息継ぎをするところがないメロディーをたくさん書いているのは不思議だ。 |
Musician: H.Pascoal, C.Malta J.Santos, I.Zwarg M.Bahia, Pernambuco E.Costa, F.Pascoal M.Vinicius, M.Ozeas I.Pascoal, P.Floriano J.Calros Araujo, J.Ba |
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このアルバムで特徴的なのは、やはり例の喋り声をメロディー化してしまう荒業が聴けるところだろうか。 元々こういう手法を得意にしていたのか、それともこのアルバムが初出なのかは分からないが、アルバム「神々の祭り」のそれと聞き比べると、洗練の度合いはまだ低いようだ。 しかし、以前にも動物の鳴き声をSE的に使っているような曲はたくさんあったが、このアルバムではもっと踏み込んで鳥の鳴き声をメロディーやリズムの一部として扱っている曲が増えている。 テクノロジーの進化で、そういう音を素材としてコントロールしやすくなったからかな。 パスコアルはああいうスタイルなので、変人のように語られる部分も多いが、常に新しいものを取り入れようと物凄く考えているし、戦略的にやっている部分もかなりあると思う。 だから彼の音楽は刻々と進化していくし、ぼくらは目を離せないんだよな。 |
Musician: H.Pascoal, J.Santos, C.Malta, I.Zwarg, Pernambuco, M.Bahia, J.Duboc, M.Vinicius, Criancas |
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冒頭から美しいピアノから始まるが、左手のフレーズが一般的なピアニストとはだいぶ異なる音使いをしており、もうこれはパスコアル・スタイルとしか言いようがない。 いったいどのようにしてピアノを習得したんだろう? サウンドの傾向からすると、前2作の延長線上にあるが、印象的なのは、ボトルを吹いている CRIANÇAS (Children) だ。 音程によってパンの定位が決まっているので、おそらく水を入れて音階を作ったボトルを十数本用意して、ハンドベルのような要領で多重録音したのだろう。 奇抜な方法だが、決して奇を衒っただけのものではなく、哀愁漂う美しい曲になっているのが凄い。 JohndoesHP(閉鎖中)に依ると、子供たちの声は、幼稚園で「あなたのお名前なんてえの?」って聞いて回ったのを録音したらしい。 まるで「春の祭典」みたいな曲もあったりして(゛ARAPUÁ゛)、バラエティ溢れるアルバムだが、メロディーの明快な分かりやすい曲と、難解な曲がバランス良く配置されているので、全体としては聴きやすい。 |
Musician Hermeto Pascoal, Silvana Malta, Dominguihos, Rafael, Rabello, Aresmar Do Espirito Santo, Antonio Bruno Zwarg, Mauro Rodrigues, Teco Cardoso, Ana Maria Malta |
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フュージョン色の強いアルバムで、とても聴きやすく初心者にオススメ。 もちろん収録されている楽曲の質は高く、マニアにもオススメ(笑)。 Pascoal は、インスト主体のアルバムが多いが、ここではゲストのボーカル(スキャットが主体)が前面にフィーチュアされており、美しいコーラスワークなども聴くことが出来る。 これまでのアルバムに比べ、都会的で洗練されたサウンドに仕上がっているが、その分パスコアルらしい野生的で奔放な面は心持ち控えめになっているかもしれない。 実はこのアルバムはつい最近(2001年末)国内盤が発売された。 う〜ん、パスコアルの作品が、手に入れやすい国内盤としてリリースされるのは喜ばしいことだけど、ライナー読む為だけに国内盤を購入できるほど裕福じゃないし、困ったなぁ・・・。 |
Musician: H.Pascoal |
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ピアノソロアルバムである。予想と反してかなり真面目にピアノを弾いている上に、意外にも(失礼!)相当ピアノが上手いのに驚いた。 パスコアルのピアノ演奏と言うと、叫びながら鍵盤に覆いかぶさってドシャメシャに弾きたおすような激しい印象があって、このアルバムでも一部でプリペアドピアノみたいな変わったことをやっているものの、全体の印象としてはとてもリリカルで繊細に仕上がっている。収録されている曲もメロディーや響きの美しい曲が多く、卓越したピアノの技量だけでなく、彼の持つ美しく繊細な一面が鮮やかに浮かび上がって見える。もちろんパスコアルのこと、ソロピアノとはいえ、パーカッシブな曲や現代音楽のような曲まで実に幅が広く、とてもカラフルで聴き応えがある。 |
Musician: H.Pascoal J.Neto C.Malta L.Souza I.Zwarg M.Bahia F.Pascoal Pernambuco |
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ぼくが初めて手に入れたパスコアルのソロアルバムだ。 マイルスのアルバムで彼の存在を知って以来、長年彼のソロアルバムを捜し求めて、とうとうこれを発見した時は感激した。 CD屋からの帰り、早速CDウォークマンで聴きながら電車に乗ったが、例の喋り声を音楽化した曲が始まった時には、思わず満員電車の中で「おぉっ…!」と声をあげてしまった(笑)。 動物の鳴き声が様々な楽曲でふんだんに散りばめられているが、鳥の鳴き声をメロディー化した "QUANDO AS AVES SE ENCONTRAM, NASCE O SOM " は言うまでも無く、その他の曲でもちゃんと動物がメロディーを歌っているように聞こえるのが凄い。 前作で見られた抑制のきいたクールでタイトなフュージョンサウンドに、パスコアルの持ち味である野生味もブレンドされたような、賑やかで楽しいアルバムだ。 あと、パスコアルのアルバムは基本的に自作曲中心なのに、モンクの "Round Midnight" がカバーされているのが興味深い。 彼は他のアルバムでもマイルスやキャノンボール・アダレイに曲を捧げており、これらのジャズミュージシャンからの影響については研究の価値がありそうだ。 |
Musician: Hermeto Pascoal, Bruno Cardoso, Itiberre, Marcio Bahia Pernambuco, Vinicius Dorim Pau Brasil (Lelo Nazario, Jose Eduardo Nazario, Rodolfo Stroeter, Teco Cardoso, Marlui Miranda) |
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Pau Brasilという5人編成のバンド(?)と、パスコアル率いるレギュラーグループが共演したライブ盤。クレジットがないので、曲ごとに演じ分けているのか、色々混ざったりしてるのか、詳しくは分からないけれど、Pau Brasilのメンバーもツワモノ揃いで、聴き応えがある。たぶん1曲目(17分の大作)はPau Brazilのみによる演奏だと思うんだけど、女声スキャットとサックスとのユニゾンや、目まぐるしく変わってゆく変幻自在な構成など、パスコアルグループに近いところもあるものの、ノリや肌触りはかなり趣を異にする。2曲目は23分を越える大作で、途中でかなりフリーっぽくもなるのだが、この曲あたりから両バンドのメンバーが入り乱れる感じかなあ。そして最後はパスコアルのオリジナル "Rainha Da Pedra Azul" で締めくくられる。パスコアルさんは例のごとく畳みかけるようなエレピソロで大熱演してくれているし、良い感じに両グループのサウンドが融合できている。いつものパスコアルグループとはまた異なった感触が新鮮なアルバムだ。 |
Musician: H.Pascoal, etc. |
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ベスト盤。Slaves Mass (1978), zabumbê-bum-á (1979), montreux jazz festival (1979), cérebro magnético (1980) の4枚から採られている。 |
Musician Hermeto Pascoal |
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60種類以上の楽器(?)を1人で演奏した多重録音作品。 ジャケット写真に録音で使用したと思われる楽器がずらりとならんでいるが、アヒルのオモチャとかヤカンとかペットボトルとかミシンのようなものとか、不思議なものもたくさんあるなぁ…。 水をブクブクさせながら歌っている曲や、オモチャをピューピュー鳴らして遊んでいるような奇妙な曲もあり、今までに聞いたことが無いようなサウンドが満載だ。 「オモチャ箱をひっくり返したようなサウンド」って正にこのことだな。 実際、本人も適当に遊んでるだけだったりして(笑)。 いつも以上に、誰かに捧げられた曲や、人名のついた曲などが目立つが、アルバムタイトル "I and they" の "they" とは、彼に影響を与えた人(あるいは言葉や環境など、彼を取り巻くもの)を指し示しており、このアルバム自体が、それらに捧げられているものと考えられる。 そのような個人的なアルバムだから、ゲストを呼ばずに一人だけで作ったのだろうか。 |
Musician Hermeto Pascoal, Fabio Pascoal, Itibere Zwarg, Andre Marques, Vinicius Dorin, Marcio Bahia, Joana Queiroz, Beth Dau, etc. |
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本作で初めてパスコアルに触れる人は、まずCDのライナー1ページ目のパスコアルの御姿を見て腰を抜かすかも知れないが(笑)、音を聴けば古くからのファンもまた腰を抜かすに違いない。 2曲で生のストリングスセクションが入っているのだが、この大胆なアレンジ、ハーモニーの美しさはどうだ! 久しぶりに音楽を聴いて魂を揺さぶられるような感動を味わった。 その他の曲も恐ろしいまでの充実ぶりだ。 熱心なファンでなくともそれと分かるパスコアル節が炸裂しまくっているが、創造的で生命力に溢れる楽曲ばかりで、マンネリなどという言葉とはまるっきり無縁だ。 パスコアルも相変わらずユニークな演奏を聴かせてくれるが、本人が参加していない曲もいくつかあり、作編曲家としての面がこれまで以上に際立っているように感じる。 バンドに対する信頼が厚いからこそ、このようなことができるのだろう。 ちなみに本作のメンバーは、去年来日した時と同じ。 メチャ上手いよ。 あと曲のタイトルについて、Mさんから、パスコアルの13人の孫と、VICTOR ASSIS BRASILの名前を冠したらしいと教えていただきました。 |
Musician Hermeto Pascoal, Aline Morena |
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エルメートと彼の新妻アリーネ・モレーナの協同名義による2006年の作品。2004年の来日公演を見た人には、あの感動的なライブの延長線上にあるような音楽を聴くことが出来る。アリーネさんはまだ20代の美しい女性であるが、今年(2006年)で70歳となったエルメートさんと新婚だとは驚きの事実である。アリーネさんのご両親は驚いただろうなあ。本アルバムの第一印象は、意外なほどのアリーネさんの存在感が大きいことだ。彼女もマルチインストゥルメンタリストであり、音楽性も非常に豊かであるが、それをパスコアルが全力でバックアップしつつ、二人で幸せ且つオリジナルな音楽世界を表現している感じ。オーバーダブを駆使して、二人で多彩なオーケストラを作り出しているが、時間の短い小品が多く、モレーナさんの爽やかな歌声も手伝って、全体にとても軽やかで気持ちよい。懐かしい曲の再演もいくつか納められており、ファンとにとっては聴き逃すことの出来ない名演揃いの必聴盤だ。 |
Musician Hermeto Pascoal, Aline Morena |
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パスコアルのDVD作品だ。アルバム"Chimarrao com Rapadura"の映像版なのだが、とにかく素晴らしいの一言しかない。二人がそれぞれいろんな楽器を演奏してオーバーダブしているのを、映像的にうまいこと重ね合わせて見せているわけだが、つまりレコーディング中はずっとカメラが回ってたってことだよな。いやはや、すごい。先にCDを聴いていれば、あの音はこうやって出していたのか!という種明かし的な面白さもある。ファンでない人たちにも是非見て欲しい作品だ。絶対笑う。年齢差を感じさせない二人のアツアツぶりも微笑ましい。超オススメ。 |
Musician Hermeto Pascoal, Aline Morena |
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エルメートと妻アリーネ・モレーナの協同名義による2010年の作品。前作"Chimarrao com Rapadura"の延長線上にあるサウンドで、二人の多重録音により制作されている。個人的に大感激だったのは"Nem Um Talvez"のヴォーカル・ヴァージョンが収録されていること。ぼくがエルメートにのめり込むきっかけになった思い入れのある曲なので。他にもセルジオ・メンデスに書いた曲の再演や、ピアソラの曲などもあり、盛りだくさんな内容なうえ、CDエクストラ仕様でボーナストラックの2曲はパソコンで動画が見られるようになっている。動画の内容は、森や川の中で二人が演奏するというものだが、これがまた素晴らしくて自然と顔がほころんでしまう。ちなみにこのCDは外装もユニークで、丸い缶ケースに入っている。 |
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