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ドイツ軍の重戦車「ティーガー」へ攻撃するも装甲を貫通できなかった場面。
ティーガーの主砲は「56口径88ミリ砲」。攻撃、防御ともに単純なスペック比較ではT-34よりも強力であった。
■戦車と装甲(防御力)
----アリサ:あ・・・!
ハンナ:どうした?突然?
----アリサ: はい、今、お話されたとおり、T-34/85の大砲は強力とのことですが、
それでもドイツ戦車に跳ね返されたことがあると聞いたことを思い出しまして。
ハンナ:そのドイツ戦車は「ティーガー」じゃないかな?、奴の前面の装甲の厚さは10cmくらいはあるんだ。
さっき話しただろう、徹甲榴弾なら500mまで近づけば厚さ10cmの装甲はぶち抜ける。
逆に言うと、そこまで近づかないと貫通できないってことさ。
----アリサ: はぁ…、今の戦車は大砲もすさまじいですが、装甲も半端ではないんですね。
T-34はどのくらいの装甲を持っているのですか?
ハンナ:車体の前面で厚さ4.5cm。
----アリサ: あれ?、ティーガーの半分以下?
ハンナ:そうさ。ところがどっこい、これが厚さ9cmと同レベルの防御力を持ってるんだ。何故だかわかるかい?
----アリサ:えーっと「それいけロシア女子戦車小隊」15冊分が30冊分になるんですよね?
(・・・才谷屋さんが2倍描く・・・そんなわけあるはずないか・・・)
ハンナ:おいおい、時々わからない例えをするのやめようよ・・・
答えは、「装甲板が斜めだから」です!、これに気付いた人を尊敬するね。
----アリサ:なるほどー、そうだったんですか!
ハンナ:ホントにわかってる?
----アリサ:この斜めは、カッコ良さを追求したものだとばかり思ってました。
ハンナ:あはぁ、理屈はわかってないみたいだなあ…
でも、お前さんの言うこともあながち間違いじゃないんだろうな。性能が優れたものは自ずとカッコ良くなる、機能美ってやつかもね。
「傾斜装甲(右図)」を用いることで薄い装甲板でも実質的な装甲厚(黄色矢印)を
より厚い装甲板(左図)と同等にできる。
また第二次世界大戦当時の砲弾の性能においては、被弾の衝撃を逸らす効果も期待できた。
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ハンナ:ともかく装甲板が傾斜していることで実質的な防御力が強くなる、これはT-34の大きな強み。
----アリサ:しかも、装甲が薄くてすむなら軽量化でき、移動力も犠牲にならない!
ハンナ:いや、それは考えが足らん。お前さん、詰めが甘いようだね。
装甲が斜めになるからには、その分だけ装甲板の面積が大きくなるから単純に軽くなるってわけでもないんだ。
----アリサ:くぅ〜。
ハンナ:そんな気を落としなさんなって。
実際にT-34/85はティーガーよりも25トンほども軽いんだ。
それにT-34は機動性能も優れているんだよ。
----アリサ:「走って良し」は戦車の強さの条件の一つでしたね。
■戦車と機動力
----アリサ:それでT-34は移動力の面ではどうなんですか?
ハンナ:移動力か…この場合は「機動力」って言葉を使おう。
ハンナ:T-34の最高速度は時速で55km、とは言っても整備された道での話だがね。
戦場では時速20〜30kmくらいさ。
でも、これはドイツの戦車と比べて負けてないよ。
----アリサ: 今の世の中、スピードが命ですものね!、記者と一緒だわ。
ハンナ:そうそう。
今、うちらは破竹の勢いでドイツ軍を破って西へ進んでるだろ? この戦車のスピードは、それに一役買ってると思うねぇ。
ハンナ:ところで、もう一つ機動力を左右する重要なポイントがあるんだ。わかるかな?
ヒント…スピードとは別の要素さ。
----アリサ: …ま、またクイズですかぁ?…(ボケを考える身にもなってくださいよ)
ハンナ:ボケんでよろしい!
----アリサ: わかりました、では真面目に答えます!
低燃費であることです!、少ない燃料で長距離を走れれば機動力が高いと言えます!
ハンナ:当たり…よく分ったなぁ〜。
----アリサ:…すいません、ボケはありません。
ハンナ:…(スルーしとくか)
ハンナ:T-34は、うちらのKV戦車でも使ってるV-2というディーゼルエンジンを搭載してるんだが、
良いエンジンだな。
平らな場所なら一回の給油で360kmくらいは走る。
さっき出てきたティーガーの航続距離は100kmとも200kmとも言われてるんだが、どっちにしてもT-34の方が段違いにすごいわな。
----アリサ: 360kmっていうと、(新幹線の)東京から名古屋間の距離に匹敵しますね。
ハンナ:トウキョウ…大日本帝国の首都だよな…お前さん、よく妙な物の例えをするもんだね。
----アリサ: はい!記事はわかりやすさも大事ですから!
ハンナ:あたしは、さっぱりわからんよ…
■エレーナ・ボロディン少尉の戦車運用
ハンナ:さて、今までT-34の強さのポイントを教えてきたわけなんだけどさ、
T-34は…というよりも、我が国の強みとして決定的なことがあるんだ。
整備士としては悩ましいことでもあるんだけどな。
----アリサ:…生産台数ですよね。我が国の国力は枢軸国を圧倒しているのが現実ですからね。
ハンナ:ああ、そうだ。ただ「質より量」と言った風情もあってよ。
故障したら放置…。撃破されても、それ以上に補充すりゃ良し…って、そりゃあ、あんまりな話なんだ…。
----アリサ: …いいんですか?、そんな軍を批判するようなことを言って…
ハンナ:お前さんも、同じこと考えてるんだろ?…
まぁ、お前さんは戦車ではなくて、使い捨てみたいに戦線に送られていく兵士を気にしている感じだけど。
----アリサ: …!!
ハンナ:…図星!
----アリサ:クルシノワ曹長…、あなたはとんでもない人ですね。
ハンナ:まぁビビりなさるな。お前さんがこれをどう記事にしようとそれは勝手だが、あたしからはチクらないからさ。
ハンナ:そうそう、ボロ少尉だけどさ…あいつは案外、戦車を壊してるんだよ。
結構、乗り換えてるんだよね。
とんでもないことだと思わんかい?
----アリサ: …意外ですね。
ハンナ:そう、とんでもないことさ、そして凄いことさ。
ハンナ:生き延びている、部下も死んでいない。
----アリサ: 戦車はやられても生き延びている。そうか…そうなんだ。
----アリサ: あ、あの、こんなことを言うとクルシノワ曹長は閉口されるかもしれませんが…
ハンナ:みなまで言うなぃ!人の命は取り換えがきかないってことだろ? あったりまえだ!
----アリサ: はい、だから…
ハンナ:わかってるさ!
第704整備小隊は、これからも全力でボロディン小隊をサポートする! どんどん壊してこい!、全部直してやるさ!
----アリサ: い、いいんですか?…「壊してこい」って言い切りましたよね…
ハンナ:あー、ちょっとマズいな…今のところだけは書かないでおいてくれよ!
----アリサ: ダメですよ!、ありのままを伝えるのが報道の使命なんですから!
潔く「総員退避」を決断、先に部下を逃がすエレーナ・ボロディン少尉
(↑「なんて顔してるんだよ?」はこんな顔) |
クルシノワ曹長は機械好きが高じて人間に興味を無くしてしまった、
という噂を聞いていましたが、実際に話してみると、まったく違っていました。
きっと機械にはとても詳しいのだと思いますが人間に対する洞察力も抜群でした。
そして、何よりも自分のポリシーに忠実に生きている。
これはわたしも見習いたいと思うことでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回も楽しみにして頂ければ嬉しく思います。
さて、今回はここまでです。
これからもボロディン小隊について、いろいろとお伝えしたいと思いますからね。
次回も、どうぞよろしくお願いします。
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