ヨセに於ける「絶対計算」というのは、毎日コミュニケーションズ発行、王銘エン九段著「ヨセ・絶対計算」で始めて知りました。
著者はあとがきで日本では絶対計算を用いている人は、私をはじめとするごく少数のようですが、韓国や中国では多くの人が採用してると聞いています。と述べています。
私は絶対計算をお薦めしますが、「相対計算」=「出入計算」に於ける後手ヨセが、”二手ワンセット”だと理解出来ているのなら、別に「相対計算」を用いていただいても一向に構いません。ただ、現在の日本碁界ではこの”二手ワンセット”が忘れられ「1目」という単位の基準に混乱が生じているので、その点を整理しておく必要があります。
この本を読んで、絶対計算は理解したつもりですが、自分の理解をもっと深くする為、及び、興味を持たれた方の為に要約をしてみました。また、若干自分で付け加えた方が良いと思われる内容も追記しています。
尚、このページを作成してまもなく、王メイエンさんからsmile_aceの掲示板に投稿がありました。その掲示板は廃止していますが、投稿内容は保存してあったので、ご紹介します。
<<絶対計算目次>>
A.なぜ地を数えるのか
B.地の数え方
1.未解決部分の数え方
2.この地何目
C.「一手の価値」について
1.後手ヨセの場合
2.逆ヨセ、先手ヨセの場合
D.権利行使のタイミング
E.逆ヨセと後手ヨセの選択基準
F.コウも「一手の価値」で考える
1.コウは分母が3として計算する
2.振り替わりは「1手の価値」で判断する
表示されている碁盤はほとんどの場合変化図が含まれています。変化図は碁盤の右側にある>、>>、>1、<、<<、1<などのボタンで表示されます。そして、文中で「原図」とあるのは、これらのボタンを押されていない状態(Resetされた状態)を指します。
なぜ地を数えるのかの問いに対する答えは明確です。 それは、「お互いに、正しい着手の選択が100%ではないから」ということです。最善が対局者に判らないからです。 最善が分かっていれば、その手を打てば良いので、形勢判断は不要になります。というより、両方が分かっていれば、負ける方が投了することになります。 地を数えて、形勢判断をして、 優勢なら、 1.店じまいをする 2.味良く打つ 劣勢なら、 3.局面を複雑にしようという作戦を取る 4.多少味が悪くても、目一杯頑張った手を打とう という方針も生まれます。どんな方針で着手を決めたら良いかを知りたい為に形勢判断をするのです。 |
ヨセが完了していなくても、未解決部分が残っている状態での地を数えないと、地合いの比較、或はそれを含めての形勢判断は出来ません。 ヨセが完了していない地点の地の数える方法としては、 (予想される形に於ける地の数×実現する確率)の合計 です。 例えば、3目の地が出来る可能性が50%で5目の地が出来る可能性が50%なら、3×0.5+5×0.5=4なので、その地は4目と考える訳です。 以下、具体的に、数え方を示してみます。 余談ですが、王九段の著書では、地を数えるのに、棋力は関係ないとありますが、これは間違っていると思います。 未解決部分がある場合に、ある想定図を作って数える訳ですから、その想定図を頭の中で描く必要があり、その想定図を頭の中で描くことは、棋力が必要です。王九段は多分それを忘れているのだと思います。或は、この本を読む人は初段以下はいないと思っているのかも知れません。 同じ事は自分も誤ったことがあります。裂かれ形を避けるには、棋力が必要なのです。単に、裂かれ形は避けるべきだと知っているだけでは、避けられない様です。つまり、裂かれ形を避けるには、数手先の想定図をイメージ出来る能力が必要なのです。 だから、ヨミの訓練も必要だということです。 |
右上、左下は同じ形です。この黒地は何目と考えるかという問題です。確定しているのは黒4目ですが、取られそうになっている部分をどのように考えるかです。 <右上> 黒1と取った場合は黒地6目となります。 <右下> 白とツイだ場合は、黒地4目となります。 取る手、ツグ手、ともに後手なので、実現する可能性(確率)は同じ、つまり、50%、50%ですから、 6×0.5+4×0.5=5 つまり、右上の原図に於ける黒地は5目ということになります。 白石を黒が取るのか、白がツグのか不確定ですが、形勢判断で地の計算をする場合には、ここは黒地5目と計算する訳です。 | |
<右上> 黒先だと白2子を取れる形になっています。白先では。ツギが打てます。この段階で黒地は何目でしょうか? 黒の2眼も入れて数字を出せば、黒地4目です。 計算式={(2+4)+2}×0.5=4 以下は、計算を単純にするために既に確定している地は除いて表示します。 黒の2眼を除けば黒地2目となります。 計算式=(4+0)×0.5=2 <左下> 黒の地は(確定の2目は除いて)何目でしょうか? 答 5目 計算式 (10+0)×0.5=5 | |
<右上> 黒1で白2子を取って黒地5目が出来ます。原図の状態で、黒地は何目ですか? 答 2目 計算式 (5-1)×0.5=2 <左上> お解りかと思いますが、上記計算式で-1となっていたのは 白2と打てば白地が1目出来るからです。黒地が1目できるのではなく白地が1目出来るので、マイナス1目です。 <右下> 原図の状態で、黒地は何目ですか? 答 3目 計算式 (7-1)×0.5=3 白が打つ場合は黒の1子を取りますので、白地が1目、或は黒地-1目となります。 <左下> 原図の状態で、黒地は何目ですか? 答 1目 計算式 (4-2)×0.5=1 白が打つ場合は黒の1子を取り、地が1目出来ますので、白地が2目、或は黒地-2目となります。 | |
<おまけがついている場合の計算> 原図の状態で、右上の黒地は何目ですか? 答 3目 計算式 {(5)+(2+0)×0.5}×0.5=3 計算式の説明 黒1により5目の黒地が出来ますがこの確率は0.5です。 白2と打った場合の黒地は 黒5で2目の黒地、白6で0目の黒地が出来ますから (2+0)×0.5目=1目となり、この確率は0.5です。 | |
同様にして黒地を計算して下さい。 <右上> 黒地は何目ですか? 答 7目 計算式 {(11)+(6+0)×0.5}×0.5=7 <右下> 黒地は何目ですか? 答 3目 計算式 {(7)+(0-2)×0.5}×0.5=3 <左下> 黒地は何目ですか? 答 6目 計算式 {(10)+(5-1)×0.5}×0.5=6 | |
<半目の地の存在> 未確定の地を評価するのに、確率を使っているのですから、当然0.5という単位があっても良いのですが、具体的に示してみます。 原図の右上の不確定な部分が0.5目です。 <右上> 黒1により、1目の黒地が出来ます。 <右下> 白2により、黒地は0目になります。 両方共後手のヨセなので、優先の着手はなく、実現する確率は50%ずつで、計算式に現わすと 計算式=(1+0)×0.5 となります。 | |
<右上> 原図の状態で、黒地は何目ですか? 答 2.5目 計算式 {(5)+(0)}×0.5=2.5 <右下> 原図の状態で、黒地は何目ですか? 答 3.5目 計算式 {(8)+(-1)}×0.5=3.5 -1は左上白2で白が1目出来る為です <左下> 原図の状態で、黒地は何目ですか? 答 5.5目 計算式 {(10)+(3-1)×0.5}×0.5=5.5 何れも最終的には実現しないけど、途中の段階では存在する評価になる0.5目という端数のついた例です。 | |
<計算された未確定の地に対する評価> 今まで計算で出した地の大きさと、確定した地の大きさについては、同じ価値があるものだと認識して下さい。 <右辺> 右上の未確定の部分の地 1目 右下のN1の地 1目 で同じ価値があります。 <左辺> 左上の黒地 3.5目 左下の黒地 3.5目 です。 | |
<評価値と実際にヨセた場合の結果比較A 黒先のヨセ> 実際にヨセて見て、評価した結果と比較してみます。 この図は、未確定部分を評価した地と合わせると 黒地 確定地 28目 未確定地 12目(右上、右下、左下、左上各3目) 合計 40目 白地 確定地 39目 差引 黒1目勝ち となります。 実際に、黒先でヨセてみます。 白6までの結果は 黒地 28+12=40 白地 39 差引 黒1目勝ち つまり、評価値と実際に黒先にヨセた結果とが一致しました。 | |
<評価値と実際にヨセた場合の結果比較B 白先のヨセ>
実際に、白先でヨセてみます。 黒6までの結果は 黒地 28+12=40 白地 39 差引 黒1目勝ち つまり、 評価値と、 実際に黒先でヨセた結果と、 実際に白先でヨセた結果とが一致しました。 これは、たまたま、未確定の残った場所が4ケ所とも同じであったために出来た結果なのですが、実戦でも、ほぼ近い結果になるはずです。 |
未解決の部分での地の数え方については石を取ったりしない場合等他のケースについても説明します。基本的な評価の基準としては、五分五分なら折半で評価するということです。 |
右上の黒とその下の白の境界をどう考えるかです。 黒1、3のハネツギになる可能性と、白4、6のハネツギになる可能性は同じと考えられます。 従って、黒7、白8になると考えればよいのです。 このことを「サガリ、サガリと見る」という表現を使います。 | |
2線が未確定の場合はどう考えるか説明します。 この原図では黒1、3のハネツギの可能性と、白6、8のハネツギの可能性は同じです。そして、その後は前述の通りなので白4と黒5のサガリ、及び黒9と白10のサガリと見ます。 そして、右上の図と左上の図の実現する可能性は同じなのだから、 黒11、白12、黒13、白14と見れば良いということになります。 |
お互いの条件が五分五分の場合なら、折半という考え方で未確定部分を評価すれば良いのですが、そうでない場合は、利きのある方が優先的に打つという前提で未確定部分を評価します。 利きのある方に権利があるという表現も使われます。 |
<右上> 右上の黒地をどう考えたら良いか説明します。 (右上を考える場合、白M5、白N4は無いものとしてください) 白2の切りがあるので、サガリサガリということにはなりません。ここでは白1と打てば黒2と打つ必要があります。 そして、その状態の場合には、白4は後手になるので、黒4、白5となることが想定されます。 従って、原図の右上の黒地は9目です。 <右下> 右下の黒は何目でしょう。 黒から後手で黒6と守る手があります。この場合は、黒8が先手となります。この様な場合、黒8は黒の権利だという表現を使います。 <左上> 右下と同じ形です。 白から白11と打つ手は黒6と同様後手です。そして、白11と打ってあれば、白13が先手(白の権利)なので、黒14となります。そして、黒16は(白16が後手なので)黒の権利です。 右下の形と左上の形が出来る確率は五分五分(50%50%)なので右下の黒地12、左上の黒地9だから、原図の右下の黒地は 10.5目…(12+9)×0.5…ということになります。 | |
同様に右辺(左辺も同じ)の黒地は何目でしょう。 黒1と打った場合と、白6と打った場合とから計算します。 黒1で右辺の黒地は14目 白6で左辺の白地は9目 従って、原図の黒地は11.5目です。 尚、黒3と白地を減らすことが出来る場合は、黒1の価値が1目高まります。 | |
上辺(又は下辺)の黒地は何目でしょう。 黒3までの黒地は10目 白8までの黒地は6目(取られそうな黒1目も考慮) 従って、原図での、黒地は8目と評価します。 |
一手の価値について考えてみます。 黒1、黒3、黒5は全て後手ヨセですが、「一手の価値としては何目なのか」ということです。 <右上> 原図で右上は5目の黒地でした。ここで、黒1と打つと黒地6目となります。 従って、黒1の「一手の価値」=1目 ということになります。 出入計算では後手2目の手です。 <下辺> 原図で黒地4目です。黒3と打つと黒地は6目になりますので、 黒3の「一手の価値」=2目 ということになります。 出入計算では後手4目の手です。 <左上> 原図で(左辺の12目除く)黒地3目=(5+1)×0.5です。黒5と打つと黒地は5目になりますので、黒5の「一手の価値」=2目 ということになります。 出入計算では後手4目の手です。 <確認事項> 「一手の価値」=出入計算による手の大きさ×0.5 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
<評価値と実際にヨセた場合の結果比較A図について、それぞれ一手の価値がどうなっているか確認してみます。
黒1、3、5の一手の価値合計 5目 白2、4、6の一手の価値合計 5目 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
<評価値と実際にヨセた場合の結果比較A図について、手順ミスがあった場合に、それぞれ一手の価値がどうなっているか確認してみます。 手順ミスは、黒1は黒K13が正しい手ですが、黒1に打ったものとします。正しい手順だと黒地40目、白地39目ですが、ミス手順では、白地は変わりませんが、黒地が1目減って、39目となりました。
黒1、3、5、7の一手の価値合計 4目 白2、4、6の一手の価値合計 5目 結局一手の価値合計が1目減り、最終図でも黒地が1目減っています。 黒は黒1で一手の価値が2目の手を打つチャンスがあったのに、一手の価値が0目の手を打って、2目損をしましたが、運良く手どまりの黒7(一手の価値1目の手)を打つことが出来たので、最終的に、正しくヨセた場合より、1目しか違わなかったということになります。 |
黒1、白2は後手ヨセ、黒3は先手ヨセ、白6は後手ヨセです。 一手の価値を(後手ヨセの場合も含め)説明します。 <後手ヨセ> 黒1は1目の地を2目にしたので、1目の価値があり、白2は黒の1目の地を0目にしたのでやはり、1目の価値があることになります。 <先手ヨセ> 黒3の先手ヨセの価値はどうでしょうか。黒3のところは2目の地があって、2目の地になったのですから、黒3k一手の価値は0目だということが出来ます。単に、権利を行使したというだけのことなのです。 <逆ヨセ> 白6の逆ヨセはどうでしょうか。黒はここに2目の地を見込んでいた(2目の手は黒の権利だった)訳ですが、白6で0目になったのですから、白6の1手の価値は2目です。 | |
逆ヨセとは、相手が先手で打てるヨセ(相手の権利)を後手を承知で打つヨセを言います。 右図で言うと、 黒1と1子を取るのは白2が絶対である限り先手です。 従って、白4は逆ヨセということになります。(右上と右下は同じ形) また、白6のハネツギは白の権利です。従って、黒11の後手ハネツギは逆ヨセです。 ここで、この「権利」はどういう場合に存在するのか、別の言い方をすると、「権利の定義」は何かということですが、 権利の定義=今打った手よりも次の手が大きければ、その手は権利である <右上と右下> 白4の一手の価値は2目、黒1と打った場合に白が受けずに、黒2と打って白6子を取る手は、一手の価値として6目です。この2目と6目を比較すると6目の方が大きいので、黒1は必ず先手となり、黒の権利であると言えます。 <左下と左上> 細かい数字の表示は面倒なのでしませんが、黒と守らないと、白に切られて左下の黒地が大幅に減ります。従って、白6、8のハネツギは白の権利です。 黒11、13の後手ヨセは逆ヨセということになります。 |
先手で打つ側に打つ権利があることが分かりましたが、先手の権利を行使するタイミングが妥当でないと、権利自体が価値のないものになる可能性が生まれます。 その権利行使の妥当なタイミングとは何時かということが問題になってきます。私の場合、この時期は具体的に認識していませんでしたが、理論的には、次の様になります。 権利行使の妥当なタイミング =次の手が盤上で最大となった時 右図で説明すると、 白1、3のハネツギを権利として行使する最善の時期は 白5の切りが盤上で最大になった時 黒8の1子取りを権利として行使する最善の時期は 黒C3のキリが盤上で最大になった時 ということになります。 白1は時期尚早です。白5の切りより、黒4の方が大きいので、白1、3のハネツギに対しては、黒は手抜きをして、黒4と打ちます。 黒8の時期尚早です。黒C3のキリより白9の方が大きいので、白は白9と打ちます。 初心者の方の碁によく現れることがあります。それは、中盤でヨセを打つことです。先手の形をしていても、先手にならないはずなのに、その場所だけ見ているので、受けてしまって、先手にしてしまっているケースです。 右図で言うと、黒4を黒5と打ったり、白9を白C3と打ったりすることを示します。 |
権利を行使するタイミングについて明確になりましたが、これとは別の観点で、 逆ヨセと後手ヨセの選択基準を考えてみます。一般的には、逆ヨセの大きさを2倍して、逆ヨセと比較してみれば良いのですが、もう少し正確な判断基準があります。 それは A.先に後手ヨセを打って、相手に先手ヨセを許した場合 この場合先手は相手が握っています。 B.先に逆ヨセを打って、後手ヨセを相手に打たした場合 この場合先手は自分が握っています。 この2つのケースについて、地の得失がどうなったか判断し、 a.その得失と b.(「一手の価値」による算出方法での)残った最大のヨセの大きさ を比較し、 aの方が大きければ、Aを採用し、bの方が大きければBを採用するというものです。 右の図(上半分と、下半分は別々に見て下さい)で説明すると、 <簡便な選択基準> 黒1…後手5目 黒4…逆ヨセ3目=後手6目相当 従って逆ヨセを選択する。 <より正確な選択基準> 黒1の後手ヨセを選択するか、黒7(或は黒4)の逆ヨセを選択するかの判断は、右上の様に打った場合(後手ヨセを優先)と、右下の様に打った場合(逆ヨセ優先)では、2目(※注)の差が出ていますが、この2目と、盤上に残った「一手の価値」による算出方法での最大のヨセと比較し、 A.左上の様な一手の価値1.5目のヨセしかない場合は後手ヨセを選択。 B.左下の様な一手の価値2.5目のヨセがある場合は逆ヨセを選択。 というものです。 ※注.この2目は出来上がった地によっても確認出来ますが、 黒1が後手5目 白2のところが先手3目 なので、5−3=2 からも計算出来ます。 <まとめ> 似た様な大きさの「逆ヨセ」と「後手ヨセ」が存在している場合 1.逆ヨセを打った場合と、後手ヨセを打った場合の差を出し 2.残ったヨセに一手の価値が1の差より大きいヨセがあったら 逆ヨセを先に打つ、無かったら後手ヨセを先に打つ。 |
コウの振り替わりでは、一手の価値を基準にして、判断すると正しい判断が出来ます。このため、絶対計算を用いることになります。 半コウという言葉を聞いたことがあるでしょうか?半とは0.5のことですから、0.5目のコウということなのです。 但し、正確に言えば1/3目、2/3目ということになります。 <右上> 原図と、黒1と打った段階の図とは当然違います。 1.絶対計算での原図の黒地は1/3(3分の1)です。 2. 〃 での黒1と打った段階の黒地は2/3目です。 3.黒3と打って始めて黒は取り石を1目確保し、 1目の地となりました。 従って、原図の黒地1/3、黒1の段階2/3、黒3の段階1目となります。 通常のコウは分母が3で考えます。 今までやってきた、後手ヨセは分母が2です。 また、2段コウ(後述)は分母が4になります。 <左下> 1/3目を考える上で、この図を使っても、説明できます。 右上原図と同じものが3ケ所あります。黒5から白8で、白石を1つ取って、黒地を1目つくりました。この間の双方の手数はそれぞれ2手で、同じ手数を使っています。3ケ所あって1目出来た訳ですから、1ケ所は1/3目と考えて良い訳です。 | |
右図、コウが4ケ所あります。このコウの未解決部分の地を数えてみます。 <右上、右下 説明の為同じ形にしてあります> 黒3までで、 右上は黒が勝った状態…白地 -1目 右下は白が勝った状態…白地 5目 3手で出入り6目ですから、1手は2目になります。 従って、 白2とつないだ段階では白地5目 原図右上は白地3目、 黒1と取った段階では白地1目、 黒3とつないだ段階では白地-1目 となります。 <左下> 黒が解消した場合、黒地7目 白が解消した場合、黒地-14目 従って、1手7目なので、原図黒地は0目です。 <左上> 黒が解消した場合、黒地15目 白が解消した場合、黒地-2目 従って、1手17/3目なので、原図黒地は15-(5+2/3)目つまり、9+1/3目です。 | |
二段コウは、通常のコウが分母が3であるのに対し、分母が4です。これにより、二段コウの一手の価値を計算してみます。 下記は実戦でよく現れる二段コウの形です。右と左の形を比較して、一手の価値を計算します。 右上の形と、左下の形と比較すると左に対して、右の白地は 8+10+2-1=19目 減少しています。 〃 黒地は 8+6+3=17目 増加しています。 従って、出入り36目、4で割ると、1手の価値が9目ということになります。 |
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コウダテの大きさの基準(コウの振り替わりの判断基準)としては、「コウの大きさの2/3の大きさ」という基準があります。 これは、1手の価値で説明すると下記の様になります。 白が右下のコウを取って来ました。黒は黒2とコウダテをしました。白15までが黒の権利になるとすれば、上辺は出入り18目(黒地増7目、白地減11目)となり、一手の価値は9目となります。また、コウを取る一手の価値は既に計算したと通り、7目(出入り21目)ですから、黒の方が有利な取引をしたことになります。 一手の価値が同じのコウダテということになると、出入り14目のコウダテ になりますが、この大きさは、コウの出入り計算21目の2/3になっています。 一手の価値を算出する公式をまとめてみると以下の様になります。
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以上です。 王九段の書籍にはこれ以外に錯覚の是正、いつ当確を打つか、当確を出すための公式、実戦におけるヨセの研究などがありますが、ここでは触れないことにします。興味がある方は、「ヨセ・絶対計算」を読んでみてください。 |
メイエンさんの投稿内容
メイエンさんのご指摘を完全に生かしきれず、この投稿を貰ってから、一部のページを削除しましたので、私の説明と、下記の指摘はピンと来ないと思いますが、メイエンさんの投稿をそのまま掲載します。
ご意見コーナー に投稿がありました。
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TIME : 2004/08/29(Sun) 16:04
NAME : メイエン
EMAIL: <ou_meien@プロバイダーは消しておきました.co.jp>
TITLE: ご苦労様
メイエンです。絶対計算にこんなに熱心に取り組んでいるのを見て、思わずお礼のメールというところです。
一つだけ、補足することがあります。冒頭に引用して頂いた >なぜ地を数えるのかの問いに対する答えは明確です。 それは、「お互いに、正しい着手の選択が100%ではないから」ということです。最善が対局者に判らないからです。 最善が分かっていれば、その手を打てば良いので、形勢判断は不要になります。というより、両方が分かっていれば、負ける方が投了することになります。
以上はまさに重要なところですが。そういう意味で、
「碁が最後どうなる」のと「今どう数えるべき」かというのは 「まったく別な問題」 です。いままでのヨセの研究は「最後どうなる」に焦点を当ててきたために。「いまどう数える」を論じたのが本書です。
そういう意味で、「最後こうなったので、その時点こうする方が正しい」(或いは正しくない)という風には考えないべきだと思います。
つまり、目算する時点で、基本的には「正しくヨセる」ことをあきらめている、ということが言えるのです。
簡単ですが、お邪魔しました。