古典棋譜鑑賞 秀和01

01天保8年12月7日 1837 先相先 先番 安井 俊哲 土屋 秀和 白2目 序盤の失着を着々と盛り返しついに抜き去った白の好局
 算知・秀和局は前年の天保7年から始まり、20局を消化して、秀和先相先に進んだ。  本局はその初番、秀和始めての白である。秀和は10歳年上の先輩算知に対し臆せず立ち向かっている。算知は秀和の当面の目標でもあった。
 算知は知得の長男で父の慎厳な棋風に似ず豪放で、その力戦ぶりは古今無双をうたわれた。
 算知との遺譜は133局あり、秀和定先でスタートし算知を先二まで打ち込んでいるが、全盛期の秀和に、一度でも互先に盛り返した棋士は算知だけである。
 本局は秀和が序盤の失着を後半に着々と盛り返しついに抜き去った白の好局であった。  
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そして、

「日本囲碁大系 第14巻 秀和 解説 杉内雅男」

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古典棋譜鑑賞 秀和02

02天保9年1月22日 1838 安井 算知 土屋 秀和 黒中押 囲碁史に残る激戦、算知との互先初番 
 前年の12月に先相先の手合いに変わり、また1ケ月半後に互先となった。算知7段、秀和5段では通常定先であるから算知の屈辱がしのばれる。算知必死の先番でその豪腕ぶりをいかんなく発揮した。
 本局は、黒89の段階で黒が容易ならざる形勢となったが、黒97以降算知の強力で逆転する。逆転後の秀和の反撃も素晴らしく、出入り120目のコウに負けても、出入り140目の攻め合いを持って行き、あわやというところまで頑張ったが、305手で黒中押し勝ちとなった。囲碁史に残る記念碑的な激戦であった。

 安井算知は秀和(本局の時点では土屋恒太郎)より10歳年上で、当時は本因坊家は本所相生町、安井家は両国薬研堀にあった。(近所になる)元丈、知得以来両家は親密な間柄にあったらしく、少年時代の算知は相生町に赴いて腕を磨いたといわれる。
 このような関係であったから、恒太郎が俊哲(算知)を目標にし、兄に近い気持ちを抱いていたとしても不思議ではなかろう。
 算知は父知得とは反対の力の碁の棋風、秀和は師丈和の力戦型に似ない、計算の碁。師の棋風が弟子に受け継がれないのは今昔を問わない。
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古典棋譜鑑賞 秀和03

03天保9年5月18日 1838 先相先 先番 土屋 秀和 坂口虎次郎 黒5目 不明の碁に於ける秀和の終盤の二枚腰
坂口虎次郎後の、坂口仙得は天保4傑の一人。本局は、仙得7段昇段の年の作品。僅かにリードしていた黒の有利が失われつつある時に、秀和の終盤の二枚腰が発揮された。
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古典棋譜鑑賞 秀和04

04天保9年8月19日 1838 互先 先番 土屋 秀和 服部 雄節 黒中押 秀和の星打ち
 福井九段の解説に「入門して10年、秀和の碁風も固まってきた。実利に辛く、局面を狭くして先番の功を守り抜く。この碁も、白の楽しみを左辺の一団への攻めに限定し、そして、殆ど不安のない形だ。」とある。実際には、そう簡単ではないけれど、先番だとこんなに簡単に勝てるものなのか、と感じてしまった。
 また、5手目の星、星からの一間シマリはこの時代においては画期的な形であるとのことだが、秀和に、ある親近感を覚えさせる。
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「古典名局選集 堅塁秀和 解説 福井正明」

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古典棋譜鑑賞 秀和05

05天保10年1月12日 1839 先二 先番 土屋 秀和 本因坊丈和 黒3目 秀和の出藍秘譜 AB
 本局は坊門の麒麟児秀和が師の胸を借りて懸命に打った。黒の好局である。 足が遅くとも手厚く打っているのはヨセに自信があるからであろう。このとき丈和53歳、秀和20歳。
 丈和は名人退隠を迫られる恐れが生じていたが、争碁の相手となるであろう井上因碩に実力で立ち向かう棋士として秀和に期待し、本局でその力量に満足したということである。
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「日本囲碁大系 第14巻 秀和 解説 杉内雅男」
「古典名局選集 堅塁秀和 解説 福井正明」

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