四コマ・ストーリー『コンピュータは奇妙な同居人』
NO.014「銀河モデム、って……?」
なんだかすごく怪しげなセールスマンがやって来て、一週間無料試用のモデムってのを置いていった。
とにかくセットアップしてみる。手順はごく簡単で、すぐに終わって使えるようになった。
使ってみて驚いたのなんの。何がかって、こりゃむちゃくちゃ速い。ページが表示されるのさえ見えない。100メガバイトのダウンロードも一瞬で完了する。光ファイバーの実演を見たこともあるけど、あれでもこんなに速くはなかったぞ。
モデムの箱を見直して、もっと驚いた。
10ギガビット・モデムだあ? それに、製造元が『トキメモ星銀河モデム株式会社』って、こいつは何の冗談だよ。
怪しいとは思ったけど、これだけ凄いと普通のモデムなんぞ使う気になれない。
一週間後、そのセールスマンがまたやって来た。
「いかがでした? お気に召していただけたと思います」
「ああ……いや、凄いよこりゃ。だけど……」
俺の言葉に、そいつはにやりと不気味な笑みを浮かべる。
「あまりに素晴らしくて、信じられない……と、おっしゃりたいのでしょう?」
「そう……その通りだ」
「当然です。このモデムは地球製ではないのですからね」
「……え?」
「この製品は我がトキメモ星の科学力で開発したものです。このモデムは地球のインターネットを使用しません。アクセス先のサーバーからのデータは我が星の亜空間ネットワークを経由してこのモデムに到達するのです。ですからこれだけの高速な通信が実現できるわけですよ」
「な、なんでそんなものを俺に……?」
「もちろん、地球を征服するためです」
「はぁ〜?」
「我々が地球を征服するためには、まず地球の情報を十分に集めることが必要なのはお分かりいただけると思います。そこで、地球の皆様にこのモデムを使っていただくことで、地球のネットを流れている情報を収集し、来るべき地球征服のための作戦に役立てようというわけなのですよ」
こいつ、頭がおかしいのか? それとも……。
俺の不安げな表情を目にして、セールスマンはまた、底知れない不気味な笑みを浮かべた。