Grasshoppers 私的名盤20選 Part 2
last update: Jan 13, 2003

う〜ん、たった20枚を紹介したごときでは全く物足りない…。 ということで Part.2 を作ってしまいました。 でも、これでもまだまだ物足りなかったりして。 どうしても少年期に出会った音楽が多くなってしまってますが、そもそも「私的名盤」というのはそういうものなのかなという気がします。



ymo SEALED / Y.M.O. (1983)

Musician:
細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏

というわけでYMOだ。 やっぱりこれは外せない。 YMOは、アルバム毎のコンセプトの違いが明確で面白いのだが、ぼくの場合は最初に買ったのがこのベストで、主要曲が網羅されているもんだからこればっかり聴いていた。 このベスト盤のユニークなのは、「細野」「高橋」「坂本」「合作」と、作曲者別に曲がまとめられていることだ。 発売された当時はLP4枚組で、ひとり1枚ずつという風になっていたらしい。 自ずとそれぞれの作曲者の個性が浮き彫りになるわけで、グループとしてよりも個人の音楽性を強く意識しながら聴いていたのだった。 子供の頃から、歌謡曲を聴く時でも、歌手よりも作曲編曲者を気にするような音楽の聴き方をしていたので、YMOでもたまたま初めて手に取ったのがこのベスト盤だったというのは、ぼくにはピッタリ合っていたな。


pogo Ravel:gaspale de nuit(夜のガスパール) / Ivo Pogorelich (1982)

Musician:
Ivo Pogorelich

ラヴェルは Part.1 で「ダフニスとクロエ」を挙げたが、普段はピアノ曲の方を良く聴く。数多いラヴェル弾きの中では、このポゴレリチの演奏を聴いた時のショックが一番大きかった。とにかく音色のコントロールが抜群で、奥行があり立体的な演奏になっている。起伏の激しいダイナミックな演奏でありながら、妙に冷めているような印象もあり、知性を感じさせられる。また、ぼくはラヴェルの曲に潜む狂気に惹かれるのだが、ポゴレリチはその狂気をも存分に引出していると思う。恣意的な演奏で、譜面の指示からはハミ出ているようだが、ここまで素晴らしければそれも良し。ところでこの CD にはプロコフィエフのソナタがカップリングされているのだが、こっちはあんまり好きな作曲家じゃないんだよな。スクリャービンとのカップリングだったなら、家宝になったかもしれないのだが。他のピアニストのラヴェルでは、若林顕という人の演奏がとても気に入っている。


18 musicians Music for 18 Musicians / Steve Reich (1976)
(18人の音楽家のための音楽/スティーブ・ライヒと音楽家たち)

Musician: Shem Guibbory, Ken Ishii, Elizabeth Arnold, Rebecca Armstrong, Nurit Tilles, Larry Karsh, Gary Schall, Bob Becker, Russ Hartenberger, James Preiss, Steve Chambers, Steve Reich, David Van Tieghem, Glen Velez, Vergil Blackwell, Rchard Cohen, Jay Clayton, Pamela Fraley

このヨロコビを何と表現すれば良いか。冒頭からひたすら気持ちの良いパルスが間断することなくつづき、心を奪われたまま最後まで連れて行かれてしまう。じっくり聴き込むと、様々なミュージシャンがこの曲からアイデアを拝借しているのが分かって面白い。ライヒには同じ手法で作られた曲がいくつかあって、その中では「大アンサンブルのための音楽」が最も洗練されているような気がするが、個人的に好きなのは「18人〜」かな。しつこいくらいのオスティナートが気に入っているのと、他の曲よりも人の声が効果的に使われていると思うから。でもこの録音、演奏者が最後の方で疲れてないかい?(笑) ライブで聴いてみたい曲の一つだ。


rite of spring Stravinsky:Le Sacre du Printemps/Petrushka(春の祭典)
/ Boulez, The Cleveland Orch. & New York Phil.

Musician:
Boulez(cond.), The Cleveland Orch. & New York Phil.

現代音楽の入門編として誰もが勧める定番ではあるけど、やっぱり良いものは良い。 集中して聴いていると、脳の様々な部位が活発に活動しているような奇妙な気分を味わえる。 原始的、土着的なリズム、などと評されることが多いが、やっぱりこの曲の良さはメカニカルなところでしょう。 もともとテクノなどを好んで聴いていたせいか、この様なメカニカルな音楽には非常に惹かれてしまう。 ラベルやライヒが好きなのも、そういうところがあるからだろうし。 「機械的な」という表現は、音楽の世界では悪口として使われることが多いわけだけど(「機械的な曲」「機械的な演奏」という言い方はネガティブに響く)、一方で音楽には「メカニカルな美しさ」というものもあって、機械的であるが故にその美しさが一層際立つ曲や、独特のエモーションを感じさせるような曲もある。 「春の祭典」はそのようなメカニカルな美しさを多分に持った曲だと思う。


takemitsu カトレーン・鳥は星型の庭に舞い下りる・スタンザ第一番 / 武満徹

Musician:
TASHI(Peter Serkin, Ida Kavafian, Fred Sherry Richard Stolzmann), 小沢征爾&ボストン交響楽団、高橋悠治、伊部晴美,安倍圭子,若杉弘(cond.), etc.

ぼくが現代音楽や日本の作曲家に興味を持ち始めた頃、武満徹という人が有名らしいということで、幻想的なタイトルに惹かれてこのCDを買ってみた。 わけが分からなくて後悔したが、すぐ売るのも勿体なく、そのまま棚に眠らせていた。 ところで、ぼくは勉強する時にBGMをかけると、音楽に意識が向いて効率が下がる。しかし徹夜で勉強していると、音が無いとどうも寂しい時がある。 そこでこのCDをかけてみると、これが頗るよろしい。 ということで高校大学と試験やレポート提出の度に武満を聴くこととなった。 「カトレーン」を聴いた回数はぼくが世界一だろう。 不思議なもので、繰り返し聴いていると、何となく馴染んでくるのね。 ふと気付くと武満のCDは20枚以上持ってるし、好きな作曲家になっちゃってる。 まあ入口が極めてネガティブな聴き方だったのは認めるけど、現代音楽を何の抵抗も無く聴けるようになったのは、この時の経験があるからだろうな。 他にもっと好きな曲もあるんだけど、一番思い出深いのはこのCDかなということで。


tchaikovsky チャイコフスキー交響曲5番 他 / Claudio Abbado(1994)

Musician:
Claudio Abbado(cond.), Berliner philharmoniker, Anatoly Kotcherga(bass)

クラシック好きの父親のお陰で、家にはクラシックのレコードやテープがいっぱいあった(殆どがモーツアルトとベートーベンだったのだが)。 子どもの頃、楽器などは習っていなかったものの、同じ曲でも指揮者や演奏家によって解釈が違うんだよ、などと言われて育ったのは、今の耳を培うのに十分役立ったと思う。 中学生の頃に特に好きだったのがシベリウスとチャイコフスキーだ。 シベリウスのヴァイオリン協奏曲や交響曲2番、チャイコフスキーの交響曲5番、6番なんか良く聴いたなあ。 今では近現代の曲ばかり聴いているけど、たまにこういうのを聴き返すと、とても盛り上がってしまうというか、やっぱり良い。 また中学校くらいの時に愛聴した曲って細部まで記憶してたりするんだよな。 当時聴いていたテープはマゼール指揮だったが、もうボロボロになって聴けないので、最近CDでアッバード&ベルリンフィルのものを買い直した。ムソルグスキーの「死の歌と踊り」とのカップリング。 端正でダイナミックな表現が爽快。 もっと名演もあるかもしれないけど気に入ってます。


Weather Report Heavy Wether / Wether Report (1977)

Musician:
Joe Zawinul, Wayne Shorter, Jaco Pastorius, Arejandro Neciosup Acuna, Badrena

ジャコのベースで話題になることが多いアルバムだが、ぼくとしてはザビヌルのシンセサイザーによるオーケストレーションに耳が奪われる。 相当不気味なことをやっているのに全体としては何故かポップに響いているところが凄い。 ウェザーはライブバンドだという人が多いし、もちろんそれにも賛成するのだけど、個人的にはライブアルバムよりも "Heavy Weather" や "Mr.Gone" のような、精緻なオーケストレーションが施された凝りまくったアルバムの方が好きだったりする。 初期のヴィトウスが暴れまくってるラフなアルバムも良く聴くけど。 ジャコのベースに関しては、楽曲のユニークさも手伝って "Teen Town" ばかりが注目されるが、寧ろ "Havona" の演奏の方が凄い。 ぼくもフレットレスベースプレイヤーなので、ジャコに付いて語りたいことは山ほどあるんだけど、それはいつか別の機会で。


VIDEO GAME THE BEST OF VIDEO GAME MUSIC / NAMCO (1986)

Musician:
NAMCO SOUND TEAM(慶野由利子、大野木宣幸、甲斐敏夫、小沢純子), 細野晴臣

楽器を始めてからゲームはしなくなってしまったけれど、小中学校の頃は、それはもう酷いゲーム狂でした。 スーパーマリオやらドラクエやらを小学生の時にリアルタイムで体験したファミコン世代なので、こういうピコピコ音を聴くと懐かしさと共に、ワクワク感が湧き起こる。 ゲームBGMのCDも良く聴いたなあ。 当時のゲーム音楽の代表として、これを挙げておくけど、他にもダライアス、アウトラン、スーパーハングオン、ロストワールド、沙羅曼蛇、バトランティス等々、色々気に入ってたBGMがあった。 テレビの CM なんかを見てると、最近のゲームは絵も音もリアルになって凄いなと思うんだけど、やっぱり昔のピコピコって時代の方が良かった。 今の子供からすれば、こういう意見はオッサンのノスタルジーに過ぎないんだろうけど。


KeyOfLife Key of Life / Stevie Wonder (1978)

Musician:
Stevie Wonder, Herbie Hancock, Nathan Watts, Mike Sembello, Raymond Pounds, Ben Bridges, Ronnie Foster, Gregory Phillinganes, etc.

ぼくは長年バンドをやっているわけだけど、バンドをやってる者なら誰でも絶賛するし、もちろん自分でも素晴らしいと思う名盤中の名盤というのがある。 ダニー・ハザウェイの "LIVE"、Steely Dan の "Aja" などなど。 こういう本物は、発表されてから何十年経っても古びるということがないんだよね。 そのような最強アルバムの中でも "Key of life" は格別の風格があると思う("inner visions" も捨て難いけど・・・)。 この時期のスティーヴィーは、特に作曲面で充実していて、ポップな曲調なのに、たまにあれっというような和声進行があって、それが素晴らしい。 彼はバークリー卒業後に著しく作曲のレベルが上がるのだけど("My Cherie Amour"のあたり)、そういうのを聴くと、単にセンス云々ということだけじゃなく、理論を勉強するのも大事だよなと思う。


NF Live at Nitting Factory vol.1 / Various (1990)

Musician:
Curlew(Pippin Barnett, George Cartwright, Tom Cora, Ann Rupel, Davey Williams), Bosho(Samm Bennett, David Fulton, Yuval Gabay, Kumiko Kimoto, Kyle Sims), Jazz Passengers(Curtis Fowlkes, Brad Jones, Roy Nathanson, Jim Nolet, Marc Ribot, E.J.Rodriguez, Bil Ware), Mark Dresser, Mark Feldman, Nels Cline, Scanners, Miracle Room, Hansundtom, Alva Rgers

初めてこのアルバムを聴いた時は「こんなユニークなミュージシャン達がいるのか!」とショックを受けた。 元々、前衛やら実験やらを前面に出しているようなミュージシャンは積極的に聴き漁っていたのだけど、インプロ(ジャズ)畑でもこういう人たちがいるんだと目を開かせてくれる切っ掛けになったアルバムだ。 このアルバムの中では特にJazz Passengersの演奏が気に入ってアルバムも何枚か買ったのだが、結局このコンピでの演奏がダントツに良いような気がする。 このシリーズはVol.4まであって、それぞれユニークなミュージシャン達が参加していてとても面白い(実はVol.4だけ持ってないのだが)。


hibari ジャズ&スタンダード / 美空ひばり

Musician:
美空ひばり、原信夫とシャープス・アンド・フラッツ、etc.

ぼくの母親がひばりファンで、ひばり関係のテレビ番組は全部見るんだけど、テレビで歌ってる時の方が、CDより数段上手いんだよね(まあそれが歌手本来の姿であるべきなんだけど)。 ライブアルバムみたいのがもっとあっても良いのに。 このアルバムでは、ひばりがジャズを歌ってくれているので、演歌的な楽曲が苦手な人にも、彼女の実力のほどが良く分かると思う。 「ジャズボーカル」と言われて思い浮かぶ歌唱法や発声法、歌いまわし、歴史の重みやメンタリティ等々があるが、部外者であるひばりがこれほどまでに素晴らしいジャズを聴かせてくれると、真面目にジャズを勉強してる人はガックリ来るんじゃないだろうか。 エラ、サラ、カーメンなどのジャズ界の大御所と比べても、全く引けを取っていない…というより、ジャンル云々などという馬鹿らしいものは突き抜けてしまっている。 日本を代表する、などという小さな話ではなく、人類の宝ですね。


litenour Captain Fingers. / Lee Litenour (1977)

Musician:
Lee Litenour, Dave Grusin, Jay Graydon, Anthony Jackson, Alphonso Johonson, Havey Mason, Jeff Porcaro, Steve Forman, Ernie Watts, Bill Champlin, etc.

フュージョン好きなんだよね。 そもそもフュージョン好きになったのは、「アウトラン」というゲームのBGMと、高校に入学する時買ったCASIOのキーボードのデモにシャカタクの「ナイトバーズ」が入ってたのがきっかけで、それ以後、カシオペアやらリトナーやら随分聴き漁ったもんだ。 大学時代はバンドでフォープレイやカールトンや浪速エキスプレスなど色々やったし。 今でもこの手の音楽を聴くと、実に心が和む。 フュージョン全盛期70年代後半の絢爛たるアルバム群の中では、このアルバムはややマイナーだし、タイトルチューンはジェントルソウツのヴァージョンが良いし、全体にB級ムードが漂っているんだけど、このチープさが好きだったりする。 4曲目"Margarita"が特にお気に入り(これまたマイナーな曲だが)。 アナログシンセがアルペジオを奏する上で、ギターのペンタトニックが重なる時の切ない感じが好き。


yamatake 山下毅雄を斬る / 大友良英 (1999)

Musician:
大友良英、伊集加代子、和田夏代子、菊池成孔、津上研太、南博、高良久美子、水谷浩章、芳垣安洋、松原幸子、チャーリー・コーセイ、山下透、山下泉、今堀恒夫、ナスノミツル、益子樹、遠藤賢司、鬼怒無月、えとうなおこ、西村雄介、植村昌弘、HACO、八木美知依、メグゥ、天鼓、坂本弘道、山本精一、ユタカワサキ、永田一直、吉田アミ、田中悠美子、石川高、菊池雅晃、千野秀一

あの大友良英が、あの山下毅雄をカバーするんだから、ただ事で済むはずがないのだ。 個性的なミュージシャンが集まっているが、特に「プレイガール」「アフロルパン68」のカバーのカッコイイこと! こういう荒っぽいジャズは好きなんだよなぁ。 伊集加代子とチャーリー・コーセイが素晴らし過ぎて、思わず笑ってしまう。 芳垣安洋の爆裂ドラムも最高。 この2曲の為だけにこのCDを買っても絶対に損はない。 最近、山下毅雄が再評価されてきていて、こういう動きは本当に喜ばしいことなんだけど、懐が寂しくなってしまう。 「ルパン3世 ME Tracks」とか「ヤマタケマニア テレビ主題歌集」(クイズ・タイムショックのテーマが凄い!)とか色々買わされてしまった。 マニアはつらい。


infinitelove infinite love / Romero Lubambo & Gil Goldstein(1994)


Musician:
Romeo Lubambo, Gil Goldstein, Armando Marcal, Maucha Adnet, Toninho Horta

このアルバムは本当に良く聴く。 これからも愛聴しつづけるだろう。 ギル・ゴールドスタインはとても好きなミュージシャンの一人なんだけど、名脇役タイプというか、人のバックでは実に良い仕事をしているのに、肝心のリーダーアルバムがもう一つ弱い印象がある。 しかしこの双頭リーダー作では、サポート振りが秀逸なのはいつものことだが、彼自身のプレイも存分にフィーチュアされているので、ファンとしては大満足。 ルバンボのギターも、パーカス隊も、肩に力の入らない気持ちの良い演奏を聴かせてくれる。 サウンド的に矢野顕子の「S席コンサート」と良く似ている(メンバーも被ってる)のだけど、こっちの方が先なのかな? 良い曲が揃っているが、特にトニーニョ・オルタ作曲の表題曲が素晴らしい。 トニーニョ・オルタはギターのバッキングとスキャットのみの参加だが、抜群の存在感。 彼のリーダー作も名盤揃いなんだよなぁ。


ndegeocello peace beyond passion / Me'Shell Ndegeocello (1996)

Musician:
Me'Shell Ndegeocello

大学時代の通学BGM。 一時期は毎日のように聴いていた。 聴き過ぎてちょっと飽きてしまったので、暫らく放置していたのだけど、先日久しぶりに聴き返してみたら、やっぱり抜群にカッコイイ。 ドスの利いたボーカルは迫力があるし、ベースもシンプルながらツボをおさえた演奏で、センスが良いっていうのはこういう演奏のことを言うんだろうなあと思う。 全体に漂うダークな雰囲気も実に渋い。 じっくり聴くと半端じゃない作り込み方に驚かされる。 以前、少しだけシーケンサーでコピーたことがあるのだけど、Aメロ、Bメロで微妙にテンポが変えてあったりと、ムチャクチャ丁寧に作り込まれていることに気付いて、ここまでやるんだなと感心したことがある。 それくらいこだわるのがホントなんだろうけど。


homogenic homogenick / bjork (1993)

Musician:
bjork,

これを初めて聴いた時、「しまった! 先を越された!」と思った。 それじゃ当時のぼくがこのサウンドを作れたのかと言われると、そういうことじゃなくて、例えば映画の「トゥルーマン・ショー」とか「マトリックス」を観た時に、「ああっ、これは俺のアイデアだったのに!」 みたいに思ってしまったことってあるでしょう? しかし、暴力的なテクノビート、生のストリングス、エモーショナルな女声ボーカルなどを組み合わせた音楽は、実際自分でも昔からやってみたかったし、とにかく好きなサウンドだ。 さらにサウンドエフェクトの素晴らしいこと。 初めて聴いた時は随分驚かされた。 テクノロジーの発達が音楽の発展に資するということがあるけど(ピアノ等の楽器の発明、マルチレコーディングの導入、シーケンサー、サンプリングなど)、このアルバムでのエフェクトは、そういうものの最近の好例だと思う。


silje Tell Me Where You're Going / Silje (1990)
(邦題:やさしい光につつまれて/セリア)


Musician:
Silje Nergaard, Nils. E. Vinjor, Reidar Skar, Neal Wilkinson, Knut Reiersrud, Pat Metheny, Armand Marcal, Richard Niles, etc.

高校の時レンタルで借りて以来、今までずっと愛聴してきたのだが、そもそも何故このCDを借りる気になったのか思い出せない。 決して有名なミュージシャンではないし、一応パット・メセニーが参加しているのだけど、当時はメセニーって言われても良く知らなかったし、肝心のギターソロもその時はそんなに良いとは思わなかった。 まあ言ってしまえば地味なアルバムなわけだ。 それが後にちゃんとCDを買い直したりして、生涯の愛聴盤になってしまったのだから不思議な縁だ。 今改めてじっくり聴くと、歌声も曲も素朴で実に気持ちが良いし、ピアノやフレットレスベースなど好きなタイプのプレイヤーが参加している。 ラストの "Waltz" という曲が好きなのだが、生ストリングスとシンセが絡むアレンジが非常に美しい。 やっぱり愛聴盤になるだけの理由はあると思う。


GaryBurton Like Minds / Gary Burton (1997)

Musician:
Gary Burton, Chick Corea, Pat Metheny, Dave Holland, Roy Haynes

普段ジャズばっかり聴いてる割には、ぼくの「私的名盤」は全体にジャズ度が低いような気がしたので、これを挙げとく。 まさにオールスターバンドといえるような素晴らしいミュージシャンが集まっており、内容も見事の一言。 個人的には、同時期に発売された、やはり豪華な顔触れの「ニュー・スタンダード/ハービー・ハンコック」よりも、こっちの方が良いと思う。 ぼくが元々チック贔屓だということもあるけれど、やっぱりチックの演奏が素晴らしくて、M-4のソロの出だしなどはワクワクするし、バッキングでもソリストの音を聴きながら反応してるのが良く分かる。もちろん共演者は全員素晴らしくて、歴戦の達人が集い演奏を楽しんでいるという感じで、聴いていてひたすら気持ちが良い。


hancock Empyrean Isles / Herbie Hancock(1964)

Musician:
Herbie Hancock, Freddie Hubbard, Ron Carter, Tony Williams

ということでハンコック! ハンコックから1枚ということであれば、ぼく的には "Mr.Hands" を推そうと思ったら、日本盤のライナーに「マニアはこのアルバムを選ぶ」みたいな、いやらしいことが書いてあったので、反発してこのアルバムを挙げてみた。 まあいずれにせよハンコックさんのアルバムは名盤揃いなので、彼のリーダー作ならどれでも良いくらいだけど、特にこの時代の録音は、アツイ演奏なのに妙にクールな空気が漂っててカッコイイ。 個人的にサックスよりトランペットの方が好きなので、ペット+ピアノトリオという編成もポイントが高かったりする。


tomita isao 展覧会の絵 / 冨田勲 (1973)

Musician:
冨田勲

クラシックではドビュッシーからストラビンスキーあたりの作曲家が好きで、更にシンセサイザーも大好きなので、冨田がクラシックをムーグでアレンジした諸作品は、自ずとほとんど全てが好きだということになってしまう。 「展覧会の絵」のオーケストラ版は、中学生の頃の愛聴曲で、思い入れは強いのだが、この冨田版はラヴェル編曲のものと比べても遜色ない出来だと思う(ホントは冨田の作品では「ダフニスとクロエ」や「火の鳥」を良く聴くのだけど、ラヴェルとストラヴィンスキーは上で取り上げてるんでね)。 それにしても、これらの作品を制作する時の労力を思うと気が遠くなりそうだ。 サウンド的に少々古臭くなってしまっている部分は否めないが、冨田の諸作品が現在でも色褪せず素晴らしさを保ち続けているのは、彼の並々ならないアレンジ能力に加え、録音に費やした莫大な労力が、怨念となってこのアルバムに宿っているからじゃないかと思ってる。 まあ単なる精神論かもしれないけど。




う〜ん、バルトークもスクリャービンもメシアンも三善晃もTOPもEW&FもTOTOもザッパもジェフ・ベックもスティーリー・ダンもUKもアラン・ホールズワースもヴァンゲリスもティポグラフィカもジョビンもイヴァン・リンスもジョンスコもモンクもポール・ブレイもカーラ・ブレイもマーク・ジョンソンもフランシス・レイもバーナード・ハーマンも鈴木さえこも原田節も懐かしアニメ主題歌も昭和歌謡曲も、み〜んな漏れてしまった…。 ということで、また暇な時にPart.3を作るかもしれない。(2003年1月13日)








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by ようすけ