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音が良くなる!!ヽ(^o^)丿 直流安定化電源の使い方  

(注意)使用ヘッドホンについて   (2016年3月 記)

ヘッドホンで音質の確認を行う事が前提のためヘッドホンの再生特性が音の判断を左右します。
市販ヘッドホンは特性的に概ね二種類に分けられます。

  • 1)一般的な音楽観賞用     
  • 2)モニタータイプ(音楽制作スタジオ向け)

”音の良い電圧”を確認するには、2)モニタータイプのヘッドホンが適しています。
一般的な音楽観賞用は製品によって”音の良い電圧”が変わる事があり、ヘッドホンの再生特性が影響してポータブルオーディオ製品本来の”音の良い電圧”から音が良いと判断するポイントにずれが生じて、別のヘッドホンに変えると音が悪くなります。

(参考) 「オーディオテクニカ ATH-AD1000」
前から使用しているHiFi仕様の一般的な音楽観賞用です。
モニタータイプとの比較で音が良いと感じるポイント(電圧値)が少し高い方にずれていました。
音楽を聴く分にはさほど問題ないですが再生機器本来の”音の良い電圧”とは異なるため 録音等をする場合に音質的な問題が起きます。

1.使用機器類

ポータブルオーディオ製品等の本来の音質を甦らせるために必要な物を紹介。
紹介品もしくは同等機能の製品を用意する。

  • 1)産業用シリーズレギュレータ方式直流安定化電源
  • 2)測定器(マルチテスター)
  • 3)DCコード(※電源の出力端子とACアダプタ端子を繋ぐ電源コード)
1-1.産業用シリーズレギュレータ方式直流安定化電源(製品例)
写真:テクシオ(TEXIO)直流安定化電源PR18-3A ■TEXIO PR18-3A

[写真] テクシオ(TEXIO) PR18-3A。
 シリーズレギュレータ方式直流安定化電源

※テクシオのサイトではドロッパ式として掲載されているが呼び方が違うだけで同じ方式。
本ページではシリーズレギュレータ方式で呼ぶ。
(2009/4月現在)

産業用の汎用電源で筐体はラックマウント仕様。会社や工場での研究開発やエージング等が主な用途。


[定格]
  出力電圧:0~18V
  出力電流:0~3A

 (選択理由)   
・ノイズの少ないシリーズレギュレータ方式。
・定電圧/定電流電源。
・シリーズレギュレータ方式の中では安価。
・最大出力電流3Aの仕様。
・アナログ式メーター。

※使用するオーディオ製品の定格電流仕様を確認した上でPR18-3Aを選定。
※オーディオ製品類は定格電圧12V以下のACアダプタが多いため出力電圧0~18Vの製品を選定した。

PR-A型はテクシオのシリーズレギュレータ方式の電源としては最も安価なモデル。
余分な機能の無いシンプルな電源で定電圧動作により電圧一定で必要な電流を流せる。
出力電流が最大3Aのため消費電流の多いアンプ内蔵スピーカー等にも対応する。
大型のトランスを実装しているため小型のわりに重いがノイズが少なくオーディオ用途に適する。出力電圧の調整精度や電圧安定性の面では安価モデル相応の部分はあるが、やり直しが利く音楽再生用途にはこれで十分。

アナログ式メーターは目盛りが荒いため電圧の設定はテスター測定で行う。
本機の調整ツマミは可変抵抗タイプで電圧の微調整が少々やり辛いのが難点。
このため、音の良い電圧値の確認作業には余り向いていないが最初に”音の良い電圧”を確認した時に使用していた電源。

[使用の注意]
・各調整ツマミは動かし易いがうっかり触ると設定が変わる事もあるので注意。
・DCコードのプラグを使用する機器に挿す前に必ず電圧値をテスターで確認する。
・所定の電源電圧より高い電圧が掛かるとポータブル機器が故障する危険がある。
・使用後は必ずツマミを最小位置に戻す。
写真:KENWOOD 高分解能直流安定化電源PAR20-4H ■KENWOOD PAR20-4H

[写真] ケンウッド 高分解能直流安定化電源
 PAR20-4H(シリーズレギュレータ方式)

[定格]
  出力電圧:0~20V
  出力電流:0~4A

高分解能型で1mVステップの電圧設定が可能。中古品で入手に難はあるが、電圧設定の容易さから音の良い電圧値を確認するには最適。


出力電圧の安定性がPR18-3Aより高く、やり直しを避けたい記録用途(音楽CD-R作成等)には、このクラスの電源が適する。

PAR20-4Hは製造終了品のため、現在は中古品しか無い。(2014年3月現在)
古めの中古品のため価格的には新品のPR18-3Aより少し高い位の値段で入手できる。
外形はギリギリ家庭で使える大きさという感じで、工場で使う電源のため標準の電源ケーブルは
アース端子付きの3極タイプ。
家庭で使うには別途2極タイプ(アース線付き)の電源ケーブルを用意する必要がある。

設定ツマミは高精度のロータリーエンコーダーで電圧と電流の共用タイプ。
音楽CD-R作成のために入手した物で、現在は電圧調整の容易さと電圧安定性からメインで使用している。ノートパソコンの電源電圧19Vに対応する唯一の高分解能型電源になっている。

「産業用シリーズレギュレータ方式直流安定化電源の必要性」   
産業用の電源に拘るのは以下の理由による。
1)仕様で保証された電源性能
2)1mVの桁の電圧安定性
3)電圧の微調整機能

(注意)
直流安定化電源とは云っても電源仕様に”定格電圧”や”定格電流”位しか載せていない代物は信用に値しない。

■■警告■■
・不用意に扱うと剥き出しのヒートシンク等でケガをする事もあるので、取り扱いに注意が必要。 ・万一ケガ等をしても元々家庭用には作られていないため文句は云えない。(自己責任) ・出力端子は前面に保護カバー無しの状態で取付られており、出力中にうっかり触ると感電する危険がある。(※産業用は使用者側が安全対策を行うのが前提) ・子供には絶対に本機に触らせてはいけない。

1-2.測定器(マルチテスター)
写真:A&Dのマルチテスター(AD-5536) 

[写真]
  A&DのAD-5536。
19999カウント表示のデジタルマルチテスター

1mVの電圧を確認するために必要。
テスターのため測定値は参考値(目安)だが、相対的な値が分かれば良いので問題はない。
価格は少し高いものの1mVを測定できる物の方が微調整をしやすく電圧設定が容易になる。


直流安定化電源の出力端子間の電圧を測定しながら、表示される電圧値を見て微調整を行う。
写真は20Vレンジの表示で小数点以下の表示は3桁。(最小1mVの表示)

写真:sanwaのカード型マルチテスター

[写真]
  sanwaのSD-420C。

3・ 1/2桁表示フルオートレンジのカード型マルチテスターで型はかなり古い物。
使い勝手は良いが最小測定桁は10mV。
確認実験において最初に音の良い電圧値を確認した時に使用していたテスター。


音の良い電圧の測定には測定レンジが一桁足りないが、レンジを超える部分は音を確かめることでカバーは出来るため長く使用していた。
現在は1mV精度の設定が必要な事から使用していない。

1-3.DCコード
写真:DCコード(4.5Vと6V用)

[写真] DCコードの例。(コード長:約1.5m)
 ※片側にプラグ端子付きの直流用電源コード。

[上側]:極性統一形#2(L形プラグ)
   4.5V用に使用。
[下側]:非極性統一形(ストレートプラグ、2.1φ)
WM-D6Cの6V用に使用。(通販(千石電商)で購入)


DCコードは電圧によってプラグ端子に種類があるので、使用するポータブルオーディオ製品等の ACアダプタ端子に合わて適切な形状の物を使い分ける。
プラグ端子の形状は付属ACアダプタを見れば分かる。(同じ物を選ぶ)

2.音が良くなる!!直流安定化電源の使い方

一般的には余り馴染みのない産業用直流安定化電源の使い方と電源電圧を”音の良い電圧”に設定する手順を、ポータブルオーディオ製品を念頭に説明します。
多少面倒な事もありますが電源の問題点を知らずに買ってしまった製品の有効利用が図れます。使用電源はテクシオ(TEXIO)のPR18-3A。

[注意事項] 本ページの直流安定化電源は、次の条件(事前準備など)で使用した物です。
音質に不利な事を承知で使用する分には拘る必要はありませんがその場合は十分な効果が得られない事があります。

1)直流安定化電源と使用するオーディオ製品等は”1m以上”離して置く。
※間隔が狭いとその分音質が悪くなります。
2)エアコンは停止する。
※エアコンの動作で音質が悪化し直流安定化電源を使う意味が無いため。
3)コンセントに繋がる他の電気製品は極力電源切り、電源コードを抜いておく。
※電気製品からの電磁波の影響を減らすため。
4)その他
・直流安定化電源のGND端子にアース線を取り付ける。
・電源プラグはコンセントに直接挿す。(電源タップは使わない)
・パソコン用等のスイッチング式ACアダプタはコンセントを分ける。

写真:PR18-3Aの前面パネル

[写真]
  PR18-3Aの前面パネル。

PR18-3Aの出力端子は左から
  1.出力端子(-)・・・白色
  2.GND端子・・・黒色
  3.出力端子(+)・・・赤色

[設定ツマミ]

名称 役割
VOLTAGE 出力電圧の設定(粗調整)
FINE 出力電圧の設定(微調整)
CURRENT 定電流動作時の電流値設定
及び定電圧動作時の電流制限

[使用時のツマミの設定位置]

VOLTAGE 必要な出力電圧を設定する。
FINE 最小にする(絞っておく)。
CURRENT 最大にする。

2-1.直流安定化電源の使い方
1)電圧の設定(使い方のポイント1) [VOLTAGE]ツマミで出力電圧の設定及び調整を行う。
[FINE]ツマミで微調整をすると音が悪いので、FINEツマミは最小位置にしたまま使用しない。1mVの微調整はVOLTAGEツマミの設定精度を超える微妙な調整になるため手間が掛かる作業になる。

(電圧の測定) 電源の電圧メーターは目盛りが粗く目安にしかならないので、出力端子(-)と出力端子(+)間の電圧をテスターで測定しながら出力電圧の設定と調整を行う。
2)電流の設定(使い方のポイント2) [CURRENT]ツマミは最大にしておかないと音が悪いので、消費電流に関係なくツマミを最大まで回す。
(注意点) 製品によっては使用するACアダプタの電流を制限している物がある。この様な場合はCURRENTツマミをいきなり最大にすると過電流状態になって故障することがあるので、電流計を見ながら電流値が制限を超えないように徐々にCURRENTツマミを回して行く。 制限が有る製品は取扱説明書に注意書きがあるので確認のこと。
尚、ポータブルCDプレーヤー等のモーターを回す製品では、CURRENTツマミを絞っているとリミッターが掛かって必要な電流が流れずモーターが動作しないことがあるので注意する。

3)電源プラグの差し込み方向(使い方のポイント3) 直流安定化電源(PR18-3A等)も電源プラグのコンセント差し込み方向で音の良し悪しが変わるので、音の良い方の向きを確認して電源コードの印刷側をチェックしておく。 最初に確認しておけば、後は電源コードの印刷側で差し込み方向を判断できます。
電源プラグは必ずコンセントに直接挿す事。(※電源タップを使うとその分音質が落ちます。)
写真:各出力端子と接続コード類

[写真]
  出力端子へのコード接続例

直流安定化電源PR18-3Aの出力端子にアース線(緑色)とDCコード(黒)を接続した状態。


4)アース線を取り付ける(使い方のポイント4) 出力端子(-)側のショートバーを外してからGND端子にアース線を取り付け、アース線のもう片方はコンセントの保安用接地端子(アース)に接続する。
ショートバーはGND端子に固定し他の端子に触れないようにする。
アース線を接続しないと音が悪いのでコンセントに保安用接地端子(アース)がある場合は必ず取り付ける。
 ※アース線はホームセンター等で使いやすい長さの物を売っています。
 ※アース線の切断や被覆剥がしには少なくともニッパーやカッターナイフが必要です。

(注意)   コンセントの”保安用接地端子(アース)”の用途は、洗濯機や電子レンジ等に付いているアース線を接続して万一の感電を防止するためのものです。 ここでは電源のアース端子として流用しています。

「コンセントの保安用接地端子(アース)の例」
 保安用接地端子付コンセントの写真

※アース線を付けない場合   GND端子と出力端子(-)をショートバーで接続し、DCコードを出力端子(-)と出力端子(+)に接続。 ※音は少し悪くなるが電源として使えないわけではない。
5)電源の置き方(使い方のポイント5) 直流安定化電源とポータブルオーディオ製品を近づけて置くと電源の漏洩磁束等の影響で音が悪化するので、電源とポータブルオーディオ製品等を置く場所を”1m”程度離す。
    (※間隔は離れているほど良い)
 
2-2.直流安定化電源の使用手順
[手順]
1)直流安定化電源の各出力端子にコードを接続する。
2)電源の各ツマミが最小位置にある事を確認する。(※ツマミが絞ってあるか確認)
 この時点では、DCコードをポータブル製品等の電源端子に挿さずに外しておく。
3)電源の[POWER]スイッチを入れる。
4)電源の[CURRENT]ツマミを少し回す。
 (※電流のリミッターでツマミを回さないと電圧を上げられないため)
5)電源の電圧計を見ながら[VOLTAGE]ツマミを回して製品の定格電圧付近まで電圧を上げる。
6)電源の[OUTPUT]スイッチを入れる。
7)テスターで電源の端子間電圧を測定しながら電圧を上げ、使用する製品の定格電圧に合わせる。(※とりあえず、使用する製品の定格電圧に合わせる)
8)一旦、[OUTPUT]スイッチを切る。
9)外していたDCコードをポータブル製品等の電源端子に挿す。
10)[CURRENT]ツマミを最大にする。(※電流制限がある製品を除く)
11)[OUTPUT]スイッチを入れる。
12)テスターで端子間の電圧を測定しながら微調整して”音の良い電圧”に合わせる。
 -以上-

電源を切る場合は最初に直流安定化電源の[OUTPUT]スイッチを切る。
その後、各ツマミを最小に戻してから[POWER]スイッチを切ります。
電源に接続した製品にトラブルが起きたら直ぐに電源の[OUTPUT]スイッチを切るか、製品の電源端子に挿したDCコードを引き抜いて下さい。
直流安定化電源は電源スイッチを入れてから安定するまでに30分以上掛かります。
電圧の1mVのずれが音に影響するので、電源が安定するまではこまめに出力電圧のチェックをした方が良い。
尚、定格電圧は高い方が電源の出力電圧の安定性は良い傾向があります。

[ by star-route13 ]

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