側面の死角 -車線変更時の注意点- |
走行中のクルマ同士の事故には、信号無視等、種々の原因が指摘されるところではあるが突き詰めれば
「見えない=居ない」の強引な判断が裏目に出た例が多いのである。速度 = 距離 / 時間 だから、速度が
大きくなると時間が短くなる。時間が短くなれば当然の事ながら運転操作が煩雑になってくるので、後方
確認が疎かになる傾向がある。まれに、後続車からのパッシング(ヘッドライト点滅による「車線を譲れ」
というサイン)を散々浴びせられているのに気付かない初心者を見かけるが、多分この初心者は後方に気を
配ってはいないはずである。
30km/h以上での通常走行時における車線変更、或いは高速道路の本線への進入は、特に注意を要する。
下図は、二車線の直線道を描いた図である。自車は左側の走行車線を巡航していたが、前方に低速車を発見
したため、追越車線に移るべきと判断したとする。
ここで忘れてならないのが、ⅢおよびⅥの位置は死角となる点である。
たとえ、後方視野(バックミラー及びサイドミラーの視野を両方とも含む)に他車が認められない場合でも、
実際は、元から追越車線を走行している高速車が ①~② の範囲に居る場合が多い。
もしもこのような状況で、自車が方向指示器(ウインカー)を点けても、遠方を注視している高速車は
自車の意思表示を見逃すか、走行車線を巡航中のクルマの意思を無視する場合が多い。
(高速走行では進路がふらつく傾向が有るので、大概は遠方を注視する事でハンドル操作を安定させている。
要するに高速走行時は自分の事で手いっぱい)
もし、高速車の意向を汲まずに自車が車線変更を強行したとすれば、③ の位置で自車と高速車が接触事故
を起こす。
この様な、接触事故を防ぐには、方向指示器(ウインカー)を点けた後、必ず横を向いて側方視野から
高速車の有無を確認する必要がある。(初心者の場合、交差点での一時停止では横を確認するが、走行中は
サイドミラー及び側方視野に気を配らない傾向が有るようだ。これは非常に危険である)
上図は自車と高速車の相対位置を示した写真だが、この範囲に高速車(他車)が居ても後方視界に入らない
ので注意する。ここに他車が居る時は、事故防止のため車線変更をしてはならない。
追越車線から走行車線に戻る場合も同様に、後方視野を確認後、方向指示器(ウインカー)を点け、
左側の側方視野にバイク等が無い事を確認した後に車線変更を実施しなければならない。(左折時も同様)