CDG ウイングの効果
最近のF1にはオーバーテーク・シーンが少なくなって久しいが、このお陰で観客の動員数が減少している事態を受けて、
FIAが 2008年より導入しようとしている車両規則が、周知の CDG (Centerline Downwash Generating) である。
従来のリヤウイングは、タイヤとタイヤに挟まれた位置に有って、車両の真後ろには下から上に乱気流が巻き上がる。
従来モデルにおける気流概略図
舞い上がる乱気流が、後続車に充分なダウンフォースを与えないので、追っ手にとって不利 との見方から、
対策として車両の中央にウィングを設けなければ、後続車の空力を確保できる。 それが CDG 導入の理由だそうだ。
後輪の真後ろにリアウイングを設けたCDGモデルでは、自分自身のダウンフォースを従来並みに確保できるのか
という問題について検討してみた。
余談だが、電子部品の中で熱に弱い部品といえばトランジスターが代表格だが、温度環境に最も敏感なトランジスターこそ
一番の発熱源だという例と同様に、羽根は整流環境にあって初めて揚力を発生する空力部品でありながら、その後の気流を
掻き乱す最たる元凶でもある。
モデルの詳細
今回の解析では、本題を明確にする目的で、車両全体ではなく、タイヤ及びウィングのみをモデル化した。
タイヤモデルでは、タイヤ直径:660mm、タイヤ幅:380mm これは 2007年現在のリアタイヤにおけるサイズである。
ウィングモデルにはタイヤが無く、ウィングのみの理想状態とする。
タイヤの回転数は 1447 rpm とする。 これは車両が 50 m/s (180 km/h) で走る場合に相当する。
気流の条件は両モデルとも共通で、正面から流れてくる気流は 50 m/s (180 km/h) の整流とする。
また、気流と同じく地面も 50 m/s (180 km/h) で、気流と同方向に移動する。
(Fulcrum 著)