2.フランス料理店で食事を愉しむコツ(Part3)  



2.9.チーズの注文

 コース料理の場合でも、チーズは別料金ということが多いみたいです。つまり、こちらが積極的にチーズを食べたいと意思表示しないと、デザートに進んでしまいます。
 チーズは現物がワゴンに載せられてテーブルまで見せに来てくれます。ここで、ワゴン上のチーズを少し見ただけで、チーズの状態を判断できる人は、プロです。時々、白カビチーズを見て、「あっ、カマンベールだ」という人がいますが、このような知ったかぶりはやめましょう。我々のような素人は、説明を聞きます。セミプロ級の方も説明を聞いて、サービス陣の能力を確かめている場合もあるみたいです。
 説明を聞くときのポイントは、基本は「2.3.料理の注文」と同じです。選択するのは、1種類のみではなく、2−3種類は可と考えていて良いみたいです。多くの場合、チーズ全体の量はほぼ一定となるように調整されます。
  回答例1「今日のお奨めは何ですか?」
  回答例2「これはどういうチーズですか」
  回答例3「では、(現物を指し示しながら)XXと○○をください」
 また、この時点でワインが空になっていると、グラスワインを勧められることがあります。
 ここはお好みの回答(「2.4.ワインの注文」参照)でOKです。

2.10.デザートの注文

 メイン料理、チーズも食べ終わったところで、デザートの注文となります。
 概要はチーズと同様です。大きく異なるのは、シャーベットやアイスクリームは、ワゴンに載っていないことが多いことです。ここでも、ゆっくりと説明を聞いてから注文しましょう。
  回答例1「今日のお奨めは何ですか?」
  回答例2「これはどういうデザートですか」
  回答例3「では、(現物を指し示しながら)XXと○○をください」

2.11.お茶の注文

 デザートが終わってお茶になると、プティフールと呼ばれる小皿にきれいに盛られたチョコレートや焼き菓子が出てくることがあります。これは、お茶の代金に含まれていますから、食べても追加料金は取られません。もちろん、おなかにゆとりがなく、残すのがもったいのであれば、サービス陣にそのように伝えて下さい。きれいな小箱に詰めておみやげに持たせてくれます。  締めくくりとして、お茶を注文します。
  回答例1「エスプレッソをお願いします」
  回答例2「何がありますか」

2.12.食後酒の注文

 食後酒も、コース料金に含まれていません。ですから、これは、本当に飲みたい人だけが飲めばよいものです。
 食後酒は、ウイスキー、ブランディー、グランマルニエ、ベネディクティン、コアントローなどのハードなアルコール類が該当します。変わった物としては、ぶどうの絞りかすから作ったマール、りんごの蒸留酒であるカルバドス、あんず風味のリキュールであるアマレットなどがあります。
 ワインの酔いも手伝って、気が大きくなり、日頃飲めない高級酒を頼むのは貴方の自由ですが、割高なことが多いので、注意が必要です。(ちなみに、僕はこれで1回大失敗をしました)

2.12.会計処理

 飲み物を飲み終わっても、直ぐに帰る必要はありません。お相手と会話を愉しめばよいのです。
 ただし、ランチタイムならば午後4時以降、ディナータイムならば23時以降も長居をするのは×(バツ)です。ランチタイムの後は、店の人が食事をとる時間であり、ディナーのための仕込みをする時間です。仕入れを自分でする料理人は翌朝は早起きします。このあたりの事情をよく考えて、節度を持って行動します。
 支払いはあくまでもテーブルで済ませます。サービス陣に「会計を」と一言いえば、請求書を持ってきてくれます。予想外に高い請求書が来て、わからないことはサービス陣に聞きながら内容をチェックしたところ間違いがないとなったら、心の中で泣きながらも平然として支払いをします。
 日本人は、請求書の内容を確認することを格好悪いと考えがちですが、この確認作業は恥ずかしいことではなく、客としての当然の権利です。金額を少なく間違えてあるということはほとんどありません。
 なお、お店に預けたカバンに財布などが入っているときは、その旨をいえば、カバンをテーブルまで持ってきてくれます。

2.13.帰るとき

 ナプキンの汚れた面を内側にして、軽く折りたたんで、テーブルの上におきます。そして、席を離れます。 帰るときに、預けておいたカバン・カサを受け取り、できれば料理の感想を述べ、お店をでます。  丁寧なサービス陣の場合は、客が見えなくなるまで見送ってくれます。2、3歩くらい歩いたところで振り返ってみるとよいかも知れません。このような丁寧なサービスをしてくれるお店ならば、安心して再び大事な人と来店しましょう。

  以上で、全てです。
  少し疲れたかもしれませんが、食事は愉しめましたでしょうか?
  皆さんにも、豊かな時間を過ごしていただけたら、幸いです。