時軸の香り title18-list

BACK

by,石礫

前編


葉瀬中の創立祭に行った。筒井さんと会う、
加賀も現れ、話の行き違いで、ヒカルは加賀と打つ事になってしまった。

「何してるのヒカル?」「あ、あかり居たの?」
集中していたので、声をかけられるまであかりが居るのに気が付かなかったので、加賀に勝っていたのだが
「大会にお前も出ろ!」となっていた。
「オレ勝ったのに〜!何でだよ!それにだめだよ!絶対バレるって!!」
結局、滅茶苦茶押しの強い加賀に押しきられ、結局、中学生の格好して中学囲碁大会に
3人の勝敗が前と違うのに、何故か、決まってたかのように決勝に残ってしまう
そして、ヒカルの家のはすむかいに住んでる中学生からバレる。そこにアキラが居る


春、中学生になった
「筒井さん悪いけど、夏の大会だけだよ」
「うん、わかってる。がんばろう。」
「じゃあ、囲碁出来る男三人見つけないとさ。今から鍛えたら冬も出られるんだけど」
「そうだね」
そこに、やってきたアキラ
「(あーもう!!塔矢しつこい!!)」
「進藤!」
「オレ、部活の大会に出るんだ!お前に構うヒマなんてないんだ!!(…あっちゃー、また似たような事いっちゃった)」

ポスターの詰碁問題に三谷が引っ掛かった。でも、中々、入部には首を縦に振ってくれない。
筒井さんのかわりに、三谷と勝負してもオレが強いとわかると逃げられた
前と、同じ方法をとるしかなかったが…なんとか、オレと筒井さんの中学最後の大会に出てもらった
ヒカルは今回は大将だった…海王中だった、アキラも大将で来た。
「お前強いんだしさ、早くプロになったら?」
「ふざけるなっ!!君は僕の事をバカにしてる!!ああ、分かった。早くプロになって追いつけ無い所まで行ってやる!!」
何故かアキラを怒らせてしまった。さっさとアキラはプロの道に行く事を決めてしまった

家でヒカルと佐為の対局(碁盤は祖父に勝ち、買ってもらった物)
「オレばっかりと打ってるとつまんないだろ?」
そんな事ないですよ…ヒカルと打つの凄い面白いです。…ただ?
「ただ…?なに?」
ヒカルの力なら、ヒカルが打っても塔矢に負けませんね
「(やっべー)…あ!ほら、佐為の毎日見てたからだよ!!それにオレじゃダメだって…」
そんな事ないんですけど…

大盤解説をやってる棋戦を見に行ったときにネット碁のことを思い出した。
そこでzelda(和谷)のネット碁を見た
「…ネット碁…(そーだよな。saiを登場させたら良いんだ!三谷に頼もっ)」

「あのさ、三谷。ネット碁できるところって知らない?」
「あ、姉ちゃんがバイトしてるから、そこ行けよ」

「うん、すこしは、わかったけど…字とか打て無いんだよな……」三谷の姉さんのサービスで無料でやらせてもらう事になった

「さて、ネット最強棋士saiのデビュー戦だぜ!」


そして、瞬く間に広がるネットに潜む最強棋士saiの存在

「…子供、彼か?」
「…どうでしょう?saiの棋譜見て見ないとなんとも…」
アマチュア大会を慰問に来た緒方とアキラはヒカルのことを思い浮かぶ。二人ともsaiがヒカルなのではと思う
そして、saiはネット碁でアキラと戦う事になった。もちろん、結果は同じ
……さすがに、この後、アキラに見つかったのは覚えていたので、ヒカルはこれでネット碁は終わりにした

ヒカルは確かに早く院生試験を受けるつもりでいたのに、年4回、試験がある事は何故か、すっぽりと抜けていて
岸本に「今回も院生試験は受けないのか?」と言われて、ヒカルはやっとその事を思いだしたのだ。

棋院で「院生試験、まだ受けれませんか?」とヒカルが職員に食い下がってると、緒方が通りかかり、ヒカルをやはり推薦してくれる
…そして、葉瀬中の囲碁部には新たな部員、夏目が入って…後、一人と言う所だが時間切れだ。
「院生試験に棋譜3枚居るんだ。いつの書こう…」
そこに、例の如く現れた加賀…そして、三面打ちになった、佐為は見事に3勝
院生試験を受け、ヒカルは院生になる。打たせている佐為の実力はやはり凄く、すぐに一組に上がって、
「進藤ヒカルは塔矢アキラのライバル」と噂になってしまった。和谷に研究会に誘われ、森下の研究会に行く事になる

アキラとヒカル二人が当たるらしい若獅子戦は大注目されるが…ヒカルは風邪を引いてしまいダウン。塔矢とはやはり戦えない
ヒカルについての噂によって余裕のないアキラに芦原さんは言う「すこし、余裕もった方がいいって」と
伊角と和谷とヒカルは碁会所を巡ったり、同じ人物に会ったり……そして、ヒカルがプロ合格した時と同じメンバーがプロに合格するのである。

時間軸をずらそうとした筈だったのに…同じなのだ…まるで、時に定めがある様に…


新初段シリーズ
ヒカルはかなり強いと噂になっていたので名人がヒカルを指名しても天野さんはなるほどと感心するばかり
でも、何故か、この時は佐為が自らハンデを背負った…
「なんで!?塔矢先生と打てるチャンスは早々ないんだぞ!!」
ヒカルは新初段ですよ……それに、こんな有利過ぎる対局は私の本意じゃありません…これで勝っても嬉しく無い…
「……うん、そう言われて見れば…そうだよな。でも、プライド高すぎるぞお前も…」


イベントの御器曽プロの横暴だけは許せなかったので叩き潰しに行った先で倉田とも会う。

4月のアキラとの対局になったが、その日に塔矢先生が倒れてしまってアキラはこなかった

塔矢先生の病室に見舞いに行く…やはり、緒方達がいて、彼等の会話に違いがあるのに、
緒方が塔矢先生にネット碁を勧めたと言うのは、あの時と同じで…前に見ている筈なのに、まるでデジャビュのようだと、ヒカルは思った。
「ネット碁…」

「あの…塔矢先生…ネット碁してるんだったら…saiと…打ちませんか?」
「君とは知り合いなのか」
「…えっと…ネットでの知り合いで…直接本人と会った事は無いんですけど」
「良いだろ…打とう」

「…なっ佐為の負けだ!」
ヒカルが、sai vs toya koyoの対局の結果を覆す、別の道を、まるで、何者かに言わされたように口走る。
佐為はとてもビックリした表情をしている
「…!なんでオレ…こんなこと…言って……」
ヒカルが、どう足掻こうとも…結局、同じなのだ。この日以降、碁盤の染みは薄くなっていく事になるのだ


ヒカルが塔矢先生の病室を訪ねると
「君じゃなければ誰がsaiだ。君が何故、saiであるのを否定するのかはわからないが…」
「違います!オレはsaiなんかじゃ無いんです…!!オレは…碁を知らない進藤ヒカルじゃなきゃ、いけないんです…」
否定を言葉を搾り出し、塔矢先生の病室から逃げだすと、次は緒方とばったり、やはり逃げるがエレベーターホールで捕まり
「sai…お前がsaiなんだろ進藤!オレと打て!打ってくれsai!!」と拝まれる
「ち、違う!オレは、saiじゃない!」
否定の言葉を口にする。エレベーターが目の前に着く、そこから現れたアキラはヒカルの顔を見た瞬間
「進藤!saiは君なんだろ!」
その言葉もヒカルにとっては聞きたくない言葉だった。
ヒカルは逃げる様に閉まりかけていたエレベーターに駆け込むと下の階のボタンを素早く押した

自分が佐為になろうとしているのに、自分は、saiではないと言ってしまう……
「オレは碁を打っちゃダメなんだ…」そう呟きながら心では「オレの碁を打ちたい!」と叫んでいる


(何もかも…同じだった…緒方先生は十段になり、倉田さんと一色碁を打ち、塔矢先生は引退する
 そして、蔵に泥棒が入り…オレは碁盤を見る…
…どんなに変えようとしても、結局、何も変える事が出来ない……大きな流れは止められない)

蔵の中で、ヒカルは碁盤の薄くなった染みに愛おしげに触れる
「なあ、佐為……お前はやっぱり消えるの?」
……ヒカル…


5月の仕事
「saiと打ちたい」と言う酔っぱらい…いつの間にか、彼と打つようになって

部屋に戻ると冷蔵庫から取り出したビールを飲む緒方の姿を見て、あきれてしまう
「…いい加減飲むの止めろよ!(saiと対戦するって思ってるなら飲むなぁ!!)」
「お前が、saiじゃないって言い張るなら、別人って事なんだろ?……オレはお前の碁ってヤツを見せてもらうだけだ。」
「……オレの碁?」
ヒカル、あなたが、あなたの碁で打ちなさい。緒方先生はあなたの碁を見たいと仰ってるんですから、
「(おい、佐為!緒方先生の希望をかなえるんじゃなかったのか!!)」

佐為の言葉は聞こえない……ヒカルは静寂の世界に取り残される

「(オレはオレの碁を打った………相手は酔っ払いなのに、鬼の様に強い。これを持ちなおす事は不可能)
 ………本当のオレは、こんなに弱っちぃんだ……」
「お前は、自分自身を何も分かってないな。自分の本当の強さを見ようとしない。道が見えないのか…」
「見えない?……あ!」その時、ヒカルは劣勢をひっくり返す手を閃く。
思わず、目の前の緒方を見上げるが、

……そこには誰も居ない。……いや、一瞬だけ、そこに佐為の顔を垣間見た。

「君は、現実から目を背けて、逃げるのか?これが、ただの夢だと忘れているのか?」
突然、現実の色を帯びた誰かの言葉が響く…何かが揺らぐ…


気が付くと…ヒカルは、秀策の墓の前に立っている。佐為はそこに刻まれた名前を見つめながら微笑みを浮かべていた

「オレはただ…お前が打てれば、それで…それだけで良かったのに…オレなんて打つ資格も無いのに…」
あなたはもう自分を憎まなくて良いんですよ。…それに、これはあなたが見ている夢なんです
「…夢なら、なんで…なんで!佐為とずっと一緒で居られないんだ!!」
夢はいつか覚めます。時は定められた道にしか進まないんです。
「でも、オレは変えたかった!お前が消えるのが決まってるなんて…」
涙が溢れる…
泣かないで、ヒカル…あなたに泣かれると辛いです

「お願いだから、もう、オレの前から消えないで佐為。…消えるんだったら…オレも一緒に……連れてって……」
あなたが碁を打つ限り、私はあなたの碁の中に…あなたが私を思えば、あなたの心に私は居るんですよ…ずっと一緒です
佐為はヒカルを抱きしめて背中をさすった
触れられた事で、やっと、ヒカルは「これは夢なんだな」と納得した、不意に香る匂い


その人は不思議とラベンダーの香りがしていた





……っ……

……し……ど………っ…

………進藤……


「進藤!ラベンダーの匂いでリラックスするのは良いが…いい加減、起きろ!!!」

「あれ…?緒方先生?」
気が付くと、そこは、秀策の墓の前じゃなく棋院だった。
微かにアロマオイルの瓶からラベンダーの香りがしている…。

ヒカルは緒方の頬に手を伸ばす
「っ!なんで、抓るんだ」緒方の頬を抓って居る
「夢かと思ったんで…いででででっ」
「だったら、自分のを抓ろ〜。」緒方は思いっきり、ヒカルの頬をグリグリと抓る
そこには、緒方だけがいたので
「白川先生は?」頬を摩りながら、尋ねると
「先、帰ったぞ。」
「なんで?緒方先生帰らなかったの」
緒方は、これ見よがしに大きな溜息をつく
「お前が手掴んだまま離してくれなかったから、帰るに帰れなかったんだ。白川は「進藤君の事頼みますぅ」だぜ」
「……ご、ごめんなさい」
思わず、ヒカルが素直に謝ったら、緒方は凄い嫌そうな顔して…
「うわっ、お前が殊勝だと気色悪っ」などと言うのだ。
「人が素直に謝れば、それかい!!」
だから、ヒカルはついつい、緒方にムカツクのであった……しかし、ヒカルにとっては、不思議と話易い相手だ。

「ねえ、緒方先生…。ちょっと聞いても良い?」
「んー?何を?」

「…オレってさ、オレが碁を打つしか無いのかな?」
「日本語の文法、根本的に間違って無いか?」
「うっ…それはどーでもいいって!…ねぇ。オレって、碁を打ってても良いのかな?」

「………っんなモン、自分で、答え探せ。」

それは、とても、緒方らしい言い方の気がしてヒカルは笑ってしまった。


「あ、先生!これ、ありがとう。……おかげで、懐かしい夢が見れたよ。」
ラベンダーのアロマオイルについてのお礼だが、その言い方が気になって緒方はヒカルに尋ねてしまう
「お前、一体、どんな夢見てたんだ?」

「世界一幸せで、世界一不幸な夢。」

そう言うと、ヒカルは、アルカイックスマイルを浮べた


FIN

背景素材はこちらからお借りしました

ちょっと長くなりました。サイヒカ風なセリフはありましたが…多分、健全です。オガヒカとかも掠ったかも?(笑)
佐為が直接絡むと途端に中身が健全になるんですよね(謎)ドロドロ(石礫のは軽い物の気がするが^_^;)してるのに入れたく無いのかなぁ?
この話は、時間修復型(時を変えても必ずどこかで同じになる。大きな流れは変わらない)と言う設定を決めてました
ラベンダーには「あなたを待っています」「私に答えてください」って花言葉もあるので、くれると言う事は…実は告白かもしれない(爆)