第三段

 九鍼の名、(おのおの)形同じからず。一に曰く?(ざん)鍼、長さ一寸六分。二に曰く(えん)鍼、長さ一寸六分。三に曰く?(てい)鍼、長さ三寸半、四に曰く(ほう)鍼、長さ一寸六分、五に曰く()鍼、長さ四寸、広さ二分半、六に曰く員利(えんり)鍼、長さ一寸六分、七に曰く(ごう)鍼、長さ三寸六分、八に曰く長鍼、長さ七寸.九に曰く大鍼、長さ四寸。?(ざん)鍼は(あたま)大に末(えい)なり、陽気を去瀉(きょしゃ)す。員鍼は鍼卵形(らんけい)の如し、分間(ふんかん)(かい)()す、肌肉を(やぶ)って以って分気(ぶんき)を瀉することを得ず。?(てい)鍼は鋒黍粟(しょぞく)の鋭なるが如し、脉を按ずることを(つかさど)る。陷すること()かれ、以って其の気を(いた)すなり。鋒鍼は(さん)(ぐう)(やいば)にして、以って痼疾を発す。ハ鍼は末剣鋒の如く、以って大膿(だいのう)を取る。員利鍼は大きさ()の如し、()(まろ)かに且つ鋭にして中身(すこ)しく大なり、以って暴気を取る。毫鍼は(とが)りて蚊虻の(くちばし)の如し、静かにして以って(おもむろ)に往き、(かすか)にして以って久しく之を留め、養って以って痛痺(つうひ)を取る。長鍼は鋒()にして身(うす)し、以って遠痺(えんぴ)を取るべし。大鍼は尖りて(てい)の如し、其の(ほう)(すこ)しく(まろ)かなり、以って機関の水を瀉すなり。九鍼(おわ)んぬ。

 

  

(原文) 九鍼之名.各不同形.一曰?鍼.長一寸六分.二曰員鍼.長一寸六分.三曰?鍼.長三寸半.四曰鋒鍼.長一寸六分.五曰?鍼.長四寸.廣二分半.六曰員利鍼.長一寸六分.七曰毫鍼.長三寸六分.八曰長鍼.長七寸.九曰大鍼.長四寸.?鍼者.頭大末鋭.去寫陽氣.員鍼者.鍼如卵形.揩摩分間.不得傷肌肉.以寫分氣.?鍼者.鋒如黍粟之鋭.主按脉.勿陷以致其氣.鋒鍼者.刃三隅.以發痼疾.?鍼者.末如劔鋒.以取大膿.員利鍼者.大如釐.且員且鋭.中身微大.以取暴氣.毫鍼者.尖如蚊虻喙.靜以徐往.微以久留之.而養.以取痛痺.長鍼者.鋒利身薄.可以取遠痺.大鍼者.尖如挺.其鋒微員.以寫機關之水也.九鍼畢矣.