八っあん熊さんのカメラ教室07

    隠居さん、おせーてよNo.7
 
八 ご隠居さん、赤外線写真という奴。ありゃ何ですか。
隠 インフラレッド!。このフィルムは毎年5月頃売り出される。
八 赤外線写真って真っ暗でも写せるとか、衣服がすけてみえるとか、
  何かわくわくしますな。
隠 赤外線は人間の目ではみえない光り。
  何が写るか撮ってみなきゃ分からない。
熊 それで!。勿体ぶらないで早くおせーてよ。
隠 赤外線だけに感光するフィルムがあれはいいんだが、
  残念ながら可視光線から赤外線まで感度分布がのびていると
  言う事。だからそのまま撮ったら普通の写真になってしまう。
  R2という濃い赤色のフィルターを被せて可視光線を
  できるだけカットして使う。
  ま、余り自然味が失われるとどぎついからR1とかO2程度の
  フィルターで可視光線も写してしまう場合もある。

八 どんな風に写るんで?。
隠 赤外線をより多く反射する雲や木の葉が白く写り、
  赤外線の反射が少ない空などが黒く写る。
  だからそんな表現意図をもたないと、単に奇を衒う
  ものとなってしまう。
八 露出は?。
隠 赤外線はみえないから露出も距離合わせも人間の目ではできない。
八 …。
隠 昔のカメラには距離指標のちょっと手前側にRマークがあった
  から、目で距離を合わせてからRマークまで戻したもんだが、
  最近のレンズにはRマークがないものもある。
熊 目見当という所。
隠 露出もISO感度も。
  f5.6で1/30を基準にして前後にふってやる。
八 なれなきゃ駄目ってところ?。
隠 夜でも撮れるってのは。
  赤外線照射機がある。人間の目には灯ってみえない。
  それを使えば写るけれど、距離が合わせられない。
熊 透けて見えるってのは?。
隠 目当てはそこじゃろ。
熊 図星。

隠 赤外線は霞みなどに強く、すかっとした写真になる。
  これは赤外線が霞みを通すからで、衣服や皮膚まで
  通す事がしられている。
  特に、化繊系の繊維は木綿などより良く通すらしい。
八 じゃ、海水浴場で赤外線写真を撮れば真っ裸って訳だ。
隠 写真ってのは反射した光りに感じる訳だから、
  皮膚が赤外線を反射すれば良いのだが、からだ自身も
  赤外線を発している。
  だからすかっとはゆかない。

熊 な〜んだ。がっかりした。
隠 まあ、このあたりは専門家に任しとこ。
  それより、夏の山岳写真を撮った方が良かろう。
熊 …。
八 カラーの赤外線写真ってないのかな。
隠 言ったろう。
  赤外線は目に見えないって、みえなきゃ色だってない。
  …が、三原色の一つを赤外線にした色付写真が航空写真にある。
熊 赤外線写真はモノクローム。
隠 ついでにモノクロームの話をしちゃう。
  モノクロームも大昔は平坦な感色曲線ではなかった。
  ブロマイドなとといった時代のこと。
  ヨウヤク人間の目に近付いたのがパンクロマティック。
  ネオパンSSなどができた頃。
八 最近、白黒写真が大流行。使い捨てカメラにも白黒ができた。
隠 普通の映像に飽き飽きしているから、毛色の変わったことを
  やると受ける。
  長続きしないかもしれないが。

隠 モノクロームの場合は肌の色のグラデーションを出す努力を
  したものだが、5種類の印画紙と現像薬の種類によって硬調
  から軟調まで揃っている。
  フィルムでも変わってくる。
  それに、増感などでも結果が変わってくるから面白い。
  モノクロームの場合は現像から焼き付けまで自分でやった方がいい。
熊 …。
隠 長尺フィルムもあるし、割安でシャンじゃん撮影できる。
  焼き付けによってセピアにしたりモノカラーにしたりもできる。
  立体物に焼き付けたり、絵皿など作ったり。
八 一度やったら忘れられない。
隠 やみつき。現像でも粒子を荒らしたり、逆に細かくしたり。
八 簡単に現像できますかい。!。
隠 できるとも。

隠 現像器のセパレータという透明で両側にいぼいぼの付いた
  帯とフィルムをサンドイッチ巻きにする。
  暗室かダークバックでやる。なれればどうってことはない。
  それを現像器にセットしたら、後は明るいところで、
  現像液を注入し、時間を見計らって排出、停止液の注入、
  排出、定着液の注入、排出、水洗い、乾燥、となる。
  現像液の温度と時間の管理が必要だが、ここは法則性があるから
  ドゥッテことはない。
  あるとしたらノウハウは撹拌の仕方ぐらいか。

八 左様で。
隠 フィルムの背中合わせに巻き付ければ、いっぺんに2ホン
  現像できてしまう。
  現像液もカンズメになっていて、それを溶かすだけ、
  硬調微粒子のミクロファインとか増感のきくパンドール
  などそろっている。
  停止液は酢酸でいい。定着もカンズメがある。
  むしろ難しいのは乾燥する場所かもしれん。
  フィルムはかなりの長さがあるし、埃があっちゃまずい。
  昔は風呂場でやったもんだが。
熊 焼き付けも同じ?。
隠 印画紙現像は安全光で見ながらできる。
八 あげるタイミングがむずかしいんでは。
隠 コツを飲み込めば大丈夫。タメシ焼きということをやる。
  印画紙では現像液が違ってくるが、あとは共用できる。
  印画用の現像液もカンズメがある。
熊 引伸器がいる。
隠 そりゃ、当然だが。
  35用ならそう高くはない。
八 注意点は。
隠 カラーも伸ばせる構造のものが多い。ちょっと高い。
  原板の大きさに比例する。4×5インチのものなんか巨大な
  イメージ。
熊 レンズは。
隠 35ミリで50ミリ、6×9で90〜100ミリ、カメラと同じ。
  引き延ばしレンズは1:1くらいから拡大に収差を
  矯正しているから、クローズアップに応用できる。
  といってもマウントを考えなきゃならねいが。
  スクリューマウントでライカマウント。アダプタはそろっていよう。

隠 一度はやってみるがいい。
  写真の原点だから。得るモノは必ずある。
  
熊 ありがとうござんした。
隠 じゃまたあしたおいで。