解析結果の比較
結論として、CDGは後続車に やさしい かもしれないが、CDG車自身のダウンフォースは相当小さくなるようである。
下図に示す静圧分布図は、共通の表示レンジを用いているため、タイヤモデルとウィングモデルを単純に比較できる。
ウィングモデルの静圧分布 (差圧表示)
タイヤモデルの静圧分布 (差圧表示)
最大負圧 (絶対値) ウィングモデル: 2062 Pa タイヤモデル: 2029 Pa
最大負圧の絶対値にも差があるが、それよりも最大負圧を示す青い領域の面積を比較すると、タイヤモデルが如何に
不利か想像がつく。 なにしろこの負圧こそ何を隠そう、「下から引っ張り下げる力」そのものなのだ。
更に水色の領域を比べると、タイヤモデルにおけるセカンド・エレメント(後側の立っている羽根)は、あまり利いていない。
また、羽根の表側に発生する正圧(黄色の面積)が小さい事から、タイヤモデルの方はウィングモデルに比べて、
「上から押し付ける力」も「引っ張り下げる力」と同様に小さいと考える。
よって、この結果を見る限り、CDG車は従来車に比べてダウンフォースを得にくいと考える。
しかしそれにしても、この違いはなぜ生まれるのだろうか? もう一度 と比較しながら
見ていくとしよう。 タイヤを時計に見立てると、1時〜3時近傍の気流の傾向を比較すると合点がいく。
タイヤモデルの気流概略図
上図において、1時〜3時近傍の気流の傾向は、タイヤが発生する下向きの気流に引っ張られて、ウイング近傍の気流が
大きく剥離しているのが解かる。 それに対し、ウィングモデルの気流は、きちんと羽根の表裏を舐めている。
ウィングモデルの気流概略図
ここで再度、従来車による全体解析の結果と比較する。
下図では、 黄緑:33 〜 38.5 m/s 黄色:38.5 〜44 m/s 橙色:44 〜 49.5 m/s である。
従来車における気流概略図
何も無いに比べると、インダクション・ボックスの陰になる分だけ流速が落ちるが、傾向はウィングモデルと大差は無い。
そこに持って行くと、タイヤモデルにおける1時〜3時近傍の流速は、10 m/s 程度に留まっている。
参考のために、タイヤモデルとウィングモデルの流速分布図を添付する。
両者の違いは歴然としている。 CDG車のコーナーリング速度は、今と比べ物にならないほど落ちるか、最悪の場合は、
ツルッと滑って大事故になるのか、難しいところだと考える。
(Fulcrum著)