さて、イタリアの旅も2日目には入り、
首都ローマの探索である。
# といってもツアーだから、たいしたことはできんが。このローマは、なんと観光バスで突入することはできない。
「このあいだ行ったときは、そんなことなかったぜ?」
と言う人もあるだろうが、
これは、今年2000年からのことらしいのだ。添乗員いわく、このことはローマの市長の意向が
かなり深く関わっているらしい。
というのは、ローマの街の観光バスが、
うじゃうじゃ走っているのが、
どうもこの市長にとっては気に食わないらしい。
# 「はぁ?」という感じがするのはごもっとも。
# 観光客がゼロになったら、イタリア経済ボロボロのくせに!
# と、悪口のひとつも吐きたくなるというものだ。んで、さすがにこれを表向きの理由にするのは、
無理があるので、こんな表向きの理由を持ち出してきた。ローマは、カトリックの中心地。
キリスト生誕2000年というキリスト教徒にとっては、
非常に意義深い年なので、各地から巡礼者がたくさんローマに来る。
そこに観光バスが加わると、ローマは混雑してたまらないから、
観光バスを規制する、という理由だ。しかし、どんな理由をつけたとしても、
地元の観光業関係筋からは、激しく非難されて、
今年いっぱいは続けるものの、
来年は見直しをするかもしれないとのこと。まぁ、何にせよ、今は観光バスが入れないのは確かだ。
その分、移動に時間をとられ、
ヴァチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂はカットとなる。
# あのローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がいるところね。そんなわけで、ローマを回るための交通手段は、
徒歩と市バスという面倒なものになる。
イタリアの市バスは、最終目的地は表示されているものの、
どういうルートで進むのかは、バスの見ても全然分からなくて、
しかも、車内アナウンスなんて「高級」なものは、一切ない。
つまり、ツアー旅行者にとっては、
ガイドさんがいないと、周囲の地理に疎い者は使えないわけだ。とはいえ、そんな普通なら乗れない市バスに乗れるんだから、
貴重な体験ができて、いいじゃない…
とでも思わないと、到底やってられない。で、その問題の市バスだが、
車内に広告がない。
というか、文字がない。
車内は、非常に味気ないつくりになっている。広告に関していえば、やはり景観を気にするのか、
嫌でも目に入ってしまうような色遣いの広告は
今回訪れたイタリアの都市では、どことも少ないように思う。
添乗員の話では、ヨーロッパ人にとって、
アジアの(ひょっとするとアメリカも)強烈な広告攻撃の嵐は、
「アンビリーバボー!」
らしい。
# 最後に行ったミラノはファッションとビジネスの街らしく、
# 若干広告が多いかな、という気はしたが。さてさて、最初のローマの観光ポイント、
トレビの泉に到着。
コインを右手で左の肩ごしに一枚投げると、
またここに来ることができる、なんて伝説があるらしいが、
もう一度ローマに来ることがあっても、
もうここには来なくていいや、って感じだ。個人的な希望言わせてもらえれば、
ここを削って、サン・ピエトロ大聖堂に
行きたかったんっすけど。さっさと次へ行こう、次へってな訳で、
コロッセウムへ。
イタリア語ではこれを「コロッセオ」というが、
おそらく英語のコロシアムの語源になっているのだろう。しかしまず、近くにあるローマ帝国時代の遺跡、
フォロ・ロマーノから見て行くそうだ。
「フォロ」は、英語のフォーラムの語源になっていて、
つまり、「フォロ・ロマーノ」とは、
ローマの広場というそのまんまの意味である。ここは、ローマ共和国、帝国通じて
元老院などの政治上の中央機関が存在した場所である。
が、今はなにやらポンペイの廃墟のようで、
「兵どもが夢の後」
という感じがする、ちょっと哀愁漂う広場だ。なーんて考えているのに、
遠足か何かできている地元の中学生らしき集団が、
とてつもなく高いテンションで、はしゃぎまくっている。
# どうして、こんな何もないところで、騒げるのか?
# やっぱイタリア人は、果てしなく陽気なのか?ま、とにかく、次はメインのコロッセウムだ。
結構有名なので、知っている方もいるかもしれないが、
今は、完全な壁が残る内周と
半周ほどがなくなっている外周が残っているが、
建設された当時は、四重構造にもなっていたという。自分もそうだが、これは自然と崩れてこうなった、
と思っていたのだが、実はそうではない。
実は、フォロ・ロマーノとコロッセウムは、
意図的に破壊されたらしいのだ。というのも、395年ローマ帝国が東西に分裂し、
476年早々に西ローマ帝国がつぶれてしまったあとは、
イタリアには、国らしい国は姿を消してしまう。
代わって、キリスト教の普及を背景に、
どんどんと教会が建てられていったそうだ。んで、その教会を建てるための材料を調達するために、
フォロ・ロマーノやコロッセウムをぶっ壊した、というわけだ。
さらに、コロッセウムにはところどころ穴が開いているが、
これは、第二次大戦中、イタリアを支配した
ムッソリーニが鉄を調達するために、
鉄の芯を抜いた跡だという。しかし、もし壊さなければ、コロッセウムは、
ほぼ当時の原形をとどめていたと推測されている。
# これは、すごいなぁ。
# 帰って、コロッセウムの建築年代を調べると、
# 紀元80年とある。ポンペイ滅亡の翌年だ。ちなみに、近くにローマ帝国末期の皇帝、
コンスタンティヌスの凱旋門がある。
# 凱旋門というのは、フランス・パリにある
# ナポレオンのやつが有名だが、ローマの方が本家本元。コンスタンティヌスは、キリスト教徒にとって、
おそらくとても重要なローマ皇帝で、
ローマがそれまで、キリスト教徒をさんざんいじめてきたのに、
コンスタンティヌスは、ミラノ勅令というお触れを出して、
キリスト教を公に認めてくれた皇帝なんだな。
たぶん、そんな関係もあって、教会を作るときに、
この凱旋門は壊さなかったのだろうか、という気がする。ま、とにかく、イタリアへ出発する前に、
高校時代の世界史のノートを復習しておいてよかった。
せっかく、高校時代に世界史を選択したんだから、
やはり受験以外にも役立つと、なんだかうれしい。なんと、これで、ローマ観光は終わり。
次は、お姉さま、おばさまお待ちかねのショッピング・タイム!
イタリアへ行きたい、という女性の多くが、
おそらくこれを目的にしているんだろう。
でも、自分はリクエストされていた財布を買っておしまい。で、その後、昼食をとって、もうローマを後にするのだった。
# そういえば、ピッツァなどに出たトマトが美味かったな。さて、次に向かったのは、アッシジという小さな町。
サン・フランチェスコ教会だ。
一応世界史をやっていても、出てくる地名ではあるが、
かなりマイナーな方だろう。バスを降り、坂を登って教会へ。
教会といっても、イタリアに来るまでは、
日本にあるような小さな教会しか知らなかったわけだが、
大きな教会というのは、やはり言葉にできない荘厳さがある。
なんと言うのか、別にキリスト教に限ったものではなく、
宗教的な建物が持つ、独特の雰囲気といえばよいだろうか。中へ入ると予想通り壁画がたくさん。
絵が好きな、Kは、
「あ〜、こういうの好き。落ち着くぅ〜」
なんて言っていたが、興味のない連中は、
「ふぅ〜ん」とでも言いたげな表情。ふと目をやると、新聞を発見。
イタリア語をはじめ、英語、ドイツ語、フランス語など
いろんな言語で発行されている。英語版を見ると、
「the Pligrim's Journal」
とあるので、巡礼者向けの新聞だろう。
「Distributed free of charge(=無料で配っています)」
というのを見た瞬間、手に取る。ところどころ読んで、
「へぇ〜」
とかなんとか言いながら、パラパラとめくっていると…
なんと、中に広告が入っている!
どっかの銀行とテレコム・イタリアの広告だ。キリスト教徒にしてみれば、全く普通なのかもしれないが、
日本人の宗教的感覚からすれば、
こういう宗教的な刊行物に広告が入っているのは、
どうしても違和感が残るねぇ。ま、いいや。気を取り直して次へ行こう。
目指すは、本日の宿泊地、フィレンツェ。
夕食がホテルの食事なので、
今日は早めにホテルに着くことができるらしい。
飛行機の旅で疲れているのに、
ここまで、連日6時or6時30分起床。
ちょっと今日は休めそうかな。レストランでは、トスカナ風のチキンステーキ。
美味いことは美味いのだが、少し冷めている感じがするだけど。
気のせい?
それにひきかえ、ポテトがやたら熱くて、
口に入れられないのはどうして?
とそんなことを考えるうち、
ワインの酔いが回ってきて眠くなる。食べ終わって、部屋に戻ると他のメンバーは、
ホテルを探索するようだが、眠いので、
速攻、湯船へ。
ここ、フィレンツェのホテルは湯船がある。
日本では当たり前だが、ナポリとローマのホテルでは
湯船は一切なかった。うーん、これは旅行会社の策略か。
はじめはレベルを低く、だんだん高級になるんだろう、
と思いたいところだ。さて、眠いのでさっさと湯を張って浸かり、
グースカ寝たいところだが、
どうにも湯がぬるめ。イタリアでは、ホテルの大きなタンクがあって、
そこで湯を沸かしている、
とバスの中で添乗員が説明してくれていた。
ということは、日本人のように
ヨーロッパ人の感覚では、湯を使いすぎるような宿泊客が、
いっせいに湯を使ってしまうと、
タンクが小さいホテルでは、湯が空っぽになってしまう。そうなれば、もう一度ホテルのほうでタンクに水を貯め、
湯を沸かし直さなくてはならない。
それまでは、一切湯が出ないということになる。やば。そんなん風邪ひくって。
さっさと少しでも温かなうちに入らなくては。
ま、自分が入る分には、どうにかなった。
だが、後から話を聞くと、
この日同室になったAとKは、
ぬるま「水」の風呂を余儀なくされたらしい。風呂から上がると、速攻おやすみ。
さて、明日はフィレンツェ攻略だ。