小田原建築探偵   
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幻のスカンジナビア館part2 〜2


スカンジナビア館のホステス達。(注)左から
向って二人目の彼女。名前をアンコネンと
しよう。

”あんこねん?”仮名でも、ふざけた名前を付
けのか思われるだろうが一般的に実在する
らしいのだ。

フィンランド人の苗字には○○ネンと付く人が
多く、アホネンパーデンネン、ヘンナアホさん
も存在するらしい。

アンコネンは下記のサイト
貴方が”フィンランド人だったら占い”
嫁さんの誕生日を入力したら出てきた名だ。
(この占いは結構楽しめる)

彼女は万博ファンの中では結構、有名人だ。
21世紀の地球に警鐘を鳴らした北欧五カ
国からの参加、スカンジナビア館。

21世紀になった今、改めてその評価が上っ
ているのが、このパビリオン。それに一役買
っているのがアンコネンだ。

全ては日本万国博覧会記録映画における
彼女の登場シーンに起因する。

彼女が映るシーンを見て「しまった」「何て
こったい」「オーマイ、ガッ」多くの人々は悔
しがったに違いない。

かく言う私もその一人なのだが「何故この
パビリオンを見なかったのだ..」「見ておけ
ば良かった」それが共通の想いであろう。


当時スカンジナビア館に入った人からは
スカンジナビアに入らずして万博を語る
なかれ..と聴こえてきそうだ。

万博映画DVDで改めてそのシーンを見て
みる。彼女のアナウンスを抜粋すると

(いくぶんフィンランドなまりの日本語で)
「皆さん、ようこそスカンジナビア館にいら
しゃいました。」

「入る前にちょっと説明します。」

「スカンジナビア館はノルウェー、デンマーク
スウェーデン、アイスランド、それから
一番いい国フィンランドの共同館、なんです。」
(観客笑い)

問題のシーンはここだ。「いちばんいい国
フィンランド。」五カ国の共同館なのに自国
フィンランドを一番いい国と言うシーン。

普通ならば「私の住むフィンランド」と言うだ
ろう。この一言でこの映画を見ている人の
心を掴む。

このパビリオンのホステスは五カ国から揃
えたのか解らないが各国揃えたなら日替わ
りで言っていたのだろうか?

「一番いい国、ノルウェー」
「一番いい国。デンマーク」

さてこの行間から何を推測する。

「いちばんいい国、いちばんいい国」呪文の様
に唱えてみる。1192...浮かんだ..いい国作ろ
う鎌倉幕府。1192年...そうか!わかった」

多分、彼女より先にお国自慢をした国があっ
たのだ。それに対抗して出てきたのが
「いちばんいい国フィンランド」なのではないか?

各国ホステスは競って自国の名前の前に
”一番良い国”を付けたのかどうかは不明で
ある。

「とても、とても真面目な館(かん)です。」

「どういう風に住んでるとこ綺麗に守りますか」
彼女のアナウンスは説法だ。万博の高田好胤
である。「ベンキョ、なりますよ」

フィルムに映っているのはここ迄である。時間
にして約一分半。「一番いい国フィンランド」
三時間近い、万博映画の中でも印象に残る
場面の一つである。

当時の日本人は万博会場で生で見る動く
外国人が特別な人に見えたらしく、ホステス
一般人、無差別にサインをねだったという。

外国人が歩いていようものなら「あっガイジ
ンが歩いている」と珍しがった時代だ。動く
生ガイジン。一体何故、そんなものを欲し
がったのだろう?

万国博が終わり、帳面に残った見知らぬ国
の見知らぬ人の読めない名前。

そこに記された文字は単に外国からきた一般
外国人の名前。それは日本でいう鈴木さんと
か佐藤さんなのかも知れない。

但し、その中でプレミア付きのサインがある。
それがアンコネンのサインである。

(注)現在のコンパニオン、アテンダントは当時
ホステスと呼ばれていた。