2.フランス料理店で食事を愉しむコツ(Part2)  



2.5.ワインのテイスティング

 グラスで注文した場合は、原則としてテイスティンッグはありません。
 ボトルで注文した場合は、ソムリエが注文したボトルのラベルを見せて、当方に確認を求めてきます。ここは軽く頷くだけでもOKです。
 次に、目の前で栓を開けて、少しだけワイングラスに注いでくれます。これをテイスティング(味見)します。グラスの足の細い部分を持ち、ワインの香りを嗅ぎ、少量だけ口に含んで空気とよく混ぜてから、味わいます。著しい酸味などの異常がなければ、「結構です」あるいはニッコリとして、OKサインを出します。  このテイスティングは、儀式的な意味合いもありますから、フランクな場所では、軽く味わうのみでも構いません。
☆注意点
 グラスのふちに食べ物の油がついて見苦しくなることがあります。それを防ぐには、飲み物を飲む前には必ずナプキンで口をぬぐうことが必要になります。面倒ですけどそれしか方法はありません。

2.6.パン

 ワインのテイスティングの後に、パンが配られます。お店によって、パンをテーブルに配ってくれる場合と パンを載せたお盆を持ってきて、客が直接(手づかみ)でとる場合があります。
 パン用の皿(着席位置から見て左前方の小さめのお皿)がある場合は、そこに置きます。パン用のお皿がない場合には、テーブルクロス上に直接置きます。スライスされていないパンについては、一口の大きさにちぎって食べます。直接かじるのは×(バツ)です。このとき、テーブルクロス上に、パンくずが落ちてしまう場合がありますが、気にしないことです。(料理が終わった段階で、サービス陣がきれいにしてくれます。)
 バターは、バターナイフ(なければ食事用に出されたきれいなナイフ)で、必要な分だけ取り分けて使います。もし、出された料理のソースが非常においしかったら、ちぎったパンにソースをつけて食べましょう。洗ったとみまごうばかりにソースを全部味わった皿を見ることは料理人の喜びです。
 パンを食べるのは、テーブルに配られた時点から、メインの料理を食べ終わるまでに、自分のお腹の空き具合に合わせて食べるようにします。
 一部のお店を除いて、パンはサービス代金に含まれていますから、いくつ食べても追加料金を取られることはありません。

 2.7.料理を味わう(1) 道具の使い方

 ナイフとフォークなどの道具は、外側から取っていきます。仮に取り間違えても、サービス陣の方で次の料理をセッティングするときに、何食わぬ顔で新しい道具をセットしてくれます。
 繰り返しますが、我々は食事を愉しみにきているのであって、マナー教室の生徒ではありません。ですから、「他人に迷惑をかけない」限り、扱いやすい方法で道具を使えば良いのです。
 道具としては、ナイフ、フォーク、スプーン、ソーススプーンが代表的です。一番馴染みが少ないのが、ソーススプーンでしょうか?ソーススプーンは、主に魚料理やデザートを食べるのに使われる、スプーンのくぼみになっている部分を平らにしたような道具です。ナイフ代わりに柔らかい魚の身を切ることもOK、ソースをたっぷり料理にかけることもOKという優れものです。
 魚料理には、フォーク、ソーススプーン、ナイフの3本が添えられることがありますが、口に運ぶときには、フォークまたはソーススプーンのどちらを使ってもかまいません。魚の身が崩れやすいときにはソーススプーンの方が便利です。
 食事の途中でまだ食べるという意志表示として、ナイフとフォークを交差させて置く、食べ終わったという意志表示としてナイフとフォークを揃えて置きます。いずれの場合も、ナイフの刃は自分の方に向けて置きます。

 2.8.料理を味わう(2) スープはすすってはイケナイ

 日本人はスープやコーヒーをすするといわれています。本人は気をつけているつもりでも、スプーンの上の最後の一しずくだけはすすってしまう人がいます。○○のスープ仕立てという料理も、スープと同様の注意が必要です。
 すすらないためには、食べ物を適切な大きさに切り、それをフォークやスプーンで確実に口の中に運ぶだけで十分です。スプーンにのせた液体は、スプーンのとがった方から口の中に流し込みます。スプーンの食べ物をのせる部分ごと口の中に入れてしまうのも、美しくはありませんがすすらないための手です。

 2.9.料理を味わう(3) 料理の感想は正直に

 前菜やメインを半分程度食べたあたりか、食べ終わって皿を下げるときなどに、シェフやサービス陣から「料理はいかがでしたでしょうか」と聞かれることがあります。このときは、慌てずに、気分だけは「超一流の料理評論家」になったつもりで、正直な感想を言います。
  回答例1「たいへん結構でしたんで、また来たいですね」
  回答例2「ソースが美味しいです」
  回答例3「このXX(素材名)がよいですね」
  回答例4「メインは良かったけど、前菜が美味しくなかったです。
       僕は△△が好みなので」
  回答例5「全体的に水準以上だったけどメインの○○はちょっとね」
  回答例6「(少し、ぶっきらぼうに)おいしかったです<<本音はもう来ないぞ>>」

以上で、メインまで終了です。さあ、チーズの注文に進みましょう!