古典棋譜鑑賞 丈和26

26文政10年1月20日 1827 2子 関山虎之助 本因坊丈和 文武百般に通ずるアマチュアの鑑、のちの関山仙太夫との2子局 黒5目勝
関山仙太夫は、信州松代藩、真田家に仕えて、知行百石。はじめ本因坊烈元に師事し、16歳で初段を許されたが、武芸未熟を同僚に罵られて一念発起し、文武百般に通じてから、また碁に戻った。アマチュアの鑑というべき人物。1783年生まれなので、丈和より4歳年下になる。
丈和との対局は5局の遺譜があって、3子1勝、2子3勝1打掛、つまり、置碁ではあるが丈和に負けていないということで、実力5段というアマチュアとしては最高の実力であったと思われる。 古典棋譜の解説によく仙太夫のコメントが出てくるが、多くの著作があり、それらからの引用らしい。
多くの著作は棋道熱心の表れであり、「なまじのプロよりは勉強している現今のアマチュアと共通したところがある。」という藤沢九段のコメントは、勉強熱心という感じを受けない藤沢九段が、現今のプロの不勉強を嘆いているようで、なかなか面白い。
天保2年(1831年)に帰国してよりは中央との接触も途絶えていたが、高名を聞いて、仙太夫が嘉永4年(1851年仙太夫68歳)に本因坊跡目秀策を招請し、20日間で20局の対局が実現した。結果は仙太夫の先で7勝13敗の成績だった。その中には妙碁と称すべきもの2局ありとは、秀策の評である。秀策の帰国にあたり、長年この為に準備したとして、20両を秀策に贈ったという。smile_aceの胸にぐっと来る逸話である。
日本囲碁大系に仙太夫の巻が無いが、秀策の巻に棋譜があり楽しみである。ただ、1局だけなのは残念な気がする。他の巻で仙太夫の棋譜があることを願う。
smile_aceがまず棋譜を見て感じたことを左の碁盤の下の余白に表示してみました。>(前進)や<(後退)で動かして下さい。

この碁は、

日本囲碁大系 第10巻 丈和 解説 藤沢秀行九段

に棋譜と解説があり、それを参考に変化図も加えて 鑑賞ファィル を作ってみました。 PocketGobanでご覧下さい。

左の碁盤では変化図を表示することが出来ないので、出来るだけPocketGobanで鑑賞ファィルを見ることをお薦めします。

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古典棋譜鑑賞 丈和27

27文政10年11月17日 1827 先 本因坊丈和 林元美 林家に於いて、一頭地を抜く存在の林元美との互先の丈和先番の碁である。元美は丈和の名人碁所就任に大きな役割を果たしている。 黒中押勝
元美は安永7年(1778年)水戸藩士の家に生まれ、本因坊烈元に師事し、12歳で初段を許されている。
丈和との遺譜は6局で丈和の4章敗1持碁で、本局は最終局となっている。丈和より9歳年上になる。
元美は林家中興の祖と呼ばれ準名人ら進んだが、碁技より著作活動に大きな足跡を残し囲碁史上第一の博学として名高い。
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日本囲碁大系 第10巻 丈和 解説 藤沢秀行九段

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古典棋譜鑑賞 丈和28

28文政11年8月9日 1828 先 服部雄節 本因坊丈和 名門服部家の跡目の雄節との碁。。もっと熱戦の碁をみたいものだ。 白中押勝
雄節は対局時点で27歳、6段である。丈和より14歳年下になる。 遺譜では文政4年に2子で初手合い、雄節先では分が悪く3連敗しており、本局は最終局である。 藤沢九段の選局では最終局ということでの選択だったのだろうか。
smile_aceがまず棋譜を見て感じたことを左の碁盤の下の余白に表示してみました。その感想は結構見当外れで笑えます。どんなところが見当外れなのかは、鑑賞ファィルを見ると分かります。

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古典棋譜鑑賞 丈和29

29文政12年11月17日 1829 2子 安井俊哲 本因坊 丈和 俊哲は後年の安井算知で、文政8年安井家の跡目となった。俊哲も碁史に残る豪腕で、すざましいねじりあいが見もの。 白1目勝
俊哲は8世仙知(知得)の長男で本局の当時は20歳、4段である。
部屋住み時代は、道楽者で、御城碁の前夜に酔いつぶれて周囲の人々に心配をかけたことも、一二度ではなかったというが、仙知は一切何も言わず、ただ見苦しい負け方をした時だけ厳しく叱ったそうだ。
また、算知は御城碁を33年間に42局打っており、本因坊烈元の46局に次ぐ記録である。
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日本囲碁大系 第10巻 丈和 解説 藤沢秀行九段

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古典棋譜鑑賞 丈和30

30天保2年1月6日 1831 先 木谷琢順 本因坊丈和 名人碁所を許される直前の兄弟弟子琢順との対局 白10目勝
琢順は元丈の弟子で本局の頃は6段。丈和が名人碁所になったのはこの碁の2ケ月後の3月である。
遺譜では本局が最終譜で、初手合いは1811年。当初は互先だったが、除々に琢順が打ち込まれた。琢順先番、丈和先番の成績は、それぞれ丈和側から、7勝3敗1打掛、3勝であった。
碁は藤沢九段の言葉を借りると、「部分的には琢順も力を見せるが、丈和の大局観にはついていけないらしい。」という言葉にある様に、丈和の意のままに打ちまわされているという感じである。
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