相手の地にヤキモチを焼くのと反対に自分の模様に打ち込まれるのを過度に恐れることも良くありません。 地模様はあくまでも、模様であって、確定地ではないのです。それを地だと錯覚するから、地で無くなることを必要以上に恐れるのです。 地になる可能性の地模様を荒らされた時には地にならなかったのだから、マイナス要素です。でも、荒らした側は荒らした石自体根拠を得にくいものなので、マイナス要素なのです。 荒らされた側は、攻めることによるプラス要素こそ、荒らされたというマイナス要素を取り戻す基本です。 タイミングの良い荒らしは 攻められるマイナス要素<荒らしたプラス要素 ということであり、相手の地にヤキモチをして、タイミング悪く荒らすのは 攻められるマイナス要素>荒らしたプラス要素 ということなのです。 <右辺> 黒1に対しての白2は相手の地模様へのヤキモチによるタイミングの悪い打ち込みで (白2の石が攻められるマイナス要素+黒3と打たれて右下が地になる可能性を放棄したマイナス要素) >黒の地模様を荒らしたプラス要素 ということになります。 <左辺> 白6 黒模様を制限し、白C8の打ち込みを可能にし、白の根拠作りを目指した一石三鳥の良い手 黒7 白C8の打ち込みを防ぎ、黒模様を拡張し、左上の白に対する打ち込み、攻めを見た一石三鳥の良い手 |
<右辺> 白1と打った手は、黒2と打たれても対策のある手です。 白3と打ち、こちらを強化した後に、白5と打ちます。 黒4で、黒2の逃げ出しを図れば、白5はO3と打って、右下を攻めます。 <左辺> 白7の様に、一路広く開くことも可能です。 白は左上を白13等の手で根拠を持つことが出来るので、黒8だけが、攻められることになる可能性があります。 | |
相手の打ち込みに対し、正しい応手の選択が大切です。 <右辺> 白1の打ち込みに対して、黒2は必須。黒4では、Q17かS15のいずれの選択が正しいでしょうか。 この場合は黒4が正しい。白7まで白は根拠を得ましたが、黒8と一子の動きを制し、白R10の石を攻めるプラス面が大きいからです。 <左辺> この配置で白9と打たれたら、黒10は必須として、黒12はこっちを押さえます。白13(定石)なら、黒14とアテて、先手を取って他を打ちます。 尚、左下で右上の様に打った場合、黒は下辺の地を失うマイナスを取り戻す左辺の白石への攻めが期待できませんので、マイナスを取り戻せないから、黒不利の分れとなります。 |
第2線は位が低く、そこを囲っても小さな地しか出来ません。相手の第2線の石を押さえ込んでいる方は、その石が手広く勢力として働き、有利です。序盤、中盤では第2線に石を打たない様にします。 <右上> 黒が有利な分れです。白地は6〜7目、黒は黒1により10目以上が見込まれます。黒1が無くても、自然に7目程度は地が付きそうです。 <下辺> 白2と打たれたら、黒3以下3線を打って、黒大いに有利です。 黒5で、黒6と押さえると白5と切られ、難しい戦いになります。 | |
<右上> 黒1に対して白はどの様に打つのが良いのでしょう。 白2と2線から打つと、白R15以下の石は生きることが出来ます。 でも、この場合は不正解です。 <右下> 白12と白2子を捨てるのが正解です。捨てることにより、7目程度の黒地の増加を放棄しますが、下辺にそれ以上の成果を得ます。 <左下> 2線をハった方が良い場合があります。 黒17と打って白18を打たせるのが良い手です。この場合、白から17と打たれると先手となり、つらいので、黒17と打ちます。白18に対しては手抜きをします。もし、白20と打たれても、今度も、手抜きします。手抜きしても、左下の黒は根拠が完全だからです。 <左上> 黒23ともう一度ハウのは悪い手です。白は24と打ち、外勢の強化に満足します。必要以上に2線をハウのは悪い手です。 |
2線ほどではありませんが、第3線も必要以上にハウのは、相手に与える外勢との比較上、好ましくありません。 外勢は、意識しなくとも、思った以上の働きをします。 相手の石を殺すことが出来た場合は、外勢の効果だった可能性が高いのは分かります。 自己の石が死ななかった原因を、外勢の力があったからとはあまり考えないでしょうが、外勢を意識していなかったけれど、外勢の力が働いたのです。 勿論、意識して外勢を働かせるのが最善ではあります。 <右上> 黒1、3は何れも必要以上にハっていますので、悪い手です。 <右下> この形は、黒5とトブことが出来ます。白6以下の出切りにも黒9と取ることが出来ます。 <左下> 黒13は白が手抜きをしたら、黒15以下白の外勢を制限し、左辺を勢力下にする手があります。 <左上> ただし、黒19は、手抜きした場合に左上のような手を打たれないために、必須ではありませんが、備えたものです。 | |
第3線をトブ時は足元に注意!!! <右上> 黒S16に弱点がある場合は、黒1のトビは悪手です。 <右下> 黒13とツギを打てば、白14とシチョウで黒9の石が取られ、白の外勢が厚くなります。 <左下> この形では、もう1手オシた後トビを打ちます。 <左上> 或は、黒19とケイマします。 |
石は中央に打った方が、将来性、発展性が豊かで、後々、大きく働きます。
<右辺、左辺> 2つずつの石が接触している場合、どちらが先手で打つかによって、優劣が大きく現れます。 右辺は黒1により黒大優勢、左辺は白6により白大優勢です。 黒1、白6は「2目の頭」という急所で、「 2目の頭は見ずにハネよ」という格言があります。 | |
<右上> 白1はカドと言いますが、単独の石が相手の石のカドに打つと、後から打った白1が不利になります。 ツケにはハネよの項参照 この形から2目の頭をハネられる形が出来ます。 尚、黒4をQ15とした場合でも白不利な形です。 <右辺> 同様に白5のツケに黒6とノビた場合にも、この形が出来ます。 <右下> 定石として、カドが良い手とされるのは、三々に対して黒10と打つ場合です。白11に対して、黒R4と打てば、白12とハネられて、黒悪い形ですが、黒12とノビた形は定石とされます。 <左下、左上> 3子ずつ向かい合った形でも黒16、白21と先にハネた方が有利になります。 | |
<右上> 白1に対しては黒2とノビる一手です。 手抜きは白2と打たれ、2目の頭をハネられて不利です。 <右下> 白3に手抜きをした場合の結果です。 <左下> 白13、15、17に対してはノビが最善です。 <左上> 白21に対しても手抜きは黒不利の結果を招きます。 |
<右辺> 黒1に白2、黒3に白4、黒5に白6、この様に白が先行しながら、1手ずつ打っていく状態は、先行してノビている白が有利です。後からついていく黒は「車の後押し」といい、気のきかない打ち方です。 白は時期を見て、ハネることも出来るが、黒はハネることは出来ないし、手抜きすれば、白に千両マガリを打たれるからです。 <左辺> 「車の後押し」を避ける方法として、黒11の様にケイマに打つ手があります。この手によって黒13と一歩先に進むことが出来ます。 尚、ケイマする場合は、白14からの出切りや、白E11のツケコシに対して、切る手が無効であることが前提です。 |
悪形の一つに「裂かれ形」(割かれ形とも書く様ですが、感覚的に「裂」の字の方がぴったりなのでこちらを使用します)があります。 <右上> 黒が裂かれ形を作っています。白はつながっているのに、黒はバラバラです。石数は同じなのに、力関係は黒が大いに劣勢です。 右上の黒1子と白2子は黒劣勢、左下の黒1子と白2子は黒劣勢です。劣勢の力関係が複合しているので、目を覆いたくなるほど、黒が劣勢です。 裂かれ形から、一方の石を強化しようとすると、必ず他方の石が弱体化することになります。 例えば、黒1、3と押せば、白2、4とノビられ、ますますP15の石は弱体化し、立ち枯れになります。 味方同士、一方を強化すると他方が弱体化することを「兄弟喧嘩」と言います。兄弟喧嘩につながる裂かれ形はつくらないようにします。 <下辺> 黒5、7と打った結果は裂かれ形です。 <左辺> 白10、黒11のない形は裂かれ形でした。それに白10黒11が交換されると、下辺と同じ形になります。下辺はやはり裂かれ形だったのです。 <左上> 黒13とツケた時に、白14とハネた場合、黒15とノビて、白16とツガレた形は、裂かれ形です。 黒15で黒16と切ることにより裂かれ形は回避できます。 |
黒1は白を攻めて良い手です。
でも、黒3と押すと裂かれ形が出来て、折角の黒1の好手が悪手になってしまいます。 黒3は黒4の方から押しても同様に裂かれ形となり、悪手です。 <左辺> 白8に対しては、直接答えないで、黒9等の様に白D13の石に働きかけるのが良い手となります。 | |
<右上> 白1に対して、黒3と押さえると、白2と切られて黒危険です。対策としては、黒2、4、6とノビるのが良いのです。黒2子は裂かれ形になりましたが、白1子も裂かれ形になりました。黒は4線を這っているので、悪くありません。 尚、黒6でN17と押さえるのは、黒の味が悪いので、黒6とノビます。 <左下> この形は、白2子が取られています。そこで、白7とアテましたが、この状態では黒から攻められる形です。 手筋によって、G3の一子を裂かれ形にして弱くすることが出来ます。 <左上> 白9と打って、白9自体は取られても、白15まで、黒C13の石を裂かれ形に誘導し、相対的に白石を強くすることが出来ます。 |
「アキ三角」も働きの乏しい形として、裂かれ形ほどではありませんが、悪形の代表です。 <右上> 白1に対しては、黒2が正しい応手です。黒2と飛んでも、黒2と2子を切断することは出来ないので、立派な効率の良い形です。 <右辺> 黒4と打つ手はアキ(空き)三角の悪形です。 空き三角の「空き」とは、P9に白石が無く、空いていることを言います。 <右下> この形はP5に白石があるので、黒は良い形です。 (白は裂かれ形です。) <左下> 白5のノビに対して手抜きをすると、白6と切られ黒2子(種石)が取られます。そこで、黒6とツギました。この形は、切られることは無くなりましたが、E5の地点に白石が無いので、空き三角の悪形になります。 <左上> 白7に対して黒の好形は黒8です。 | |
<右上> 白1に対して、黒2と打つのは、空き三角が出来て、良い打ち方ではありません。 <右下> 右上は、白3に対して黒4と打ったのと同じ結果になっています。 白3に対しては、黒Q3やN5と打つ方が働いています。 <左下> 白9に対しては黒10と打つのが定石で正しい手です。 白11と白が欠点を補えば、黒も白D5の出切りを防いで黒12と守ります。 <左上> 白19とC13の欠陥を補わないのであれば、黒20と大きく構えることが出来ます。 |
空き三角を回避する手の例示
<右上> 白1に対して、黒2の空き三角を打たずに、取られない方法はあるでしょうか。 <右下> 白5に対して、黒6が空き三角回避の手筋です。 黒8により、白2子を取れます。 <左下> 黒10に対して、白11と取られるのを回避すると、白12と切って、白9又は白2子のいずれかを取ることが出来ます。 <左上> 白F17、G16の形と、黒H16、H17の形は黒の方が良い形ですが、白13に黒14と打つと、いっぺんに黒が空き三角の悪い形になります。次図で悪形回避の手筋を説明します。 | |
<右辺> 黒1とハネると、白2に切られて、脱出は出来ません。 <下辺> 黒3とトビツケるのが手筋です。 <左辺> 黒5の時に、白6とワリコム手に対しては、黒7から黒9と打って白C12を取り込むことが出来ます。 <上辺> 黒13に対して、白14とこちらを守った場合は、黒15を利かせ、黒17と脱出出来ます。 |