<着手の順序>
手の大きさの順だと言われます。
それは正しいでしょうか?
もし、手の大きさのみの要素なら、手の大きさだけ分かれば着手が決められることになります。
答えはNoです。
<着手の順序を決める要素>
1.石の強弱
2.手の大きさ
です。重要なのは、石の強弱なんですが、ここでは分けて説明します。
<手の大きさについて>
初中級者の場合、石の強弱の要素がない場合ても、正しく着手されてません。
原因は、手の大きさが分からないということもありますが、「上手に着手が引きずられる」ということが大きい様です。
ここで、碁盤の上に、ある想定をして、何目の手の着手点があるか決めて、説明してみましょう。
尚、参考として、ヨセの手の大きさについては、格言「寄せは両先手、片先手、後手の順」で説明しています。
<想定した手の大きさ>
右上 10目
5目(10目の手が打たれた後に残った手)
2目(5目の手が打たれた後に残った手)
右下 12目
8目
4目
1目
左上 7目
3目
左下 11目
9目
6目
こうなっているとしますと、
黒右下12目 白左下11目 黒右上10目 白左下9目 黒右下8目
左上白7目・・・
と着手するのが妥当ですね。(石の強弱は考えない)
でも、仮に、こうなっていても、初級者と上級者が対局すると、上級者が大きい手を打ち、初級者が小さい手を打つのが通例です。
<手の大きさの分布>
ここで、注目して欲しいのは、碁盤を上の様にセクションで分けると、そのセクション毎では、手の大きさが段々小さくなることです。(多少の例外はありますが、一般的にはこうなります)
つまり、上級者の着手点の近くに着手すると、その上級者の手より、殆どの場合小さい手を打つことになります。このことから、上級者、或は対局相手の着手点でなく、新天地に着手することが必要となります。
<石の強弱の要素>
手の大きさの分布ということ以外に、石の強弱という要素があり、このことが、着手を決める難しさを、数倍化しています。
弱い石を作るなと良く言われますが、こんなところに大きな原因があります。
石の強弱の要素が少ない場合は、手の大きさの分布を思い出し、相手に追随することなく、大きな手から着手して下さい。
<実戦例> 右図は実戦例です。 左下の黒2子、白2子はまだ石の強弱が決まってないですが、ここは白番でした。どう打つかと見ていると、というより「2目の頭は見ずにハネよ」なんだから、どっちをはねるのか見ていると、どっちもハネずにJ3に打ちました。白は私の指導を受けている人なんです。もう信じられなくて、泣けてきました。後で、理由を聞くと、そんなハネで地合いが釣り合いますかという返事。なんだ、全然分かっていないのだ。ということがわかりました。 何で?何で? 悲しいですね。 しょうがないのですね。大人は自分の価値判断を捨てないから。間違っている価値判断も、正しい価値判断も両方捨てない。簡単に言うと頭が固い。(失礼、それは大人の特徴だから仕方ないのかな。) ここは2目の頭を白1とハネルと、どうなるかやってみましょう。 白3が来ると、左上の黒が死にます。だから、白1は決して、地合いが取れない手ではありません。左上死んだら碁は終わりですから、終わってはいけないので、必ず黒が生きる手を入れてきます。そうしたら、当然J3は白が打てるわけです。 |