シマリという意味では、小目からは2手で隅を確保、星からは隅を確保するのに3手必要です。 では、星を打つ長所は何か? 1.一手で隅の中心を占める。 2.辺への展開にスピードがある。 3.第4線なので、勢力を築くのに適する。 ということが言えます。従って、「厚み」で相手を攻めて、全局をリードして行く碁を打ちたい場合に適しています。 <左図> 黒が星中心、白が小目中心の布石です。 全局的な展開では黒がスピードで勝り、隅の地の守りでは白が勝っており、互角の分かれです。 | |
星の一手だけでは隅が地にならないという「隅の甘さ」を衝いて、右上の様に三々に入ってきたらどうか? 定石通りの形が出来た左図の評価は下記の通りです。 1.白は10目程度の地が出来ました。 2.黒の厚みが、右辺から中央へ向かって、これから先大きな働きをすることが期待出来ます。 3.総合的に見て、このワカレは黒の方に軍配が上がります。 従って、白は隅を荒らすタイミングが難しいのです。 黒は白が隅に入ってくるのを牽制しながら、隅を地にしたり、隅に入って来た時に出来る厚みで白を攻めて、辺や中央に大きな地を作るという打ち方をします。 別項の星打ちの極意も参考にして下さい。 | |
<上辺> また、白1とツメて来た場合は、黒2と隅を守ります。まだ、白から隅に手を着けることも出来ますが、黒が一手いれてますので、上図の様に三々に入って10目程度の地を得ることは出来ず、ますます強い外勢を黒に与えます。 <下辺> 白3と打てば、黒4と白のサバキを封じた後、黒6と打たれ、白が攻められて、右辺の地が固まります。 |
左図を一手ずつ進めてみてください。 黒1に対して、白2、4なら黒5、白6に、黒7、白8に黒9、11と打って、黒13あたりで、3手目のシマリを打つ要領です。これより前に白が右上に打ち込んで来たら、白を攻めて得をするという考え方です。 |
布石で隅から辺にかけて地の構えを作る時は第3線、又は4線に打ちます。
僅か1路の差ですが、大きな違いで、盤端を地面、中央を空に例えて、「第3線は低い」、「第4線は高い」と言います。 <右上> 隅の場合の第3線の代表はの三々です。 白1と迫って来れば、黒2や、一路下のP17に受けます。地は大きくありませんが、白から荒らされるという可能性が少なく、がっちりした地を作れます。 <右下> 白5とカタに打たれると外勢を奪われますが、10目程度の地を持てます。 <左下> 第4線の代表は星。白13と入られると地には甘いのですが、立派な外勢を築けます。 <左上> 星に対してカタに打つと隅に30目程度の大きな地が出来ます。 従って、白25という手は考えられません。 | |
シマリとカカリについて、3線の場合、4線の場合の違いを説明します。 <右上> コゲイマジマリは3線なので、白1と打たれても、影響は少ない。 <右下> 一間ジマリは白3と打たれると、白からR4やS5と打たれる嫌味があります。一方白5と打たれた場合に黒6に対しては手が抜けません。 尚、コゲイマジマリだったら、P4に打つことで、脱出可能です。 <左下> 白9と3線のコゲイマガカリの場合に、黒10とハサまれても、白13、15で根拠を得やすい形です。 <左上> 白17の高ガカリに黒が同様にハサんだ場合は、白は隅に根拠が得にくい代わりに、白19と中央へスピードのある手があります。黒としては、黒12の様な位を保った手は打てません。 |
左辺と右辺は黒R10の石が3線、黒D10の石が4線という違いだけです。1路違うだけなのですが、白の手が全く変わってくるので、1路の違いが大きな違いとなります。 <右辺> 3線の石に対しては、白1の4線からのカタツキや、5線からのボウシ等白の手は殆ど上からの手になります。 <左辺> 4線の石に対しては、白7など3線から望むことが多くなります。従って、黒は勢力を得ることになります。 | |
星へ掛かられた時の受けに於ける3線と4線の選択 <右上> 三連星の配石で、白1と掛かられた場合、黒2と4線の一間に受けるのが、黒の勢力作戦が一貫しており、良い手です。黒R14とコゲイマに受けるのでは部分的には立派な手ですが、全体的に見ると三連星の思想が一貫してなくて、不協和音を感じる着手になります。 <左辺> 左辺の配石では黒4はコゲイマが妥当です。D14の一間受けでは、黒の勢力が生かしにくいし、裾開きを狙われます。 |
布石、定石、死活、攻め合い、ヨセといろいろな知識が必要ですが、中でも死活は一番重要だし、死活問題を解くことが読みの力をつけます。スポーツでいうと、足腰を鍛えることに当たります。 <上辺右> 黒1により三目中手です。 <右辺上> <右辺下> <下辺右> <下辺右> <下辺左> 以上は三目中手 下辺左の三目中手の形で、死形かどうかの見分け方を示します。 1.外ダメが全部つまった状態を想定 2.白石に対し、アタリが掛かる形を想定 3.その形が三目中手等の中手の形であれば、中手が成立 4.例外的に中手の形でなくても、カケメや、ダメヅマリの為に取り 跡に手入れが必要になった場合、中手になることがあります。 <左辺下> 黒3により四目中手 <左辺上> 四目中手 <左上> 四目中手。白4と白が手入れをした段階で三目中手になります。 「集四形」と呼ばれています。 <上辺左> 四目中手 | |
<右上> 黒1で五目中手です。 <右辺> <右下> 何れも、五目中手 <下辺> 黒3で五目中手です。 <左辺> 黒5で六目中手です。白が放置しても、黒は五目中手の形にすることが出来ます。また、白が白6と打てば、黒7で四目中手になります。(黒13の段階で四目中手) <左下> 六目中手 <左上> この段階で黒からD17と打つと六目中手になります。 また、白がD17に打てば下辺の形なので、五目中手です。従って、このままで、白死です。 |
セキの形と中手の形が紛らわしいので説明します。
<右上> 白はセキ生きです。 黒1と取りに行った形が中手の形になっていません。白2から生きとなりました。 <右下> これも同様でセキです。 <下辺> この形はどうでしょうか。 黒5と打っていると、白6と打ってセキになります。 <左下>下辺と同じ形 この形は黒7と打つと、白のダメが詰まった時に、黒3子を取らないといけなくなりますので、三目中手です。 <左上> 黒先白死の問題です。黒9は不正解。 <上辺>左上と同じ形 黒11が正解。三目中手となります。 |
碁の仕上げのヨセでは、地の境界線を明確にします。 ヨセは大ヨセから小ヨセへと進んで行きますが、少なくとも小ヨセの段階では、ヨセの大きさを数字で表すことが出来ます。 参考.日本で一般的に使われている方法の 出入計算と、韓国、中国で使われている方法の 絶対計算 があります。 左の図の右辺と左辺は同じ形です。この図を使って1線のハネツギの大きさを計算してみます。 <右辺> 黒からハネツギますと、黒7目、白5目となります。 <左辺> 白からハネツギますと、黒6目、白6目となります。 つまり、黒がハネツイだ場合に比較して、白がハネツイだ場合は 黒地1目減、白地1目増ということになり、合計2目の手ということになります。 <下辺> 黒7と取る手は黒地1目+アゲハマ1目=2目 となり、黒1のハネツギと同じ大きさということになります。 | |
第2線のハネツギの大きさを計算してみます。
尚、右辺と左辺の形は同じです。 <右辺> 黒1、3とハネツギます。1線は両方後手ヨセになるので、互角の権利ということで、それぞれサガリという想定にします。 ここで、黒地は11目、白地6目です。 <左辺> 白からのハネツギにより、黒地8目、白地9目です。 従って、11-8+9-6=6 6目の手です。 <下辺> 下辺で黒11と取る手は地2目+アゲハマ2目合計4目ですから、黒1のハネツギの方が大きいということになります。初級者の場合、石を取った方が大きいと思いがちですが、計算上は違うことが多いようです。 正しく、計算で出るのだから、ヨセの手の大きさを数える訓練をするべきですね。 |
ヨセにも先手ヨセと後手ヨセがあります。一方が先手ヨセで他方が後手ヨセということもあり、ヨセの分類は 1.両先手 どちらも先手ヨセ、一番急ぐヨセ 2.片先手 一方だけが先手のヨセ、 一般的には先手の方が打つ可能性が高い。 後手側がこのヨセを打つことを逆ヨセといい、 後手ヨセの2倍の価値と考える。 例.逆ヨセ2目は後手ヨセ4目と同等に評価 3.後手 どちらも後手ヨセ となります。 <右辺> 黒1、3とハネツグと、黒4が省けないので、これは黒の先手3目のヨセ。白からのハネツギは後手で、白地2目増、黒地1目減。 このヨセを白が白3とハネツグのを逆ヨセ3目と言います。 <下辺> 黒5、7のハネツギはどちらが打っても先手となる。 両先手4目の手です。 <左辺> 黒9、11のハネツギは後手ヨセではあるが、黒13、15の先手ヨセが約束されている。また、白からのハネツギも1線のハネツギは白の権利となるので、この2線のハネツギの大きさは、後手10目です。 |