音楽CDの品質と音質/ UHQCD
UHQCDはHQCDの改良品として2016年12月頃発売されたらしい。
これまでのポリカーボネート樹脂の射出成形とは異なり紫外線硬化樹脂による露光成形法によりスタンパーのピットを高精度に転写可能なこと等が説明されている。
ピットの高精度な転写が出来るのなら、CDの音質劣化原因であるデータエラーの低減にも効果が有る筈なので遅ればせながらフォトポリマーによる成形でどの程度音質が向上したのか確認してみた。
UHQCDに添付の説明書には音に関して良い事ばかり書いてあるが、実際に聴いてみると何故か音が少しぼやけている。
どのUHQCDも同じため音質は従来CDの方が良いと判断される。
音のぼやけはエラーレートが高いと出やすいのでその原因を探る事にした。
(2018年2月 NO.88掲載)
(注意点)
CR-N765は音の安定化のためUSB端子のシールドにアース線を接続。
ONKYO CR-N765とYAMAHAのモニターヘッドホンを使い、サンプルとして購入した物を聴いた所、期待に反してどのUHQCDも音が少しぼやけていて音像の明瞭さに欠けていた。
物によっては音の不安定さを感じることもあり、UHQCDの”音のぼやけ”の原因を特定するためにエラーレートを測定した。
1)「DENON Classics BEST SAMPLER」
(COCQ-85308~9)
「UHQCD」と「従来CD」の二枚組。
20曲収録されているが、一部を除き曲の途中でフェードアウト処理になっている。
「UHQCDのC1/C2測定データ」
本当にUHQCDかと疑いたくなるほどエラーが多く、音がぼやけて当然な代物でゴミ同然。
従来CDより悪いのには呆れる他ない。
生産工場の質の悪さがデータで分かる。
聴き比べ用サンプラーがこれでは役に立たず無責任にもほどがある
音は低音が浮いている感じで弱く不自然さがある。
「従来CDのC1/C2測定データ」
エラーの低い部分でCDとしての音の確認が何とかできる。
下の8)と9)との聴き比べに使用。
2)「PREMIUM CLASSICS Series
Highlights」 (WPCS-13663/4)
「UHQCD」と「従来CD」の二枚組。
10曲収録で各曲共に一楽章分が収められている。
「UHQCDのC1/C2測定データ」
UHQCDのエラーレートはそこそこ低いが、この程度ではSHMやBlu-Spec CD2並みで製造方法の違いは見いだせない。
エラーレートの低い部分でも音が少しぼやけるのは腑に落ちない。
「従来CDのC1/C2測定データ」
従来CDは高いエラーレートが連続しているため音が悪くて当たり前な代物でゴミ同然の恥さらし品。
この製造品質の悪さでは聴き比べには使えない。
3)「BEETHOVEN STRING QUARTETS
No.9/No.10」 (COCQ-85327)
音楽CDとしてはエラーが非常に少なく赤矢印で示した”0.2”の値はこれまでで一番小さい。
従来CDとBlu-Specでの最小が0.3止まりのためこれらを超えている。
データにエラーの無い部分が有るのも良い。 ただ、エラーが連続する部分が多いため音楽CDに要求される品質にはまだ足りない。
エラーレートの低さからすれば音は明瞭な筈だが実際の音はぼやけがありデータと矛盾する。
UHQCDのフォトポリマーによる露光成形法の効果が確認できると共に、スタンパーによる製造方法の限界を示している。
UHQCDはスタンパーによる製造方法の限界を示した点では意義が有ると云える。
エラーをゼロにするためにはスタンパーを使わない製造方法が必要な事は明らか。
4)「Dvorak SYMPHONY No.9
FROM THE NEW WORD」 (COCQ-85321)
エラーレートが高く従来CDとさして変わらない。
スタンパーを使う製造方法は品質のバラツキが大きいという証のような物。
フォトポリマーに変えても品質が安定しない事を示している。
この様に製造バラツキが大きい事もCDを気軽に買えない要因の一つ。
音はデータが示す通り従来CD並みにぼやけていて聴く気にならない代物でゴミ同然。
5)「うしろゆびさされ組」(PCCS-50005)
収録曲は一部を除き、昔の「ハイスクール!奇面組 オリジナル・テーマソング組」に収録されていた。
エラーレートは上の 3)と同じで低いもののエラーが連続しているため 3)より製造品質は落ちる。
発売レコード会社は違うがこれも音が少しぼやけている。
6)「Vivaldi・Le Quattro Stagioni」 (UCCG-90698)
エラーレートは上の 2)と同じで音はぼやけている。
従来CDではエラー値”1”の部分は音像が比較的明瞭になるがUHQCDはそれが余り無い。
この点はSHMやBlu-Spec2と同じ。
7)「Mussorgsky・Pictures at
an Exhibition/Ravel・BOLERO」 (UCCG-90683)
エラーレートは低いが音は少しぼやけがある。
従来CDではこのエラーレートで音がぼやけることはあり得ないが、これで音がぼやけるところは高音質を謳う偽CDに共通する特徴。
8)「Debussy Preludes
premier livre.」 (COCQ-85319)
エラーレートは低いがエラーが連続している所が問題。
上の 1)の従来CDにある同じ曲と比べて音の広がり方が少し変な感じがする。
エラーレートを抑えて従来CDの音質を正当に向上させた物とは言い難い。
9)「鮫島有美子/日本のうたベスト」 (COCQ-85320)
ソプラノ独唱で音のぼやけ具合が分かりやすい。
エラーレートが低いにも係わらず音のぼやけが出てデータとの相関が低い。
上の 1)の従来CDにある同じ曲と比べると従来CDの方が音は納得できる。
■2-2 音質
「UHQCD 対 従来CD の音質比較」
結果は、”従来CDの方が音が良い。”
これは、UHQCDがエラーレートに関係無く音が少しぼやけているためで、音がぼやけた物はそもそも高音質では無い。
エラーレートが低くなるに従い音が明瞭になる従来CDとの大きな違い。
UHQCDは音楽CDの範疇から外れている可能性が大きい。
ぼやけは具合は少しでもこの程度の物で”究極の高音質CD”を謳うのは身の程知らずと云われて仕方が無い。
「全てのCDプレーヤーで再生できます。」と書いてあるが再生は出来てもその音質までは保証しない所にレコード会社の狡さとせこさが覗える。
また一つ高音質CDを謳うまがい物が増えた感じでレコード会社への不信感は増大。
音のぼやけはエラーレートとは無関係な事が分かったので、ポータブルCDプレーヤーを使ってその原因を確認することにした。
Blu-Spec CD2の一件があるので大体の目星は付いています。
”UHQCD”を出したレコード会社が ”究極の高音質CD”と宣伝しながらその裏で何をしたかは、ポータブルCDプレーヤーを使うとある程度は分かる。
SHMやBlu-Spec2とは違い、UHQCDの音は割りとまともで大きな違和感は感じられないが、どれも少しぼやけた音になるのがUHQCDの特徴。
SONY D-E01にシリーズレギュレーター方式直流安定化電源 PAR20-4Hを接続してCDの再生音がぼやけない動作電圧を1mV単位で調べる。
ヘッドホンは音の違いが分かりやすいモニタータイプを使用。
従来CDとUHQCDの製造用マスターに変わりが無ければ両方の動作電圧は一致するが異なる場合は動作電圧の違いとなって現れる。
従来CDはUHQCDに匹敵する低エラーレート領域があるクラシックCDを使用。
[結果]
ポータブルCDプレーヤー(型式) | 検証ディスク | 音の良い電圧範囲(V) |
D-E01 | 従来CD | 4.501~4.502 |
UHQCD | 4.502~4.503 |
※電圧値はテスターで測定した物で目安です。
※音の良い電圧範囲はサンプルのCDで音が最も良いと判断した値です。
※この検証での判断基準は、”音がぼやけない”点を第一としている。
「考察」
1)「UHQCDは従来CDに比べ音の良い電圧が1mV(0.001V)高い」
従来CDを基準にして電圧が1mVほど高い方にずれており、この影響で音質が悪化して再生音がぼやけるようになる。
これでUHQCDの音のぼやけは動作基準電圧の僅かな違いが原因と判明した。
これはエラーレートとは無関係なため低いエラーレートでも音がぼやけて聞こえる。
たとえ1mVの違いであってもこの事実はUHQCDが音楽CDの範疇から逸脱している事を示している。
2)「音の良い電圧が高い方に1mVずれている意味」
これはUHQCDの製造用マスターは、”音程がすこし高めに狂っている”ことを示唆している。
電圧のずれ幅は1mVと小さいためSHMやBlu-Spec2に比べれば音程の狂いは小さいと思われる。
このため、UHQCDは割りとまともな音の様にも聞こえるが音程が狂っている事に変わりなく、その影響で出てくる音が劣化する。
音程が高い方に狂うと低音の出方が弱くなりローエンドの伸びがなくなる。
CD製造用マスターの元であるマスター音源の音とは違う事になるが、レコード会社がそのように作った物のため元の音には戻せない。
CD製造用マスターの音程が自然に狂うことは無いので高音質を演出するためにレコード会社が禁じ手の小細工をしている。
1)「UHQCDの音に違和感を感じる原因」
”音のぼやけ”と”音程の狂い”の二つの理由で音が劣化しているため。
音程が狂っている所為で音のぼやけが常時発生している。
2)「製造品質の悪さはスタンパーが原因」
フォトポリマーを用いた露光成形法でもスタンパーが原因で音楽CDに求められる製造品質レベルを満たしておらずデータエラーの発生が多い。
UHQCDは従来CDに比べればエラーレートが低いものの未だ不十分な代物。
製造バラツキが大きく品質が安定しないこともスタンパーに原因がある。
このためバラツキの大きさは工業製品として相変わらず異常に高いレベルにある。
UHQCDによって、スタンパーを使う製造方法では音楽CDに要求される高い品質の物を作れない事がレコード会社自身によって証明された。
3)「UHQCDは屑CDの類」
UHQCDは音程が狂っているため最初から音が劣化している。
本来の音とは異なるためどの様に作ろうがただの屑CDで音楽CDでは無い。
音程の狂いがなければ屑と化すことは無かったが屑にしたのは当のレコード会社であり、せっかくの製造技術も台無し。
製造品質の指標となるエラーレートはSHMやBlu-Spec2より低く、技術的優位性を測定データから認められるが、音程を狂わす小細工によりSHMやBlu-Spec2の同類品に成り下がった。
どのレコード会社も製造品質の悪さを禁じ手の小細工で誤魔化す事しか頭に無いらしく、企業倫理に欠けている。
パッケージには究極の高音質CDとの文字が躍っているが現実にはそのような物は無い。
そもそも、今のCDは音楽CDとして要求される高い品質を満たしていないために音が悪く、品質を満たす物を作れば自ずと本来の音の良さを発揮する。
まともなCDを未だに作れないレコード会社が屑なだけで従来CDが悪い訳では無い。
”高音質CD”は、レコード会社が粗製濫造で製造品質が地に落ちたCDを基準にして付けた身勝手な名称で音楽CDとしての製造品質を満たした物では無い。
余談ながらアナログのLPレコードにすれば全て解決とはならないので注意。
レコードは再生時の欠点を抱えたまま技術的進歩が止まっておりCDとは別の問題が出る。
以下は、直流安定化電源使用の注意書きです。
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