見えない物の影 −死角− |
クルマの誘導に関する説明をする時、車庫入れを引き合いに出すのは大変意味が有る事だと考える。
車幅ぎりぎりの狭い場所での正確な誘導が可能となれば、幹線道路における他車との距離感覚も正確に把握
出来る。また自車を正確に誘導しさえすれば、他車とすれちがう際もヒヤッとする事態にはならないだろう。
クルマとは「原動機を有し、軌道によらず自走しうる輸送機械」なのだから、本来の運用としてはA地点で
荷物を乗せてB地点に運ぶのが普通である。特に出先の駐車場は到着するまで状況が掴めないので、大概は
ブッツケ本番で車庫入れとなる。結論としてクルマの運転は車庫出しに始まり、車庫入れに終わるのだ。
ここで死角の問題は重要となる。特に強調したい点は、初心者に多い判断ミスは見えない=居ないと
してしまう事である。
走行中のクルマ同士の事故には、信号無視等、種々の原因が指摘されるところではあるが、突き詰めれば
「見えない=居ない」の強引な判断が裏目に出た例が多いのである。
下図は自車を上から見た図で、黒い四角はタイヤの位置とする。
助手がVおよびY(後輪)に立った場合、助手は後の窓枠にすっぽりと隠れてしまい、運転席からは
どちらを向いても助手の姿が見えない。唯一、助手を補足しうるのは、サイド(ドア)ミラーのみである。
(サイドミラーでしか見えないこの位置こそ、車庫入れに代表される、旋回を伴う後退時の擬似的な回転中心
である)
下図は、助手がVおよびY(後輪)に位置する時の写真である。