小田原建築探偵〜大阪万博編      
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ラオス館part3〜ラオス館の今〜10  2006.09


ラオス館移築迄

山崎氏の苦労の甲斐あって無事万博会場
に仏像を奉る事が出来たが世界平和同願
会の基盤は未だ途上であったと言う。

この時の昭和寺は未だ本堂は出来上がって
いなかったし資金的にも建立は厳しいもの
だったそうだ。

そこで山崎氏が考えたのは万博閉幕後取り
壊すことになっていたパビリオンのひとつを
譲り受けて移築することだった。

山崎氏は回想する。

「開幕中の6月下旬に万博会場に行き建物を
物色し本部事務所にて設計図を見せてもら
っていた処、ラオス館が八間四面で廻り廊下
があり東南西北に階段と入口があるのに気
がついた。これは観音の普門示現の精神に
一致すると直感した。

ラオス館に行ってみると大きさも手頃で形も
色も軒先の木彫りの飾りもさすがにラオスの
由緒ある経蔵を復元したものとして見事であ
った。

そこで早速ラオス館の副館長ウドム・ラタナ
ヴォン氏に会い会場西口法輪閣苑内に安置
してある観音像を安置する本堂としたい旨を
伝えた。

するとラオス国は貧しい国だから万博に参加
した費用も重荷になっている。その点諏訪市
は精密機械工業で裕福のようだから建築費
の半分位だして欲しいと言われた。

この事業は諏訪市とは関係なく民間の有志が
浄財を募って世界平和のためを思ってしてい
るのでこちらも貧乏です。

仮に無償で寄付して頂いても解体、運搬、建
築費等の費用を合計すれば新築と変らない
資金が要ります。世界平和の為に50万円の
お礼で頂けないでしょうかと素直に頼んだ。

「それは我々で決められることではありませ
ぬ。幸い国王と大臣が8月10日から15日
の間に万博会場に来られるので、その前に
東京西麻布の大使館へ行かれて大使に直
接話されては如何ですか」と言われた。

7月中旬にラオス大使館に行って直接大使
にお話した。大使もウドム氏と同様な事を
言われるので半ば諦めて諏訪に帰ったの
である。

すると8月20日頃ラオス大使館から「国王が
貴会の希望を承諾されて50万円でお譲りす
る事が決まりました。」との電話が入った。半
ば諦めていたことだったので飛び上がらんば
かりに喜んだ。」

閉幕後解体される予定だった殆どのパビリオ
ン。解体、移築にも高額な費用が掛かるので、
かなりの低価格、例えばアメリカ館は10円とい
う金額で移築に応じるとの話があったとも聞く。
それでも費用の大きさから多くが断念されたそ
うだ。

北海道石狩に移築されたスカンジナビア館
はタダ同然だったと聴く。ラオス館が応じた当
時の金額50万円と言う数字は意外と高いの
ではとの印象を受けた。