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第3週目 松山


さて、最終週は松山である。

もうそろそろ、部屋も散らかり、
腰をすえて東京にいないと、
えらいことになるのだが…

会社勤めの人間にとって、
土曜日も朝から出かけるのは、
非常にしんどいことである。

というわけもあって、
この日の土曜日のチケットは、
12:15出発予定の飛行機にしてあった。

しかし羽田空港まで、1時間以上はかかり、
30分は余裕を持っていないといけない
ことを考えると、10:00ごろには
家を出ておきたいところである。

しかし…
この起きて時計を見たら…
ぐわぁぁぁ〜10:10!

あぁ〜早く出ないと、飛行機に乗り遅れる!
と、ドタバタしながら、家を出たのであった…

しかし、そのドタバタは、
行きだけでは済まされなかったのである。
ということは後述するとして。

羽田に着いたのが、タイムリミット5分前くらいで
カウンターには、ギリギリでやってきた人たちが、
座席の調整のため、待たされていた。
空席の場所を調整して、どの席が乗れるのか、
という作業しているらしい。

ただ、飛行機を乗るのに、
こんなドギマギして搭乗するのは、
もうイヤだ。ゆっくり乗りたい。

とにかく、松山行きの飛行機に乗り、松山空港へ。
松山空港から市内への直通バスへ乗り込む。
松山へは何をしにきたのかと言うと…
特に何をしにきたというのもなく…
(え?そうなんかい!)

せっかくだから、道後温泉につかって、
尾てい骨の痛みをとろう、
くらいのことしか考えていなかったのだが…
やっぱり、現実逃避の気が強いのかもしれない。

松山・一番町に着くと、近くに東横インが見えた。
別に泊まろうとしていたところがあったのだが、
あえて探すのも面倒で、とりあえずそこで
大きな荷物を預かってもらい、
松山城へと足を伸ばした。

nikko81的旅日記をずっと読んでこられた
スーパーがつくほどの奇特な方は、
分かっていただけてるかもしれないが、
わたしの基本的な足の向くところは、

(1)自然のあるところ。
   特に海・湖・湿原等、水辺と緑があるところ。

(2)歴史的な価値のあるところ。
   特に室町・戦国期にゆかりのあるところ。

(3)ゆっくり温泉のつかれるところ。

である。
基本的に何かをしに行く(泳ぎに行く、スノボに行くetc)
ではなくて、何かを見に行くことが多い。
活動的な旅をしないと、若者ではない
とか言われることもあるが、
そういう若さなら、自分はいらないと思っている。
やりたいことをやり、見たいものを見、
可能な限り、自分の納得する生き方をしたい。
あくまで「したい」だけど。

閑話休題。

というわけで、性懲りもなく城郭に足を伸ばしたのだが、
この松山城は、かなりの高台というか
小さな山の上に聳える。
もちろん、昔からの登城口もあるのだが、
めんどくさがりの現在人のために、
リフト&ロープウェーが用意されている。

乗っている時間は、ほんのわずか5分ほど。
あっという間についてしまう。
リフトを降りたところからも、
天守閣までの道のりはずっと坂道。 それがこの松山城だ。

近世になって建てられた城郭の割には、
かなり中世・戦国期の様相をしている。
各城門は、必ずどっかしらの櫓から
狙われるようになっているのが、
よく分かるし、通路が狭くいかにも
敵軍の進路をふさぐ意図が、アリアリだ。

そういう「実戦的」な城のため、
天守閣自体は、さほど魅力のある建物ではない。
1週間前に松本城を見ているから、
かもしれないけれど。
ただ、壁面の黒が引き締まってよい印象はある。

ひとしきり城を堪能し、
いよかんソフトクリームをほおばりつつ、
ホテルへ戻り、準備を整えて、
道後温泉へ出陣。

道後温泉の商店街に入ったところに
こんな地図があった。

最初の四つまでは分かるのだが、
最後の「ソウル」は何なのだろうか?
何の関係があるのか、非常にナゾだ…

まぁ、それはよしとして。
道後温泉初日は、霊の湯へ。
ちょっと高めのこじんまりとしたところへ。
しかし、以前に道後温泉に行ったときは、
気づかなかったのだが、こんな深かったっけ?
ゆっくり座れないなぁ…
しかも、湯が熱めなので、誰一人湯船の真ん中に
いないしねぇ。

湯上りの皇室専用浴室&お茶+おせんべは、
おいしかったけど。
ホントは、坊っちゃん関係が一番見所なんだろうけど、
以前読んだような気がするだけで、
あらすじすら覚えてないので、
今回は、パスさせてもらった。

このまま、ホテルへ戻るのもアレなんで、
じゃぁってんで、道後公園へ行こうかと思ったけど…
もうあたりは真っ暗。
このまま進むのは、あまりにも怪しすぎるので、
明日にしよう、ということで
素直にホテルに戻った。

そろそろ腹がすく頃なので、
ホテルで辺りのグルメポイントをリサーチ。
あれこれ探すが、一人では入れそうな
「うまみや」にした。

けっこうマスターは、
Webでは頑固だとか書かれていたが、
実際はそうでもなかった。
素直にラーメンもチャーハンもうまかった。

ということで、初日は終了。

翌朝、ホテルで朝食をとった後、
「うまみや」がやってるかどうか確認したが、
どうやら休業らしい。残念。
ぜひ、昼飯もここで、と思ったのだが。 そのときに店構えをパチリ。

この日は、昼から松山を出て
高松に移動する予定だったから、
すぐに松山から出られるように、
先にJR松山駅で高松行きのチケットを買ってから、
道後温泉第二弾。今度は、神の湯。
ノーマルタイプだ。

やっぱりここも湯船が深い。
こんなんだったかねぇ。
記憶は曖昧だ。

ゆっくり浸かった後は、
昨日、行けなかった道後公園へ。
ここは、鎌倉〜戦国期にかけて、
伊予を支配した河野氏の居城であった、
湯築城址でもある。

とはいえ、復元された中世の武家屋敷くらいで、
あまり城址をイメージさせるものはなく、
また河野氏自体が、信長の野望のなかで、
弱小戦国大名ワースト5に入りそうな、武将なので、
たいした興味も湧かず、ふーん程度。

その後、松山から高松へ。
このときの電車の中で、雨が若干降っていたが、
このときはさほど、気にも留めていなかったが…
実は、悲劇の序章はこのときに
もう始まっていたのだ…

高松へはどうして行ったかというと、
話は簡単、サンライズ瀬戸という寝台特急に乗って、
朝に東京まで帰るためだ。
そのためにスーツも持ってきているのだ。
時期によっては、松山からという便もあるようだが、
通常は、高松始発だ。

なので、ついで程度に高松は考えていた。
海水を掘りに引き込んだ高松城もあるのだが、
30分も観覧できそうにないので、
今回はパス。9時ごろまでやたらと時間があったが、
うどんを食べたり、ドトールでコーヒー飲みながら、
パソコンで情報を調べたり。
この時点で、天気の情報をもっと調べておくべきだったのに。

実は、この日はかなりの強風になった。
高松駅前の商店街をうろうろし、
いつの間にこんなミーハーになったんだと、
独り言を垂れながら、綿矢りさの小説なんて
買ってる場合ではなく、
さっさと四国から脱出しておくべきだった。
そう、岡山までさえ出ておけば…

暢気に2度目のうどんを食しているとき、駅の案内が。
なんと強風のため、瀬戸大橋線が運休!
はぁ?サンライズはちゃんと動くのか?

どきまぎどぎまぎ。まぁ、動かなくはないだろう、
と高をくくっていたこともあり、
一度動き出したときに、あーよかったよかった、
なんぞ言っていたのだが、再び運休。

やばい。やばい。やばい。
一応、まったくの運休になることはない、
という車掌さんの言葉を信じ、
サンライズに乗り込んだ。

発車20分ほど前に乗り込み、
落ち着かなさをさっき買った、
綿矢りさの小説で紛らわす。

「インストール」。うっ、おもしろい。
時間は一応、気になりつつも、読み進める。
発車時刻を過ぎても動かない。
30分経ち、1時間経ち、まだ動かない。
もういい…明日9時に会社には間に合わない、
と覚悟して、のめりこむ。

読み終わった。うん、おもしろかった。
芥川賞、なるほどね。
これなら、もらってもいいんじゃない?
など妙に高圧的な感想をもらしつつ、
次の「蹴りたい背中」へ。これも、おもしろい。
そんなとき、電車が動き始めた。
2時間遅れ。もうご臨終。

「女子」ってやつは、こうなんだよなぁ、
とか、こういう何考えてるか
分からないやつっていたよなぁ、とか
そんな緊急事態に何をのんきに
本を読んでいるんだというくらい、
小説にのめりこんでいた。

そんな読んでいる最中、
どうしてかふと、明日の(というかその日の)
新幹線のことが頭に浮かんだ。
サンライズは通常、0:30くらいに大阪に着くはずだ。

2時間遅れなら、2:30に大阪に着くだろう。
なんとか大阪駅の駅員に頼み込んで、
始発まで過ごさせてもらえないか、
と頼み込むことにした。

とりあえず、読みかけの「蹴りたい背中」
を一気に読破し、通りかかった車掌に
事情を説明して、大阪に着く頃に
起こしてもらうことに。

わずかな仮眠の時間。1時間くらいだろうか。
大阪に着いた。
こんなおかしな帰阪は、なかなかないぞ。
誰もいない大阪駅。当然だけど、初めてだ。

とりあえず、通常なら「関係者以外立入禁止」の
駅事務室に通された。
奥のほうで、どうするか駅員同士で話をしている。
結局、大阪駅で始発(5:00)まで、
駅事務室の応接室で過ごすことになった。

もちろん、サンライズの乗車券をイキにしてもらって、
新大阪から東京までの新幹線特急券だけを
別に買うことになった。
特急券もサービスせぇや、と駄々をこねてみたが、
それだけはOKは出なかった。

不思議と応接室では眠らなかった。
応接室の雑誌を読んだり、
マイタブレットPCでネットサーフィンしたり。
あ、あとスーツに着替えて。

5時前に応接室を出て、
始発の京都線に乗り、新大阪へ。
新大阪では、まだ新幹線特急券はまだ買えなかった。
手持ち無沙汰だ。そうと知っていたら、
もう少し、大阪駅を出るのを遅らせたのに。

どこも空いていないので、
何もすることがない。
うろうろうろうろうろうろうろうろ。
なんとか30分をつぶし、速攻で特急券を購入し、
6:00の新幹線でなんとか東京へ。
そして無事、出社と相成った。
何事もなかったかのように、済ました顔をして。


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