ヘッドホンで音質の確認を行う事が前提のためヘッドホンの再生特性が音の判断を左右します。
市販ヘッドホンは特性的に概ね二種類に分けられます。
”音の良い電圧”を確認するには、2)モニタータイプのヘッドホンが適しています。
一般的な音楽観賞用は製品によって”音の良い電圧”が変わる事があり、ヘッドホンの再生特性が影響してポータブルオーディオ製品本来の”音の良い電圧”から音が良いと判断するポイントにずれが生じて、別のヘッドホンに変えると音が悪くなります。
(参考) 「オーディオテクニカ ATH-AD1000」
前から使用しているHiFi仕様の一般的な音楽観賞用です。
モニタータイプとの比較で音が良いと感じるポイント(電圧値)が少し高い方にずれていました。
音楽を聴く分にはさほど問題ないですが再生機器本来の”音の良い電圧”とは異なるため 録音等をする場合に音質的な問題が起きます。
ポータブルオーディオ製品等の本来の音質を甦らせるために必要な物を紹介。
紹介品もしくは同等機能の製品を用意する。
[写真] テクシオ(TEXIO) PR18-3A。
シリーズレギュレータ方式直流安定化電源
※テクシオのサイトではドロッパ式として掲載されているが呼び方が違うだけで同じ方式。
本ページではシリーズレギュレータ方式で呼ぶ。
(2009/4月現在)
産業用の汎用電源で筐体はラックマウント仕様。会社や工場での研究開発やエージング等が主な用途。
[定格]
出力電圧:0~18V
出力電流:0~3A
※使用するオーディオ製品の定格電流仕様を確認した上でPR18-3Aを選定。
※オーディオ製品類は定格電圧12V以下のACアダプタが多いため出力電圧0~18Vの製品を選定した。
PR-A型はテクシオのシリーズレギュレータ方式の電源としては最も安価なモデル。
余分な機能の無いシンプルな電源で定電圧動作により電圧一定で必要な電流を流せる。
出力電流が最大3Aのため消費電流の多いアンプ内蔵スピーカー等にも対応する。
大型のトランスを実装しているため小型のわりに重いがノイズが少なくオーディオ用途に適する。出力電圧の調整精度や電圧安定性の面では安価モデル相応の部分はあるが、やり直しが利く音楽再生用途にはこれで十分。
アナログ式メーターは目盛りが荒いため電圧の設定はテスター測定で行う。
本機の調整ツマミは可変抵抗タイプで電圧の微調整が少々やり辛いのが難点。
このため、音の良い電圧値の確認作業には余り向いていないが最初に”音の良い電圧”を確認した時に使用していた電源。
[写真] ケンウッド 高分解能直流安定化電源
PAR20-4H(シリーズレギュレータ方式)
[定格]
出力電圧:0~20V
出力電流:0~4A
高分解能型で1mVステップの電圧設定が可能。中古品で入手に難はあるが、電圧設定の容易さから音の良い電圧値を確認するには最適。
出力電圧の安定性がPR18-3Aより高く、やり直しを避けたい記録用途(音楽CD-R作成等)には、このクラスの電源が適する。
PAR20-4Hは製造終了品のため、現在は中古品しか無い。(2014年3月現在)
古めの中古品のため価格的には新品のPR18-3Aより少し高い位の値段で入手できる。
外形はギリギリ家庭で使える大きさという感じで、工場で使う電源のため標準の電源ケーブルは
アース端子付きの3極タイプ。
家庭で使うには別途2極タイプ(アース線付き)の電源ケーブルを用意する必要がある。
設定ツマミは高精度のロータリーエンコーダーで電圧と電流の共用タイプ。
音楽CD-R作成のために入手した物で、現在は電圧調整の容易さと電圧安定性からメインで使用している。ノートパソコンの電源電圧19Vに対応する唯一の高分解能型電源になっている。
(注意)
直流安定化電源とは云っても電源仕様に”定格電圧”や”定格電流”位しか載せていない代物は信用に値しない。
[写真]
A&DのAD-5536。
19999カウント表示のデジタルマルチテスター
1mVの電圧を確認するために必要。
テスターのため測定値は参考値(目安)だが、相対的な値が分かれば良いので問題はない。
価格は少し高いものの1mVを測定できる物の方が微調整をしやすく電圧設定が容易になる。
直流安定化電源の出力端子間の電圧を測定しながら、表示される電圧値を見て微調整を行う。
写真は20Vレンジの表示で小数点以下の表示は3桁。(最小1mVの表示)
[写真]
sanwaのSD-420C。
3・ 1/2桁表示フルオートレンジのカード型マルチテスターで型はかなり古い物。
使い勝手は良いが最小測定桁は10mV。
確認実験において最初に音の良い電圧値を確認した時に使用していたテスター。
音の良い電圧の測定には測定レンジが一桁足りないが、レンジを超える部分は音を確かめることでカバーは出来るため長く使用していた。
現在は1mV精度の設定が必要な事から使用していない。
[写真] DCコードの例。(コード長:約1.5m)
※片側にプラグ端子付きの直流用電源コード。
[上側]:極性統一形#2(L形プラグ)
4.5V用に使用。
[下側]:非極性統一形(ストレートプラグ、2.1φ)
WM-D6Cの6V用に使用。(通販(千石電商)で購入)
DCコードは電圧によってプラグ端子に種類があるので、使用するポータブルオーディオ製品等の ACアダプタ端子に合わて適切な形状の物を使い分ける。
プラグ端子の形状は付属ACアダプタを見れば分かる。(同じ物を選ぶ)
一般的には余り馴染みのない産業用直流安定化電源の使い方と電源電圧を”音の良い電圧”に設定する手順を、ポータブルオーディオ製品を念頭に説明します。
多少面倒な事もありますが電源の問題点を知らずに買ってしまった製品の有効利用が図れます。使用電源はテクシオ(TEXIO)のPR18-3A。
[写真]
PR18-3Aの前面パネル。
PR18-3Aの出力端子は左から
1.出力端子(-)・・・白色
2.GND端子・・・黒色
3.出力端子(+)・・・赤色
[設定ツマミ]
名称 | 役割 |
VOLTAGE | 出力電圧の設定(粗調整) |
FINE | 出力電圧の設定(微調整) |
CURRENT | 定電流動作時の電流値設定 及び定電圧動作時の電流制限 |
[使用時のツマミの設定位置]
VOLTAGE | 必要な出力電圧を設定する。 |
FINE | 最小にする(絞っておく)。 |
CURRENT | 最大にする。 |
[写真]
出力端子へのコード接続例
直流安定化電源PR18-3Aの出力端子にアース線(緑色)とDCコード(黒)を接続した状態。
「コンセントの保安用接地端子(アース)の例」
保安用接地端子付コンセントの写真
電源を切る場合は最初に直流安定化電源の[OUTPUT]スイッチを切る。
その後、各ツマミを最小に戻してから[POWER]スイッチを切ります。
電源に接続した製品にトラブルが起きたら直ぐに電源の[OUTPUT]スイッチを切るか、製品の電源端子に挿したDCコードを引き抜いて下さい。
直流安定化電源は電源スイッチを入れてから安定するまでに30分以上掛かります。
電圧の1mVのずれが音に影響するので、電源が安定するまではこまめに出力電圧のチェックをした方が良い。
尚、定格電圧は高い方が電源の出力電圧の安定性は良い傾向があります。
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