★Vol.2 ヤヌスの鏡★ |
皆さんは『ヤヌスの鏡』についてご存知でしょうか?原作の漫画と大映によるドラマ化がありますが、ここでは主にドラマについての考察です。ストーリーについて知らない方のために、あらすじから始めていきましょう。(原作漫画は現在廃盤らしく、中古で手にいれるしかなさそうです。ワタクシも中古で手に入れました。集英社の漫画文庫です。)
1.当時にとっては斬新だった二重人格者を主人公にしたストーリー 厳格な祖母を持つ主人公の裕美(ひろみ)は、母を小さな頃に亡くし、母の兄夫婦の子供として育てられる。裕美の母というのは、男に弄ばれ、裕美を妊娠し、自殺してしまう。そのことから、祖母は裕美を世間様に恥ずかしくないようにという名目で、自由を束縛し、恋愛についても汚らわしいものと教え込むようになる。裕美自身は祖母の教えを守り、その通りの人格になっていくが、抑圧が無意識のうちに第2の人格の、自由奔放な性格のユミを作ってしまうのである。ユミは夜な夜な盛り場を徘徊し自由な時間を満喫し、気に入らないことがあると始末する。そのことで、裕美は性格の均衡を保てていたのである。このほかに、裕美に恋する進東さん、ユミにゾッコンのたっちん、暴走族のヘッドの涼子、裕美の実の父親の宝石店オーナーなどの登場人物をからめ、裕美が本当の自分を理解していくというストーリーである。 2.変身シーンの斬新さ このストーリー(ドラマ)についての一番の見せ場は変身シーンではないでしょうか。裕美は祖母の折檻の記憶が、目の前で起こっている事とシンクロしてユミになるのですが、いきなりユミになるのではないのです。シャボン玉が飛んだり、フラスコが割れたり、摂関棒でピシピシしたりする映像が流れ、その後ユミになるのです。これはもう変身シーンというしかありません。裕美はだいたい制服を着ていることが多いのですが、ユミはヤンキーファッションです、いっきに服装が変わりメイクもきつめになります。明らかに服を着替えているのに、裕美はヤンキー服を持ち歩いていません。しかし、何事もなかったように変身しています。当時のドラマにとって斬新なこの技法は、後のセーラームーンの変身したら仮面をしなくても正体がばれないという技法に発展しています。 3.天然記念物の宝庫 今となってはとても珍しい『ヤンキー』と呼ばれる種族が出演しています。といっても役の上でのヤンキーなのですが、再現度は高く、資料的価値は大きいです。涼子をヘッドとする『野獣会』というグループ(漫画版は魔女軍団)が出てくるのですが、とても硬派です。もちろん主用武器はカミソリです、2枚刃を使うときは本気と書いてまじな時だそうです。拳銃が主流の現代とは大違いですね。薬物に関しても、シンナーやトルエンが主流の薬物として扱われているのが微笑ましいですね。また、崖っぷちをバイクでどこまで走れるか、という命がけのゲームなど、硬派な世界で命張ってる姿がとても魅力的に描かれています。これは80年代の若者文化を語る上で、大変貴重なことです。ヤンキーが決してダサいものではないことがわかっていただけたでしょうか。あと、これは余談になりますが、日本におけるブレイクダンスのあり方を位置付けたのもこのドラマです。基本的に日本では、背中や頭で回転すればブレイクダンス、というのがあたりまえになっていますが、これは、たっちん役の風見しんごの功績です。 4.乙女のハートもゲット 親の立場からいえば、基本的に子どもに見せたくないシーンが多い『ヤヌスの鏡』ですが、このドラマは一人の女子高校生の成長ストーリーでもあるのです。女子高生といえば、快楽主義になりがちなあやうい年頃です(そうだっけ)。皆、ユミの自由奔放さにあこがれ、裕美の苦悩に同情する。しかし、裕美の波乱万丈な人生に自分の人生を重ね、物足りなさも感じるのです。どうして私の人生って平凡なのかしら、という感じに。この物足りなく感じている女子高生にとって、『ヤヌスの鏡』は人生の分かれ道になったのです。そうです、ヤンキーの増加です。ヤンキーは国指定の天然記念物というのは先ほど述べましたが、そう簡単に天然記念物になれるはずがないのです。チンピラ程度なら誰でもなれますが、彼女らは仁義の世界をまったくといっていいほど理解していなかったのです。しかし、仁義の世界をマスターし、血の契約を交わした本当の意味でのヤンキーになれた者にとって、その後の人生は約束されたも同然です。主に、埼玉、東北などの保護指定区域に無料住居を与えられ、週に3日博物館に通えばいいのです。バラ色の人生とはこういうものです。そのようなきっかけを与えてくれた『ヤヌスの鏡』は後に女子高生のバイブルとなったのです。 5.旅に出る 裕美がユミというもう一つの性格と融合してこの話は終わるのですが(漫画版は融合する前にユミが崖から飛び降り、どうなっちゃうの?という形で終了)、その後、進東さんは旅に出るのです。この、旅に出るというのはとても貴重な意味があります。そうです、旅行や、武者修業ではないのです、あくまでも『旅』なのです。ドラマでは進東さんは教師役なのですが、生活を捨て旅に出ます。いつ戻るとも告げづに。これは一見男らしい事のように思えますが、実際はどうなのでしょうか。『旅』といえば一人旅です、さすらいです。しかし、現代の日本でそれが通用しないのは明らかです。しかし、あえてやってしまう進東さんは無鉄砲です。あまりの無鉄砲さに鉄砲で撃ち殺したくなります、この殺したくなる衝動を与えてしまった進東さんには、膣痙攣の刑2時間分が贈呈されます。 6.考察結果 硬派をベースに、それを勘違いしてしまう人にはとんでもないしっぺ返しがあるという、厳しい世界ということがわかっていただけたでしょうか。厳しい世界を乗り切れる者、ダメな奴、いろいろいると思いますが、ダメな奴の末路は『死』です(そうだっけ)。そのような世界で行きぬいた主人公にはポケモンを贈りたいですね。しかし、このような厳しい世界で魔法のステッキを使わずに変身してしまう主人公には脱帽です。変身とファンシーはきっても切れないことがここでも証明されています。 |
ファンシー度:★★★☆☆ 虐待度:★★★★★ アヌス度:★☆☆☆☆ 進学度:★★★★★ 浪花節度:☆☆☆☆☆ |
ダンス度:★★★★☆ 勃起度:★★★☆☆ 老人度:★★★★☆ 妊娠度:★★☆☆☆ スケ番度:★★★★★ |
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