接写の方法と機材

どこまで近づいて撮るのが接写なのか決まりはないが、露出に影響がでる
くらいからが接写といえるのではないだろうか。
レンズと被写体を近づけてゆくとレンズの鏡胴が繰り出される。
一般に、この繰り出し量が焦点距離の1.3倍に達すると露出の補正が必要といわれる。
100mのレンズで130mmの繰り出し量というわけです。
じゃどのくらい補正するかというと
実効f値=レンズの表示f値xレンズ・フィルム間の距離/レンズの焦点距離
f11で前記の例だと
11x130/100=f14.3となり約2/3プラスに補正が必要となります。
もっとも今の小型カメラはTTL露出計が組み込まれていますから、こんなこと
勝手にカメラがやってくれているんですが。

レンズの先端から被写体までの距離をワーキングディスタンスといいます。
ワーキングディスタンスが短いと自然光にしても、人工光にしても「手暗がり」( レンズの影)が発生します。
それに、昆虫や動物など近寄ることができない事もあります。
したがって、ワーキングディスタンスが長いほど照明も撮影も楽になります。
ということは焦点距離の長いレンズを使えばよいわけですが、被写界深度は浅くなってしまいます。
私は春先の小さな花は短いレンズを、大きな花が咲くようになると長めの玉を使っています。

接写用の光源にリングストロボがあります。
このストロボはレンズの先端に発光部を取り付けるもので、無影撮影が可能となるものです。
最近のTTLストロボ自動制御とあいまって、生物などの接写に威力を発揮しますが
ただ、光沢のある冑虫みたいなものはリング状の反射がでてしまいます。

接写の方法には、専用のマクロレンズ・クローズアップレンズ・接写リング・
ベローズ・ワイドレンズのリバースアダプターでの逆付けなど方法はいろいろと
あって、どれが良いかと聞かれますが、その差は大差ないような気がします。
むしろ拡大率が大きくなる訳で、カメラぶれがないようにする手だての方が
遥かに重要かとおもいます。

フィールドでは自然の条件に左右されるわけで、気にいった花などを見つけても
カンカンに日が照っていたりすると、撮れません。
そこで威力を発揮するのは金500円のビニール傘。乳白色のやつでないといけませんが。
直射日光を柔らかく遮ってくれるだけでなく、風までふせいでくれます。
当然、不意に雨が降ったら傘として使えますしね。雨といえば、シャワーキャップ
というんでしょうか、ホテルに置いてあるビニールの頭に被るやつ。
これは持っていると便利です。頭じゃなく三脚の上のカメラに被せるんですよ。

接写の方法は文献などのコピーの場合、厳密に被写体と平行にカメラをセットする
必要があります。それは片ぼけ、歪みの原因になるからです。
被写界深度を深くする必要から絞りは最小にします。
被写体は動きませんから、シャッター速度は長くてもよいのです。が、ミラーアップ
などでショックぶれを押さえましょう。
コピーじゃない接写は必ずしも小絞りでなくても、被写体全体が被写界深度にはいり
後はぼけてくれた方が作画上、都合がいいわけです。
この場合、ぼけの形も奇麗にこしたことはなく、絞りの形状やぼけ具合が効いてくるので
レンズの良し悪しがうんぬんされるんです。
撮る目的によってレンズの焦点距離と絞り値を選びましょう。といっても100ミリ
しかなかったら選べませんがね。
大型カメラではあおりによって被写界深度をのばせますから、参照方。