DVDメディアを扱う販売会社から海外ブランドDVDメディアの使用テストとその掲載依頼があり、それまで余り関心が無かった海外ブランドに光沢・耐水レーベル製品があることを初めて知った。
依頼の件は掲載スタイルが合わないため辞退したが、製品には興味が湧いたので通販を探してパッケージ品を入手し、どの様な製品か調べて見た。
テストした製品は、smartbuy(スマートバイ)ブランドの「SCPWP16X20PW」(台湾産)で、メディアはプロディスク製。
パッケージには、耐水性が50倍、光沢性8倍(メーカー従来品比)と謳われている。
レーベル表面は平滑で艶があり、かつての国産TDKの光沢写真画質品(4倍速品、非耐水性)を思い出させる。
比較用には国産の太陽誘電製光沢・耐水レーベル品(Victorブランド)を使用した。
項 目 |
1.耐水性テスト |
2.印刷テスト |
3.書込品質 |
(2010年8月 NO.40掲載)
※写真は蛍光灯の明かりがレーベル面に写るようにして撮影した物。
※レーベル表面の状態が写真で分かり易いように、レーベルは印刷している。
※写真では蛍光灯と距離があるため形がぼけているが、近づければ形になる
テストは「レーベル耐水性比較」と同じ、水道の流水を掛ける方法。
テストサンプルは染料系インクで印刷した物を二日間自然乾燥。
1.テストサンプルのレーベル面。
(テスト前)
2.水道の流水を掛けている時のレーベル表面状態。
水が掛かっても染料系インクが流れ出すような事は無く、滲みも起こらない。
3.水を掛け終わった直後のレーベル表面状態。
レーベル面は水を掛ける前と変わらない。
水は表面に張り付く感じで残っているが次第に流れる。
smartbuy(スマートバイ)ブランド「SCPWP16X20PW」は、レーベル面が平滑で艶があるため透明感のある印刷に仕上がる。
パッケージにはレーベル印刷条件の記載が無いため、インクセーバー2で印刷設定を変えながら適切な印刷条件を確認した。
インクセーバー2(inksaver2)は、インクの節約と云うよりインクの吐出量変えて印刷の仕上がりを微調整するために使用。
用紙設定は「高画質対応CD/DVDレーベル」と「CD/DVDレーベル」の両方。
印刷画像にデジタルカメラ写真とアニメ画を使い、両者で仕上がり具合を調べた。
A)「デジタルカメラ写真の場合」
普通に印刷するとインク吐出量過多から画像細部の潰れが発生するが印刷を台無しにする程の滲みではないため、目視の印象はそれ程悪くない。
インクセーバー2(inksaver2)を5%に設定すると画像細部の潰れが抑えられて解像感のある仕上がりになる。
ただ、印刷条件としてシビアな感じがするので、画像によっては滲み等の問題が出ることも考えられる。
尚、プリンタの”推奨設定”や”オートフォトファイン”の設定は明るく補正された部分が白っぽく印刷されるので使わない方がよい。
B)「アニメ画の場合」
印刷が上手く行った場合は緻密で色に透明感があるので見た目も良好。
残念ながらグラデーションの部分でインク滲みが出やすく、インクセーバー2(inksaver2)を5%に設定してギリギリの合格ラインと云う結果になった。
印刷条件がシビアで画像を選ぶため、常用は難しいと思われる。
グラデーションの多い画像は、「CD/DVDレーベル」の用紙設定にした方が失敗が無い。(但し、印刷品位は落ちる。)
用紙設定「高画質対応CD/DVDレーベル」の印刷結果 | |||||
印刷画像 | inksaver2の設定 | 備 考 | |||
無し | 3% | 5% | 7% | ||
デジタルカメラ写真 (花の写真) |
△ | - | ○ | △ | 7%は粗さと色の薄さで△ |
アニメ画 | × | × | ○ | - | 5%はギリギリで○ |
※判定( ○:良好 △:細部の潰れ有り ×:滲みが出る)
A)「デジタルカメラ写真の場合」
画像細部の潰れが目立たないため、目視での印象は良い。
色は元のデータより濃いめになる。
B)「アニメ画の場合」
表面が平滑で透明感があるためか、多少画像の粗さが誇張される感じになる。
インク滲みの心配は無いので、この用紙設定にするのが無難。
目を凝らすと画像の粗さが分かるが見た目の印象は良い。
用紙設定「CD/DVDレーベル」の印刷結果 | ||
印刷画像 | inksaver2の設定 | 備 考 |
無し | ||
デジタルカメラ写真(花の写真) | ○ | - |
アニメ画 | ○ | 粗さが誇張される傾向がある |
[用紙設定] 高画質対応CD/DVDレーベル[用紙設定] CD/DVDレーベル
(inksaver2/ 5%設定)(inksaver2/ 設定無し)
写真から、用紙設定 「高画質対応CD/DVDレーベル」と「CD/DVDレーベル」の印刷画質の差が見てとれる。
艶のあるレーベル面の効果で透明感がある印刷に仕上がるため、耐水性レーベル製品の中でも見た目の綺麗さは群を抜いている。
[用紙設定] CD/DVDレーベル(部分拡大)
太陽誘電製は用紙設定 「CD/DVDレーベル」が推奨印刷設定で、「高画質対応CD/DVDレーベル」設定は使えない。 (※インク滲みが発生する)
レーベル表面をルーペで見ると無数の小さな点(凹み?)が見える。
このため、印刷が多少ざらついた感じになり透明感は無い。
※(部分拡大)の白い粒々は汚れではありません。
「印刷面の部分拡大写真」
[用紙設定] 高画質対応CD/DVDレーベル[用紙設定] CD/DVDレーベルアニメ画の高画質印刷は、他の部分は良くてもグラデーションの部分でインク滲み或いはインク溜まりになることが多い。
プリンタのインク吐出量が多いため滲みが起こりやすいが、smartbuyではインクセーバーで吐出量を少し抑える事でインク滲みを回避できた。
太陽誘電製(WKY型番)では吐出量を変えてもインク滲みが出てしまい、まともな印刷が出来ない事を考えると、smartbuyの耐水性レーベル面の優位性が良く分かる。
尚、「CD/DVDレーベル」設定で印刷した場合は、両者ともインク滲みの問題は無い。
製品を「光沢写真画質DVDメディア」ページで取り上げる度に、書込品質(データ)も確認しているが、写真画質メディアの紹介が目的のため、ページ内では書込品質について触れていない。
しかしながら、smartbuyは海外ブランドのため、使うに当たってはその品質が気になると思われるので計測データを参考に掲載する。(データは同じパッケージ内の物)
1)書込品質データ [smartbuy]
(評価)
smartbuy(プロディスク製)」
PIEが外周に向かって多くなる(悪くなる)傾向がある。
PIFはPIEの多さに比べるとかなり少ない。
PIEはVictorブランドに比べれば多いが、書込品質としては比較的良好な部類と思われる。
パッケージ内での品質バラツキはやや大きい。
2)書込品質データ [Victorブランド](比較参考)
(評価)
[Victorブランド(太陽誘電製)」
PIEは外周に向かって少なくなる傾向がある。
PIFはPIEの割りに多く、smartbuyとは逆のデータになっている。
PIFが多い理由は分からない。
パッケージ内での品質バラツキは小さい。