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札幌〜釧路〜釧路湿原駅〜細岡展望台〜塘路


ネットで調べ上げ、計画も立てたところで…
お、そういや歩き回ったのに、
風呂に入っていない…
それはヤだな、ということで、
札幌市内でできれば温泉に入れて、
24時間入れるところ…
ありましたよ、スパ・サフロ。

ただ、すすきののど真ん中なので、
多少アヤしいところを歩いていかないと
いけなかったわけだが…
ただ、もう外に出る気力もないので、
早朝、向かうことにした。

夜のすすきのは、にぎやかなのだろうが、
早朝のすすきのは、がらんとしたものである。
まだ日が昇っていないので、
夜みたいなものだが、水商売の人たちが、
帰っていくくらいで、人通りもあまりない。

このスパ・サフロは、
24時間営業で、すすきのという土地柄もあるのか、
どこかでしこたま飲んできて、
ガーガー寝ている連中が多く、
あまり落ち着いて入ることはできなかった。
まぁ、とりあえずはすっきりできたのでよいのだが。

さて、札幌駅に戻ると、
7:00ごろのスーパーおおぞらで釧路まで向かう。
到着時間が11:00ごろ、とおよそ乗車時間4時間。
やはり、北海道は大きい。
駅弁・石狩鮭めしを買って、列車に乗り込む。
昨日に散々食っときながら、まだ鮭・いくらである。

ネットカフェでも一応寝はしたのだが、
検索に気を取られたために、就寝は2:00。
なので、スーパーおおぞらの車中は、
ひたすら寝る、寝る、寝る。

4時間も乗車時間があるはずなのに、
起きたらもう、帯広をはるか越え、
あと20分ほどで釧路、というところまで来ていた。

釧路に着くと、次の列車の乗換えまで
30分ほどあった。
札幌よりももっともっと寒いのだろう、
と心配していたのだが、「釧路としては」
暖かかったらしく、心配するほどではなかった。

釧路から釧路湿原駅までは、
ワンマンカーに乗る。
釧路湿原を東から見渡すには、列車で行くことになる。
湿原の東には、釧網線(せんもうせん)という路線が通っており、
釧路から湿原を西側に眺めつつ、
摩周を通って、網走まで伸びている。

湿原の西側にも展望台があるのだが、
バスによるアクセスなので、
時間が限られている今回は、二者択一となる。
バスもよいのだが、降雪のこともあり、
比較的時間に正確な列車のほうを選んだ。

さて、その降りた釧路湿原駅は、無人駅。



周りが白一色ということもあり、
なおいっそう、わびしさを演出している。
追い打ちをかけるように、
写真右下の張り紙のように、
達古武(タッコブ)の木道が破損、と書いてある。

前日、ネットカフェで計画を練ったとき、
この達古武湖から夢ヶ丘展望台まで歩くつもりだったので、
ここに来て、計画は破綻。ふぅ〜。

湿原の真ん中を木道で通れるとあり、
湿原を間近に感じつつ、歩いていける
と思っていたのだが…
しかたがない、手前の細岡展望台だけで
我慢するしかない。

と、立看板を見ると、その道も
固く雪に閉ざされているではないか。
こんな1時間に1本も電車がないようなところで、
取り残されて、何をしろというのか?

呆然と立っていても仕方がないので、
一本だけある道を進んでいった。
駐車場へ、とあるので、
ひょっとしたら車も通れるほどの大きな道へ
通じているかもしれない。

そこで、歩くこと400m。
確かに大きな道に出た。
でも、辺りにあるのは、雪ばかりだが、
ロッジのようなものがあった。
細岡ビジターズラウンジ」だ。

とりあえず、なんとかなるようだ。
それにさらに進んでいくと、
細岡展望台までは行けるようで、
そこまで行くと、湿原が一望できるはず。
それがここだ。

何もひとつ物音のしない世界。
わびしくなるどころか、
自然の凄みに圧倒される。
もっと近くで体感できないのがもどかしい。




よく大自然を前にすると、
自分の悩んでいることなんて、
ちっぽけなものだと感じるというが、
確かにそうかもしれない。
大いなる自然は、われわれ人間の意図とは関係なく、
ただその摂理に従って、時を経ていくのみなのだ。

こういう時間が旅には必要だ。
旅は好きだが、旅行はそれほど好きではない。
旅行は効率的だ。対して旅には、ムダが付き物だ。
何もしない時間を、とりとめのないことを考えながら
過ごすことのなんと贅沢なことか…

そんなことを考えつつ、先ほどの地点まで戻る。
その途中、もうひとつの展望台が
あったことを思い出し登ってみる。

辺りは積雪がすごくて、とても足を
踏み入れるようなところではないのだが、
ここは、急な階段になっているせいか、
まだたやすく登っていける。

この頂上からの眺めもまたよかった。
さらに屋根がついているため、
その下でゆっくり休んで、湿原を眺めることができる。

こんな大雪のときに、湿原を歩いて訪れる人など少ないのか、
対向車とすれ違うことはあっても、
歩行者は皆目、見かけない。
なので、このような展望台には誰も来ないのだ。

誰も来ないことをいいことに、
おもむろにパソコンを取り出し、音楽をかけてみた。
もちろん、ゆったり聴けるものを…
そして、余市で買ったウイスキーを含んで温まる。

白銀の自然をバックに、
自分の好きな曲を、好きな酒を飲みながら、
ゆったり聞ける幸せはそうないだろう。

普通外では、イヤホンやヘッドホンで聴くものだが、
そんな邪魔なものなしに聞くことができるのだから…

とはいえ、1時間もすると、
野鳥を撮影しようとするご夫婦が近づいてこられたので、
中断して、その場をお譲りすることにした。
まぁ、あまり自然を占拠するものではない。
そそくさと降りて、ビジターズラウンジまで戻る。

中へ入ると、ずいぶんと暖かくしてあり、
湿原に関するさまざまな展示や、
休憩・軽食スペースがある。
朝に石狩鮭めしを食べてから、何も食べてなかったので、
ここでドライカレーとフライドポテトを食べる。

食べながら、湿原を解説するビデオを見せてもらった。
ここまで雪に閉ざされなければ、
「できる」ことはいろいろあるのだろうけど、
するばかりが能じゃない。

とはいえ、釧路湿原駅に列車が到着するのには、
いささか時間がありすぎた。
軽食を済ませ、ビデオを見て、
冬の野鳥を観察していても、
まだ1時間ほど時間があった。

ビジターズラウンジの方がまだ早いんじゃないですか、
とおっしゃったが、とりあえず歩きたかったので、
迷わない程度に道草をしながら、
釧路湿原駅に戻ることにした。
本当なら、ここから細岡駅、
さらに達古武の木道で、
湿原を間近に観察するところなのだが…
まぁ、愚痴をこぼしても仕方がない。

駅に着くと、駅舎のあちこちで見られる
つららに興味が向かった。
大阪では雪が降ったのは、ごくわずか。
東京でも大雪というのは、まだ経験していない。
だから、一度雪が降り、昼の太陽光で、
雪が解けていき、また夜になって凍ることで
できるつららは、なかなか見ることができないものだ。

当たり前なのかもしれないが、
つららを折って持ってみると、とても澄んだいい音がする。
それにほかではなかなか見ることができないほど、
とても透明で、白っぽいところがない。
これも寒さで急に凍ったためだろうか…?

そんなことをして、待っていると列車が到着。
二つ先の塘路駅を目指す。
どうしてこの塘路駅か、というと
事前に釧路湿原周辺で宿泊できるところを
探していると、この塘路にユースホステルが
あることがわかった。
それが、「釧路湿原とうろユースホステル」だ。

ユースホステルなんて、もう何年も使っていないが、
どうせ来たかった湿原だ、自分で回るのは
今日だけにして、いろいろ教えてもらおう、
という魂胆でこのユースだけは、
事前を予約をしておいたのだ。

18:30までにお越しくださいとのことだったので、
ちょうど達古武の木道を歩いてくると、
いい時間なのだが、かなり早く塘路に着いた。
ユースまでは、とても近く歩いてすぐのところにあった。

ちょうど何人の人と時を同じくして、
建物中に入ったわけであるが、
やはりそこは常連さんもいるわけで、
すぐにいろいろ言葉を交わすようになった。

ユースなど何年も利用していないので、
当然、会員証もない。旅の情熱が燃えたぎることも
考えて、ここは会員証を作っておくことにした。
一度作っておけば、1年間は有効だ。

部屋をともにしたお二方とも、
旅がお好きなようで、いろいろ行かれているようだった。

ひとりの男性は、なんどもこの釧路湿原
と奈良を訪れているという。
この方も、東京在住だそうだが、
わたしのまわりでは、京都という人はいても、
なかなか奈良の味の深さを理解する人は少ない。

かくいう自分自身が奈良よりも、
京都に行くことが圧倒的に多いわけで、
まだまだ奈良を愉しむには、
経る年が少ないというわけか。

ひとしきり会話をした後、早めの風呂に向かわれた。
風呂が長い自分は後でいいや、
ということで、夕食の18:30までゆっくり休んだ。

食事の時間になり、1階に下りると、
別の宿泊の方ももう食事に来られていて、
同じ部屋の人と、あと女性1人の方と
夕食をともにした。

夕食を食べながら、話していると
この方もなかなかの旅好き、
しかも、ハードスケジュールな旅や
ちゃりんこでぶっ飛ばす旅など、
バイタリティにあふれた女性だった。

食後、まだ風呂に入っていない自分は、
さっさと風呂に入り、疲れをとった。
そのあと、21時からツアーや周辺に
ついての説明があるらしいということで、
また早めに、先ほどの夕食の場所へ戻る。

ツアーというのは、各ユースホステルで企画している
観光コースのことで、ユースごとにいろんな企画がある。
ここのとうろユースさんでは、
この時期、早朝散歩やツルツアーなんてものがある。

この冬に湿原に来たなら、
お鶴どの(タンチョウ)を拝まずして帰れようか、
ということでぜひ参加したかったのであるが、
こちらの参加は事前予約が必要とのこと。

まぁ、事前の情報収集の甘さもあるが、
必殺ノープラン強行の旅ということもあり、
おとなしく引き下がるしかないのだ。

それの代わりといってはなんだが、
ひとつ先の駅、茅沼駅には、野生のタンチョウが
えさを求めてやってくるらしい。
ツルツアーで見れないなら、
ここで見るしかないっ!
なんでもここなら、数はいないが
近くで見れるらしいのだ。
じっくり観察できるかもしれない。

そのほかにも、塘路湖で凍った湖面に
穴を開けてワカサギ釣りができたり、
1月半ばで休館するフレンチレストランなど
いろいろ教えてもらえた。

さまざまな展示会に行っても一気に全部を見てやろう、
という欲張りな貧乏根性があるために、
明日の回るコースをどうしようか、悩む悩む。

集まった宿泊者は思い思いに、
計画を練ったり、ここまでどうやって来たか、
これまでにどんな旅をしてきたか、
おのおのの旅自慢で話が盛り上がっていたが、
いやいや、旅好きの皆さんは、
いろんなところに行かれていること…
しかも、体力勝負の激安トラベルとなると、
体力は当然のこと、安いきっぷをゲットする
根性や「まめ」さが必要なようだ。

東京から青春18きっぷと東北・北海道の一部が
5日間乗り放題のきっぷ(なんて言ったかな…)
で来られていた方もいた。
今回、ユーズの利用が初めてとのことらしいが、
早くもこのユースの雰囲気に、
はまってしまいそうな気配。

ま、こういうユースを使うのもいいもので、
ふれあいを大切にするユースならではの
情報ゲットのチャンスがあるしなぁ。

実は、そんな旅話を聞いていて、
もっといろんなところへ行きたいっ!
という気持ちが、ふつふつと沸き起こったのは確かで、
この文章を書いている今も、
どこか行きたいと考えていたりして…

その周辺エリアの説明と同時並行で、
先ほどの旅好きの女性は、
彫刻刀でアイヌ伝統の楽器
「ムックリ」の製作に取り組んでいた。

ちょうど説明が終わる頃には、
ムックリが完成していた。出来上がったら、さぁ演奏である。
ちょうどペアレントの方が、
さまざまな完成品のムックリを持ってくださったので、
皆でムックリの演奏をやってみる。

なかなか鳴らないのだが、
自分だけ鳴らないのも悔しいので、
皆、必死で鳴らそうとする。
竹を削ってできた板状のものに、
紐を取り付け、片方の紐を振動させることで
音を鳴らし、さらに口の近くに持っていって、
口の中で共鳴させることで、さまざまな音にしていく。

とりあえず鳴ることは鳴ったが、
演奏なんぞまたのまた夢。
こんなに夢中になるなら、作ったらよかったかな…
とまぁ、こう後悔するのも、思い出だ。

さて、一段落したところで、そろそろ就寝。
その前に、塘路駅を通過する最終列車が、
すれ違うところを目にすることができた。
茅沼から摩周に向かう網走行きの最終列車は、
かなり先まで、視界から消えることがなかった。

ここ、湿原の夜に限ったことでは
ないかもしれないが、空がきれいだ。
東京にいるときは、空を仰ぎ、星を見ることなんて
考えもしないのに、こういうところに来ると
思わず見上げてしまうのは、どうしてだろうか?

さぁ、明日は塘路からサルボ展望台付近までの
早朝散歩ツアーに参加だ。
寝坊しないように気をつけないと…


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