八っあん熊さんのカメラ教室03

    隠居さん、おせーてよNo.3
 
八 ご隠居さん、今日はフィルターについてオセーテ下され。
隠 お、またどうしたい。
熊 なんたってTPCの奴等はPL,PLってあんまりいう
    もんだから、PLフィルターつかわにゃ写真じゃねえ
    みたいな気がして。

隠 ふーん。
八 それでPLっていってえ何のこと。
隠 Plarized Light 偏光のこと。
   ポラロイドカメラってのがあるだろう。イマのポラロイド
    カメラは偏光には何の関係もねーが、その昔あっこの社長
    が初めて偏光膜を作った。
熊 どんな効果があるんで。

隠 ん。

  格子と考えれば話が早い。
  光はいろんなところで反射して、あらゆる方向の偏波に
    なっている。
  そのなかから一つの方向を持った光だけを通すのが格子
    の役目じゃ。
  だから回転できるようになっている。
八 …。
隠 例えば水面はいろんな偏波の光で白く光っている。
    これを格子をくぐらせた1つの偏光だけにしてやると、
    水面で反射する光が極端に減って、底が見えるようになる。
八 釣り人は魚が見えるってわけ。
隠 水面だけでなく濡れた葉や、水流、窓ガラスいろんな
    ところで応用できる。
  回転角を変えながら効果を目で確認して使えばいい。
    露出倍数は回転角度で変わってくるからAEだったら都合
  がいい。

熊 サーキュラーってベラ棒に高い奴がありますね。
隠 PLを2枚かさねてのぞいてご覧。
  一方を回してゆくと真っ暗になってしまうじゃろう。
  格子が交差すれば光は通らなくなってしまう。      
  カメラの自動露出機構にはハーフミラーを応用している
  カメラもあるからPL使うと誤差が生じてしまう。

  そこで考え出されたのがサーキュラーだよ。
  効果は同じだから自分のカメラの説明書を良く読んで
  使えばよい。
  関係ない機種にわざわざサーキュラーを選ぶ必要は
  ない訳だが、1台でも該当すれば、とんだ散財じゃ。

熊 あっしの単独露出計は大丈夫か知らん。時々メーターの前に
  フィルターを翳して計っているけど。
隠 メーカーに確認した方がいいかも知れん。
  スポットメーターという奴はあれで一眼レフなんだから。 
      
  PLフィルターは目で確認できるとはいうものの、確認しにくい
  場合もあるし、人によっては調色フィルタとしてつけっ放して
  いるくらい使っている。
熊 よほどスピードを要求する時以外は使った方がよい?。
隠 虹、夕焼け、朝焼けなどは結果オーラいの場合が多いようだな。
  あとは経験か。
  ワイドで空の効きが違い、空の半分の色が変わった何て事もあるし。

八 真を写すんだから、あんまりフィルターを使うのはネイチャー
  フォトの邪道に当たる様な気がしやすがPL以外のフィルターは?。
隠 フィルター一枚で入路と出路で2回反射ロスが生ずる事になり、
  埃だって引っ掛かる訳だから使
  わないに越した事はあるまい。知って使えば味方にはなるんじゃが…。
       
  じゃ、特長あるものだけちょっとあげてみよか。

  レッドエンハンサー  赤味を強める。
             朝焼け夕焼けをより効果的にな。
             マゼンタとかオレンジを使った例を見た事が
             あるが、やっぱりやりすぎで嫌味。

  ND         光量を落とす目的。シャッター速度を長く
             できるから、滝や渓流を雲のように流す事が
             できる。
             1本足の男というレイマンの傑作を知ってる
             だろう。

隠 ソフト効果、フォギー効果  
             ハイライト部にフレアーを生じさせて軟調効
             果や霧の感じをだす。
             わしらの頃はレンズに唾をつけたもんだが…。

  光輝効果    オナジ原理で方向性をもたせると強いハイライトに
          光りの線がでる。
          誰かがやっているし、今更やってもフィルター会社の
          カタログ写真の域をでられまいて。
  紫外線除去   青みががりを除く。UV、スカイライト等。

  赤外線除去   紫色の花などは赤外線の影響を受けて、
          見た目通りの色にならない。そこで補正する。
          DRフィルターなど。

  イエロー、セピア
          枯れ葉や黄葉の強調とか、昔風の写真に?。

  三原色     三原色のフィルターを付け替えて1/3EVづつ
          3回多重露光する。
          波や風の時間差の分だけ三原色が現れ、動かない
          部分は普通の色となる。

  色温度変換   朝夕の赤味を補正したり、蛍光灯下補正、
          タングステン/デライトの変換。

  センターグレー 超広角レンズで四隅が暗くなるのを防止する。

  ハーフグレー  半分ND。空などの調子を落とす。


八 たくさんアリますな。とても持ち切れない。
隠 そこで登場するのがステップアップリングという奴。
  レンズ口径がちがっても1枚のフィルターで済まそうという根性。
  大は小を兼ねるという訳じゃ。

熊 あれ使っている内に、ネジが回らずとれなくなって焦った!。
隠 フード内蔵のレンズなんか手掛かりが少ないから、どうかした
  拍子にとれなくなってしまう。
  メーカーによっては、バヨネット式のフィルターを採用し
  ているが、使い勝手はいいんだが、高くてやり切れない。
  フィルターレンチなるものを商品化している。
八 ハッセルのバヨネットをネジにするコンバータリングがあったから、
  こないだ買ってみたら、互換はとれたけれど、
  こんどはフィルターの上にフードがつかない。
隠 どこか便利になれば、どこかが不便になる。
  万能という言葉はない。

  フィルターとはちょっと違うかも知れんが、プロは空間処理する
  為にレンズの前にギザギサの紙とか千切った葉っぱ、紗などを置く
  テクニックを良く使うもんだ。
  システムフィルターという四角いゼラチンのフィルターを挟み混む
  道具があるんだが、おおく使うんだったらあれがいいかも知れん。
熊 フィルターの達人。
隠 フィルターの達人になるんだったら感性を磨かんとな。
  アイデアの勝負じゃから…。

  二番煎じゃ通用しない。どうしたのか分からせないくらいの
  アイデアが必要。

熊 クローズアップフィルターもフィルターうち?。
隠 そうさな。困ったな。
  名前はフィルターだが…。
  露出倍数が加わらない接写レンズと言った方が良さそう。
  レンズ性能は凸レンズ一枚加わっただけで狂ってくる。
  確実に焦点は前にくるからあってもよいが、肥やしにゃならん。
熊 ところでフィルターを2枚重ねるとどうなりますかいな。
隠 スペクトルを吸収するフィルターは片方の効果だけとなり、
  露出倍数だけは加算される。
八 いい事ないですな。
隠 左様。

熊 ありがとうござんした。
隠 じゃまたあした。