時軸の香り title18-list

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by,石礫

ヒカルが白川と話して居ると。
通りがかった緒方から、人に貰ったが自分はいらないからと、ヒカルは何故かアロマオイルを貰う
「…ラベンダー……」
「リラックス効果があるそうだから、落ち着きの無いお前にぴったりだ」
「ムカっ……えー?どっちかって言うと緒方先生の方がヒツヨーでしょ。」
「……進藤!てめーっ、オレが落ち着きが無いと言いたげだな!」
「その、すぐ、ムキになる所にリラックス効果がヒツヨーですぅ」
「いや、お前の、その普段の落ち着きの無いほうがリラックス効果が絶対必要だ。」
ヒカルと緒方の掛け合いは、傍から見てると楽しかったので、ついつい、笑ってしまった白川を睨みつけてしまう二人。

白川は笑いをごまかす様に咳払いをし、話題を変える事にした。
「ラベンダーと言えば、「時をかける少女」を思い出します。映画、観にいったんですよ」
「「時をかける少女」…あ、あった、あった。尾道三部作の二作目、SF小説が原作で……」
白川と緒方の話題に上ったタイトルはヒカルには全くわからない物である
「「時をかける少女」?」
「ある少女が、偶然、ラベンダーの香りがする時間跳躍する薬を嗅いで、過去に飛ばされるんだ」
「…切ない感じで、中々、良い映画でしたよ。」
「へー…」

「進藤、漫画ばっかじゃなく、本も読めよ。」
「悪かったなっ!」
緒方の言葉に棘がある気がするのでムカついてしまうヒカルだった


ラベンダーの香りの中、緒方と白川の懐かしの映画の話をぼーと聞きながら…ヒカルは何の気なしに考えている


もしも…
過去に戻るとしたら…オレはいつに戻りたいんだろう
もしも…戻るのなら……



そう、佐為に出会う時に…







…ヒ………

……カ…ル…

ヒカル…


「どうしたのヒカル?」
「へ?」
ヒカルより背の高いあかりがその顔を覗きこんだ
目の前には蔵の碁盤がある。そこには染みらしき物が見える
「なんで、蔵の中?さっきまで、棋院で…」
「何言ってるのヒカル?おこずかい足りないから蔵の物売るとか言って来たのヒカルじゃない」
「え?なにそれ…あれ?ここに染みが…へ?なんで?」

見えるのですか?

「そりゃ、見えるんだけどさ……え?」

私の声が聞こえるのですね。

「!?」
ヒカルが振り返った先には、平安時代の狩衣を来た綺麗な青年の姿が…

私は今一度…現世に戻る


そして、救急車で運ばれたヒカルが目が覚めると横には彼がとてもよく知って居る棋士の幽霊の姿が…
藤原佐為と言う天才棋士の幽霊が居た


「これは夢?…夢だよな…」
その頬を抓ろうとしたヒカルは、ふと思いとどまった
「夢でも…佐為の夢だ。このまま目が覚めるのは勿体無い…どーせなら別の選択して楽しもう。
でも、どうすっかな…佐為だけに打たせたいけど…秀策の時代とルール違うってそれとなく教えなきゃ…」


「佐為。打ってやる…これから、じいちゃんと碁を打つか?」
ヒカルの祖父と碁を打つ事に、ヒカルは黒を持たせてもらう
「扇子で打つ所さしてくれ、それから、佐為…大差で勝つと、じいちゃんと、碁、打てなくなるぞ…悪いけど…まずは、持碁か半目で…」
わかりました

「…コミをいれてわしの5目半勝ちだ」
祖父はコミ無かったら持碁(引き分け)だった為、青くなりながら引きつってる
「あ、そーだったコミって…確か黒が有利だから、前もって白に6目は…じゃなくって、5目半付けるんだっけ」
え?そうなんですか!秀策の時代そんな決まり事ありませんでしたよ…時代が変わったんですね
「じいちゃん!わんもあぷり〜ず!!」

でもヒカル、初めてなのに石の並べ方早いですよ
「えぇ?お前が打つとこ指してくれたからだろ」かなり焦るヒカルだった

「なー、じいちゃん、詰碁の問題集とか、碁に関する物なら何でも良いから貸してくれる?後でちゃんと返すから」
そして、荷物を抱えてヒカルは家に帰った
「やるなら、碁界の勉強はしておかないとさ…えっと…これこれ、お、塔矢先生の棋譜載ってるぜ」
と佐為の前に棋譜が載ってる新聞を開いて見せた
…ヒカル、この…塔矢と言う棋士の棋譜ですが…凄いです
「そりゃあ、そーだろ!塔矢先生は神の一手に近いと言われてる人だぜ」
この者も神の一手を!?でも、ヒカルはよく知ってますね
「ゆ…有名なんだよこの人は!!」

毎日の様にじいちゃんと数局打ちながら、ヒカルは囲碁教室に行く事にした
「えーと、進藤ヒカル君だね。碁ははじめてかい?」
「今まで独学でやってたんですけど、相手がじいちゃんだけだと物足りなくて…」
白川先生に指導碁を打ってもらう…もちろん佐為には相手はプロなのでハンデをつけて
一応…負けてしまったが…

次に行くのは、碁会所だ!と入ると、やはり塔矢アキラがいた。
市河に出された紙に…棋力はどっちみち本当の事は書けないので、思わず、院生クラスの棋力を書き込んでしまった
「あら、君、強いんだ!!」
「…多分これぐらいだと思うんだけど…良くわかんないんだよ(しまった、もっと低く書けば良かった)」と付け足す
打つのはアキラじゃ無くても良いとヒカルは思って居たが、アキラが声をかけてきた
結局、アキラとヒカルは打つ事になった…
「…えっと、オレ、まだ石挟んで持てないんだ!それは気にしないでくれる?…じ、実力見るなら互先だよね!」

「ニギるよ!」

「絶対に指導碁は止めてよ!!こんな所にいるって事はそれなりの実力もってそうだし!!」
ヒカルが対局を見てると(ヒカルが石は置いているが)
…ルールが江戸時代と違うとわかってるし現在の定石もかなり見せたので…相手が小学生のアキラでは余裕である

「新しい定石とか試せて……楽しい?」
はい、それにしても、この子供中々の強さです
「だろうね。」

「負けました」
「あの…また来るから…じゃね」

市河からもらったチラシを見る
「こども囲碁大会…か…」
行きましょう!楽しそうです!!
「いっ…行くの!?(塔矢先生や緒方先生に会っちゃうかも…)」


「何で…オレが…囲碁大会に…」
結局、佐為に押しきられやってきた囲碁大会の会場の独特の雰囲気…
「あー…打ちてぇ……」と思わず漏らす本音
え?ヒカルも打ちたいのですか?
「!いや、オレは良いの!佐為さえ打てれば!!」

「もう、帰ろう!あ、そーだ。これから塔矢の碁会所行って、塔矢と再戦しようぜ」
ドンと誰かにぶつかる
「ごめっ……(げっ!!塔矢先生…しかも、緒方先生まで!!)」
「気をつけなさい」とあの時と同じ態度で去って行く
佐為はあの者とか言っているが、ヒカルは別の意味でビビっていた
「ビビった…あの二人並ぶと、まるっきり任侠映画!一般人じゃなくても絶対道譲る!」
地獄耳なのか緒方がヒカルのとんでもない発言にじろりと睨んだのには気がついていなかった
棋院からの帰り道
「見つけたぞ進藤ヒカル!」塔矢が地下鉄の出入り口から出てきた
「あー!塔矢!!ちょうど良かった!!今から、打とう!!」
「は?」
「オレ、マジで、お前とすげー打ちたかったんだよ!!」
「…進藤?ああ、打とう!」面くらいながらも、返事をする塔矢
今度はヒカルが塔矢を引っ張ってた

塔矢との再戦。前もってやっておいた詰碁や見せていた棋譜のおかげか、さすがに一刀両断はしなかったが…
「ありません」
「ありがとうございました。」
負けてしまったアキラはうなだれてヒカルの言葉を全く聞いちゃいなかった
「あ、帰るね…(まさか、ここまで差がつくとは……棋譜と詰碁、役に立ちすぎ!…完璧に失敗だった)」


そして、数日後…ヒカルは碁会所の前…
「…やっぱ、悪い事しちゃったよな」
ヒカル今日も打たせてくれるんですか?
「…………どーすっかな」
「そんな入口の前で突っ立てるとジャマ。入れ無いんだが」
それは、緒方だった。日が違うので、会う訳無いと思っていたのに、会ってしまった
「うわ、白スーツ!」
「……初対面の人間つかまえて失礼だな君は」
「ごめんなさい。」
先に緒方先生は碁会所の階に上がっていた、そして、その後に続くヒカル

「こんにちは…あれ?居ない…」
「あ、アキラ君に勝った子だ!」「今日はアキラ君居ないよ」
塔矢先生と緒方先生に思いっきり睨まれた
「(ひええええっ、なんで塔矢先生まで〜!?やっぱ、こえっー!!)なら、いいや」


「まちなさい」


天の声が降って来た
「……はい?」引きつりながらも、答えるしかない
「君かね、息子のアキラに二度も勝った子供と言うのは」
「…えっと、まぐれですけどね」
ヒカル!まぐれじゃありませんよ!!
「わーってるってそれは!!」
結局、塔矢先生と打つ事になったヒカル
「宜しくお願いします。(よし、今度は途中で逃げないぞ)」
と意気込んで、挑む。ヒカルは無意識だが、ちゃんと碁石を指に挟み打ってしまう

ヒカル…貴方…いま、碁石を…
「佐為、次の一手は!?それとも長考?」
あ、すみません!


「…ありません」
だが、結局、ヒカルが負けを宣言。佐為だから勝てるんじゃないかと思ったが、レベルが足りないらしい…
「ありがとうございました。じゃ、失礼します」
ダッシュで、碁会所を出るヒカルだった。
「…信じられませんが、アキラ君に勝ったのは、まぐれじゃないですね。しかも、ちゃんと盤面を見極める目も持って居る」
「ただ…年齢のわりに完成され過ぎて居るのが気にかかる」


……あの者に負けてしまいました……
「大丈夫、時間はある!また打てる!それまではラスボス倒す為のレベルアップしなきゃな!」
は?
「えっと、強くなろうって事だよ!がんばろうぜ!」
はい、がんばりましょう!

後編

背景素材はこちらからお借りしました

前後編です。2003年設定で、緒方32、白川34の設定で書いてます(笑)童顔の年上ってフレーズが面白かったので白川先生年上設定(爆)
この作品のみ、この年齢設定の二人ですが、彼等が1983年公開の「時をかける少女」観るには、少し若すぎる気もする(汗)まっ、いっか(笑)
このタイトルの解釈を読んでて、「タイムリープはネタとして使える!」と思ったんですよ(笑)