面子が捨てられなかった馬の意地

 水平対抗の唯一の僚友、アルファ・ロメオもグランド・エフェクトを前にして、180゜V型12気筒60゜

に圧し折った。ブラバムゴードン・マーレーは、この 60゜V型12気筒を載せたウィング・カーBT-48

開発したが、例によってペーパー・クラフトのようなデザインは変らなかった。

 しかし本家フェラーリは、水平対抗(180゜V型12気筒) によるウィング・カーを提案した。これは、後に

126C として生を受ける1.5リッターのターボ付きエンジンを開発してる最中で、資金にゆとりが無かった

ためである。しかしV6ターボが完成すれば、折角の水平対抗はお蔵入りになるわけだから、フォルギレーリ

とすれば、正に背水の陣だったことだろう。

Ferrari 312T4

 先端に独立した1枚物のウィングを持つ点がフェラーリの面影を残す。しかし1979年の最初の2レースを

戦った312T3 と、今度のウィング・カー 312T4 は、エンジンとミッションを除けば共通点は何も無く、

特徴的な前方の形状に至っては、他のどのクルマとも似てはいない。

(Fulcrum 著)