解析結果
ノーマル3Dウイング(FW−24型) における、各部の静圧分布 共通条件 走行速度:180 km/h下図はゲージ圧(相対圧)を示した図であり、緑部を標準気圧(相対 0気圧)とすると、赤部が正圧、つまり
面を押す作用をする事を示す。同様に青部が負圧、つまり面を引っ張る、もしくは吸うように作用する事を示す。
とすると、深緑、水色、青、紺の領域で揚力が発生していると考える。 また、黄、赤、橙、桃の領域でドラッグが
発生していると考える。しかし、ウィングの上面に発生する正圧はダウン・フォースとして作用している点を
忘れるわけにいかない。
注) 表題に「各部の静圧分布」と謳っているので特段の誤解は無いと思うが、厳密には俗に「空気抵抗」と
言われる成分は、「静圧分布」ではなく「動圧分布」で評価すべきである。(ピトー管の計測方法と同様に、
「動圧」とは「全圧」から「静圧」を差し引いた残りの成分である)
従って、重箱の隅をつつくならば、ここに掲げる「静圧分布」で「正圧」を評価すると、測定値に多少なりと
誤差が目立つが、大雑把な分布は間違ってはいない。(以下、全て同様)
中央断面
(相対圧)
サイド・ポンツーン断面(相対圧)
前輪中央断面
(相対圧)
考察
毎年、日本列島を襲う台風であるが、統計によると 1934年/9月に室戸岬で 911 hPa という記録はある。
しかし、それ以降は 1961年/9月に室戸岬で 925 hPa が観測史上最大らしい。この時の最大風速が 66.7 m/s
最大瞬間風速:84.5 m/s という値を念頭に置いて欲しい。見方によっては、仮に標準気圧を 1015 hPa と定義すると
その差、つまり相対圧は高々 90 hPa という事になる。また、その台風の直径を 100 Km とすれば、気圧の変化率は
0.002 hPa/m に至らない。
ところで上図において、車体の後方に尾を引く深緑の領域は1mくらいしか無いが、この領域に鼻を突っ込まないと
後続車両はスリップ・ストリームであるとかドラフティングの恩恵に与れないのかというと、けしてそうではない。
なにしろデフューザー直後の近傍では、驚くべき事に気圧が 2 hPa/m も変化する環境なのである。
(Fulcrum 著)