■ 初代MEGA-CD
■MEGA-CD
写真は初代メガCD。
拡張機器のため単体では何も出来ない。
右側面の四角い接続コネクタ部分にメガドライブを接続して使用する。
四角い部分の下には取っ手の凹みがある。
オーディオ用と同じフロントローディングタイプで当時のゲーム機用としては異例の豪華仕様。
その分価格は高いが読み取り性能が良い。
49,800円の価格は同じフロントローディングの普及価格帯オーディオ用CDプレーヤーと同程度で、この点からすると初代メガCDがベラボーに高いわけではない。
メガドライブ本体と比べてしまうと割高な感じはするがフロントローディング機としては妥当な価格と思われる。
本体写真の四角いステッカーは、ゲーム雑誌”BEEP! MEGADRIVE”のメガCD用特別付録を貼ったもので、通常は何も貼られていない。
- MEGA-CDの特徴とされた
- ・大容量6MbitバッファRAM搭載。
・高速CPU採用。
・高速移動ピックアップ採用。
・座標変換ハードウェア搭載。
・8チャンネルステレオPCM音源。
等がゲームにどの様な効果をもたらしているか分かり難い所はあったが、メガドライブ後期に発売された「夢見館の物語」や「ナイトトラップ」はその映像でMEGA-CDの真価を示すと共に次世代の方向性をも垣間見せてくれた。
「夢見館の物語」・・・・・フルCGのゲーム。
「ナイトトラップ」・・・・・フルビデオムービーのゲーム。
- ・大容量6MbitバッファRAM
- 当時のパソコンゲーム移植を考慮したメモリ容量。
(メガCDソフトの例:シムアース、ライズ・オブ・ザ・ドラゴン)
- ・高速CPU
- 搭載CPUの68000は同じでも動作はメガドライブの物より高速。
メガドライブと合わせてトリプルCPUになり並列処理による高速演算が可能。
(メガCDソフトの例:シルフィード)
- ・座標変換ハードウェア
- 純粋にスーパーファミコン対抗の機能と思われるが、スーファミの一軸に対して
3D表現(フライトシミュレータなど)が可能な二軸回転機能を採用。
(メガCDソフトの例:サンダーホーク)
- ・色数
- 色数の少なさがメガドライブの弱点と云われ続けていたが、メガCDでも色数増強はメガドライブとの互換性維持のために見送られた。
色数増強は後の32bitアップグレードブースター”SEGA SUPER 32X” でやっと実現する。
[写真]
「エラー補正機能についての一文」
文中の”あるCD-ROMマシン”とは、当然の事ながらPCエンジンを指す。
※[参考資料]
BEEP! MEGADRIVE 1991年10月号
「特集 MEGA-CD噂の真相」
■MEGA-CDの背面
- 背面には各出力端子がある。
- ・ステレオ音声出力端子
・ミキシング端子
・ACアダプタ端子
ステレオ音声出力端子はメガCDや音楽CDの音を出力するが、メガドライブから出るゲームの効果音は出ない。
ミキシング端子はメガドライブからの音を合成する入力端子。
メガドライブから出力されるゲームの効果音等はミキシング端子経由でステレオ音声出力端子に合成出力される仕組みになっている。
このため、メガドライブのヘッドホン端子とメガCDのミキシング端子をステレオミニプラグコードで接続してメガドライブのヘッドホンボリュームを適度に上げると効果音も出るようになる。
見方を変えれば、通常は固定の効果音の音量を任意に調整できるメリットがある。
ミキシング端子へのステレオミニプラグ接続によりメガドライブのヘッドホン音声出力が切り替わる点には注意。
ステレオミニプラグ接続の有無に於けるヘッドホン音声出力は下表の通りで、ヘッドホンを使用してメガCDゲームをする場合はメガCD側のステレオミニプラグも外す必要がある。
ミキシング端子 |
ヘッドホン端子の音声出力 |
ステレオミニプラグ (IN) |
効果音のみ |
ステレオミニプラグ (OUT) |
CD音声と効果音 |
■MEGA-CDとMEGA DRIVE
写真は初代メガCDのトレイをイジェクトした状態。
メガドライブのスロットに挿してあるのは”バックアップRAMカートリッジ”で、メガCDソフトをプレイするときはこの状態が標準形。
ACアダプタはメガドライブと同じ物(同じ型番)で、2個同時使用となる。
初代メガCDの取扱説明書には、「併用ソフトについて」の欄にメガCDディスクとゲームカートリッジ併用ソフト(発売予定)の記述はある物の発売はされていない。
併用ソフトは次世代機セガサターンで実現されたが、構想自体はメガCDの時から有った事をこの記述は示している。
■MEGA-CDとMEGA DRIVE背面
写真はセットアップ後の背面。
メガCDとメガドライブの両方からケーブル類が出るため、端子周りはごちゃごちゃした感じになる。
メガCD前方(写真では右側面)のステレオミニプラグコードを通している所は”ヘッドホンコード掛け”と云われる部分で、前面に出すコード長を調節する事ができる。
■起動画面とコントロール画面
[メガCD起動画面]
メガドライブの電源を入れるとデモ音楽と共に表示される。 バージョンはVer1.00。
[デモ画面]
起動後に何もパッド操作しないでいると繰り返し再生される二軸回転・拡大縮小のデモの例。
[メガCDのコントロール画面]
デモンストレーション中にコントロールパッドのスタートボタンを押すと表示される。
ディスクトレイの開閉はこの画面で操作する。
”OPTION”を選ぶとバックアップメモリの操作画面にアクセスできる。
[ディスクの認識]
メガCDディスクを認識した時の画面で、”CD-ROM”コマンドが追加される。
カーソルを”CD-ROM”コマンドに合わせてパッドのボタンを押せばゲームが起動する。
ディスクの認識に不具合が発生すると、”CD-ROM”コマンドが表示されずアクセスできない。
■バックアップメモリの操作画面
[バックアップメモリアクセス画面]
アクセスした際に表示されるメモリの状況。
スロットに”バックアップRAMカートリッジ”をセットしていると、内蔵メモリと一緒に表示される。
[メモリの操作画面]
各操作の選択をする画面。
[バックアップRAMのコピー画面]
メモリの操作画面で「消去」や「コピー」を選択すると”バックアップRAM”のセーブ内容が表示される。
内蔵バックアップRAMはメモリ容量が少なく直ぐに満杯になる。
ゲームタイトルが必要とするセーブ量より空き容量が少ないと空き容量を確保するように表示が出てゲームタイトルによってはゲームが起動しない。
空き容量不足の表示内容はゲームタイトル毎に異なっている。
メガCDはセーブブロック数が割と少ないため、バックアップRAMカートリッジが一本あれば余程の事が無い限り容量的に困ることは無い。
取扱説明書では内蔵バックアップRAMは「一ヶ月以上本体の電源を入れずにおくとデータが消えてしまうことがある」との記載があるが、この期間で実際にセーブデータが消えることは余りなく、保証しないという意味に思える。
■ 周辺機器
■バックアップRAMカートリッジ
メガCD本体の内蔵メモリが満杯になった時などに使用するメガCDの必需品。
セーブデータのコピーや移動の他にソフトが対応していれば直接セーブする事もできる。
メガCD内蔵メモリは、約1ヶ月間電源を入れないとセーブデータが消える可能性もあるが、バックアップRAMカートリッジではその心配は無い。
尚、ゲームタイトルの中には本品が必須の物もある。
カートリッジの形はメガドライブのROMと同じ。
容量は本体の16倍(1Mビット)。
カートリッジのラベルは二枚同梱されていた色違いの一つを貼った物。
この製品の型番はG-2920で周辺機器なのに何故かゲームカートリッジの型番になっている。
■FRESH CLEANER
(フレッシュ クリーナー)
(株)ムーミン製のメガCD専用レンズクリーナーで、フロントローディングの初代メガCD用。
ディスクに記録した特殊信号でレンズを動かしてクリーニングするタイプ。
クリーニング中は、TV画面に案内用アニメーションが出る。
当時はゲーム機専用としての発売で珍しかった。
”ゆみみ(吉沢弓美)” によるMEGA-CDの遊び方
(主要キャスト出演)
メガCDソフト「ゆみみみっくす」マニュアル内のMEGA-CDの遊び方のページ。
マンガで遊び方の説明をしていた。
普通の文章だと読み飛ばしてしまうがマンガでは遊び方が分かっていてもつい見てしまう。
メガCD専用ソフト ピックアップ
メガCDのディスクは基本的にピクチャーレーベル仕様になっていて、ゲームキャラをあしらったカラーデザインが多い。
メガCDとして特徴的なソフトをピックアップしてみた。
魔法の少女 シルキーリップ
MEGA-CD本体発売から約半年後に発売されたTVアニメ風のRPG。
メガCD専用に相応しい内容ながら、ゲーム誌での興味本位な紹介記事に見られるように、当時の扱いは必ずしも良いとは云えず、正当な評価をなされていないように思われる。
独特なキャラデザイン等で取っつきにくい面はあるがゲーム自体はまともな作りでシナリオも良くできており、中には泣ける話もある。
あまり親切なゲームシステムでは無いため、ちょっとした事で詰まってしまうことがあり、先入観でマップを見ると抜け出せなくなる事もある。
[写真]
パッケージの内部
テレビアニメみたいな・・・”とパッケージ裏面に書かれているこのゲームシステムの系統はその後も続き、セガサターンの「ひみつ戦隊メタモルⅤ」で一応の完成を見る。
尚、セガサターンでは制作が”フェイクラフト”名義(スタッフが作った会社)になっている。
ゆみみみっくす
ゲームアーツのフルサイズ画面でキャラクターが動くインタラクティブ・コミックの第一弾。
今で云えばフラッシュ・アニメーションの様な感じながら当時はその様な物は無く、その綺麗なフルサイズアニメーションは新鮮である意味画期的な物だった。
フルボイス仕様でアニメーション感覚でゲームが進行して、ナレーションによるキャラ説明等もある。
ただ、メガドライブとメガCDの機能で動かすため原画枚数が多い上に制作にも手間が掛かり、インタビュー記事で当の開発責任者が二度と作りたくないとこぼしていたのを思い出す。
[写真]
パッケージの内部
ゲームは画面の選択肢でストーリー分岐してエンディングが変わる。
わざと外した選択肢を選び続けるとキャラが意外なリアクションを見せる場面がある等、プレイヤーを飽きさせない作りの巧さが感じられる。
特筆すべきは「リプレイ機能」で、これによってゲームが終わった後からプレイした流れを純粋にアニメーションとして鑑賞する事ができる。
後に、「ゆみみみっくすREMIX」としてセガサターン版も発売された。
写真のように豪華な体裁でブックレット付。
※セガサターン版は取扱説明書表紙の印刷色が濃い。(写し方の差違では無い)
(セガサターン版の体裁)(セガサターン版パッケージ)
- 「セガサターン版の修正点」
- ・メガCDの制約から削られた表示キャラの復活。
・ゲーム中の矛盾点の修正。
・音響の作り直し。
等々により完全版になっている。
シーン切替にタイムラグがあったメガCD版より、タイムラグが改善され音声も安定しているセガサターン版の方がプレイ時のストレスが少なくて良い。
メガCD版と並べて見ると、取扱説明書裏面のキャラの配置が何故か変わっている。
[写真]
パッケージの内部
このセガサターン版は元々販売用として企画された物ではなく、セガサターンでのアニメーション研究開発の一環として移植された。
セガサターンのゲームディスクはレーベル印刷が基本的に1~2色の簡易的でインクを節約した物だったが、「ゆみみみっくすREMIX」はメガCDのピクチャーレーベル仕様を再現している。
ナイトトラップ
家庭用ゲーム機初のゲーム専用フルビデオ撮りムービーを使用した物で日本の声優陣が吹き替えをした海外ゲームのローカライズ版。
複数の防犯カメラを切り替えながら侵入者をトラップに引っ掛けて女性たちを守る内容だが、トラップ作動のタイミングがシビアで、後半ほど肝心のムービーを楽しむ余裕が無くなる。
クリアするにはトラップ作動のタイムテーブル作りが必要になり、タイムテーブルが無いと中々前に進めない。
ノーミスクリアは決して難しくないが、プレーヤーの注意力と根気が試される。
[写真]
パッケージの内部
ミスをしてもゲームオーバーにならなければエンディングにたどり着けるが、最後のお礼の言葉がノーミスとは異なる。
映像の粗さは仕方ないが、リプレイ機能がないためクリア後にビデオムービーをゆっくり鑑賞することができないのは残念。
スーパー32X CDでの発売も予定されていたが、北米市場での拡販失敗により国内では陽の目を見なかった。 米国では下着姿の女性たちが侵入者たちに襲われるシーンを子供たちに見せるのはけしからんと議会で問題視され、日本との文化の違いを感じさせた。
[写真]
プレイを繰り返して作成したタイムテーブル。
当時、手書き作成した物で黒丸印が確定したトラップの場所と作動時間。
夢見館の物語
セガの家庭用初のフルCGでゲーム映像が作られたホラーアドベンチャー。
インタビュー記事で、CGを作るワークステーション等の価格が下がったため、制作が可能になったと説明されている。
メガCDの性能から画面サイズが小さく映像も粗いが、ホラーアドベンチャーゲームの幻想的な雰囲気にはマッチしていて、さほど違和感は無い。
ラストの選択肢以外は内容も良くメガCDの代表的なソフトに仕上がっている。
[写真]
パッケージの内部
次世代ゲームの方向性を垣間見せた点でも高く評価出来る一作。
TIME GAL(タイムギャル)
アーケードのLDゲームをメガCDで復刻したもの。
ゲームはアニメーションの中で表示される選択肢をボタン操作で選択するだけだが、そのタイミングはシビアで反射神経と記憶力が試される。
失敗するとレイカのやられパターンが見られる。
LDならではの滑らかなアニメーションは必見。
ゲーム画面の表示サイズは小さいがメガCDだから可能な移植と思える。
主人公のレイカは、TVアニメ「ダーティペア」のユリと姿や服装が似ており、キャラデザインは同じ人の手によるもの。
[写真]
パッケージの内部
ウルフチームはメガドライブの有力なサードパーティーの一つで、復刻LDゲームは他にも次のタイトルが発売された。
ルナ エターナル ブルー
ゲームアーツによるメガCD版RPGの二作目。
代表作”ルナ”の完結編と云える内容で、システム面でも進化している。
終わったと思える展開の後で、また新たなストーリーが始まるためクリアにはそれなりの時間が掛かる。
ルナは、後に完全版としてセガサターンでも発売されている。
[写真]
パッケージの内部
シルフィード
メガドライブ&メガCDの三つのCPUを完全並列動作の高速演算により実現したゲームアーツの3Dポリゴンシューティングゲーム。
3Dポリゴンゲーム自体は、メガドライブカートリッジ(スタークルーザー、ハードドライビン等)で実現されていたが、細かなモデリングをしたのはこのゲームが初めてで、その3D映像には目を見張る物があった。
メガCDだから出来たゲームと云える。
シューティングの性格上、3Dは空間描画のムービー的な物のため自機の行動範囲には制約がある。
[写真]
パッケージの内部
ゲームアーツの技術力を知らしめた一作。
ゲームアーツはメガCDでのリリースに積極的で他よりソフトの数が多い。
サンダーホーク
メガCDに搭載された”座標変換ハードウェア”による二軸回転・拡大縮小機能をフル活用したシューティングゲーム。
自機(戦闘ヘリ)の飛行は二軸回転機能により表現されており、座標変換ハードウェアの意味合い(こだわりの仕様)がこのゲームでよく分かる。
[写真]
パッケージの内部
ライズ・オブ・ザ・ドラゴン
海外パソコンゲームからの移植作。
メガCD初期から発売予定リストに載っていた物で、メガCDの大容量バッファRAMを生かしたアドベンチャーゲームで大人が楽しめる内容。 日本の声優によるフルボイス仕様で声優陣の演技が光る。
会話画面で表示される主人公の台詞を選択して正解ならストーリーが進行、不正解でセーブポイントからのやり直しになる。
※不正解では台詞が表示されず先に進めない。
このため、意外に時間を費やしてしまう。
画面は動画もあるが多くは静止画の切り替え表示。
[写真]
パッケージの内部
セガの発売だが移植を担当したのはゲームアーツ。
シムアース
海外パソコンゲームからの移植作。
メガCDの大容量バッファRAMを生かしたシミュレーションゲームで、当時はパソコンゲームでこの手のゲームが流行っていた。
このゲームは"バックアップRAMカートリッジ"専用と云える物で、バックアップRAMカートリッジが無いとプレイデータのセーブが出来ない。
[写真]
パッケージの内部
慶応遊撃隊
自機キャラが何故かバニースタイルという、ビクターの和風シューティングゲーム。
本パッケージは”キラキラ ラッキー宝箱” と銘打ったビクター製品等の豪華賞品が当たるくじ付きだった。
(キラキラの箱は薄い紙製)
自機キャラ"蘭未ちゃん"の声をデビュー当時?の菅野美穂が当てている。
※写真で箱の上部分が黒っぽくなっているのは照明の加減による。
[写真]
メガCDパッケージ
紙箱の中のメガCDパッケージは普通の物。
取説表紙の絵から、このゲームの乗りが何となく分かる。
[写真]
パッケージの内部
シャイニング・フォースCD
メガドライブの代表的なRPGの一つ”シャイニング・フォース”シリーズの中から、ゲームギアで発売された「シャイニング・フォース外伝」の二作をメガCDに移植した物。
ゲームギアの小さな画面と違い、TV画面用にキャラが大きくなっているのでプレイしやすい。
グラフィックやサウンドもメガドライブ仕様にグレードアップしている。 ゲームの処理速度も高速。
難易度は標準から極悪!!まで四段階選べる。
二作のクリア後にメガCDのみのおまけマップが出る。
[写真]
パッケージの内部
元がゲームギア用で一作のプレイ時間としては短めなためメガCD収録分でメガドライブ一本分のボリュームの感じがする。
スターブレード
ナムコがセガサターン発売直前に突然発売した3Dポリゴンシューティング。
驚きなのは、一部の敵機や敵ミサイル等がワイヤーフレームで表現されていること。
グラフィックの完全再現を捨てて、ゲーム性の移植をしたものだが、これが大正解。
ワイヤーフレームでもゲームとして支障なくプレイ出来る。
最後に楽しませてくれたという点では、ナムコからメガCDへの餞別のようなゲーム。
[写真]
パッケージの内部