カメラワーク

右の写真は広角レンズで上から撮ったものである。
下のほうはすぼまって頭でっかちに写っている。
これはアオリを使って矯正するのだが、
これらのアオリの方法は別項の
「あおり」を参照されたい。

アオリを使う構造上、大型カメラは精密と思わないほうがいい。
気をつけないと左右の平行が出なくて片ボケを生ずることがある。
目の性格上、上下より左右がおろそかになる為である。
集合写真の場合は特に注意を要する。
片ボケと似たものに中ヌケがある。
これは上下の平行が原因ではなく、ティルトのミスである。
ティルトの焦点面は斜め直線面であり、立体ではない。
従って、手前の花と遠方の上部にティルト面を合わせても、
ティルト面より下方の中間はボケて抜けてしまうのである。

昔、蛇腹のスプリングカメラを使っていて、勢い良く蛇腹を
開いてフィルム面が真空になって膨らんだことがあった。
中央部だけピンぼけになるのである。
大型カメラのピントグラスの四隅には切れ込みがある。
これは蛇腹の伸縮で空気が出入りする為ではない。
大型カメラはピントグラスが暗いために、
アオリやフードで蹴られても気が付かないことがある。
四隅から直接レンズをみれば、蹴られが確認できるのである。
下の絵で隅からレンズの後玉をのぞくとDのように見える。
また、絞った時はAのように見えて正常である。
Bは絞込み不足で、隅が暗く蹴られてしまう。
Cはハレキリの蹴られである。

D=絞り開放
A=絞り込んだ状態
B=絞込み不足
C=ハレキリによる蹴れ

写真を撮る手順は自分流に慣れておくほうが良い。
これは私の方法である。
シャッターをオープンにして、あおり、構図、ピントを合わせる。
次にシャッターを閉じて絞りをセットシャッターをチャージ。
2、3回空シャッターを切ってみる
フィルムホルダーをとんとんと軽く叩きフィルムの位置を安定させる。
フィルムホルダーを挿入。引き蓋を引く。
引き蓋をハレキリにしてシャッターを切る。
引き蓋をひっくり返して差し込む。フォルダーを抜く。
シャッターを開く。ピントずれなどの確認をする。
なお、ロールフィルムは常時生を出しておくようにする為に
撮影したら
必ず巻き上げておく。

カメラの初期セットも自分流儀がある。
まず、三脚は地面に対し、垂直に立てる
多くのものはカメラも垂直の状態で固定し、
ライズでフレーミングする。
とくにポートレートでは俯瞰して顔にピントを
合わせてからフレーミングしなおすと
コサイン誤差のピンぼけを喫するから。
絶えずイメージサークルを気にしていなければ
ならないが、アオリは可能の限り使いたい。
折角の機能なのだから。
水準器はその為についている。

アオリの心構えとしては、前アオリを基本とする。
後アオリは形が伸びるなどの弊害があるから、
イメージサークルの許す限り前を使いたい。