出入計算

「出入(デイリ)」とは
ある部分を黒が打った場合と、白が打った場合の差を現わし、特にヨセの場合には、具体的な数字で現わせるので、「出入計算」として、よく使われます。
黒が打った時の黒地と白地について、仮に黒が打たないで白が打った場合の「黒地の減少+白地の増加」を「出入計算によるヨセの大きさ」と言います。

具体的には右図
<右上>

黒1と取ると黒地2目になります。

<右下>
取られないように白が2と打ったとすれば、

黒の地の減少2+白の地の増加0=2 となり、黒1の手、及び白2の手はどちらも出入計算で2目の手と評価されます。
黒1と取る、或は白2とツナグ手は何目の手か?

黒1と取ると、黒地2目、白地2目、 白1と取ると黒地0目、白地4目なので、
黒地の減2目+白地の増4目=6目
つまり、出入計算で6目のヨセになります。
黒1の大きさは6目です。白1と打ってもやはり6目です。
黒1は何目でしょうか?

前図で3目を取って、6目のヨセでしたが、少し様子が違います。つまり、
1.K13は打つ必要がないので、ここも黒地になる。
2.白2と打った場合は、将来黒3が必要となる。
従って、黒1と打った時と、白2と打った時では
黒地が8目減、白地の増加はありません。よって、8目のヨセということになります。
一線のハネツギ(黒K12、白G12が無いと、状況が異なることもあります)は何目か?

右上と左下の差です。

右上 黒地=13、白地5
左下 黒地=12、白地6

なので、出入2目です。
黒1のハネツギの大きさは何目か?

それは、上辺と下辺の差です。
黒地11から8になっているので、3目減
白地8から11になっているので、3目増
従って、黒1、或は白4は6目の手となります。

尚、想定図での、黒7〜白10の理由は
上辺で言えば、黒3以降、黒が8のところをハネツグ可能性と白が7のところをハネツグ可能性は同じ(ハネツギの権利は五分五分と言います)と見て、黒7、白8のサガリ(相場です)を想定します。
黒1、3の取りは何目か?

白4が利くか微妙ですが、利くと仮定した場合(上辺)と、白6とツイダ場合の比較になります。黒7、白8は相場として、 黒地3目減、白地3目増となり、6目の手です。
正確に言えば、黒4とハネツぐ可能性が若干あるので、6目強ということになります。
主として石の強弱を考えながら打つ中盤と異なり、ヨセはその大きさを基準に着手を選択します。
その大きさはある部分で言えば、打つ毎に小さくなります。従って、相手の打ったところを打てば、相手より小さい手を打つ可能性が高くなります。 格言着手順序決定基準は石の強弱と大きさ参照

また、ヨセをの着手選択基準で大切なことが「先手ヨセ」か「後手ヨセ」かの問題です。
「先手ヨセ」とは、白黒いずれかが一方的にヨセる権利を持っているヨセを指します。

先手後手という基準でヨセを分類すると下記の様になります。
優先順位は 1.両先手 2.片先手又は逆ヨセ 3.後手

右図で説明

A.両先手  白黒どちらから打っても先手
            黒1 (先手4目)
            白から打つ場合は白L13

B.片先手  どちらか一方のみ先手
            黒5(先手3目、白からは後手)
            白6(先手6目、黒から打つ場合は後手)              

C.逆ヨセ  相手が打つと先手のヨセを、後手を承知で打つヨセ
       逆ヨセの価値は2倍して、後手ヨセと比較する。
            下辺黒がG1と打つ前に白H1と打つ
            (逆ヨセ3目=後手ヨセ6目相当)

D.後手   白黒共後手
            黒11、白から打つ場合はN3
            (後手2目)

尚、先手ヨセや、逆ヨセが複数ある場合は、また別の選択基準が必要です。右図はそのことは考慮しないでヨセてますが、正しいヨセ順を知りたい場合はここをクリックして下さい。