島々谷北沢六号砂防ダム建設中止の意見書
佐藤一幸 殿
理由
1.計画流出土砂量に対応するとなれば砂防ダムを造り続けることとなり、財政の圧迫と、渓流環境を破壊し続けることとなる。
2.6号砂防ダム一帯はは数万年の年月が作り出した北沢の中でも最も美しい部分であり後世のためにも保全する価値は十分ある。
3.この一帯は下流のイワナが上流の産卵場所に移動する通路であり、5号砂防ダムより上流は人工構造物を造るべきではない。工事用道路やトンネルの建設は、渓流への土砂流入を加速させ渓流環境を悪化させている。そして、下流に対する負荷を高めてしまう。また上流に対する利便性を高め、人間による他の動物や植物に悪影響を及ぼす危険がある。
4.この一帯はカワガラス、ミソサザイ、ヤマセミ、カワネズミなどの渓流固有の生物も生息しており、6号ダムの土砂堆積による生息域の消滅は好ましくない。また、イヌワシなどの猛禽類も生息しているため大きな環境変化を持ち込むべきではない。
5.4号、5号の堆砂による土砂コントロール能力の低下は、6号砂防ダム工事によるものが多く、砂防理論から見ても本末転倒である。
代替案
1.既存の砂防ダム1号から5号までの浚渫を繰り返し行い、土砂流出コントロール能力を高める。
2.砂防ダムによる防災の限界を認識し、ソフト面での防災を強化する。
3.土石流災害を受けやすい危険地域の情報を積極的に公開表示し、将来的には危険地帯からの撤退の方向に力が作用するようにする。
4.土砂流出を加速する道路建設や開発行為を止め、森林の育成に力を入れる。
5.谷の中にある自然堆積地を調節機能として位置づけ、土砂流出コントロール能力として見直す。
信濃毎日新聞'99/01/29 (147KB)
市民タイムス'99/01/29 (68KB)