”音の良い電圧”は何かと云うと、電源に乾電池類やACアダプタ等の外付け品を使用したポータブルオーディオ製品等に於いて、再生音の”音像が明瞭になる”状態の”動作電圧”の事です。
ポータブルオーディオ製品等は普通に”音の良い電圧”から外れた電圧で動作しているため程度に差はあれど音楽の音像がぼやけた音を出しています。
どの製品も同じような状態のため、このような音の製品として見られているのが現状です。
製品には正常動作する定格電圧、例えば4.5V、6V、12V等が記載されていますが、定格電圧値がその製品の最も音質の良い動作電圧ではありません。
実際には少しずれた所にあり、しかも音の良い電圧の許容範囲は僅か”1mV”と云う非常に小さな値です。
正にピンポイントの電圧値のため、これまで消費者は誰も気づかなかったと云う事です。
当然ながら製品を作ったメーカーは知っているはずです。
動作電圧を1mVの許容範囲に保つには乾電池類やACアダプタでは不可能なため、音の良い電圧の条件を満たせる産業用直流安定化電源が必要になります。
1)直流安定化電源の出力電圧をテスターで測定しながら”音の良い電圧”範囲の片方の値に合わせる。
※音の良い電圧範囲が4.53V~4.54Vの場合・・・電圧を4.53Vに合わせる。
2)D-E01を動作させて音楽CDを再生しヘッドホンで音を聴く。
3)音を聴きながら”音像が明瞭になる”所まで出力電圧を微調整する。
4)設定後も時間の経過で電圧のずれが起こるので、その都度出力電圧を再調整をする。
(参考)「音像が明瞭になる所の特徴」
・ダイナミックレンジが広く、音場が広がる。
(※左右、前後、上下に音が拡がり立体的な音の空間を感じる。)
ポイントから外れていると再生音場が平面的で奥行きが感じられず音に伸びがない。
”音の良い電圧”値の確認方法(見つけ方)を説明する。
テスターは1mVの桁が測定できる物を使用のこと。
同じ定格電圧の製品でも音の良い電圧値は微妙に異なりピンポイントの値なので、そこから外れた所の音は電圧を変えても音像はぼやけたままでそれ程変わらない。
ポータブルオーディオ製品の音質に疑問を持ったのは、HiFi仕様のSONY WM-D6の音質が当時の評判ほどには芳しくなかった事による。
カセットテープでは繰り返し再生によるダメージで音質が変わる懸念があるため、確認実験にはポータブルCDプレーヤーを使用。
電源入力はACアダプタ端子(DC入力)。
(当時の使用ヘッドホン:オーディオテクニカ ATH-AD1000)
「単一形乾電池の並列接続による確認実験」
[確認実験/その1]
1)音の厚みと云ったニュアンス面の効果はあるものの、経過時間で音が変わる不安定さが改善されない。
2)乾電池の消耗具合で音が変わる。
3)乾電池の並列接続数を増やしても音の不安定さは変わらず。
4)乾電池の消耗過程で一時的に音質が良くなる原因不明な現象を確認。
以上、音質改善の効果が見込めず乾電池での実験は失敗と判断。
以上、製品の定格電圧値と音質に疑問が生じる結果になった。
[確認実験/その3] (動作電圧と音質の確認)以上から、ポータブルオーディオ製品の音の悪さは音の良い電圧に対する電源電圧のずれが原因と特定した。
乾電池類やACアダプタで音質が悪い理由になると共に、産業用直流安定化電源を使えば製品本来の音質を甦せられると判明した。
「表1」はシリーズレギュレータ方式直流安定化電源を使用して、D-E01の動作電圧と音質の関係を独自に調べた物で、定格電圧を中心に0.01V(10mV)間隔で印加電圧を変化させた時の音質の変化をポイントとなる設定電圧(動作電圧)の所を示した。
D-E01の動作電圧には音像が明瞭になる所があり、これを”音の良い電圧”として「表1」に記載している。
動作電圧 | 適用 | 音(音質)の感想 | 評価 |
4.55V | 定格電圧+0.05V | ・高音がキツく音が硬い。 ・音の響きが減少。 ・ボーカルの音像がやや不明瞭。 |
× |
4.53V ~4.54V の間(注1) |
”音の良い電圧” | ・音の響きが柔らかく、微妙なニュアンスがでる。 ・音の拡がりが良く、解像力が高い。 ・ダイナミックレンジが広く、ボーカルの音像明瞭。 |
○ |
4.5V | 定格電圧 | ・ボーカルの音像がやや不明瞭。 ・高音のレベルが下がり、音の鮮明さ後退。 |
× |
4.45V | 定格電圧-0.05V | ・低音が出過ぎて高音が伸びない。 ・音の響きが減少。 |
× |
[音の良い電圧に於ける電源の条件]
1)動作電圧を”音の良い電圧”に一致させられる電圧の精度。
2)許容範囲内に動作電圧を維持できる安定性。
以上の二つの条件を満たさなければならない。
この様な条件は、乾電池類やACアダプタは電源として適さないことを指し示す。
乾電池類は電池の仕様で定められた電圧でしかなく、ACアダプタは出力電圧の精度や安定性が低く電圧の調整も出来ない。
乾電池類やACアダプタでの動作は常に音像がぼやけた音を出している事になり、これらの使用が音質悪化の原因と分かる。
又、動作電圧の違いで音質が変わると云う事は、音質に影響を与える電圧の安定性が製品の内部回路では担保されておらず、外部電源の性能に依存していることを示している。
以上から、乾電池類やACアダプタは音質的に不適当な代物と理解できる。
製品の取扱説明書通りにこれらを使用する限り、常に音質が悪化した音を聴かされる事になる。これでは永久にD-E01本来の音は聴けない。
これらの問題はポータブル化のために本体の回路側から制御できない物を外部電源にした結果で生じた、ポータブルオーディオ製品共通の欠点と思われる。
”音の良い電圧”の音質から見たメーカーにおけるポータブルオーディオ製品は
1)需要があるので音質的には無理を承知で発売した物。
2)ポータブルで使えるが音質は保証の限りでは無い。と云う類に思えてくる。
上記「表1」のような動作電圧と音質の関係を、メーカーの設計部門が把握しているかは知る由もないが、乾電池類やACアダプタを使用したのでは製品本来の音質が得られない事を把握していると推察する。
設計上の音質には達しないが、ユーザーには”音の悪化が分からないはず”と考えて製品化している節がある。これは、取扱説明書に記載されている乾電池類やACアダプタを使い続ける限り的を射ているので、あながち邪推の類とは云えない気がする。
ACアダプタを電源にするのはコストを下げて製品を売り易くする目的もあると思われる。
産業用シリーズレギュレータ方式直流安定化電源を使い”音の良い電圧”で動作させた時に製品本来の音が甦る事を考えると、メーカーにおいては次のような製品開発の流れと推測される。
販売された製品は、開発・設計段階とは異なり電源性能が著しく低いACアダプタを使用するため、”音質が本来より悪化した状態で動作する”という状態になる。
これが、ACアダプタを電源にするオーディオ関連製品の音の悪さのからくりと考えられる。
電源の問題を知らない多くのユーザーは、本来より悪化した音に一喜一憂する事になり、この様な状況から、メーカーはユーザーを小馬鹿にしているに等しいと思われる。
電源の根本的な改善を行わないメーカーは、”ユーザーには分からないからこのままで良い”と云うような安易な事なかれ主義の姿勢が伺える点で大きな問題がある。
[ by star-route13 ]