T-CONに行って来ました

佐藤竜雄FC『白褌会』第三回年次総会

「白褌会」…なんともけったいな名前の集団ではあるが、その由来は2000年のSF大会(横浜パシフィコ)での佐藤竜雄トークにさかのぼるらしい。
「ダイガードの部屋」等の企画のため来場していた水島精二監督(
*1)が佐藤竜雄評として「海を背に立ち、褌姿で波がザッパーン」とか発言したこと…から拝借したらしい。
「学園戦記ムリョウ」の製作前にロケハンとして関係者がムリョウの舞台となっている佐藤監督の郷里の小田原近辺(
*2)を徒歩で探訪した際、山道をホイホイと歩く佐藤監督の体力ぶりに同行した他のスタッフはたちまちギブアップ。
 実は佐藤監督は体育部系の兄貴だった!
 そのイメージはまるで、ふんどしをキリリと締めて逆巻く荒波をバックにスックと立つような漢!!…ということ(そういえば、劇場版の「デジキャラット」で暴れん坊さんが一本釣り漁師で登場する時、宇宙漁船には『竜』の文字がありましたっけ
*3)。

 というわけで、企画のトップは現在放映中の『デジキャラットにょ』のOP。松平健の『暴れん坊将軍』OPよろしく、馬にまたがったでじ子ヘアの侍の姿にタイトル文字がかぶるアレだ。
 なんであんなOPになってしまったかをとくとくと解説(今回、佐藤監督本人はSF大会不参加ながら、白褌会がビデオインタビューに成功。

 現在は杉並在住の佐藤監督の御近所の公園(なんだろうなぁ…多分ありゃ)のベンチで、その生い立ち(
*4)や作品の背景についてが語られていた。

 最新作、「宇宙のステルヴィア」に関しては、前半は入門編を意図したものだそうです(
*5)。

 企画の段階では、夕方の時間枠になっても深夜の時間枠になってもどっちでも構わないつもりで(考えてみたら、わかってれば普通に考えて深夜枠だから対象年齢を高めに想定しようとか、夕方だから中学生あたりがターゲットかな…とか考えるもんでしょうね〜普通のテレビ番組製作者なら。番組が出来上がってからそれが深夜枠か夕方枠かのアキがある方でオンエアーっていう現在のTVアニメが変なんでしょう)。

 昔だったら、アニメって本放送の後で再放送されてあたりまえながら、現状から言ってテレビ東京でアニメの再放送をやってくれるような枠が一つもない。

 20代、30代のアニメファンだと、今度の新作はこの辺に注目して見ると面白い…ということをわかって見ることができる(TVアニメを鑑賞するための学習がオタクは出来ているってことか?)けれど、そうではない10代って、これだけのジャンルであれだけの本数のアニメがドカッとあって、じゃあビデオに録ったりして見てみるのにも何かある程度の訓練が出来ていないと「どこが面白いのだかわけわからない」という傾向に既になっているのじゃないか。

 じゃ、「宇宙のステルヴィア」って新作で、そんな筋金入りのアニメ好きじゃない中高生が見ても「あぁ、アニメってこういうのもあるのか」「この辺が見てて面白いよな」とついて来られそうなものをやってみよう。いきなり飛ばさないで。
 前半はしーぽんを軸とした入門編。後半は光太らをからめた応用編で行けるかな。
「ナデシコ」の時には盛り込み過ぎた。サービスとしてあれもこれもと色んなものを詰め込んだことからのマイナス面もあったので、今度はそうならないようなものを。

 結局、「イサミ」やって、「ナデシコ」やって、「ムリョウ」…もしかしたら自分は結果的にその繰り返しなのかしれない。

 みたいなことで(録音等やってなかったので、あくまでも脇で聴いてた記憶モードですが……直球だよなぁ。このコメント(^^ゞ(*6

(上は企画前のステージ設営/下は企画後のステージ撤収風景です)
*1…翌年の春、佐藤監督の「ムリョウ」と水島監督の「シャーマンキング」は同時期のスタートとなる。「ムリョウ」は火曜日、「マンキン」は水曜日で裏番組同志にはならずに済んだ。最新作は「鋼の錬金術師」。

*2…ちなみに「ステルヴィア」では片瀬志麻、小田原大、栢山晶、藤沢やよい等の湘南の地名がキャラのネーミングに使われていたりする(「るろうに剣心」の新潟県みたいなもんですね(^^ゞ…などと思っていたら小田急線ネーミングは大月プロデューサーによるものらしい)。

*3…そういえば南央美さんの本での佐藤監督との対談によると、「デジキャラット」で暴れん坊さんが登場する際に「この暴れん坊ってどんなキャラなの?」「どんなだと思います?」という会話が佐藤竜雄&桜井弘明の間であったそうな。
「暴れん坊というくらいだから、髪の毛なんかこう逆立ってて、眉はもう太くて…」
などと、佐藤さんが思いついたことを口にしながらさらさらと手近な髪にラクガキしていたら、実はまったくキャラクターデザインを決めていなかった桜井監督が「なるほど」とそのままラクガキを持って帰り、そのままキャラクターデザインとして採用してしまったらしい。なんともアバウトな話だ。

*4…なんでも結構、年齢の離れたお姉さんがいるらしい。「ステルヴィア」の光太と一緒ですね。

*5…ジーベックでは96年秋から放送の「ナデシコ」をやったことがあり、あれから6年…で、当時の新人動画マンが今は作画監督をこなすまでに成長しているとか、製作進行で走り回っていた若手が演出に昇格していて、「かっての気心の知れたメンツで新作を」などとなるかと思えば、6年もたつと人がまるっきり入れ代わってしまっていて、佐藤監督カラーというものを理解してもらおうと思うなら、再びゼロから始めなければならないのが実情だったりしたそうだ。

*6…でも、アレだよな…。妙にわかっているオタ向けのパロディを随所に散りばめたはずの「ナデシコ」が結果的に(その元ネタがわからなかろうが)十代の子が見てアニメにハマるきっかけになってしまったり、ひとひねり狙ったような「ムリョウ」が結構、スタンダードな活劇になってたりして。
入門編・応用編として意図された「ステルヴィア」だったのに、それでも結構とっつきにくいところがあったりして、逆にコアなキャラ萌えアニメファンや、佐藤竜雄演出を吟味して鑑賞したいファンへのサービスになっちゃったりとか、そのあたり、作り手側の意向と実際の受け手の反応ってのは一致しないケースがありがちかもしれないよなぁ…。
「ナデシコ」は放送地域が限られてて、部活や塾の時間と重なりがちかしれないがTVでロボットアニメなんてあまりやってない時期の夕方に放送されたのはビデオ普及時代とはいえ小中学生が偶然に見始めることは考えられる(「エヴァンゲリオン」「ウェディングピーチ」というある種、キワモノの翌年にそれほどにはキツくないのが放送されたと言えなくもない)。
でも、平日午前1時からの「宇宙のステルヴィア」を中高生がTVをつけたら、たまたまやってて、特にアニメファンじゃないけど翌週からも続けて見るようになった…というケースはあり得にくそうな感じ。
 やはり時間枠の問題ってけして無視はできないんじゃなかろうか?