16 | 天保13年11月29日 | 1842 | 先相先 | 先番 葛野忠左衛門 | 本因坊秀和 | 白中押 | 少年時代のライバル | B |
秀和の少年時代のライバルは葛野(かどの)忠左衛門ということである。葛野という苗字は丈和の若いころのもので、この人は丈和の実子である。4段まで秀和と同月同日に昇段している。名前が何度も変わっていると福井九段の解説にある。 12歳に剃髪して道和、20歳で還俗して葛野忠左衛門、23歳で水谷家養子となり水谷順策、26歳で井上家跡目となり井上秀徹、28歳で井上家12世として井上因碩、30歳で引退して節山。引退したきっかけは門入を切り殺したことによるということである。37歳で死んでいる。眼病を患って対局出来なかったこともあったらしく、丈和の実子として波乱の一生であった。 1820年の生まれというのだから、秀和と同じ歳に生まれたにも拘わらず、秀和に本因坊家の跡目を継がれた。丈和の実子としては悔しい思いをしたのだろう。 |
smile_aceがまず棋譜を見て感じたことを左の碁盤の下の余白に表示してみました。>(前進)や<(後退)で動かして下さい。 そして、 「古典名局選集 堅塁秀和 解説 福井正明」 を参考に変化図も加えて 鑑賞ファィル を作ってみました。 左の碁盤では変化図を表示することが出来ないので、変化図や解説者の解説を見る為に、出来るだけPocketGobanで鑑賞ファィルを見ることをお薦めします。 smile_aceの感想は解説者の解説を見る前と見た後にあり、どちらか分かる様にしています。 両方見ると、smile_aceの棋力が分かるかも知れません。 「***smile_ace感想」は解説者の解説を見る前の感想です。 「***smile_aceコメント」は解説者の解説を見た後の感想です。 ご意見、ご質問等を是非 smile_aceの囲碁のページ メッセージボード に残して下さい。必ず返事をします。 |
17 | 天保13年12月31日 | 1842 | 先相先 | 先番 太田 雄蔵 | 本因坊秀和 | 黒1目 | 白の石をさんざん取ってやっと一目勝ち | B |
雄蔵が秀和の石を沢山取って圧勝という感じだが、結局1目勝ち。コミ碁では白の楽勝ということになる。秀和の面目躍如という碁だと思った。 秀和は遺譜六百有余局あるが、雄蔵との碁は百三十局あまりとなっている。本局は秀和22歳、雄蔵35歳の時の対局で、この時は雄蔵の定先と先相先を行ったり来たりしていた。雄蔵は追い越されて以来、一度も互先になったことがない。 雄蔵は秀和にはたちまち追い越されたが、秀策には善戦している。碁風の噛み合せ(福井九段の解説)だろうか。 |
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18 | 天保14年4月2日 | 1843 | 先相先 | 先番 太田 雄蔵 | 本因坊秀和 | 白2目目 | 常人の及ばない、巨匠の戦慄すべき自信の白38 | A |
本局は、村瀬秀甫のコメントに「白30より38までの手は秀和においては着手すべきも規範とはならず。もし、他人にありてこのような手を下すは必ず敗を取るべし。」とある有名な碁である。あましの碁の典型として、現代では趙治勲25世本因坊に受け継がれているのだろうか。 秀甫は雄蔵の碁を評して、「雄蔵は手の見えることは算知に及ばぬが、碁振りが大きく石配りがよかった」としている。また、雄蔵は、算知、仙得と組んでの連碁で算知を評して「我ら深意の手段を算知心無く打ち崩す故敗を取れり。実に算知は盲人同様なり」と大いに立腹したという。「雄蔵は味と含みを大事にし、算知は形を決める碁であった。」とは、この逸話に対する杉内九段の解説である。 |
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19 | 天保14年12月13日 | 1843 | 互先 | 先番 安井 算知 | 本因坊秀和 | 白2目 | 平行隅の両ジマリを許した唯一の碁 | A |
この碁は両者7段、算知が互先に盛り返した時の一局。盛り返した後の互先の碁は秀和の4連勝だとのことである。
杉内九段の解説 両ジマリという黒にとって簡明な布石をあえて取りながら、百手前後の時点で白がいつの間にか抜き去ってという点に、広い意味での力量の差を感じないわけにはいかない。 |
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20 | 天保15年2月15日 | 1844 | 先 | 桑原 秀策 | 本因坊秀和 | 持碁 | 秀和25歳7段、秀策16歳4段の時の青春譜 | A |
秀策は、丈和をして「まさに150年来の碁豪である。わが門風は大いに上がるであろう」と言わしめた。 9歳違いの弟弟子との対局は2子局1勝1敗、白番5勝17敗1持碁2打掛。入門から秀策の死までずっと見てきた秀和が秀策の死を迎えた時の気持ちを考えると、いつも、万感の思いになる。 |
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