MEGA-CD(メガCD)は1991年12月に発売されたメガドライブの拡張周辺機器。
先行していたPCエンジンとは違いパソコン用ドライブのようにエラー補正機能を備えた本格派のCD-ROM機で、本体にメガドライブより高速な68000CPUや大容量バッファRAMを搭載する等、当時のゲーム制作環境を見越した作りになっていた。
メガドライブと並列処理することでデータと表示の同時処理ができるメガCDは、当時としては画期的とも云えるフルCGやフルビデオムービーのゲームも可能にし次世代の方向性をも示した。
初代メガCDはメガドライブ本体の倍以上 49,800円の価格が災いして売れ行きは鈍かったものの、性能面や実用性ではメガドライブ最強の周辺機器。
写真は初代メガCD。
拡張機器のため単体では何も出来ない。
右側面の四角い接続コネクタ部分にメガドライブを接続して使用する。 四角い部分の下には取っ手の凹みがある。
ドライブはオーディオ用と同じフロントローディングタイプで当時のゲーム機用としては異例の豪華仕様。
その分価格は高いが読み取り性能が良い。
49,800円の価格は同じフロントローディングの普及価格帯オーディオ用CDプレーヤーと同程度で、この点からすると初代メガCDがベラボーに高いわけではない。
メガドライブ本体と比べてしまうと割高な感じはするがフロントローディング機としては妥当な価格と思われる。
本体写真の四角いステッカーは、ゲーム雑誌”BEEP! MEGADRIVE”のメガCD用特別付録を貼ったもので、通常は何も貼られていない。
「夢見館の物語」・・・・・フルCGのゲーム。
「ナイトトラップ」・・・・・フルビデオムービーのゲーム。
[写真]
「エラー補正機能についての一文」
文中の”あるCD-ROMマシン”とは、当然のことながらPCエンジンを指す。
[参考資料]
BEEP! MEGADRIVE 1991年10月号
「特集 MEGA-CD噂の真相」
「ミキシング端子」
メガドライブからの音を合成するための入力端子。
メガドライブから出るゲームの効果音等を合成してステレオ音声出力端子に出力する。
このため、メガドライブのヘッドホン端子とメガCDのミキシング端子をステレオミニプラグコードで接続してメガドライブのヘッドホンボリュームを適度に上げると効果音も出るようになる。
見方を変えれば、通常は固定の効果音の音量を任意に調整できるメリットがある。
尚、ミキシング端子へのステレオミニプラグ接続によりメガドライブのヘッドホン音声出力が切り替わる点には注意。
ステレオミニプラグ接続の有無に於けるヘッドホン音声出力は下表の通り。
ヘッドホンを使用してメガCDゲームをする場合は、メガCD側のステレオミニプラグも外す必要がある。
ミキシング端子 | ヘッドホン端子の音声出力 |
ステレオミニプラグ (IN) | 効果音のみ |
ステレオミニプラグ (OUT) | CD音声と効果音 |
写真は初代メガCDのトレイをイジェクトした状態。
メガドライブのスロットに挿してあるカートリッジは ”バックアップRAMカートリッジ”で、メガCDソフトをプレイする時はこの状態が標準形。
写真はセットアップ後の背面。
メガCDとメガドライブの両方から出るケーブル類で端子周りはごちゃごちゃした感じになる。
メガCD前方(写真では右側面)のステレオミニプラグコードを通しているところは ”ヘッドホンコード掛け”と云われる部分で、前面に出すコード長を調節する事ができる。
[メガCD起動画面]
メガドライブの電源を入れるとデモ音楽と共に表示される。
バージョンはVer1.00。
[デモ画面]
起動後に何もパッド操作をしないでいると繰り返し再生される二軸回転・拡大縮小のデモの例。
[メガCDのコントロール画面]
デモンストレーション中にコントロールパッドのスタートボタンを押すと表示される。
ディスクトレイの開閉はこの画面で操作する。
”OPTION”を選ぶとバックアップメモリの操作画面にアクセスできる。
[バックアップメモリアクセス画面]
アクセスした際に表示されるメモリの状況。
スロットに”バックアップRAMカートリッジ”をセットしていると、内蔵メモリと一緒に表示される。
[メモリの操作画面]
各操作の選択をする画面。
[バックアップRAMのコピー画面]
メモリの操作画面で「消去」や「コピー」を選択すると”バックアップRAM”のセーブ内容が表示される。
内蔵バックアップRAMはメモリ容量が少なく直ぐに満杯になる。
ゲームタイトルが必要とするセーブブロック量より空きブロックが少ないと、空きブロックを確保するように表示が出てゲームタイトルによってはゲームが起動しない。
空きブロック不足の表示内容はゲームタイトル毎に異なっている。
メガCDはセーブブロック量が割と少ないため、バックアップRAMカートリッジが一本あれば余程の事が無い限り容量的に困ることは無い。
取扱説明書では内蔵バックアップRAMは「一ヶ月以上本体の電源を入れずにおくとデータが消えてしまうことがある」との記載はあるが、この期間で実際にセーブデータが消えることは余りなく保証しないという意味に思える。
メガCD本体の内蔵メモリが満杯になった時などに使用するメガCDの必需品。
セーブデータのコピーや移動の他にソフトが対応していれば直接セーブする事もできる。
メガCD内蔵メモリは約1ヶ月間電源を入れないとセーブデータが消える可能性もあるが、バックアップRAMカートリッジではその心配は無い。 尚、ゲームタイトルの中には本品が必須の物もある。
(株)ムーミン製のメガCD専用レンズクリーナー。
フロントローディングの初代メガCD用で、ディスクに記録した特殊信号でレンズを動かしてクリーニングするタイプ。
クリーニング中はTV画面に案内用アニメーションが出る。
当時はゲーム機専用としての発売で珍しかった。
メガCDソフト「ゆみみみっくす」マニュアル内のMEGA-CDの遊び方のページ。
マンガで遊び方の説明をしていた。
普通の文章だと読み飛ばしてしまうがマンガでは遊び方が分かっていてもつい見てしまう。
メガCDのゲームディスクは基本的にピクチャーレーベル仕様になっていてゲームキャラをあしらったカラーデザインが多い。
メガCDとして特徴的なソフトをピックアップしてみた。
[写真]
パッケージの内部
”テレビアニメみたいな・・・”とパッケージ裏面に書かれているこのゲームシステムの系統はその後も続き、セガサターンの「ひみつ戦隊メタモルⅤ」で一応の完成を見る。
尚、セガサターンでは制作が”フェイクラフト”名義(スタッフが作った会社)になっている。
[写真]
パッケージの内部
ゲームは画面の選択肢でストーリー分岐してエンディングが変わる。
わざと外した選択肢を選び続けるとキャラが意外なリアクションを見せる場面等があり、プレイヤーを飽きさせない作りの巧さが感じられる。
特筆すべきは 「リプレイ機能」で、これによってゲームが終わった後にプレイした流れを選択画面の無い純粋なアニメーションとして鑑賞する事ができる。
後に、「ゆみみみっくすREMIX」としてセガサターン版も発売された。
写真のように豪華な体裁でブックレット付。
※セガサターン版は取扱説明書表紙の印刷色が濃い。(写し方の差違では無い)
(セガサターン版の体裁)(セガサターン版パッケージ)
等々により完全版になっている。
シーン切替にタイムラグがあったメガCD版より、タイムラグが改善され音声も安定しているセガサターン版の方がプレイ時のストレスが少なくて良い。
メガCD版と並べて見ると取扱説明書裏面のキャラの配置が何故か変わっている。
[写真]
パッケージの内部
このセガサターン版は元々販売用として企画された物ではなく、セガサターンでのアニメーション研究開発の一環として移植された。
セガサターンのゲームディスクはレーベル印刷が基本的に1~2色の簡易的でインクを節約した物だったが、「ゆみみみっくすREMIX」はメガCDのピクチャーレーベル仕様を再現している。
[写真]
パッケージの内部
ミスをしてもゲームオーバーにならなければエンディングにたどり着けるが最後のお礼の言葉がノーミスクリアとは異なる。
映像の粗さは仕方ないがリプレイ機能がないためクリア後にビデオムービーをゆっくり鑑賞することができないのは残念。
スーパー32X CDでの発売も予定されていたが北米市場での拡販失敗により国内では陽の目を見なかった。 米国では下着姿の女性たちが侵入者たちに襲われるシーンを子供たちに見せるのはけしからんと議会で問題視され、日本との文化の違いを感じさせた。
[写真]
プレイを繰り返して作成したタイムテーブル。
当時、手書き作成した物で黒丸印が確定したトラップの場所と作動時間。
ゲーム雑誌のインタビュー記事でCGを作るワークステーション等の価格が下がったため制作が可能になったと説明されている。
メガCDの性能から画面サイズが小さく映像も粗いが、ホラーアドベンチャーゲームの幻想的な雰囲気にはマッチしていて、さほど違和感は無い。
ラストの選択肢以外は内容も良くメガCDの代表的なソフトに仕上がっている。
[写真]
パッケージの内部
次世代ゲームの方向性を垣間見せた点でも高く評価出来る一作。
ゲームはアニメーションの中で表示される選択肢をボタン操作で選択するだけだが、そのタイミングはシビアで反射神経と記憶力が試される。 失敗するとレイカのやられパターンが見られる。
LDならではの滑らかなアニメーションは必見。
ゲーム画面の表示サイズは小さいがメガCDだから可能な移植と思える。
主人公のレイカは、TVアニメ 「ダーティペア」のユリと姿や服装が似ている。
[写真]
パッケージの内部
ウルフチームはメガドライブの有力なサードパーティーの一つで、復刻LDゲームは他にも次のタイトルが発売された。
ゲームアーツによるメガCD版RPGの二作目。
代表作”ルナ”の完結編と云える内容でシステム面も進化している。
終わったと思える展開の後から新たなストーリーが始まるためクリアにはそれなりの時間が掛かる。
ルナは、後に完全版としてセガサターンでも発売された。
[写真]
パッケージの内部
シューティングの性格上、3Dは空間描画のムービー的な物のため自機の行動範囲には制約がある。
[写真]
パッケージの内部
ゲームアーツの技術力を知らしめた一作。
ゲームアーツはメガCDでのリリースに積極的で他よりソフトの数が多い。
メガCDに搭載された”座標変換ハードウェア”による二軸回転・拡大縮小機能をフル活用したシューティングゲーム。
自機(戦闘ヘリ)の飛行は二軸回転機能により表現されており、座標変換ハードウェアの意味合い(こだわりの仕様)がこのゲームでよく分かる。
[写真]
パッケージの内部
海外パソコンゲームからの移植作。
メガCD初期から発売予定リストに載っていた物。
メガCDの大容量バッファRAMを生かしたアドベンチャーゲームで、大人が楽しめる内容。
日本の声優によるフルボイス仕様で声優陣の演技が光る。
会話画面で表示される主人公の台詞を選択して正解ならストーリーが進行、不正解でセーブポイントからのやり直しになる。
※不正解では台詞が表示されず先に進めない。
このため、意外に時間を費やしてしまう。
画面は動画もあるが多くは静止画の切り替え表示。
[写真]
パッケージの内部
セガの発売だが移植を担当したのはゲームアーツ。
海外パソコンゲームからの移植作。
メガCDの大容量バッファRAMを生かしたシミュレーションゲームで、当時はパソコンゲームでこの手の物が流行っていた。
このゲームは"バックアップRAMカートリッジ専用"と云えるもので、バックアップRAMカートリッジが無いとプレイデータのセーブが出来ない。
[写真]
パッケージの内部
自機キャラが何故かバニースタイルという、ビクターの和風シューティングゲーム。
本パッケージは”キラキラ ラッキー宝箱”と銘打ったビクター製品等の豪華賞品が当たるくじ付きだった。
(キラキラの箱は薄い紙製)
自機キャラ"蘭未ちゃん"の声をデビュー当時?の菅野美穂が当てている。
※写真で箱の上部分が黒っぽくなっているのは照明の加減による。
[写真]
メガCDパッケージ
紙箱の中のメガCDパッケージは普通の物。
取説表紙の絵から、このゲームの乗りが何となく分かる。
[写真]
パッケージの内部
ゲームギアの小さな画面と違い、TV画面用にキャラが大きくなっているのでプレイしやすい。
グラフィックやサウンドもメガドライブ仕様にグレードアップしている。 ゲームの処理速度も高速。
難易度は標準から極悪!!まで四段階選べる。
二作のクリア後にメガCDのみのおまけマップが出る。
[写真]
パッケージの内部
元がプレイ時間としては短めなゲームギア用のため、メガCD収録分でメガドライブ一本分のボリュームの感じがする。
ナムコがセガサターン発売の直前に突然発売した3Dポリゴンシューティング。
驚きなのは一部の敵機や敵ミサイル等がワイヤーフレームで表現されていること。 グラフィックの完全再現を捨てて、ゲーム性の移植をしたものだが、これが大正解。
ワイヤーフレームでもゲームとして支障なくプレイ出来る。
最後に楽しませてくれたという点では、ナムコからメガCDへの餞別のようなゲーム。
[写真]
パッケージの内部