ビデオ撮影         素人のための、ビデオ制作講座



 1.ワンカットの長さ
 2.パーンについて
 3.水平にしたつもりが傾いていた
 4.広角か望遠か
 5.音がはっきりしない
 6.編集せずに編集したように撮る方法
 7.してはいけない撮影方法
 8.撮影のマナー


1.ワンカットの長さ

 カットの長さにいて述べる前に、例外もあることを頭に入れて置いてください。たとえば、音楽やスポーツの試合です。当然ながら、演奏会を撮影するときに、音楽を聞かせる(記録する)撮影の場合、曲の途中で切る人はいないと思います。しかし、カットしたほうが良い時にカットができない方が多いですね。だらだら」と意味も無くとりつづけている方が多いのです。
 たとえば、子供のバスケットの試合会場について、まず、体育館の全景を撮るのは良いのですが、そこにある大会の看板にズームして、また、ズームを引いて全景を写し、その後に入り口の様子を映し、もう一度看板をアップ・・・・・・延々と続くのです。特に初めての大会会場に着いたら、選手のみならず、撮影するほうも興奮して、見るもの全てが珍しく見え、何でもダラダラと撮りたくなるものです。しかし、ビデオを見る人(見せられる人?)は基本的に、「1度見たものは2度と見たくない(?)」という心理が働きます。
 では、今の例ではどのように撮ればよいのでしょう。一例ですが、
      【体育館全景→看板のアップ→入り口付近の様子 又は、看板−体育館全景−入り口付近の様子】
の順に数秒ずつ、カットしてつなぎ撮りします。各々5秒平均の撮影であれば15秒程度で済みます。早く試合が見たいのです! しいて言えば、仮に横長の看板でしたら、看板いっぱいアップにしてパーンします。この場合はじめと終りの止めは1秒程度で。ハーンの速さは看板の文字が読める程度に早めです。縦長も同じ理屈です。そして看板全体は、玄関付近の様子と共に撮ってしまいます。 
 皆さんが写真のアルバムを見るときを想像してください。体育館や看板の写真があったとします。「フン,フン」で2-3秒もあれば普通はその2枚は流すように見てしまいます。むしろ試合後に撮った選手たちの集合写真やスナップは、表情からその場面を思い出して、写真を見ている時間は自然と長くなります。ビデオでも同じことで、そのカットにどのような意味があるかでその長さが違ってきます。逆にいえば、カットの長さで、ビデオの制作者の意図が伝わったり、伝わなかったり、いらいらさせたりするのです。見る人は自然と、この撮影者(ビデオ)は何が言いたいのかを探っています。
 某民放では、8秒以上のカットは原則無いとか。(という噂です)  いずれにしても、意味のない長いカットはいらいらします。スピード感のある作品にしたいものです。一方で、長回しで有名な映画監督もいたとか。また風景描写には長いものがあります(特にNHK)。−−−−−なかなか映像表現は奥が深い・・・・・・・

後で、編集するという方は、長めにさえ撮っておけば、長過ぎれば編集でカットすればよいのですが、いつもいつも長いと編集が大変になります。しかし、短すぎた場合はどうしようもありません。

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2.パーンについて
 パーンするときはまず、はじめにカメラを止めた状態て数秒撮った後に、パーンを始めるというのが定石です。そして、パーンし終わったら、また、数秒止めて撮影を終了します。
 前後の数秒止めて、・・の数秒とはどの程度のことをさすのでしょう。それはその止めて撮影した画に意味があるか無いかで違ってきます。たとえば、「交通量の多い国道沿いにある建物」という場面。主役は「建物」です。「交通量の多い国道」は「飾り」あるいは「状況説明」ですが、「交通量が多い」ということを分からせるためには3-4秒ぐらいは必要かと思います。そして、パーンは「スッ」という感じでよいと思います。よく、ものの本などに「パーンはゆっくりと」などとかいてありますが、必ずゆっくりパーンする必要はありません。「国道」と「建物」の間の画そのものは必要ありませんが、「国道」と「建物」の位置関係をわからせるためにパーンしているわけですから。 別のカットで撮ると、位置関係がわかりませんので、違う場所であるという誤解が生じる可能性があります。
 パーンする前の止めが、1秒ぐらいでよい場合もあります。ハイキングに行って、広い自然の中に草原や遠くの山があったとします。とてもビデオカメラの画角には収まらない風景です。この場合もパーンをしますが、止めの時間はそう長くなくても良いのです。そして、これこそ「ゆっくり」パーンしてやってください。ただし、イライラするほどゆっくりする必要はありません。収まらない風景の全体を見せる為にパーンをします。パーンして全体を見せることが目的となります。前後1秒ぐらい止めるのは、パーンする画に落ち着きを持たせるためです。ただし、その風景の中に、これから登ろうとする山がある場合は、最後にその山を映して、3-4秒止めます。
 パーンする速さ、前後の止めの時間。いずれも前述のとおり、それぞれがどのような「意味」を持っているかを考えるとおのずと、速さや時間が決まってきます。
【パーンの編集用撮影方法】
 パーンの速さも、少し速めと少し遅めの2パターンを撮っておくと、編集のときに選べます。また、右から左か左から右か現場で判断が出来ないときも、それぞれ両方撮っておけば、編集時に選ぶことが出来ます。私はそうゆう時には、まず、左で数秒止め→右へパーン→右で数秒止め→左にパーン→左で数秒止める という撮り方をします。編集で前半を使えば、左から右、後半を使えば右から左という2パターンが撮影時間のロスも少なく撮れます。

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3.水平にしたつもりが傾いていた
          
1図 正しい撮影
2図 傾いた撮影 1
(撮影時のファインダー)
3図 傾いた撮影 2
(テレビで見ると)
 いい調子で撮影して帰ってから、テレビで見たら傾いていた。ということはありませんか。「水平はあってたはずだけどなー」、ということがありませんか。 その原因は、「水平」をあわせるという言葉にあります。結論を言えば、水平をあわせるというよりも、垂直をあわせるという感覚で撮影するということです。
 上図を見てください。黒いふちがファインダーの枠もしくは、液晶モニターの枠です。1図は正しいのですが、2図は傾いた撮影時のファインダーです。こうして撮影したものを持ち帰ってから、テレビで見ると3図のように見えます。1図と2図の映っている「街」を比較して見てください。どちらも水平です。ここで錯覚が発生します。どんなにカメラが傾いていても映っている物は水平なのです。では、アーケードの柱に注目してください。1図では、ファインダーの左右の枠と柱が平行、すなわち垂直になっています。2図は柱と、ファインダーの両サイドの枠とが平行になっていません。つまり、撮影対象の垂直な物、例えば柱や建物の縦の線に注目し、ファインダーの真っ直ぐかどうかに注意を払えば良いのです。家の中であれば、障子やドアの縦のラインが、ファインダーの枠の縦ラインと平行になっているかどうかです。これで、帰ってからテレビで見たときに「あれ、おかしいな」ということはなくなります。

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4.広角(ワイド)か望遠(テレ)か

「広角か望遠かと言われたって、距離が遠く、広角ではわが子が小さいから、望遠でアップして撮るんだよ。」はい、確かにその通りです。が、もっと近寄ることは出来ませんか? どうしても近寄れないのなら、仕方ありませんが、近寄れるのであれば、近寄って撮ってあげてください。近寄ると、おっと、望遠のままでは大きすぎていけませんね。適当にワイドにして撮ってください。
例えば顔を、同じサイズに、望遠と広角とで撮ったものを比較してみると、ニュアンスがずいぶん違うことがわかると思います。一度ご家族で試してみられてはいかがでしょう。
 望遠と広角とは、サイズの違いだけではないということです。望遠で撮ると、広角に比べると、何かよそよそしい、第三者的、傍観者的に取れます。もちろんそれを狙いとすることもあるでしょう。逆に、広角で近寄って撮ると、主観的に取れ、立体感も生まれてきます(3Dではありませんが)。
 
     
望遠で撮影 広角で撮影


 上の写真を比較してみてください。手前にコーヒーカップ、少し離れたところに、シュガーとフレッシュ。背景は46インチの液晶テレビ。シュガーをほぼ同じ大きさになるよう撮ってみました。ずいぶんと印象が違いますね。よく見てみると、望遠撮影では、背景のテレビが大きく、逆に広角では背景は小さく即ち広い範囲が写っています。またコーヒーカップの大きさも違います。皆さんは、この2枚の写真、それぞれどのように感じられましたか。
 どちらが優れているということではありません。物の、あるいは人の表情に大きな違いがあるということです。 

 平成10年のNHK大河ドラマ「竜馬がゆく」をご覧になられた方もあろうかと思います。大人気の番組でした。画質も映画風でしたが、カメラが出演者に近寄っての、アップが多用してあったように思います。主人公が撮影後のインタビューの時に、「今日はカメラ、遠いね。収録はもっと近くが多かったよ。」というような一言もありました。
 番組収録時には、おそらく顔から1m前後から撮っていたのではないでしょうか。ストーリーや演出、また俳優の演技の面白さもありましたが、竜馬や弥太郎の表情が生き生きと、生々しく表現されていたのが共感を呼び、視聴者自身が竜馬や弥太郎になることができたのではないでしょうか。

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5.音がはっきりしない。

 音声に不満が出る場合、ほとんどが「何を言っているか分らない」ということだと思います。この場合、現象としては、「声が小さい」又は「雑音(ワイワイがやがや)がうるさくてスピーチが聞き辛い」でしょう。別のマイクを用意しないのであれば、方法は一つ。音源に近づくことです。パーティ会場などでは、喋っている本人ではなく、スピーカーに近づいたほうがよい場合が多いと思います。
 カメラについているマイクの感度かなりはいいはずです。しかし残念ながら、マイクは音を選別してくれません。つまり、自分が聞きたい音だけを録ってはくれないのです。したがってカメラ(=マイク)が録りたい音に近づくしか方法はないのです。

 
 婚礼のパーティなど、がやがやした場所で、新婦の友人のインタビューを撮る場合、2−3m離れた場所からでは、おそらくガヤガヤに打ち消されて、せっかくのお祝いメッセージが聞き取れません。1m以内にぐっと近づいて撮りましょう。メッセージもはっきり録れるはずです。その場合ズームはワイドにします。望遠側では顔が入りきらなかったり、近いためにピントが合わなかったりします。

どうしても近づくことができないという場合、ワイヤレスマイクを使う方法もありますが、撮影前にマイクのセッティングが必要です。

左はカメラのマイク入力に接続するタイプ。ICレコーダーにも接続可能。見通しで50mまで。
右はハンディカム「アクティブ シュー」対応。見通しで100mまで。
ECM-AW3
税込希望小売価格 21,000円

ECM-HW2
税込希望小売価格 21,000円


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6.編集せずに編集をしたように撮る

 撮影した素材を、編集すると完成度の高い作品に仕上がりますが、編集するためには、編集機材が必要になり、それだけ費用もかかるし、なんと言っても、編集の時間がかかります。私も、2時間の素材を編集すると、簡単な編集でも、正味6〜8時間は必要です。場合によっては、食事そこそこに、2−3日かかるというようなこともよくあります。とりあえず、撮影して帰ってそのまま見ても、面白くかつポイントがわかる撮影方法を教えましょう。

【愚痴ですが】
 撮影と編集を依頼される方は、2時間の作品だと、「時間もある程度長いし、撮影もさることながら編集にも日数が必要だろう」とお考えになる。ところが数分の作品だと、「30分もあればできるでしょう」とおっしゃる。
  内容によっては、簡単な場合もあるかもしれませんが、撮影にしても編集にしても、5分のものも2時間のものも大差ない労力と時間がかかります。なぜなら、時間が短くなればなるほど細かい作業になり、フレーム(1フレームは1/30秒)単位での編集をするようになります。また、この短い時間の中で、内容を理解してもらうためにどのように表現するか、センスとアイデアか問われるのです。コマーシャルがいちばんいい例です。
 テレビでは、毎日、24時間、高度な撮影と高度な編集をしたものを、当たり前のように流しています。そのおかげで(?)製作過程を知らない方は、簡単にでそれができていると勘違いされているようにお見受けいたします。

根本の考え方は、

出来るだけ短い仕上がりになるよう、しかしながら、一部始終を見せたように撮る。」

ポイントとして、5つ上げてみたいと思います。

@ カットは長すぎないことを心がける。
A カットの変わり目は、サイズや撮影対象を変える。
B カットの始めに象徴的なものを持ってくる。
C 言葉(話)の区切りでカットする。
D 不要な部分は思い切って、撮らない。
E 撮影する立場ではなく、見る立場で撮る。


@ 長過ぎないカット長 

 特に、看板や風景、建物など説明用カットは、短めに撮影。静止画的に撮る場合は、それと同じ写真を見る長さほど撮ればOK。例えば、旅行のアルバム写真を見る時に、このような状況説明的なものは、ほとんど1〜2秒程度しか見ないと思います。1秒ではさすがに少し短すぎるので、3秒程度撮ります。ただし、どこにも例外はあるもので、その建物にネオンサインがついていて、それが点滅している様子を取り入れたければ、点滅が確認できるまで撮ります。確認できればすぐカット。
 数秒の短いカットを取るときには、自分の心でカウントします。
 【録画開始ボタン】→0・1・2・3→【録画ポーズ】という風に、録画開始ボタンを押したときに、「0」をカウントしてください。「1」からカウントすると、1秒短くなります。4−5秒以上なら1秒違ってもそう問題はありませんが、2秒撮ったつもりが、1秒だとちょっと辛いものがあります。
 常に、スタートボタンを押してからストップまでのその長さを意識して撮影してください。テープが回り始めた瞬間に、パーンをしている方があります。既に横に流れていってしまったところに大事なものが映っていましたよ!。 おそらくこの方は、撮影をする前に、「あのビルから撮ろう」と思いながら、カメラを構えて、そして回し始めたと思います。「あのビルから」と思った瞬間、この方の頭の中では、既に録画が始まっていたのではないでしょうか。スタートボタンを押してからですよ。この錯覚が、見る人をいらだたせますねぇ。

A カットの変わり目はサイズや撮影対象を変えて 

 同じような絵柄でつなぐと、非常に違和感を感じます。逆に、カットが変わったことが分らない場合もあります。忍者の特撮のように、今そこにいた人が、瞬間にして消えてしまうようなこともあります。
 アップ(望遠)した状態でカットして、ロング(広角)でつなぐと、絵に変化が生まれ、リズム感が出ます。(逆も勿論ありです) この場合は撮影対象が同じでも、違和感はほとんどありません。
 場合によっては、サイズだけではなく、対象を変えると、見ている人を飽きさせません。例えば、スピーチをしている人を撮影していて、カットして、次に、聞いている人につなぐというようなことです。

B カットの始まりは、象徴的なものから 

いつもいつも、この手法が使えるわけではありませんが、一例で申し上げます。

結婚式。新郎新婦、お色直しで再入場、一旦着席。
司会者 「それでは、これから新郎新婦の夫婦として始めての共同作業、ケーキカットをして頂きます。ビデオやお写真をお持ちの方は、よいポジションにお進みください。・・・(中略)・・それでは、新郎新婦のご準備も整ったところで、いよいよケーキカットです。」
音 楽 「♪〜」
司会者 「それでは新郎新婦、どうぞ!! ご入刀です。」
新郎新婦はケーキに入刀 拍手・・・・

 このようなシーンの場合、新郎新婦入場後、司会者の言葉も全て入れ、ケーキカットまで撮る。という方法もありますが。短くするために、新郎新婦が着席したところで、カット。司会の言葉は全てカット。音楽が始まったところで、ケーキ及びナイフのアップにつなぎます。ケーキにナイフが入るところまで、我慢してアップのまま。ズームバックをして新郎新婦及びケーキの全体を見せる。
 このように司会者の言葉などをカットすると、何が起こっているか分りにくいのですが、カットの後に、ケーキ・ナイフのアップなど象徴的なものにつなぐことで、省略を、帳消しにしてしまうのです。

C しゃべりがある場合は、言葉の区切りでカット 

 とかく、ビデオ撮影は、画像中心に撮影しがちですが、音も非常に大切です。特にスピーチや、カメラマンに向かって話しかけている場合には、撮影しながら、その内容をきちんと聞くべきです。下手に話の途中でカットすると、見ている人は、「えっ?、それでどうなつたの」ということになります。あるいは、せっかくの「落ち」の一言がカットされていたり。よく聞いて、言葉の終わり、または区切りで、カットします。

D 不必要と思われるシーンは、いっそのこと撮らない。= 捨てる 
中途半端に撮影を続けていると、下手に長くなるだけです。あまり重要でないと思われるもの、またはわかりきったものは、はじめから撮らない。
 賛否両論あるかもしれませんが、結婚式での祝電披露は、まず撮りません。なぜなら祝電そのものは別にちゃんとあるわけで、新郎新婦や親族は、それを後でゆっくり読むことが出来るのですから。
E 撮影する立場ではなく、見る立場で撮影 

第三者的目線で撮影しましょう。@〜Dまでのことは全て見るほうの立場になればできることです。同じところをズームアップしては戻り、右へパーンしては戻り・・・。見る者は同じものくどくは見たくないのでありまして、「カンベンシテヨ」ということになります。また、子供たちや家族を撮影したものは、誰が見るのでしょうか。ほとんど家族やおじいちゃんおばあちゃん、せいぜい親戚まででしょう。この場合も、わかり切ったものは撮らないということも大切です。

以上のようなポイントを押さえて撮影すれば、ほとんど編集したように撮れます。

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7.してはいけない撮影方法

3つほど代表的なものをあげてみました。これらは絶対にしてはいけないというものではありません。ただし、ある特殊な意図を持った撮影の場合のみです。
@ 往復(壁塗り)パーン、往復(壁塗り)ティルト

 これは、もうほとんど問題外の撮り方。でも意外と多いんですよ、こんな撮り方をする人が。左官さんが、コテで壁を塗るように、何回も往復するので「壁塗りパーン」などと言います。
 しかも、この壁塗りの最中には、静止した部分がまったくない場合がほとんどです。さらに、ご丁寧に、次に述べるズームまで加わったら、最悪です。静止して撮影した部分がないテープを持ってきて、編集を頼まれると、まず、お断りします。ゴメンナサイ。何を撮りたいのかわかりません。むしろ「迷っている」ことを証明しているようなものです。
 例外的に、恐怖感を出すときにこのような撮影をすることがあります。どこかに悪人が潜んでいて、主人公がそれを探すようなときです。不安な心情と目の動きを一致させたカメラワークです。恐怖のBGMなどを同時に流すとさらに効果が出ます。

A 往復ズーム

これも、@とほとんど同じですことが、場面によっては、こうせざるを得ないときもあります。スピーチの途中や、演奏の途中ではカットできないことがあります。かといって、いつまでも同じサイズで固定のまま、というのも芸がない。この場合、さっきやったズームアップを忘れさせるほどアップしたままにしておいて、(おそらく10秒以上から数十秒になるかと思います。)やおら、ズームバック。次にズームアップをするタイミングも、今、熱が入ってきたので、ここで表情をとらえたい!、というような時に。

【編集を前提とした場合】
 このような時には、言葉の区切りの後、「アー」とか「エー」とかの言葉が入ることがありますので、そこで瞬間的に、お客様に向け表情を捉えてから、ゆっくりパーンして戻す・・というようなことをします。瞬間的にカメラを振った部分は編集でカットします。ただ「アー」「エー」は人の癖ですので、立て板に水を流すようにしゃべる人にはやり難いのですが、いずれにしても、しばらくしゃべりの癖を見つけるまで、撮影しながら話を聞きます。
B ブレ過ぎ
 全国版のテレビニュースでの報道でした。某中学校の授業で、先生が撮影した教材用のビデオを、体育館で生徒たちに見せていたところ、かなりの生徒かめまいのような症状で、病院にかつぎ込まれました。原因ははっきりとは言っていませんでしたが、ブレによる車酔いの症状で、点滴などの治療をしたということでした。気分の悪くなった生徒たちも気の毒だけれど、撮影された先生もなんだか気の毒なような感じです。体育館での放映なので、おそらく大画面のプロジェクターなどで放映されたのではないでしょうか。大画面だから、こんなことになったとは思いますが。
 私も、カメラを買われて間もない頃のお客様からの依頼で、編集をして差し上げたことがあります。旅行ビデオでしたが、私も車酔いをしてしまった経験があります。これ以来、ビデオ編集のみの依頼には慎重になりました。はい。
 しかし、時には、わざと手ブレを起こしているような撮影をすることもあります。といっても車酔いをするほどのひどいブレではありません。映画などでは、ほとんど三脚を使用した撮影ですが、リアル感や緊迫感、不安感を出すために、あえて手持ち撮影をすることもあります。
三脚を使うと、勿論ブレはありませんが、いつも三脚というわけには行きません。その場合の構え方は、両足を少し広げ脇をしめる、カメラは両手で支える。壁などがあれば、体を壁につけたり、腕をテーブルや壁に当てて安定させるなどの方法があります。
 またパーンをする場合は、体をひねって撮影することになりますが、足をどの方向に向けるかという問題があります。始め2秒固定→パーン→終り5秒固定・・この場合の足は、終りのカットの時正面を向くようにおきます。体を逆にひねって撮影開始、ハーンすると姿勢が楽になってきます。最後は安定した状態で5秒固定カット、ということになります。足踏みのようにしながら足も体も回転させるのは、よくありません。足踏みをするときに、体が上下に揺れて、ブレが出てしまいます。
《ぶれずに撮れない人への朗報》
最近発売のSONYのビデオカメラは、ぶれ防止がすばらしい!! 最近はどこのメーカーのカメラもぶれ防止機能があるが、ソニーのこれらの機種は、プロのカメラマンたちにも話題の「空間光学手ブレ補正」。撮像素子を含めた光学系全体を、空間に浮いているかのように保つことで、ワイドからズームまで、今までより約13倍ブレない安定した映像を実現。 特にズームアップ時での撮影に効果を発揮。 また従来の光学式手ブレ補正に比べ、明るさや解像度の劣化を最小限まで低減。手ブレ補正の効果とともに映像の質までも向上というもの。
 下の2機種は、プロジェクター内臓とそうでないものの違い。デザインや他のスペックはほぼ同じ。
  
HDR-PJ760V HDR-CX720V
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8.撮影のマナー

撮影のヒントではありませんが、撮影する時のマナーについて少しお話を。
 一言で言えば「自分の世界に入り込まないで、背中にも目を向けてほしい。撮影対象を見ているのは、自分だけではない」ということです。例えば、結婚披露宴のケーキカット。ケーキカットは新郎新婦にとっても一番の思い出の場面、お客様にとっても注目するところであります。最近は携帯電話にデジカメ機能さらにムービー機能があり、ほとんどの方がお持ちのため、ここぞとたくさんの方が(最低10名くらいは)ケーキの前に陣取って、報道陣よろしく、新郎新婦を撮影される光景がよく見られます。多くの方が座ったまま、ケーキカットにではなく、カメラマンの背中に拍手。気の利いた司会者の場合は、「後ろの皆さんがご覧になれませんので、背を低くして撮影お願いします。」と言うこともあります。私が撮影依頼を受けている場合、一応近くには寄りますが、新郎新婦を隠すような正面ではなく、少し斜めから撮りますし(実はここが良いアングルです)、正面しか撮影場所がない場合は、腰を落として(実は下からの狙いが新郎新婦の晴れがましさが表現できます)できるだけ邪魔にならないよう気をつけています。
 テレビでよく見る記者会見報道の場合は、実は各局のカメラマン同士が暗黙の了解で、お互いに邪魔にならないようにしているのです。主催者がカメラの位置を指定する場合もあります。プロの写真カメラマンにしても、式典などで壇上で挨拶をしている方を、正面から撮影したらスッと脇に逃げます。(ほんの少し斜めからのほうが立体的な顔になります。しかも、この人は左右どちらからが写真写りが良いか判断します。)携帯カメラマンの場合、撮影する前から立ちはだかり状態で、撮影が終わっても、ずっとそこに立ったままの方が時々いらっしゃいます。ちょっとイライラしますね。他のお客様に迷惑をかけないようにしましょう。

とりあえずここまでです。


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