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音が良くなる!!ヽ(^o^)丿 直流安定化電源の使い方  


3.音の良い電圧

”音の良い電圧”は何かと云うと、電源に乾電池類やACアダプタ等の外付け品を使用したポータブルオーディオ製品等に於いて、再生音の”音像が明瞭になる”状態の”動作電圧”の事です。

ポータブルオーディオ製品等は普通に”音の良い電圧”から外れた電圧で動作しているため程度に差はあれど音楽の音像がぼやけた音を出しています。
どの製品も同じような状態のため、このような音の製品として見られているのが現状です。
製品には正常動作する定格電圧、例えば4.5V、6V、12V等が記載されていますが、定格電圧値がその製品の最も音質の良い動作電圧ではありません。
実際には少しずれた所にあり、しかも音の良い電圧の許容範囲は僅か”1mV”と云う非常に小さな値です。
正にピンポイントの電圧値のため、これまで消費者は誰も気づかなかったと云う事です。
当然ながら製品を作ったメーカーは知っているはずです。
動作電圧を1mVの許容範囲に保つには乾電池類やACアダプタでは不可能なため、音の良い電圧の条件を満たせる産業用直流安定化電源が必要になります。

3-1.”音の良い電圧”の設定手順
「始めに」 1mVの桁まで測定した”音の良い電圧”値の場合は、テスターで測定しながら電源の出力電圧を合わせ、最終確認として音質のチェックをすれば問題は無い。(※説明は省略する)
10mV(0.01V)の桁までしか測定していない物は、測定精度の関係で許容値を含む範囲のため、毎回音楽を聴きながら直流安定化電源の出力電圧を微調整する必要がある。
音楽を聴きながらの微調整は手間が掛かるので、1mVの桁が測定できるテスターを使用して音の良い電圧値を予め確定しておいた方が良い。
「作業前の注意点」    
通常の演奏モードで行う。
※ラウドネスを含む各種の低音ブースト機能OFF、音飛び防止機能OFF等。
※音楽(音)の聞き分けは個人差が出るため同じ結果になるとは限らない。
「音の良い電圧の設定手順」 10mVの桁までしか測定していない場合の設定手順を”SONY D-E01”を例に説明。
(使用テスターは最小測定桁10mV)

1)直流安定化電源の出力電圧をテスターで測定しながら”音の良い電圧”範囲の片方の値に合わせる。
※音の良い電圧範囲が4.53V~4.54Vの場合・・・電圧を4.53Vに合わせる。
2)D-E01を動作させて音楽CDを再生しヘッドホンで音を聴く。 3)音を聴きながら”音像が明瞭になる”所まで出力電圧を微調整する。 4)設定後も時間の経過で電圧のずれが起こるので、その都度出力電圧を再調整をする。

※産業用直流安定化電源と云えども、1mVの桁は時間経過でずれる。
例えば合わせた時点で4.53V表示が時々4.52Vを表示する場合は、”音の良い電圧”の設定ポイントからずれている事を示している。

「調整時の留意点」
・テスターで出力電圧を測定しながら表示される電圧値を参考に微調整する。
※定格電圧を大きく逸脱した過電圧で製品を壊す危険を防ぐため。
・テスターの測定レンジを越えた1mVの桁を調整する事になるので、PR18-3AのVOLTAGEツマミを回すと云うより触る感覚で調整する。 ・音像が明瞭になる所が”音の良い電圧”の設定ポイント。
※テスターの測定値は電圧を合わせる目安です。
・次からの調整がしやすい様にテスターの表示状態をメモしておく。例えば4.53Vのままか、時々4.54Vを表示する、あるいは4.54Vのまま等。

(参考)「音像が明瞭になる所の特徴」
  ・ダイナミックレンジが広く、音場が広がる。
    (※左右、前後、上下に音が拡がり立体的な音の空間を感じる。)
   ポイントから外れていると再生音場が平面的で奥行きが感じられず音に伸びがない。

3-2.”音の良い電圧”値の確認手順

”音の良い電圧”値の確認方法(見つけ方)を説明する。
テスターは1mVの桁が測定できる物を使用のこと。
同じ定格電圧の製品でも音の良い電圧値は微妙に異なりピンポイントの値なので、そこから外れた所の音は電圧を変えても音像はぼやけたままでそれ程変わらない。

「作業前の注意点」    
通常の演奏モードで行う。
ラウドネスを含む各種の低音ブースト機能OFF、音飛び防止機能OFF等。
※音楽(音)の聞き分けは個人差が出るため同じ結果になるとは限らない。
[確認手順]
1)直流安定化電源の出力電圧をテスターで測定して電源に接続した製品の定格電圧に正確に合わせる。 2)確認する製品を動作させてヘッドホンで音を聴く。
※アンプ内蔵スピーカー等は通常聴いている音量に設定して音楽を鳴らす。
3)音を聴きながら電圧を定格電圧から2~3mVずつ上げて行き、音質に変化が無いか聴き分ける。
※電圧を上げる上限は+0.1Vが目安。
※音質の変化が分かれば、ゆっくりと連続的に出力電圧を上げても良い。
※テスターで出力電圧を測定しながら調整して過電圧で製品を壊さないように注意。
4)”音像が明瞭になる”所を確認したらテスターの測定電圧値をメモする。
※通常、音の良い電圧は、定格電圧より少し高い所にある。
※電圧を上げても音に変化が無い場合は、電圧を上げすぎている事が多い。
5)メモした電圧値を中心に出力電圧を微調整し、音の良い電圧の範囲を確認する。 6)3-1項の「”音の良い電圧”の設定手順」を実行して”音の良い電圧値”の最終的な確認をする。 7)音質に問題なければ製品の”音の良い電圧”値として決定する。

4.確認実験の概要と結果(参考)

ポータブルオーディオ製品の音質に疑問を持ったのは、HiFi仕様のSONY WM-D6の音質が当時の評判ほどには芳しくなかった事による。
カセットテープでは繰り返し再生によるダメージで音質が変わる懸念があるため、確認実験にはポータブルCDプレーヤーを使用。
電源入力はACアダプタ端子(DC入力)。
   (当時の使用ヘッドホン:オーディオテクニカ ATH-AD1000)

「単一形乾電池の並列接続による確認実験」
[確認実験/その1]
1)音の厚みと云ったニュアンス面の効果はあるものの、経過時間で音が変わる不安定さが改善されない。 2)乾電池の消耗具合で音が変わる。
3)乾電池の並列接続数を増やしても音の不安定さは変わらず。
4)乾電池の消耗過程で一時的に音質が良くなる原因不明な現象を確認。

以上、音質改善の効果が見込めず乾電池での実験は失敗と判断。


「産業用シリーズレギュレータ方式直流安定化電源による確認実験」
[確認実験/その2] (印加電圧を定格電圧に設定) 1)印加電圧を定格電圧値に合わせても音質が芳しくない。
2)音質が芳しくない状態は他のポータブルCDプレーヤーやWM-D6Cでも確認。

以上、製品の定格電圧値と音質に疑問が生じる結果になった。

[確認実験/その3] (動作電圧と音質の確認)
1)定格電圧を中心に10mV(0.01V)ずつ印加電圧を変えて行った所、急に音像が明瞭になる電圧が有ることを確認。(※”音の良い電圧”の現象を確認) 2)”音の良い電圧”の範囲は10mV(0.01V)以内と確認。
※後に1mVが測定できるテスターで、電圧範囲1mV(0.001V)と確認(確定)。
3)”音の良い電圧”は他のポータブルオーディオ製品にも有ることを確認。
4)”音の良い電圧”は乾電池で一時的に音質が良くなる原因不明な現象の答えとなる。

以上から、ポータブルオーディオ製品の音の悪さは音の良い電圧に対する電源電圧のずれが原因と特定した。
乾電池類やACアダプタで音質が悪い理由になると共に、産業用直流安定化電源を使えば製品本来の音質を甦せられると判明した。


4-1.動作電圧と音質 「SONY D-E01の場合」(代表例として掲載)
「注意」 説明の「表1」は最小測定桁10mVのテスターで測定していた頃の物で、説明内容もそれに沿った物になっています。
現在は1mVの測定ができるテスターを使用しており、その結果次の事が分かっています。
1)”音の良い電圧”から1mVずれると音質が悪化する。
2)2mVずれると音が変わった事(音質の悪化)が直ぐに分かる。
このため、音質上の電源電圧の許容範囲は”1mV以内”と推測される。

「表1」はシリーズレギュレータ方式直流安定化電源を使用して、D-E01の動作電圧と音質の関係を独自に調べた物で、定格電圧を中心に0.01V(10mV)間隔で印加電圧を変化させた時の音質の変化をポイントとなる設定電圧(動作電圧)の所を示した。
D-E01の動作電圧には音像が明瞭になる所があり、これを”音の良い電圧”として「表1」に記載している。

「表1 D-E01の動作電圧と音質」
動作電圧 適用 音(音質)の感想 評価
4.55V 定格電圧+0.05V ・高音がキツく音が硬い。
・音の響きが減少。
・ボーカルの音像がやや不明瞭。
×
4.53V
~4.54V
の間(注1)
”音の良い電圧” ・音の響きが柔らかく、微妙なニュアンスがでる。
・音の拡がりが良く、解像力が高い。
・ダイナミックレンジが広く、ボーカルの音像明瞭。
4.5V 定格電圧 ・ボーカルの音像がやや不明瞭。
・高音のレベルが下がり、音の鮮明さ後退。
×
4.45V 定格電圧-0.05V ・低音が出過ぎて高音が伸びない。
・音の響きが減少。
×
(注1)
測定精度等の問題から電圧の値を特定出来ないため許容値を含めた範囲で表示。
この範囲の中に”音の良い電圧”がある。
※”音の良い電圧”欄以外の音の感想は”音の良い電圧”に対する比較。
※テスター測定のため測定器が変わると値が異なる場合がある。
※動作電圧は直流安定化電源の出力端子での測定電圧。
※”音の良い電圧”は製品バラツキやDCコードの長さや太さの違い等で変わる。(目安)

4-2.考察
「表1」から、音の良い電圧について次のことが分かる。
1)定格電圧値から僅かに外れている。(0.01Vの桁がずれている)
2)許容範囲は0.01V以内と非常に狭い。
3)動作電圧が許容範囲から外れると音像の不明瞭さ(音像のぼやけ)が顕著になる。
4)動作電圧が低い場合は低音、高い場合は高音が優位になる。
5)動作電圧のずれが大きくなると音が伸びず詰まった感じの音になる。

[音の良い電圧に於ける電源の条件]
1)動作電圧を”音の良い電圧”に一致させられる電圧の精度。
2)許容範囲内に動作電圧を維持できる安定性。
以上の二つの条件を満たさなければならない。

この様な条件は、乾電池類やACアダプタは電源として適さないことを指し示す。
乾電池類は電池の仕様で定められた電圧でしかなく、ACアダプタは出力電圧の精度や安定性が低く電圧の調整も出来ない。
乾電池類やACアダプタでの動作は常に音像がぼやけた音を出している事になり、これらの使用が音質悪化の原因と分かる。
又、動作電圧の違いで音質が変わると云う事は、音質に影響を与える電圧の安定性が製品の内部回路では担保されておらず、外部電源の性能に依存していることを示している。

以上から、乾電池類やACアダプタは音質的に不適当な代物と理解できる。
製品の取扱説明書通りにこれらを使用する限り、常に音質が悪化した音を聴かされる事になる。これでは永久にD-E01本来の音は聴けない。
これらの問題はポータブル化のために本体の回路側から制御できない物を外部電源にした結果で生じた、ポータブルオーディオ製品共通の欠点と思われる。

4-3.音質から見たポータブルオーディオ製品

”音の良い電圧”の音質から見たメーカーにおけるポータブルオーディオ製品は
1)需要があるので音質的には無理を承知で発売した物。
2)ポータブルで使えるが音質は保証の限りでは無い。
と云う類に思えてくる。

上記「表1」のような動作電圧と音質の関係を、メーカーの設計部門が把握しているかは知る由もないが、乾電池類やACアダプタを使用したのでは製品本来の音質が得られない事を把握していると推察する。
設計上の音質には達しないが、ユーザーには”音の悪化が分からないはず”と考えて製品化している節がある。これは、取扱説明書に記載されている乾電池類やACアダプタを使い続ける限り的を射ているので、あながち邪推の類とは云えない気がする。

ACアダプタを電源にするのはコストを下げて製品を売り易くする目的もあると思われる。
産業用シリーズレギュレータ方式直流安定化電源を使い”音の良い電圧”で動作させた時に製品本来の音が甦る事を考えると、メーカーにおいては次のような製品開発の流れと推測される。

  • 1)開発・設計段階・・・・・自前の直流安定化電源で設計試作。
  • 2)製品化段階・・・・・安価なACアダプタに置き換え。

販売された製品は、開発・設計段階とは異なり電源性能が著しく低いACアダプタを使用するため、”音質が本来より悪化した状態で動作する”という状態になる。
これが、ACアダプタを電源にするオーディオ関連製品の音の悪さのからくりと考えられる。
電源の問題を知らない多くのユーザーは、本来より悪化した音に一喜一憂する事になり、この様な状況から、メーカーはユーザーを小馬鹿にしているに等しいと思われる。
電源の根本的な改善を行わないメーカーは、”ユーザーには分からないからこのままで良い”と云うような安易な事なかれ主義の姿勢が伺える点で大きな問題がある。

[ by star-route13 ]

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