碁の力は局面評価能力と読みの力


碁の力は大きく分けて2つあります。

1.局面評価能力


碁の着手は選択です。黒1手目は361の手の中から選択します。白2手目は360手の中から選択します。従って、着手した時点での評価が正しい事が、正しい着手を選択させるのです。これは、読みの力の協力が必要です。
この力は色々な局面で、他人から教わり、自分なりに考えることによって、自己の力としていきます。


2.読みの力


局面評価能力と読みの力により着手決定するわけですが、局面評価能力は知識であるのに対し、読みの力はイメージ力によります。
イメージ力という言葉が一般的にあるか知りませんが、将来の局面をイメージする力という意味に使っています。碁盤を見て頭の中で石を置く力ですね。この力は、知識ではありません。
この力は自分でつけるものです。知識と違うから、教えてもらう訳にはいきません。詰碁等実戦で現れそうな局面で、読むことを繰り返すことにより、力をつけていく以外に方法はありません。
格言等が、読みの助けになることは多少ありますが、読みは自分で訓練し、つけていくのです。
スポーツでいうと、体力、筋力が読みの力にあたり、フォームとか、サッカーやテニスでいうフォーメーションの知識などが局面評価能力にあたると思われます。








   




三手の読み


手を読むのに何手読めるか興味がある人は少なくありません。
その場合、「何手先を読むか」という質問になります。

碁の場合何手先かが問題になるより、次の相手の手が読みの中に入っているかどうかが、問題です。例え、10手先まで読んだとしても、自分の打とうとする初手の次の相手の手がその読みの中に入っていないと、10手の読みは何の意味も無いわけです。つまり、先を読むより、広く読むことが大切です。

将棋の原田泰夫九段がよく「三手の読み」と言ってました。
   平成16年7月11日ご逝去されました。自分の事を「原田」と呼ぶ癖など、好感を持っていました。有難うございました。

1.自分が打つ
2.相手がそれに対して打つ
3.その相手の手に対して自分が打つ手を考えておく

ということです。これには、相手の手を予想する必要があります。予想する手を相手が打ってくることもあれば、違った手の場合もあります。
この予想は1種類ではない筈です。この複数の予想手の中に相手の手が含まれている確率が高ければ高いほど、勝率は良くなる筈です。

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<読みの価値比較>

A.10手先まで読む→読んだ手数10手

B.三手の読み
 自分の着手…………………………………1手
 相手の着手の予想…………………………3手
 相手の着手予想に対する自己の着手……3手
 以上合計……………………………………7手

C.この場合Bの7手の方が価値があります。
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「三手の読み」を自分の思考のリズムの中に取り入れて下さい。








   




厚い碁はコウ自慢


厚い碁というのは、利かしが多く、利かされることが少ない碁のことをいいます。従って、自分の方からのコウダテは多く、相手の方からのコウダテは少ないわけです。だから、コウはいつでも始められます。
逆に、薄い碁は、コウは負ける可能性が高い訳です。

尚、コウを開始しようとする場合は、コウダテを事前に考えないといけません。コウを開始した後で、コウダテがなくて、コウに負けるというのは良くありません。事前にコウダテを考えて、コウ争いに入る様にしましょう。






   




囲碁十訣

中国の古典にある「碁を打つ時の心構え」を書いたものです。

01 貧不得勝
むさぼれば、勝ちを得ず
自分だけ得をしようと考えては勝てない。調和させながら打つことが必要。
02 入界緩宜
界に入っては、穏やかなるべし
相手の勢力圏では、相手に地を与える様な穏やかな手を打つべき。
03 攻彼顧我
彼を攻めるに、我を顧みよ
攻めている時も、自石の弱点を注意しながら打つ。
04 棄子争先
子を棄てて、先を争え
少数の石にこだわらす、先手を取って大勢を占めろ。但し、要石なら1子でも捨てない。
05 捨小就大
小を捨てて、大に就け
石にこだわらず、大地に目を向ける。
06 逢危須棄
危うきに逢えば、須(すべか)らく棄てるべし
逃げても見込みのない石は早めに軽く捨てる。
07 慎勿軽速
慎みて軽速なるなかれ
軽率に打つな。
08 動須相応
動けば、須(すべか)らく相応ずべし
敵が強く来れば強く、穏やかに来れば穏やかに、局勢の流れに順応する。
09 彼強自保
彼強ければ、自ら保て
相手の勢力の強いところでは、固く守る。
10 勢狐取和
勢い狐なれば、和を取れ
自石の勢力が弱い場合は、戦いを避けて無事を図る。