タイヤの秘密
クルマを旋回させる時はハンドルをきるが、それに応じてタイヤには進行方向に直行する横向きの力が
生まれる。この力をコーナーリング・フォースと呼ぶ。クルマはコーナーリング・フォースを利用して
旋回するので、車両は必ずしもタイヤの向いた方向に進んでいるわけではない。
(だから一定速度で走行している時は、ハンドルを浅く切っても、その割にタイトに旋回するわけだ)
進行方向(旋回円の接線方向)とタイヤの傾きがなす角度βをスリップ・アングルと呼ぶ。
タイヤが、スリップ・アングルがついた状態で回転すると、右上図の様に変形する。この時に赤い部位
(つまり接地部)に発生する反発力がコーナーリング・フォースとなる。
この理屈から考えると、タイヤが回転しなければ、変形を促さないのでコーナーリング・フォースを
発生しないのだ。つまり、停止間際ではハンドルは敏感だが、発進直後はハンドルが鈍感という結論になる。
という事は、小回りのために小細工をするなら、発進直後ではなく停止間際が望ましいのだ。明日の仕込みは
今日の夜にというわけだ。
そこで、Sターンというテクニックが登場する。下図のように、止まる前にハンドルを切り戻しておいて、
発進直前直後にはハンドルを回さないようにする。(ハンドルは、右いっぱいから左いっぱいまで回す必要は
無く、せいぜい中央(直進)位まで戻すだけでも効果はある)
(Fulcrum 著)