捏造過去編

※この話は、キャラ設定や、術(名称・説明)など、
「はい!ウソ!」と言える…捏造を含んだ大嘘シーンがあるので、
そこんとこよろしく!
…です


Chronicle 前編

一つ前に戻る

by,石礫


-置いてきた過去-

はたけカカシは、慰霊碑の前に立っている。慰霊碑に刻まれた親友の名前を眺めていた…

受け持ちの下忍達が、集合時刻を前に待っているだろうと、頭では思いつつも
そこから動く事がどうしても出来なかった


過去の思い出に浸る…彼の心は記憶の海にへと沈みこむ…



-Bright Sun-

「カカシ特別上忍、四代目は来なかったか?」待機所の近くをカカシ少年が歩いていると、火影護衛の暗部に声をかけられた
「いえ、まだ見かけてませんが?また、消えたんっすか?」
「じゃ、見かけたら、知らせてくれ」と、言葉を残すとの暗部は姿を消した

今、話題に上った四代目がやってきた
「カカシ君!ちょうど良かったラーメン食べにいこっ」
「あの…先生、探されてますよ。それにオレ、これからオビトたちと任務です」
「え〜つまんない。」
四代目がブーブーと文句を言う姿に、カカシは溜息を付く

「そういや、暗部になりたいとか言ってたって?」
「四代目になっても、先生は、頼りないし、ここは一つ、オレが暗部になって、先生を補佐するっきゃないでしょ」
「そんなにボクって、頼りない?」
「かなり!」

それでも、話題はラーメン、ラーメンなので、カカシはすーと息を吸いこみ
「四代目が居ました!!」と、周りに聞こえるように声を張り上げる
「あーカカシ君の裏切りもん」
四代目を探していた暗部が飛んでくる。
「じゃ、先生、いってきます!」
カカシは笑顔で手を振る
「無事帰ってきたら、一楽のラーメン奢ってあげるよ!」
「だったら、チャーシュー大盛りでも奢ってもらいますから!」

四代目も笑顔で元生徒を見送っていた。その姿はまるで万人の為に輝く太陽だった



-紅に染まる世界-

一つのミスが全ての命とりだった。


この戦闘は苦しいもので、敵側も味方側も全滅…寸前。
敵側の最後に残った一人は複雑な印を組んでいった。が、オビトも、同時に同じ印を組んでいく、カカシの親友オビトは、写輪眼使いだった。
大技が同時にぶつかり合う
「なにッ!俺の技を同時に!貴様、うちはの血族か」

驚きに気が削がれた敵、いつの間にかカカシが敵の懐に飛びこんでいた。敵の刀を苦無で弾き飛ばし、それを突きたてた

「カカシ、左目は大丈夫か?」
カカシは、黙って首を横に振る。先に受けた左頬の刀傷への応急処置が施されているが、
その包帯からは、どす黒く血がにじんでいる。十中八九、カカシの左目は、無事では無いだろう。
「………っ」何かに気がつき、振り向くオビト

鈍い音がした。

オビトの躰から飛び散る紅い血と…オビトの左の写輪眼の紅い色がやけに鮮やかにカカシの右目に映った
敵は最期の力で刀を自分達に向って振りかざしたのだ。そして、それは、ちょうど、オビトがカカシを庇う形になっていた。
完全に止めを刺したと思っていたのに、それはミスだった。怪我のせいで手が鈍ってたなどと言い訳はつかない
そして、敵はがくりと倒れた
カカシは、持ってる限りの手裏剣等をその敵に叩きこんだ、距離が上手く掴めなくても構わずに、例え、もう敵が事切れていても

カカシは、倒れ込んで来たオビトを抱える様に受けとめる。抱えられたオビトは息も絶え絶えに言う
「右目のあたりから斬られたな…なら、ちょうど良い…カカシに写輪眼やるよ」
「な、何言ってんだ…お前?」
「オレが死んだら、この眼、形見に受取ってくれ」
「…そ…そんな目いらないから生きろよ!死ぬなんて言うなよ!!…だ…から…」

オビトは哀しいのか嬉しいのか…なんとも言えない笑顔を浮かべていた
その笑顔を見ながら、カカシも左目の傷のせいで血が流れすぎたのか、意識が薄らいでいく…

「……お前なら、きっと、……上手く、使いこなせるさ…」


オビトの声を聞いた気がしたが、それも、もう届かないほどに意識は遠くなる
真っ暗な闇と言うより…それは血の様に紅い闇……紅い目が、オレを見ていた



-失いし命の重みは-

目を覚ますと…
「よお、カカシ上忍」
カカシの見知った顔がそこにあった。

「アスマ…なんでここに?…それに上忍って?」

「お前、上忍昇格試験受けてただろ、任務行ってる間に上忍になったんだ」
「そうか、オレ、上忍になってたんだ。……そ…そうだ!オビトは?」

「…………オビトは死んだ」

「え?なにそれ?笑えねぇ冗談だな」
アスマは嘘を語って居るような顔はしていなかった
「ホントなのか?」
「里についた時には手遅れだった」

「…まさか、オレの左目…に」
「ああ……オビトの遺言だしな」


「結局、あの部隊で生き残ったのはオレだけだったのか…」

幼くして、親を戦いで失ってしまった境遇のオレとオビト、そんなオレ達を見守ってくれていた仲間と一緒だったチーム
いつも、オレ達はバカな事言って、仲間達に怒られたりしたけど…楽しかった。泣きそうなほど温かかった。オレの居場所…

「…いっそ死んだ方が、マシだったな…」

アスマはカカシの左目を指差す
「バカな事言うな!オビトはいるんだ!…お前のここに生きてる!!」


オレはアスマの言葉に頷いて見せた。その時は


生きるべきのオビトが死に、死ぬべきのオレが生きてるなんて…こんなのは地獄だ。このままおめおめと生きていく事は絶望に他ならない
オレが生きるのは、オビトの目を生かす為にだけ…。


アスマが去り、しばらくするとバンっ!とけたたましい音で、病室の扉が開かれた

「カカシ君!無事!?」
「先生!」

「左目…は」
四代目に何かを言われる事を、何故か、カカシは恐れ、その言葉を遮る様に、不自然なほどに明るい声で喋り出す。

「あー、ヘマしちゃいました。オレにしては、久々にやっちゃったって感じでー」

「大丈夫かい…」
「ええ、今すぐでも、任務に戻れます。マジで!」
「………昏い目してるよ。」
「やだなぁ。そんな事ないですって」
さすがは四代目と言うべきだろうかと心で思いつつも、心配させまいと笑顔を貼りつけた

「…あのね、カカシ君。先生の前で、無理して強がんなくても良いんだよ」
「何言ってるんですか、オレ、無理なんてしてませんよ。」

四代目の差し伸べた手をカカシは拒絶した。その事が悲しくて、寂しそうな顔をする四代目に、カカシは気がついていなかった

「………もう、戻らなきゃ、それから、カカシ君…暗部は諦めなさい。今の君では勧められない。」
「は?それどー言う事ですか…?オレが、こんな事になったからですか?」
「それとは別問題だ。………ボクの言いたい事の意味がわかっていないからだよ。」
「…意味って」
「自分で考えなさい。」

四代目はカカシには、理解しがたい言葉を言って病室を後にした。

数日後、傷が軽く塞がるとカカシはさっさと病院を退院し、任務に戻ってしまう。
任務に出る事で全てを忘れる様に、苦しみから逃げる様に、四代目の言った言葉は考えない様にして…




-ONE EYE-

「逃げるだけかぁ!ガキが!!」
敵の声が響く、カカシは防戦一方で身を隠す、逃げる事もままなら無い。仲間を呼ぼうにも離れすぎている。
それに、さっきから、遠くで戦闘の気配がする。仲間も戦闘中の可能性の方が高かった

「…くそ、やつの技を見極められたら……………そうか…写輪眼…」
カカシはこれまで、一度も写輪眼を使った事がなかった。

「使えるのか、オレに写輪眼が…」
目を瞑る…、思い出すのは、亡くしてしまったかつての仲間の姿…
「………こんな程度の事でくたばったら……あいつに合わせる顔が無いな。」
自嘲気味な呟きを漏らしながら、静かに思う、そして、決心がついた。

「この眼!使ってやる!」
はじめて、左目を隠していた額当てを上にずらした。そして、瞑っていた左目を開き…写輪眼を発動させる。

その途端に、技、洞察、その理が流れこんだ。カカシは写輪眼の力に驚愕した。

敵の火遁の…まるで、鳥の姿を思わせる炎が、同じ物によって対消滅する。敵の術攻撃に、カカシは同じ術でそれを反したのだ。
「反しただと!?ちっ、サルマネがっ!本当の術使いに敵うなんて思うな!!」
先ほどと同じ術を、繰り出す印を互いに結び始めた
「バカはお前の方だ!写輪眼に、二度と同じ技が通用すると思うかっ!!」
"写輪眼"と聞き、敵は一瞬の気後れをする、その隙をついて一歩先に、カカシは、その術の印を結びきった。

『火遁!朱雀焔舞の術!!』


敵を殺害した事を確認すると、カカシはチャクラが足りなくなって倒れた。
「クソッ…使いこなさないと……きっと、許してくれない…」

写輪眼で何かを手に入れる。
その数は修羅達の絶望、命乞いを薙ぎ払い、全て屠ってきた証で、こなした任務の数は、ただ、死ななかった証だった。



-世界に黄昏が訪れる‐

カカシはチャクラの使いすぎで倒れ、回復の為に里に戻っていた。
うちはの血族ではないカカシには、写輪眼発動のコントロールが出来ず、コピーする術に身体がついて行けない場合も多々あり。
目を閉じぬ限り常にチャクラを消費する状態でもある。…写輪眼によるチャクラの消耗は、思ってた以上に激しいのだ


平和の中に合った里で、突如、禍禍しいチャクラが近づいて来ていた

九尾の狐の襲来だった。

その襲撃の理由は、…誰かの差し金か、あるいは不幸な偶然か、どちらにしても、今だ、真相は闇の中だ。
もしかしたら、どこかに、その理由を知り得る者が存在するかもしれないが…その者は一介の忍では無い事は、確かな事であろう。

強大なる力によって奪われる平和。それは、既に殆どを失った者にとっては、悲劇を通り越し、喜劇の幕開けのようだった。

里を守る為に仲間の忍達は恐れずに九尾に向っていた。しかし、九尾の圧倒的な力に敵う筈もなく、彼らは、事ごとく吹っ飛ばされる
吹き飛ばした彼等をその歯牙にかける事もなく九尾は里に中心に向って行った

九尾の狐が通り過ぎた後から…カカシは情けないほどに足が震えてしまっていた。しばらく動く事もままならないほどに…
「……い…行かなきゃ…先生達の所へ」

九尾を追いかける様に、カカシは里の中心に向う。そして、三代目達がいる所に辿りついた。
何故か、四代目の姿だけが見えない
「三代目!せ、先生は…いや、四代目は!?」
三代目は何故か言い淀んでいた…
「……四代目なら家にいる。カカシ、迎えに行ってくれ!」

すでに倒壊されている火影の家
三代目は居ると言ったが、四代目の気配を感じない…ふと、微かに…赤ん坊の泣き声が聞こえる

その声に導かれる様に、そこに行くと、四代目は気配も無く、ただ佇んでいた。カカシは声がかけられなかった

「先生…」
やっと、かける事の出来た、カカシの声に振り向いた四代目の頬に涙の跡があった

「……っ」

「やあ、………カカシ君」いつもの様に飄々と四代目は笑う
「九尾との戦いの最中にお一人で………ん?なんですかそれ?」
四代目に近づいてはじめて、その腕に何かを抱えていた事に気が付いた

「息子だよ。…少し前に生まれたんだ…ナルト、カカシ君だよ。ヨロシクね」

そのほかほかした物はカカシの顔をじっと見つめると微笑みを浮かべた。まるで、光の様な輝き
…カカシは、それを見てると不思議と心が安らいだ。そして、何故か、その光を手にしたいと思い手を伸ばしかけた…その時、
つい、四代目と目が合ってしまい…ばつが悪くなったおかげで、沸き起こったその衝動を辛うじて抑える。

「…お、奥様は?」
「…ナルトを庇ってね」

「……!」その言葉で、カカシは、やっと、四代目の涙の意味を悟った…。

「…二人とも、命を張っても、ナルトを守りたいんだよ」
四代目はカカシの肩をポンポンと叩くと、何もかも悟ったような微笑みを浮べて、前を向き振り向かずに歩き出した

「……………命を張る?…ま、まさか、屍鬼封尽…先生っ…」

四代目を追おうと踏み出したカカシは、その瞬間に倒れた
「…う、動けなっ……神経を一時的に麻痺させたのか…先生ッ…なんで!?」
「止めないでね。もう、決めた事だから」
「待って先生!」

四代目が消えた先に向って叫ぶ

「ナルトを一人にさせる気ですかっ!!」



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打ち込んで行くうちに話が長くなったので、前、後編に分ける事にしました…(04.7/6)