技の小細工


風で小枝が動いている。なかなか風は吹き止まない
きっといらいらするでしょうね。いっそ思いきってぶらせて風を表現してみたら?。
この場合は、大きくぶらさないと駄目。中途半端だと意図が曖昧になってしまう。
この時のコツは動いていない枝などをきちんと止めて画面に入れておくことです。
風でぶらすといってもピントはちゃんと合っていないといけないですね。
風で小枝が動いている場合、最小になる瞬間って何時か?。
上がっていって止まり下がるのだから、その瞬間が最低となる。
しかし、風って吹き止む瞬間もあるもんですよ。気長に待てば。

空気
昔、ライカのレンズは空気まで写るといわれていました。
今でも通用する神話ですが、空気が写るわけはなく
コントラストと光の扱いによっては
空気感が表現できます。白黒の時代に空気感をだすのは難しい事でしたが、
リバーサルカラーの時代ではかなり巧くものです。
空気感を出すのがうまい写真のコツでもあるのです。
感覚の世界を言葉でうまく表現できませんが、順光は避けできるだけ斜光を
見つけ出すことです。早朝等の日の低い時間が狙い目です。
また、雨上がりの日などはコントラストが付きやすく、
斜光と合わせればGoodです。
晴れた昼間の時間は、風景写真家にとって寝ていてもよい時間なのです。

ソフトフォーカス
ソフトフォーカスレンズが流行っている。ベス単フード外しなんて昔の玉を
使ってみるのもいいが、転がっている凸レンズで作ってみたらどうですか。
合わせてピンホールもいいじゃないですか。
やつて見ると良さ加減が分かってくるというものでしょう。
フィルターに唾をつけてみるのも手でしょう。汚いって、
自分の唾でしょうよ。
それならワセリンを塗ってみたらどうでしょう。
塗りかたによってはスターが出たりしますから。

多重露出
花などをアウトフォーカスで1回露出し、正規で1回露出する。
このとき、ISO感度を倍にしておけば2回で丁度よい露出になる。
あるいは1/2ずつでなく変えてみてもよい。
波など動くものを3色分解フィルターで3重露光する。
わずかに位置をずらせて数回多重露光する。
まったく異なる被写体を多重露光する。
月を風景の中に取り入れてみる。
これらはアイデアが勝負、真似事におちいらないこと。
暗い部分の上にならダブらせても浮き上がってくる。計算が必要。

レフ板
奇麗な花が咲いている。ああ奇麗だと思って撮ってみたが、葉が黒く写っている。
なんてことがよくあります。花の裏側や葉は影になって意外と重いものです。
透過光でとれば、透けた花びらの色は魅力でも他が真っ黒?。
こんな時はレフ板を使いましょう。といつても特殊なものはいらないのです。
白い紙でよいのです。銀紙の専門のものは強すぎるような気がします。
手元にある新聞紙ても雑誌でも、そんな時に限って無いもんなんですが。
私は、白と黒の表裏の雨具兼クッション兼の風呂敷き状のものを使っています。
黒い方は何に使うかというと、花の名前が書かれた名札など、これで覆ってやると
小さなものならシャドウに溶け込んで、画面からは消えてしまう。

やらせ考
レッドエンハンサーで夕焼け空を見た目より赤くすることができると思っていたら
グリーンエンハンサー、ブルーエンハンサーというフィルターが発売された。
でもどうなんですかね。いまだ使った事はないけれど。
神を冒涜しているような気がして。
でも、色彩コントラストを高めるPLフィルターは平気で常用しているんだから。
霧吹きで花に露を載せている人も多い。
写真でもやらせが問題になる。わがTPCの面目は大きなやらせなど当然しないが、
ちいさなことは、やってる?。やってもばれなければ、まあ、いいんですがねぇ。
やらせでなくても、不自然にみえることはさけなければなるまい。
下から見た花、上から見た木の花など普通人が見られない状態は不自然です。
枝を折って撮ったり、引き寄せて撮ってもすぐばれてしまいます。

虹色効果
氷の氷柱がオパールのように虹色に輝いている。
幻想的な風景だが、なかなかそんな場面にはあわない。
ライトかストロボにPL板をあてて照射し、カメラにもPLフィルターをつける。
条件があえば、虹がでるはずである。PL板は50cm角が5,000円で
手に入る適当に切る事もできるすぐれもの。やってみたら如何。

代用レンズ
67の望遠レンズは大きくて重いばかりでなく、高価である。
接写用のヘリコイドリングと延長チューブ、それに「ミズタニ」からでている
リンホフレンズボードを67用のマウントに変換するアダプター。
これで135mm以上は大型のレンズが使えることになる。
もっとも、大型レンズを持ってる人でないとだめだが、
大型カメラのレンズには前玉はずしという奥の手もある。
前群レンズを外すと絞りの羽がむき出して心配だが焦点距離は倍になる。
大型カメラのレンズにはテレコンバーターがないので対象型レンズには使える。
昔の大型レンズには前玉外しの焦点距離まで書いてあつたが、いまは?。

パンフォーカス
遠景から手前の花までピントを合わせたい。さてどこに合わせればよいか。
よく聞かれる質問である。しかもこの時ピントを合わせる目標物もない。
レンズに被写界深度の指標があれば簡単である。
無限遠を設定した絞りの深度指標の遠端におけば、
最近端の距離は深度指標から読み取れる。この時の距離指標が過焦点距離である。
深度指標がなければ、過焦点距離をつかむ方法は、まず遠点にピントを合わせ
次に近点にピントを合わせ、双方の繰り出し位置の中間に設定することになる。
距離指標があれば距離の近方1/3に合わせればほぼ過焦点距離となる。
リスク分散
写真が現像してみなければわからない世界であれば、どんな達人だって失敗する。
まして凡人は、撮影旅行から帰って現像してみて「しまった」ということなど、
ままあることである。
現像所だって出来不出来があるだろうし、ミスすることだってある。
現像の失敗です。新品のフィルムを弁償しますから、では救われない。
沢山撮った場合は1本づつ現像にだそう。
もし、同じ感度で撮っていたなら、結果で次のフィルムに対し、
増減感の指定ができる。
RVPで倍に増感しても、さほど粒子が荒れてしまうことはない。
はやる心は押さえねばならない。しかし、このリスク分散の方法は、
撮影時詳細にフィルムのメモをとる癖がつけてなてと、
どれがどれだか分からなくなってしまう。
それに露出以外の失敗は救えない、ハハハ。