PINKの指先(映画館Ver.)
  

 








俺はどうしようもない変態だ。
そんなことは自分でも重々承知しているから、今更言うのはやめてくれ。



今日も今日とて寂れた映画館に昼間っからやってきて、既に始まっているその中へドアを少し開けて潜り込んだ。
ここの映画館はリバイバル上映ばかりしている。今日のタイトルは『天平の甍』と書いてあった。何て読むのかも良く分かんねぇ。

とりあえず映画の内容なんかどうでもいいんだよ。問題は、その映画館が空いているかどうかだ。
そして、俺の食指を刺激してくれる獲物がいるか。これが一番重要だな。

俺の嗜好はどうにも捩れて歪んでいる。それに気がついたのは中学生の頃だ。
同級生達が女の裸とかの写真に興奮してる横で、その同性の同級生が興奮してる姿に俺は興奮した。
要するに、俺は興奮した男の体が好きなわけだ。
 
男にしか反応しないんだから、確かに俺はゲイなんだけど、ただのゲイじゃない。
直接男に突っ込んだりするよりも、相手の男が興奮している体を見るのが好きなんだ。
スボンの下でアソコをパンパンに勃てながら、羞恥に俯いたり、無理に無表情を繕う様にゾクゾクっと来ちゃうんだ。


暗がりの中、まずは一番後ろの座席に座る。
予想通り、観客はまばらだ。俺は暗いなかで眼を凝らし、その一人一人を物色する。
後ろから見てるせいか、やけに横にたるんだ首の肉だとか、てっぺんが薄い痩せ型のやつだとかが目に付く。

なんだよ!俺の趣味の範疇から外れた奴らばかりじゃねえか!!
チッ、今日は不作だ。俺は結構、外見を重視するんだ。貧相な顔も体も、こっちが萎えるだけなんだよ。

がっかりしてスクリーンを眺める。若い坊さん達が、熱い情熱と共に海を渡っているシーンだ。何とも高尚なことだ。

ここにいても時間の無駄だ。今回は諦めて、映画館を出ようと腰を浮かせた時に、俺はそいつを見つけた。

ちょうど、俺と同じ最後尾列。反対側の一番奥の座席に座っている若い男。
短い金髪に一見スラリと見えるが、しっかりした肩幅と鍛えられたような上腕がシャツの下から伸びている。これは上玉だ。

誘われるように俺は席を立つと、ごく自然な動作でそいつの隣の席に腰を下ろした。
隣の男はチラリとこちらを見ただけで、すぐにスクリーンへと視線を戻す。

どこかの大学生だろうか?俺と同じ位の歳だと思うが。
横目でその顔を窺うと、暗がりでも分かる、これまた随分と整った甘いマスクをしてるじゃねぇか。
そして、引き結んだ口元とまっすぐ前を向けている瞳は、どこか知的で穏やかそうな印象を受ける。
よし!お前は合格だ!


俺はそいつとの間にある肘掛に腕を置き、目を瞑って寝るフリをする。
舟を漕いで、自分の手がすべり落ちてその男の大腿に触れた。もちろん、たまたまなんかじゃねえ。しっかり確信犯だ。

それに気がついて、相手はその手が置かれた自分のジーンズに目をやってから、俺の顔を覗き見たようだ。
眠ってると判断したのだろう、ふぅと鼻から少し息をついてから、そのまま再び前を向いた。 





          







今夜は大学のサークルの飲み会がある。

今日の僕の受ける講義は3限までしかなくて、中途半端に時間が余ってしまった。
まだ集合時間までには3時間程もあるけど、一旦家に帰ってでは忙しなくなってしまう。
だから、この繁華街に久しぶりにやってきた僕は、体のいい時間つぶしとして映画でも見ようかと、手ごろな映画館へと一人で入ったんだ。


大昔の映画のリバイバルだから、観客なんて数人しかいない。
小さい映画館だから、あまり前列で見るよりも、むしろ一番後ろで見るのが丁度いいし、一番端っこに座ってもスクリーンが見えにくいなんてこともなかった。

上映が始まってからしばらくして、後ろの出入り口が一度開いて誰かが入ってきたようだった。
僕は、あまり気にせずに映画に集中していたのだけど、驚いたことに僕の座席の隣に誰かが座ってきた。

とてもびっくりした。だって、百はあるだろう座席に、観客なんて4〜5人しかいなかったんだ。
それなのに、何でわざわざ僕の隣?あまりにも不自然だろう。それは。

僕はちらりとその人物に目を向けた。
意外にもその人は僕と同じくらいの若さで、綺麗な金髪を後ろで束ねて、少々きつい位の瞳のやけに整った顔の青年だった。
ちょっとドキリとしながら、あまり気にしてないふうを装う。

それにしても、何で隣?

一瞬、痴漢か何かかと思ってしまったけど、まさかこんな綺麗で可愛らしい人が、そんな真似をするわけでもないだろうし、僕と友達にでもなりたいのだろうか?
それとも、この映画の作品を熱く語り合う相手でも求めているのだろうか?

視線だけはスクリーンに向けてはいたけど、頭の中ではそんな事を考えていた僕の横で、その人は眠ってしまったのか、うつらうつらしていた。
これで作品について熱く語りあいたいという可能性だけは無くなった。

そっと、その人をもう一度窺い見てみる。長い睫毛に、滑らかそうな頬、可愛らしい唇。
めちゃくちゃ可愛い!!・・・・・・でも、残念なことに間違いなく男だ。
これが女の子だったら、自分のありとあらゆる手管を駆使してモノにしてしまうとこだ。いや、ホントに君が男で実にがっかりだ、僕は。

すると、隣で眠っている彼の手が肘掛からすべり落ちて、僕の脚の上に触れてきた。

僕よりも小さい手だ、そして相変わらず瞳を閉じたその寝顔は殺人的に可愛らしい。
そんな君になら喜んで僕の脚を提供してあげよう。と、前を向いて映画鑑賞を続行していたら、まさかのそれが始まった。


僕の大腿部の上に置かれていた彼の手が、僕の内股のあたりに移動して撫でてきたのだ。明らかな意図を持って。

 

 














俺は早速様子を窺いつつ、その手をじわじわと相手の内股へと移動させた。
ここで明らかな拒絶をされたら、潔く諦めることにしている。騒がれたら厄介だからな。
だけど、ここで黙ってる奴らは、大抵この後の行為を進めても、声を出したりという大それた抵抗はしないものだ。

仮に、多少の抵抗は見せたとしても、最後には俺様のテクニックに陥落するのだ。
俺の手によってアソコを膨らませて、眉根を寄せて羞恥に耐える表情を見せるんだ。
だけど限界近くまで昂めてやって、そこで俺は動きを止める。相手をイかせるのは臭いもするし、まずいだろう?
ついでに俺もあまり自分の手が他人のそれで汚れるのは、ちょっとごめんだったりする。

で、そんな生殺しには耐えられないといったふうに、誰もが顔を染めて咽を鳴らしたり、首を振ったり。
ああ、考えるだけでもゾクゾクするぜ。隣のお前、お前にも今からそんな顔させてやるからな。

その相手の内股を二度三度と緩く行き来してみたが、彼はピクッと肩を震わせただけだ。これはイケる!
ゆっくりとジーンズの上を滑らせて、彼の足の付け根の辺りへ指と手の平を持ってゆく。僅かに彼の敏感な中心に指の関節が当たるような格好で、何度もその付け根をいやらしい手つきで擦る。
このいやらしさが大切なんだ。相手に触れている俺の指という指から、いやらしいオーラを放出するように念じながらやるのがコツだ。
そのうち、そのいやらしオーラは相手に伝播する。これは誰だけの秘儀だが、かなりの効力を発揮する。

しばらくすると、隣の奴は眉間を寄せて目を瞑った。その男前な顔の瞼がピクピクと動いている。そうだ、その顔だ。もっともっと俺に見せてくれ!
そんな表情を見て、俺の胸は沸き立った。こんないい男が俺のテクに悶える様を想像するだけで、俺の方がイキそうだぜ。

そろりと、彼の股間の上に手を這わす。親指と人差し指の腹でその形をなぞる。
ジーンズの生地の上からでも、じんわりとそこから熱が立ち昇ってくるようで、俺の咽が無意識に鳴った。
十回ほど撫でただろうか。そいつのモノはかなり質量を増してきた。
抵抗が無いのをいいことに、更にその場所をギュッと握りこむようにしてみたら、「フッ」と息を詰めて、それが更に固さを増した。

すげえデカいもの持ってんな、お前。

近くで見るこいつは、嫌味がない程度に立派に鍛えられた体躯に、やけに男前な、しかし甘そうな顔の作り。その上、ブツまでこんなにデカいのか。
なんて出来すぎた奴。そんな奴はこうしてくれる。

俺は奴の肩にもたれ掛かるような体勢になり、両手を使って相手のベルトを外した。
カチャリと金属の音がしたが、他の観客はずっと前方の席にいるから聞こえるはずもない、俺は行為をますますエスカレートしていった。
相手からその間、何の抵抗もないのをいいことに、ジッパーをゆっくり下げると服と下着の中に手を突っ込み、固くて大きくなったそれに俺は直接触れた。

硬く太く、血管が浮き出る程に膨張しているそれを取り出して、軽く握って上下する。
ビクビクと若いそれは反応を見せて、親指で先端を捏ねると忽ちじわりと濡れそぼる。


最高、最高だぜ、お前!

ああ、この熱さと太さと恐ろしいほどに張り詰めてぬめる様が俺は大好きなんだよ、なんてやらしくも芸術的なんだ。最高に興奮する!
そのブツの形に満足して、いつの間にか俺の息までが荒くなる。

俺はその隣の男前にもたれ掛かったまま、そいつの表情を見物する。向こうも少しだけ、俺の方へ顔を傾げて眉根を寄せ、俺の目を見ているところだった。 

「な・・・・・・気持ちいいんだろう?」

チロリと赤い下を覗かせながら、囁いてやる。陥落しかけている人間に、やらしい言葉をかけるのは、これまた最高に気持ちいいもんだ。
相手は、更に眉の皺を深くして視線を外すと軽く上を向いた。その咽元がゴクリと動く。それが、また男臭くて俺の気持ちをギラギラと煽った。

俺はお前が気に入った、気に入ったぜ!お前だったら特別に最後までイかしてやってもいい。
お前から出るんだったら、俺の手を汚したとしても許してやる。
お前のお陰で俺のモノまで興奮で固くなってるぜ。ここまでになったのは、お前が初めてだ。


勝手に俺はそう決めると、そいつに絶頂を味わわせるべく、その手の上下運動のスピードを上げる。
湿ったような音が忙しなく聞こえる。

「・・・・・・どうだ?もう出そうか?」

俺は軽く揶揄を含んで耳元で聞いてやる。相手は顔を朱に染めて俺を睨みつけてきた。
おいおい、俺にそんな目を向けるなよ。ゾクゾクして俺の方がイッちまうだろうが。


すると唐突に奴は腕を突っ張って、俺の体を引き剥がしにかかった。
そして素早く乱れた衣服を乱雑に直すと、ガタリと席を立って、早足で出口へと向かう。

おそらくトイレに向かったのだろう。何て可愛い反応なんだ。そんなのは、俺をますます喜ばすだけだっての。
俺は慌てずにゆったりとした動作で席を立つ。そしてギラつく気持ちは抑えきれないままに、映画館のトイレへと向かう。

小さい映画館だから、トイレは一箇所しかない。しかし観客は数人だし、今は上映中。こんな時間に他人がやってくるはずもない。
俺は獲物を追うオオカミのような心境で、その通路の突き当たりにあるトイレのドアを開けた。

俺は、まさかこの後にそんな恐ろしい展開が待ち受けてるとは、夢にも思っていなかった。


そのドアを開けるまでは。

 

 

 

 










僕はトイレのドアのすぐ脇に張り付くように立って、彼がやってくるのを待った。
おそらく彼は、僕がトイレで処理するために駆け込んだと思い込んで、後を追ってくるだろう。

まったくとんだ痴漢もいたもんだ。

あんな可愛い顔をして、ご奉仕されたとあっちゃ、僕からもお礼をさせてもらわなくてはいけないよね。
僕がされた以上に、彼を気持ちよくしてあげようじゃないか。


案の定、キィとドアが開かれると、彼が入ってきて周りを見回している。後ろから眺めると、その長い金髪がさらりと揺れるのが、また美しい。
こんな可愛くて美しい彼が痴漢だなんて許せるはずがない。あの手で見知らぬ男達を触り倒して喜ばすだなんて!
でも、大丈夫。そんな変態行為も今日限りで終らせる。この僕が更生させてあげるから。

そっと後ろから彼に近づき、その腰を捕まえた。

ひっ、と彼が小さく息を飲む声が聞こえたが、構わず後ろから頬を寄せて囁いてやる。

「こんにちは、痴漢さん。こんな所まで僕を喜ばしに来てくれるなんて嬉しいな。」

「おっ、おまっ!放せ!!」

突然のことに慌てふためく様が可愛すぎる。
でも許さないよ?僕を弄ぼうとした事を後悔させてやらなくちゃね。もう二度と痴漢なんてしたくならない位には。

「え?何で放さなくちゃいけないの?僕とやらしいコトしに追いかけてきたんでしょう?」

そう言いながら、彼の耳の中に舌を入れる。うひゃ、と彼がおかしな声をあげた。

さっきまでのお返しとばかりに、僕は腰に回した手を彼のモノの上に置く。既に固さを持って反応しているそこを上下左右にと撫で回す。

「ひっ・・・・・・」

「さあ、次は僕の番だよね。うんと良くしてあげるから、ほら。ここでズボンを脱ぐんだよ。」

耳元で優しい口調で命ずるも、彼は首を横に振るだけでやろうとしない。
しかし、さっき僕がやられたのと同じく、彼のベルトを外してファスナーを下ろすと、僕は一気に彼のズボンを下着ごと引き下ろした。

「うわぁっ、お前、やめろ!なにすんだっ・・・・・・」

「お前じゃない、僕の名前はアルフォンスだよ。アルって呼んで。で、君の名前はなんていうのかな?」

その質問に答えずに、やめろなんて言い騒ぎ続けている彼の立ち上がってる中心をギュッと握りこんでやると、途端に体を強張らせて息を詰める。

「名前。ほら、教えてくれないの?」

もう少し力を加えると、彼は悲鳴じみた声をあげて答えた。

「エ、エド!・・・・・・エドワードだ!・・・・・・っ教えたんだから離せよ、アルっ!」
 
「そう、エドって言うんだ。それに僕のこと早速アルって呼んでくれて嬉しいよ。」

左手で彼の中心を優しく扱きながら、右手で彼の顔を此方に向けさせて、その頬と唇にキスをする。

男にキスをするのも、ましてや他人のナニを触るもの初めての経験だし、普段ならしたくもないけれど、エドは別だ。やけにソソられる。
彼の下半身だけを剥きだしにして、その濡れた中心を擦りあげてる様が前方に設置されている洗面所の鏡に丸写りになっている。
エドは恥ずかしさから、頬を真っ赤にして金の前髪を乱しながら今にも泣き出しそうな表情だ。そんな顔を見せられたら嗜虐心が煽られて、もっと苛めたくなってしまうじゃないか。困った痴漢さんだ。

「ほら、ねぇ、エド。人のを触るよりも、触られる方が気持ちいいんじゃない?こうされて、とってもいやらしく喜んでるエドの顔が鏡に写ってるよ。」

その僕の煽り文句を聞くと、瞬間エドはこちらを睨み上げてくる。
しかし、もう片方の僕の手が彼のシャツの裾から入り込み、胸の小さな頂を摘み上げると、「あぁ・・・・・・っ」と声を出して震えた。
全く殺人的な可愛らしさじゃないか。
しばらく胸の尖りを親指の腹で捏ね続けると、ブルブルと断続的に体を震わせる。その姿に僕の方こそ我慢出来なくなってきた。

その体勢のまま数歩前へ移動させると、洗面台に手をつく格好で彼を立たせた。

彼の中心を扱きつつ、その尻の奥にある穴に、ぬめった液体を塗りつけて入り口を丁寧に開拓してゆく。

「ああっ・・・・・・あああっ、ダメだって、そこはっ、アル!」

「何で?エドの大好きな僕のコレを使って気持ちよくさせてあげるんだよ?」

そう言いながら、僕は自分のものを取り出して、背後からその尻に擦り付けてやる。
すると彼は先程の僕のものを思い出したのか、「ああぁぁ・・・ん」と啼いて腰を戦慄かせた。
何だこの反応は。今すぐにでも突っ込みたくなるじゃないか。
今の彼はどこから見ても『される側』の人間だ。これが、どこをどう間違って痴漢など働くようになっていたんだ?

 

僕はなおも指を奥へと進める作業に集中する。指を三本入れたところで彼の良い所を探り当てた。彼の嬌声が洗面所に響く。
何度もそこを擦ってやると、彼の中心がビクビクと跳ねるし、中の方は僕の指を幾度も締め付けてくる。
なんて魅惑的な眺めだろう。これは徹底的に僕の良さを教え込んでおかなくちゃだめだ。絶対に逃がしたりはしない。

エドのそこから指を引き抜き、彼の入り口に自分の膨張しきったものの先端を押し付けて、押し込むように力を加える。

「ああああああーーーー!!」

十分に解してはいたけれども、やはり苦しさを与えてしまったようだ。
しかし、しばらくするとその顔に悦楽の色が浮かび、僕が前立腺の辺りを突いてやる度に、喜びの声で啼くように変わっていった。

「ひっ・・・・・・あああ・・・んっ!」

「ねえ、どんな感じ?エドが触りたくなるほど好きな僕の味は。ふふ、聞かなくても分かるけどね。気持ちがいいって、エドのコレもこんなに勃ち上がって泣いてるもんね。」

徐々に突き上げるスピードを増してやると、彼の腰が逃げを打つ。僕はまたグイと腰を引き戻して更に奥に当たるように突き上げた。

「ひゃぁぁぁぁぁ・・・・・・ア、アルゥ!俺、もうダメぇ、イキそうっ・・・・・・っ!」

その声と同時に僕はエドの中心の根元を強く握って、その奔流を堰き止めた。

「いやあああああああっ!!」

その苦しさにエドが激しく頭を振り乱し、大きく叫ぶ。ここが映画館の洗面所であるとは、すでに失念しているのだろう。
僕は最後の仕上げとばかりに、奥深くで繋がったまま彼の背中に密着して覆いかぶさると、背後から耳へ囁いてやる。

「イきたかったら、もう二度と痴漢まがいな行為はしないって誓うんだ。」

エドは息を乱しながらも、すんなりと首を縦に振った。しかし、僕はこれだけで許すつもりはない。

「これからはね、僕がこうやって君を抱いて満足させてあげるから。だから金輪際、僕以外の人間とこういう接触をしないこと。いいね?」

「うああっ・・・・・・っく!!」

これには、エドは素直に頷かなかった。だけど、根元を持ったまま、僕が腰を出し入れしたら「あひゃぁ」と不思議な声を出して、カクカクと頷いた。それに満足して、僕は殊更優しい声で話しかける。
 
「そう、いい子だね、エド。ところでさ、僕、君の可愛さに本気で惚れちゃったみたいなんだ。大好きだよ、エド。ねえ、君も僕のこと好きになってくれる?」

「うぁ・・・・・・そ、そんなの・・・・・・わかんねっ・・・・・・うっ!!」

ゲイのエドからしたら、僕が恋人になるのは悪い話じゃないはずだ。
僕は、更に腰を激しく送りながら、強情で可愛い僕の元痴漢を追い詰める。

「あ、そろそろ映画の上映が終る頃だね。誰もこないといいけどねぇ、ここに。」

「えっ!ひゃぁん!アル、マジそれやばいっ・・・・・・あああ・・・っ!」

「じゃあ、僕のこと好きって言って?そうしたら、すぐにイかせてあげるから。」

「あっ、あああっ、好きっ、好きだから!アルーーーぅ!!」

その言葉と同時に、僕が彼の根元を締めていた指を外してやったら、エドは腰を震わせて断続的に白いものを吐き出して洗面所の床に零した。
同時に僕自身も彼の中で激しく締め付けられて、たまらず彼の中へ全て注ぎ込む。


ぐったりとしたエドの下半身にズボンを履かせると、僕は嫌がる彼に構わずにその体を横抱きにして映画館を出た。
入り口に座っていた係のおばさんが、びっくりして此方を見てたけど、そんなのはどうでもいい。

「お、おい、降ろせよ。そっそれと、一体どこに行くつもりだよっ。」

エドが戸惑いながら、その金の瞳を僕に向けて聞いてくる。その可愛さを堪能しながら、僕は満面の笑顔で彼に告げる。
サークルの飲み会などは、最早、頭の隅にも残ってなどいなかった。


「僕の部屋に決まってるでしょう?さあ、思いも通じ合ったんだし、この後は思う存分、恋人の甘くて濃密な時間を過ごそうね。」



僕がエドの唇にちゅっとキスを落としながらそう伝えると、彼は「ヒィィ」と小さく声を漏らして了承した。



  END

 

 





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